ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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最新話です。今回、ギンガの身に悪の魔の手が……!

ヒカルのイメージが少し崩れるかもしれません(笑)


第5話「視界 曇る時……」

(OP:TAKE ME HIGHER)

 

地球と月の間を浮遊するT字型の宇宙船『テライズグレート』では、ギンガに敗れてボロボロになって帰って来たナックル星人ゲドーが、床でじたばたともがきながら悔しがっている。

 

「うわ〜〜ん‼︎チクショ〜!チクショ、チクショ、チクショ〜〜〜‼︎この俺様、ナックル星人ゲドー様がウルトラマン1人ごときに負けるなんて〜〜〜‼︎」

 その悔しがる様子はまるで駄々をこねる子供の様である。無理も無い。あれほど自信満々で出動し、相棒の怪獣もいながらの敗北なのだから……。

 「まあまあ、落ち着けって。少なくとも人から闇を出すためのお前の考えは見事だったぞ。」

 バスコは何とか鎮めようとするがその勢いは一向に治まる様子は無い。

 「うるへ〜〜〜‼︎失敗した後に褒められても嬉しくねーよ‼︎だいたい元はと言えばあの『タマゴ頭の焼肉ボディ野郎』が不良品なんかよこすからだ‼︎何が『涙で溶ける』だ!…つーか何で涙限定なんだよ‼︎?傍にタマネギでもあったら終わりじゃねーかバ〜〜カ‼︎」

 ゲドーはプライドが傷付いたショックが余っ程大きかったのか、途中から訳の分からない事まで叫び続ける。他の幹部達は、かける言葉を失ったのか、その様子を唖然と見ていた。

 

「いや、ゲドー。お前は十分役立った。」

 ウルトラマンテラがその一言を言った瞬間、さっきまでバタバタ暴れていたゲドーがピタリと止まった。

 

「お前のおかげでギンガが凄く強いウルトラマンだと分かった。ホントにお疲れ様。ゲドー。」

 「…サ……サンキュー。やっぱ俺様って、テラ様に仕えるエリートなんだな〜なんせ俺様はナックル星から選ばれた名門出の戦士だからな〜。」

 テラに褒められた事により、ゲドーは一気に手の平を返す様に機嫌が直った…と言ってもボロボロの状態で「名門出の戦士」と自称するとは余りにも説得力が無いものである。他の幹部達もひとまず安心する。

 

 「ゲドーは負けて来たのですぞ。役に立ったとはどう言う意味ですか?」

 メフィラス星人キョウは、ゲドーに聞こえない様に耳打ちでテラに問いかける。

 「いい事を思い付いたんだよ。フフフ、考えただけでも刺激だぜ〜。」

 テラは不気味に笑いながら答えた………。

 

 

 

 

場所は変わって、ゲドーの奇襲を逃れたライトとカグラ、子供達は、命の恩人・礼堂ヒカルと共に森を抜けた。そして、子供達と別れた後、三人は歩道を歩きながらたわいも無い話をしている。

 

「それにしても、すごかったねギンガ!あ〜私、ファンになっちゃうかも!」

 カグラは、まだギンガへの興奮が収まって無いようだ。ヒカルは照れ笑いをしながら「サンキュー」と返す。

 

「ヒカルは確か別の世界から来たんだろ?寝床はどうするんだ?」

 ライトが重要な事を聞く。ヒカルは理由あって(前話参照)元の世界から別次元のライト達の世界に来た訳だからしばらくこの世界にいなければならない。よって一番困るのは寝床だ。

 「あ、そうだね。野宿させる訳にもいかないし、助けてくれた借りもあるし……良かったら泊まってく?」

 「ヘッ?!……そ、……そうだったな……どうしよっかな〜?」

 ヒカルは、カグラが誘ってくれた事に感謝しつつも、微かに動揺する。誘ってくれるのは嬉しいのだが、青春期の男女が二人っきりで夜を過ごす事に抵抗を感じているのだ。それに彼には元の世界で特別なガールフレンドもいるのだから尚更である。

 

