ウルトラマンゼロ物語(ストーリー) in RED ZONE STAGE   作:剣音レツ

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 新年、明けましておめでとうございます!

 今年も出来る範囲で頑張って行きたいと思います!

 今回は年末年始特別編のつもりで制作した番外編で、昨年で50周年を迎えたウルトラマンのストーリーです!

 相変わらず文才は無く、ストーリー展開も少々強引な所もあるかもしれませんが、とりあえず楽しんでもらえたら幸いです!

 そして宜しければ、今年も本作やその他の作品、そして、特撮ヒーロー(特にウルトラマン)大好きな私・剣音レツをよろしくお願いします!

 では、どうぞ!


番外編「男が燃える時!獅子の瞳が輝く!」

 これは、遡る事50年前、とある“故郷のない男”が“第二の故郷”に決めていくつかの修羅場を潜り抜けながら守り抜いた地球での物語である…。

 

 

 (OP:ULTRA BRAVE)

 

 

 黒潮島。

 

 それは、東京の南250キロの伊豆諸島南端に存在する島である。

 

 この島は嘗てとある侵略者とそれが率いる怪獣たちにより島民のほとんどが全滅してしまうほどの大打撃を受けてしまった。

 

 だが、とある戦士の活躍によりその侵略者たちが滅び、更にあれから50年経った事により島の復興が進み、主に民家や小さなマンション、スーパー等のビルが並ぶ街が、広大な自然に囲まれてる状態で存在しており、そこにあの時生き残った数少ない者や、新しく移り住んだ者、新しく生まれた命などが平和に生活をしていた。

 

 

 そんな黒潮島の、下が海になっている崖が近くにあるとある広大な草原にて、1人の男が佇んでいた…。

 

 

 …俺は今、戦わなければならない…。

 

 この島を、再び恐怖で沈めようとしている姿なき悪と…。

 

 姿が見えない事から、どんな奴なのか、どんな力があるのか、そもそも存在するものなのか、現時点ほとんどが分からない事だらけだ。

 

 だが、俺は必ずソイツを討つ。 黒帯を得るまで何度も血まみれになったこの拳に誓って…!

 

 

 おっと、自己紹介が遅れたな。俺は鳳廉(おおとり れん)。 生まれも育ちもここ、黒潮島だ。

 

 幼少期から格闘技を中心に運動に打ち込んで来た俺は、自分で言うのもアレだが身体能力の高さには自信があり、空手のスポーツ推薦により合格した大学に通うために一度上京し、無事卒業した後、約2ヶ月後にここ黒潮島に設立される『新・城南スポーツセンター』の指導員に就職が決まった事により帰省しているというわけだ。

 

 因みにその新・城南スポーツセンターの責任者の『大村誠司』は、俺の大学時代の先輩でもある。

 

 今は、スポーツセンターが出来上がるまでの期間、アルバイトをしつつ、毎日トレーニングをしている日々。

 

 以前、50年前の黒潮島の惨劇を、その島を訪れた事がある爺ちゃんから聞いた時は驚いたものだ。

 

 あんな大打撃を受けたのに、50年もかけて、今じゃ立派な街も出来上がっているほど復興した。この島が踏ん張ってくれたお陰で、魂が世代から世代へと受け継がれて行き、俺が生まれた…。

 

 そう思えば思うほど、俺はこの強い島で生まれ育った事に、より誇りを感じるようになった。

 

 だからこそ、今、再びこの島を恐怖に陥れようとしている何者かが許せない…!

 

 今から2ヶ月前、全国の各地で、現れた謎の光を見た人が何かに怯えるようにパニックを起こし、やがて突如として姿を消すという怪事件が続出し始めた…。

 

 その事件は起きる度にニュースで取り上げられ、そこに映る行方不明になった人達の親族や親しい人などが悲しむ様子を見る度に、俺は心がいたたまれなくなって行き、そして約1ヶ月前、ここ黒潮島でもその事件による被害者が出始めた…!

 

 それにより、画面越しではなく直に遺族が悲しむ姿を見るようになり、その中には親が行方不明になったと思われる泣く子供の姿も…それにより俺の怒りもふつふつと湧いて来た…。何者かは知らないが、俺の愛する島を泣かせやがって…。

 

 だが、俺にはそれらよりも1番許せない事があった。

 

 愛する俺の妹の笑顔を奪った事だ…!