 「そういやあ俺のマンション、一つ空き部屋があるからそこでお泊まり会でもやるか!」

 「はっ!それいいね!やろうやろう!」

 「いいね。俺の旅の話もたっぷり聞かせてやるよ。」

 ライトの提案に、ヒカルとカグラも賛成したが、ヒカルにとってはちょっとした救いでもあった(笑)

 

 「じゃあ、早速買い出しに行くか!」

 「賛成ー‼︎」

 三人は、スーパーへ行くために駆け出そうとした。

 

 

…………と、その時。

 

 

「フフフ、ずいぶん仲良さそうじゃないか。」

 突然、後ろから声がしたので三人が振り向くと、そこには等身大のウルトラマンテラが仁王立ちで立っていた。いきなりの見た事無いウルトラマンの登場に、三人は驚き動揺する。

 

 「……誰だお前、ウルトラマンか?」

 ヒカルは少し警戒しながら睨みつける様に問いかける。

 「僕はウルトラマンテラ。よろしくね。」

 テラは胸に手を当て、親しげに答えた。

 「テラ……強そうだが聞いた事無い名前だな。」

 「見た目はカッコイイんだけど……。」

 

 ライトとカグラも微かに疑う様な顔で話す。

 

 「なあギンガ、お前は知ってるか?」

 ヒカルはギンガスパークの中のギンガに話しかける。

 「いや……私も彼を見た事が無い……。」

 ギンガは冷静な口調で答えた。

 

 「当然さ。……僕は、ギンガの様に未来からでは無く、現代で誕生したばかりのウルトラマンだからね。」

 

「‼︎‼︎?」

 

テラは衝撃的な発言をした。彼はギンガの様に未来から来た訳では無く、他のウルトラマンの様に昔から存在した訳でも無く、現代で誕生した…所謂生まれたてのウルトラマンだと言う。

 三人は驚きを隠せなかった。

 

 「フッ……まあ、驚くのも無理無いか。」

 「だって………新しいウルトラマンだろ⁉︎これって、新たな歴史の始まりって事だよね⁉︎」

 「感激〜‼︎今日はギンガにも会えたし、ツイてるな〜。」

 ライトとカグラは新たな正義のウルトラマンの登場だと思い、嬉しがっているが、ヒカルは何かを感じたのか、警戒の体勢を崩さない。

 

「な〜んだよ、もうっ!そんなに険しい顔すんなって。これから面白いコトしてやっからよ。」

 テラは軽い口調でそう言うと、ヒカルの目の前まで歩み寄り、ヒカルの頭の上に手をかざす。すると、テラの脳内にこれまでのヒカルの戦いなどの記憶が流れ込む。降星町の戦いから雫ヶ丘の戦いまで……。

 「ふふーん、なるほどね…そういう事か…」

テラは明らかに何かを企んでいる様な怪しい言葉を放つと、数十歩歩き、ヒカル達と距離を取る。

 

 「テラさん、どうするつもり?」カグラは問いかける。

 「いまから御前達の出来たての友人(ヒカル)で面白い事をしてやるよ。喜んでくれたら嬉しいな〜。」

 そう言うとテラは、胸の前で左手の平に右拳を当てる。すると上空から突如、黒と黄色の稲妻の様な光線がテラに降り注ぎ、それに包まれたテラは巨大化(57m)した!

 三人は目を見張り、テラを見上げる。カオスな色合いの巨人から何やら不吉な物を感じたのか、ヒカル、ライトは身構え、カグラも中途半端なファイティングポーズを取る。

 

 「怪獣ならさっきギンガが倒してくれたよ!」カグラが言う。

 「ノンノン!そのために巨大化したんじゃない。そこのギンガ……お前さんのために巨大化したのだ!」

 テラはヒカルに指を差す。

 (‼︎……俺がギンガだと知ってたのか……⁉︎)

 ヒカルは指を差された瞬間、胸に何かがチクッと刺さる様な衝撃を感じ動揺する。

 

「まずはショーのスペシャルゲスト、カモ〜ン‼︎」

パチンッ!

 

テラがハイテンションでフィンガースナップを鳴らした瞬間、突然地響きが起こったかと思うと、崖が崩れ、近くの湾は波が荒立つ。それぞれ中からは、全身蛇腹状のボリューム感ある体躯にドクロの様な強面、頭部が特徴の『どくろ怪獣レッドキング』、人間と魚類を合わせた所謂半魚人みたいなフォルムが特徴の『海底原人ラゴン』が現れた!

 「‼︎……怪獣を呼び寄せた⁉︎」驚くライト。

 「フフフ…その通り!まあ、正確には『怪獣墓場』からね。」

 怪獣墓場。それは、ウルトラ戦士達に倒された怪獣、宇宙人達の魂が流れ着き彷徨う場所で、宇宙のどこかに存在する暗黒の不気味な空間である。通常の宇宙空間とは『グレイブゲート』と言う輪っかが繋がった様な門と繋がっている。

 

 「こいつらは俺に任せろ。」

 ヒカルはギンガスパークを取り出し、変身しようとする。

 

 「お〜〜〜っと‼︎その必要はねーぜ!」

 テラはそう言うと、ヒカルに右手を突き出し、紫色の光線を浴びせる。すると、何やら衝撃が走っているのか、ヒカルは頭を抱えて苦しむ。

 

 「お前には特に存分に楽しんでもらうんだからよ〜」

 

テラは光線を浴びせ終えた。だがヒカルには特に何の異常も見られない。ひとまずライトとカグラはホッと安心する。

 「ヒカルさん……良かった…何とも無いみたいだね。」

 「さあ、早くやっつけちゃって!」

 

………だが、どうした事か、ヒカルはギンガスパークを胸元にしまい、ボーッと見つめる様にレッドキングとラゴンを見上げる。その顔は、まるで怪獣を見る様な顔ではない。

そして、二体を見上げながらゆっくりと歩き始める。

 

「………美鈴………千草………?」

 

ヒカルは、二体の方へ歩きながらうわごとの様に呟き始める。(……ヒカルの様子がおかしい?!)ライトとカグラはヒカルの異変に気付く。

 「…?ヒカルさん?どうしたの?早く変身しないと!」

 カグラは呼びかけるが、ヒカルは歩みもうわ言も止めようとしない。

 

「……美鈴……千草……何でここにいるんだよ?……まさか、お前らも時空の歪みに巻き込まれたのか⁉︎」

 

「…ッ!さてはテラ、ヒカルに何かしたな⁉︎」ライトはテラの方へ顔を向ける。

 「当たりーー!早くもここまで幻覚に犯されるとはな〜」

 テラが先ほどヒカルに浴びせた光線は『幻覚光線』だった。これを浴びせられた者は、テラの思う通りの幻覚を見せられ、混乱作用により、あたかもそれが実際にいるかの様に思い込んでしまうと言う恐ろしい光線である。ヒカルもこの光線を浴びた事により、レッドキングが『石動美鈴』、ラゴンが『久野千草』にそれぞれ見えているのだ。

 美鈴、千草は、ヒカルの地元でもある『降星町』出身で、彼の幼なじみである。かつて、降星町を舞台に『ダークルギエル』の侵略と戦った際に、美鈴はレッドキング、千草はラゴンにライブした事があるのだ。

 テラはそんなヒカルの記憶を元に、レッドキングとラゴンと言う二体の怪獣をチョイスして、怪獣墓場の怪獣を即行で蘇らせる能力『テライブ』により蘇らせたのだった。

今に二体の怪獣が目の前で暴れているのだが、ヒカルには幻覚作用により、その二人の幼なじみが目の前にいる様にしか見えない。

 

 「……さ・て・と、そろそろ始めますか!」

 テラは、ヒカルに手をかざし、念動力をかける。ヒカルは、体がカチンカチンに固まり動けなくなってしまった。

 

 「うっ!………動けない……!」

 「さあ、そこで大人しくじっくりと見てるが良い。お前さんの大事な物が………ズタズタにされる所をなあっっっ‼︎」

 

テラはレッドキングに土煙を上げながら勢い良く駆け寄る。レッドキングはすぐさまそれに気づき、岩を投げつけるが、テラは駆け寄りながらそれを右の人差し指を突き出しただけで破壊する。

 テラとレッドキングは互いの手と手を掴んで組み合う。衝撃により両者の周りの地面は土煙を起こす。ここでは怪力が自慢のレッドキングが有利か……?