 

 その行方不明事件の被害者は、俺の妹の百子(ももこ)の大学の友人もその1人だったらしく、それにより百子はショックで精神を病んでしまい、それが落ち着くまで休学する事にし、今黒潮島の実家に帰省している…。

 

 いつも元気で優しくて、その笑顔には俺も何度も元気を貰ったのに…今や放心状態になってその笑顔も消えてしまった…。

 

 一体、何者の仕業かは分からないが、とにかく俺は、もっと強くなって必ずその者の尻尾を掴んで引き摺り出し、叩きのめす…そう思えて来た…!

 

 そのため、最近はバイトが終わるとすぐさまここ草原にて、1人で強くなるための特訓に励んでいる…!

 

 今日も道着を着込み、黒帯を巻いた俺は、いつもの海が近い草原を訪れ、11月下旬の冷たい潮風が肌を叩くように吹き荒れる中、数分間立ち尽くして目を閉じて精神統一をした後、腕を顔の前でクロスさせて「押忍!」の掛け声と共に両拳を腰に当てるのを合図にトレーニングを始める。

 

 素振りの練習として、相手がいない中、例え遠くの物だろうと目の前に映るものを敵に見立てながら、そこに当てるように意識して正拳突き、前蹴り、上段回し蹴りなど、様々な空手の技を、肌を切るように吹き荒れる冷たい風に負けないように鋭く繰り出して行き、やがて続けて行った事により体も温まって行き、一振り一振りする度に汗が飛び散って行く…!

 

 この体の温まりは、俺のその何者かへの憎しみが高まって行っている証拠なのだろうか…?時折そんな事も思いながらも、俺は空手の様々な打撃技の素振りを続けた。

 

 「チェストー!!」

 

そして、その掛け声と共に右拳を勢いよく前に突き出した後、俺は一呼吸しながらゆっくりと再び両拳を腰に当てるポーズを取る事で体勢を整え、素振りの練習を止める。

 

 …体が温まり、汗が吹き出るほど素振りを続けた俺。しかし、どんなに強く腕や足を振っても、心はモヤモヤは振り払えない程だった…。

 

 「…このままじゃダメだ…! いつもの練習量では…!」

 

 そう、俺は正直、最近の自身のトレーニングに納得いってないと思い始めていた。

 

 ただいつもやっている練習内容をやるだけ…これだけじゃあ、結局は現状の自身の体力維持でしかない、もっと強くなるには、何かしらのキッカケがないといけないのでは…?と思い始め、それにより、どんなに強く風を切って素振りをしても、イマイチ手応えを感じないでいた…。

 

 

 「俺はもっと強くならなきゃいけないのに…!何か、そうなるためのキッカケがあればいいんだが…!」

 

 俺がそうぼやいたその時、俺はふと何かに気づいて反射的に顔を振り向かせる。

 

 そこには、少し離れた場所でとある石墓に花を添えて手を合わせている僧侶のような男がいた。

 

 石墓には“島民魂碑”と書かれていた。

 

 墓参りをしているのか…しかし、誰なんだ?あの人…見た事ない格好だ…この島の人じゃないのか…?

 

 俺があれこれ考えながら不思議そうに見ていると、その男は不意に語り出した。

 

 「俺は…50年前のあの日、沈むこの島を守れなかった…。」

 

 「50年前のあの日…マグマ星人が襲って来た日の事か…?」

 

 男が語っているのは、恐らくマグマ星人という宇宙人が赤と黒の2体の怪獣を引き連れて東京を襲った50年前のあの日…先ほど述べた、島民のほとんどが全滅するほどの大打撃を受けた日だ。

 

 あの人もあの時、その場にいたのか…しかし、守れなかったとは一体…?

 

 すると男は更に語る。

 

 「そのために、多くの人達が犠牲になった…。ここは、俺が絶対に忘れてはならない場所だ…。」

 

 「はぁ…。」

 

 俺がやや困惑気味な返事をした後、男は、何やら獅子の顔を模った金色の指輪を嵌めた左手で帽子を外し、素顔を見せる。

 

 その瞬間、男からは何やら只者じゃないオーラがひしひしと伝わって来た…!何だ?あの威厳に満ちた顔つき…あの日の事件の当事者でもあるという事は少なくとも50年以上は生きてるだろう…いや、実際の人生経験はそれ以上分の過酷なもので、それを潜り抜けて来たに違いない…!