 しかしよく見ると、レッドキングの腕は力を入れて震えているが、テラの腕はまるで微動だにしていない。テラは余裕な感じでフッと笑うと、掴んだ腕を下にねじ込み、そのまま持ち上げる。

 苦しむレッドキング。しかし、ヒカルにはそれがどう見えてるのか……もうお分りだろう。

 テラはレッドキングを片手で持ち上げ、地面に叩き付ける。

 

ラゴンは隙ありとばかりに白色破壊光線を放つが、テラはそれを左手の手の平を突き出しただけで防ぐ。そして、地面を滑る様にラゴンに接近し、右横蹴りを放つ。ラゴンは蹴りが左の脇腹に当たり、たまらず吹っ飛んで崖に激突した。

 レッドキングは、今度は豪腕を活かしたパンチを連発するが、テラはそれらを僅かに動くだけでかわす。そして、目にも留まらぬ速さで顔面に左右パンチを2発、腹部に右前蹴りを打ち込んで後退させる。

 レッドキングは少し怯むが、今度はテラの右腕をもぎ取ろうと掴んで思い切り力を入れる。…………だが、どんなに引っ張ってもテラの右腕は動かない。

 「……非力だねぇ。」

 テラはレッドキングの足の甲を思い切り踏みつけ、レッドキングが跳び上がって痛がってる隙にヘッドロックで首を締める。見た感じ力を入れて無く見えるがかなり強く締められてるのか、レッドキングは泡を吹いて苦しむ。

 ラゴンはその隙にテラに駆け寄るが、テラはレッドキングの首を締めた状態のまま駆け寄るラゴンにカウンターの如く左ハイキックを打ち込む、蹴りはラゴンの顔の右側面に当たり、ラゴンはまたしても吹っ飛ぶ。

 

テラにいたぶられるレッドキングにラゴン。皆さんご察しの通り、ヒカルにはこの光景が幻覚作用により自分の幼なじみがウルトラマンテラにボコられてる様にしか見えない。ヒカルは狂い出す。

 「やめろーーー!、おいっっ‼︎……やめろっ………やめろーーーーーー‼︎」

 ヒカルは念動力により動けない状態で、必死にもがきながら狂った様に叫び続ける。

 「ヒカルさんっ!気を確かに!」

 「騙されるな!あれは幻覚だ!怪獣なんだぞ!」

 ライトとカグラは必死に呼びかけるが、ヒカルの様子は一向に変わらない。

 「ハハハハハ、無駄だよ。僕の幻覚光線は一度浴びると呪縛から二度と抜け出せないのさ。」

 ライトとカグラは悔しそうな顔でテラを見上げる。テラは尚もレッドキングとラゴンをパンチやキックで容赦無く痛めつけ続ける。一撃一撃が重いのか、打撃攻撃が当たる度に二体は悲痛な叫びを上げる。

 「やめろっ…おいっ……その二人が何したって言うんだ⁉︎…やめろー、やめろーーーー‼︎」

 

 「さ〜て、そろそろいいかな?」

 テラはそう言うと、ヒカルの動きを止めていた念動力をフィンガースナップで解いた。ヒカルは、体が動けるようになった事に気付く。

 「……ッテラ貴様ーーーーー‼︎」

 

 ヒカルは完全に怒りに我を支配されていた。そして、ギンガスパークからスパークドールを出現させ、左足裏のライブサインをスパークの先端に当てる。

 

《ウルトライブ‼︎ウルトラマンギンガ‼︎》

 

ヒカルはテラ目掛けて走りながら光と共にウルトラマンギンガへと姿を変える。

 「……ついに来た、この時が。」 テラは駆け寄るギンガを見て呟く。

 

 「ギンガセイバー‼︎」

ギンガは地響きを立ててテラに駆け寄りながら『ギンガセイバー』を出現させ、上から振り下ろす様に斬りかかる。

 だがテラは、全く動じる事無く、右手の手刀を右斜め上に振り、容易くセイバーをへし折ってしまう!