 

 俺の第六感が、あの男の顔や佇まいなどを見ただけでそれらを感じ始めていた…!

 

 「お前、強くなりたいと言ったな?」

 

 「え…あ、はい!」

 

 男のいきなりの問いかけに俺はつい反射的に返事をしてしまった。

 

 すると男は、ゆっくりと一回頷いた後、瞬時に僧侶の服を脱ぎ捨てていつの間にか道着姿になり、なんと俺に殴りかかって来た!

 

 俺は動揺しながらも、即座に男に応戦する。だが、この男、相当強い…!

 

 いや、強いってレベルじゃねぇ…!まるで既に手の内を理解しているかのようにこちらの動きをほとんど見切ってて、その上あらゆる格闘技を瞬時に繰り出して来る…!

 

 俺は上段回し蹴りで蹴り飛ばされるが、すぐさま立ち上がる。

 

 「チェストー!!」

 

 俺は終始防戦一方ながらも渾身の正拳突きを繰り出すが、なんと男はそれを跳躍してかわしてそのまま俺を飛び越えて後ろへと回り込む…!

 

 俺はすかさず振り向いてもう1発打とうとしたが、ふと動きが止まった。

 

 俺が振り向いた時、男は既に拳を俺の顔の寸前で止めていたからだ…。

 

 多分、そのまま打てば、間違いなく俺はやられていたであろう…。

 

 なんてこった…小さい頃から20年間、格闘技をやって来て、空手に関しては黒帯を所持している俺が、全く太刀打ち出来ないなんて…。

 

 自分自身に起こった事を受け入れられないままでいる俺に、男は言った。

 

 「腕は確かなようだが、今のお前の拳には雑念がある。動きにも迷いがある。 そのようでは、強くはなれない。」

 

 男の言葉に俺は少し下を向いて歯軋りをする。単に負けた悔しさだけじゃなく、確かに今のままじゃ強くなれないという自覚も多少あるからこそだった。

 

 「俺は…妹…百子から笑顔を奪った奴が許せない…だからもっと強くならなきゃいけないのに…!」

 

 「百子、か…。」

 

 何やら俺の妹の名前を感慨深そうに呟いた後、男は問いかけた。

 

 「お前、名前は何だ?」

 

「…鳳…廉…。」

 

「廉、明日の正午、ここに来い。」

 

「え…?」

 

「俺が特訓をつけてやる。」

 

「特…訓…?」

 

「強くなりたいんだろ?」

 

 男の思わぬ誘いに少し戸惑ったが、俺はこの言葉で決心した。

 

 「…はい、お願いします…!」

 

 俺は決めたワケだからな…強くなるためなら何だってすると…!

 

 無言で振り向いて去って行こうとする男に、俺は問いかけた。

 

 「あの…あなたの、名前は…?」

 

 

「おおとり、ゲンだ。」

 

 

 (おおとりゲン…?そういえば過去の資料で嘗て防衛チームで『MAC』というのがいて、そこの元隊員として名前を見かけたような…?)

 

 何はともあれ、俺は翌日からその『おおとりゲン』と名乗った男の課する特訓を受ける事になった。

 

 会ったばかりで、まだ分からない事が多く、多少の動揺は残っているが、俺は初めて会った時にゲンさんの目を見て、そして軽く手合わせして、なんとなくだが感じていた。

 

 この人とやり合えば、俺も変われるかもしれない…と。

 

 ま、格闘家の勘って奴だがな。

 

 それに、同じ苗字で、名前もソックリ…こういう点でも、何かしらの運命を感じていた。

 

 

 翌日の正午を皮切りに、ゲンさんからの特訓の日々が始まった。

 

 よーし、やってやるぜ!って気合いを入れて臨み始めたんだが…。

 

 その特訓の内容とやらは俺の想像を遥かに超えた過激かつムチャなものばかりだった…!

 

 俺はそれらを石に齧りついてもクリアしようと頑張って行ったのだが…なんせなんとか一つをクリアしたかと思えばまた新たな特訓が始まるワケなのだから、何度も心が折れかけたし、投げ出したくもなった。

 

 それに、今の時代には珍しいスパルタスタイルだし…。

 

 だが俺は、強くなるために諦めず、死に物狂いで続けた…!