 「ッッ‼︎」

 「何てパワーだ……。」

 ライトは呆然とし、カグラは口を押さえて驚く。

 

ギンガは怯む事無く、今度はテラに駆け寄りながらヤケクソ気味に右前蹴りを放つ。だがテラはそれをスラリとかわす。ギンガは勢い止まらず、そのままテラの後ろにあったビルを蹴り壊してしまった。

 

 「いけない……ヒカルは完全に怒りに駆られている!」

 

ギンガは一旦立ち止まり、グロッキーとなっていたレッドキングとラゴンを見つめる。くどい様だが幻覚作用により、それが苦しんでいる美鈴、千草にしか見えない。ギンガは更に怒り沸騰し、拳を震えるほど強く握る。

 「そう……それだ。その怒りだ!もっと怒りたまえ!」

 そう言うとテラは、またしてもギンガに念動力をかけて動きを止める。ギンガは必死にもがくが、全く動けない。

 

「さあ……フィニッシュだ‼︎」

 テラは、倒れているレッドキングとラゴンの方を向き、腕を胸の前でクロスする。すると、その腕に段々と赤色のエネルギーが集まっていく。そして、チャージ完了と共に、そのエネルギーは球状に固まった。

 

「テラシウムブレイク‼︎」

 

テラは左手を握り腰に当て右拳を突き出し、赤い球状のエネルギーを破壊光線『テラシウムブレイク』に変えて放つ!真紅の光線は二体を直撃し、やがて二体の断末魔と共に粉々に吹き飛ばした。

 

「………………ッッッ………千草……美鈴ーーーーーー‼︎‼︎」

 幻覚作用により、幼なじみの二人が撃破された様に見えているヒカルは、目の前が僅かながら歪む。それに連動するかの様に、降星町及び雫ヶ丘での戦いで苦しめられた人々の姿がフラッシュバックし始める……。

 

「………………ぅぅぅ…ぅぅぉおああああーーーーーーーーーうぉあああーーーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎」

 ヒカルはついに精神崩壊を起こし、広範囲に響くかの様な狂った叫びを上げる。ヒカルの視界は完全に曇り始めていた………。

 

ギンガはやがて絶望からか脱力し、両腕はだらりと下がり、頭は下に傾く。すると、ギンガの体から何やら炎が燃え上がる様に黒いオーラが出始めた。

 「…!何だ⁉︎あの黒い物は……!」

 「ヒカルさん………?どうしちゃったの⁉︎」

 ライト達は途方に暮れながらも声をかけるが、ヒカル及びギンガに一切の反応は無く、黒いオーラを出し続けている。

「おおっ、ついに出たか!これさ、俺が求めていたのは‼︎」

 テラはギンガからの黒いオーラに喜びを見せる。本性が出た故かさっきまで「僕」だった一人称が「俺」に戻っていた。テラは脱力したまま動かないギンガに笑いながら歩み寄る。

 「ヒッ……ヒカルさんをどうする気⁉︎」

 カグラはビクつきながらもテラに問いかける。

 「まあまあ黙って見てなって。これから最後の仕上げだ。」

 

テラはギンガの頭部に手を置き、何やら光の様な物を送り始めた。自分の精神をギンガの中のヒカルの元へ送り込んでいるのだ。送り込まれた精神は、ヒカルの元へ辿り着くとテラの姿ヘと実体化する。ギンガの中のヒカルも、同じ様に両腕をだらりと下ろし、頭は下に傾いていた。

 「フフフフフ…どうだ?愛する者を失った気持ちは………苦しいだろー……悲しいだろ〜……。」

 精神体のテラは、まるでヒカルの憎しみを促すかの様に話しかけ始める。

 「実はこれはなあ……俺以外の全ーーー員が望んだ事なのだよ。俺はただその希望を仕方無く叶えてやっただけさ。」

 テラの口実を聞いたヒカルは少しピクッと動く。

 「………じゃあ………ライトも………カグラも………美鈴や千草が死んで欲しいと願っていたのか…………。」

 ヒカルはもはや絶望の脱力により、棒読みの喋りどころか呂律すら怪しい喋り方になっている。テラは尚も語り続ける。

 

「恨むならなぁ………全員…いや、全人類を恨め。みんなお前の友人を殺そうとしてるし、この俺に、お前の友人を皆殺しにしてくれと頼んで来たんだ……許せねえと思わないか?」

 「………ああ………許せねえ…………!」

 ヒカルは重い口を開け、憎しみこもった声で言った。もはや憎しみのみでいっぱいになっているヒカルは、テラの口車に簡単に乗ってしまっていた。すると、憎しみの力が更に強まったのか、ヒカル自身からも闇のオーラが出始める。

「…今だ‼︎」

 精神体テラはヒカルから溢れた闇を手の平に集め、闇のエネルギーを注ぐ。すると、闇が段々とギンガスパークの様な形になっていき、やがて『テラスパーク』(外見:ギンガスパークを黒と黄色で塗った感じ)となった!

 「ついに出来たぞ……!さあ、これにギンガのスパークドールをライブするのだ!」

 ヒカルはテラの言われるがままに、ギンガのスパークドールを取り出し、ゆっくりとテラスパークの先端のスパークリーダーにライブサインを当てる。

 

《スティミュレイトライブ‼︎ギンガダーク‼︎》

 

陽気なテラの声の音声と共に、ギンガは紫の光に包まれる。一方精神を自分に戻していたテラは、その様子を嬉しそうに眺めていた。

 やがて紫の光は消え去り、中からギンガが現れた……………しかし、その姿は変わり果てており、本来赤の部分が黒に、カラータイマーとクリスタルの輝きは黒みの強い青であり、顔も若干黒っぽくなっていた。目の輝きは紺色となっており、その視線は正義感溢れるヒカルの面影は残っておらず、全人類を恨み睨みつけている様に鋭くなっていた。

 ギンガはもはやテラがヒカルの闇と、それで作られたスパーク『テラスパーク』の力により闇落ちして『ギンガダーク』となってしまっていた!

 

 「ついにやったぞ!ウルトラマンギンガを我が戦力にする事が出来たぜ!フフフ……いい……いい感じの刺激を体に感じるゼェ!」

 テラはウルトラマンギンガを闇落ちさせ、自身の戦力に加えると言う目標が見事に達成できた事に上機嫌だ。

 「……そんな……。」

 「こんな事になるなんて………。」

 ライトとカグラはギンガの変わり果てた姿を見て落胆する。せっかく友達になり、子供達のために共に頑張ろうと誓って早々こうなってしまったのだから無理も無い。

 

「これで目標は達成だ。そこのお二人さん、最後までショーを見てくれてありがとよ。さあ、我が僕ギンガダーク!俺と共にお前の友人を殺そうとしてる奴らを皆殺しにしてやろうではないか!」

 ギンガダークは静かに頷く。テラは右手を前に突き出し、ワームホールを出現させる。

 「…んではお二人さん、また会おうぜ〜」

 テラはそう言うと、ギンガダークと共にワームホールに入っていく。二人が入った後、ワームホールは消滅した。

 

 …………残されたライトとカグラは、ただただその地に立ち尽くす………。

 「……何て事だ………。」

 「…嘘よ………こんなの嘘だわーーー‼︎」

 カグラの行き場のない叫びが、夕暮れのビル街に寂しく木霊した………。

 

(ED:赤く熱い鼓動)




いかがでしたか?ちょっと急展開な気もしますが話の流れ上、最も妥当な展開を考えた結果です。
テラスパークの音声の「スティミュレイト」とは、「刺激する」と言う意味の英単語(stimulate)です。念のため。

次回、ギンガダークがゼロと激突&ニューウルトラマン登場です。

感想・指摘・アドバイス・リクエスト等お待ちしています。

余談ですが最近、私は「進撃の巨人」にハマっております(笑)
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