 

 

 ここで、その特訓に対する俺のリアクションをいくつか紹介しよう。

 

 

 足にゴム紐を付けて木を蹴るか…やった事ない特訓だが、これなら楽勝だな!

 

 

 ん?なんだ?この妙な機械は…?

 

 左右には怪獣の手のようなもの、真ん中には巨大なカッターが付いててそれらが上下に動いてやがる…。

 

 しかもこのカッター、思った以上に鋭いし…!?

 

 

 って!いってっ!!何だよいきなり鞭で叩いて来やがって!?

 

 しかもしばらく叩いた後に鞭を俺に渡して今度は俺がアンタを叩けと!?俺そんな趣味ねぇぞ!?

 

 

 くっ、なかなか捕らえられねぇ…!相手がジャンプして着地した時が無防備とか言ってるけど、ゲンさんがどこに着地するかなかなか読めねぇ…!

 

 え?難しければまずはサンドバッグを投げてやってみろと?やってやろうじゃねぇの!

 

 

 なんだこれは…?ボクサーがよくやるウィービングに似た特訓だが…?

 

 ってか、ポールの下に地雷が仕掛けてあるのかよ!?これ上手い事ステップ踏まないと、下手したらあの世行きじゃねぇか!!

 

 

 くっ…目が回るぜ…!体中にくっ付いた泡を回転して吹き飛ばす特訓をクリアした次はその応用として回転降下して丸太を割らなきゃいけないのかよ…!

 

 しかもそれが出来たかと思えば今度はその丸太を必要以上に尖らせて振り子にして敵の突進に見立てる特訓が始まるし…!

 

 

 くっ…!金属ブーメランをやっとクリアしたかと思えば今度は目隠しして四方八方から飛んで来るボールを避けなきゃいけねぇのかよ…!

 

 視界が暗い中体のあちこちにボールが…ぐわっ!?下腹部に当たった…!こないだ空手で強打したばっかなのに…!

 

 

 なんだ?どこに連れて行く…?

 

 …え?この滝壺に入れだと??

 

 今12月だぞ???下手すりゃ肺炎になるって…!(寒中水泳経験しといてある意味良かった…!)

 

 

 なんだなんだ?何やらけたたましいエンジン音が聞こえるが…?

 

 …え?嘘だろ??そんなもので追っかけるのかよ!!やめろ〜!!

 

 ジープはマジでヤバいってジープは!!しかもよう見たらブレーキをかけても約6メートルは進んでるじゃねぇか!!どんだけオンボロなんだよ!!

 

 しかも逃げずに向かって来いだ!?正気か!?アンタ!!

 

 並走しようとしたら殴られるし…!なんなら一度撥ねられてるし…!

 

 やめろ…!やめてくださぁぁぁぁぁぁい!!

 

 

 …とまぁ、こんな感じで、俺はゲンさんが課して来る無茶にも程がある地獄の特訓の数々に、死に物狂いで臨み、なんとかクリアして行った…!

 

 どんなに殴られ、檄を飛ばされようと、どこを怪我しようと…。

 

 そもそも、今じゃとてもあり得ねぇスパルタ特訓だ…!これ俺じゃなかったら途中で逃げ出したり、最悪死人が出るレベルだぞこれ?

 

 …でも、その一方で、俺は特訓の一つ一つをクリアして行くうちに、その達成感や高揚感から自分に更に力が付いて強くなって行っている気がして、これなら(まだ姿を見せない)憎き奴をぶちのめせるかもしれない、そう強く思えるようになって来た…!

 

 

 そしてゲンさんとの特訓が始まって1ヶ月後、12月も後半に差し掛かっており、街はクリスマスが近いという事で賑わっていた。

 

 そんな中、俺は変わらずいつもの広場でゲンさんと対面していた。

 

 だが、俺はこの1ヶ月の特訓で既に心身は道着共々ボロボロになっており、息も上がっている…。

 

 流石にそろそろキツいかもな…だが、今日もやってやるぜ…!今日はどんな特訓をするのだ?

 

 

 …すると、ゲンさんは俺に一つの問いを投げかけた。

 

 「廉、お前は強くなって、何がしたい?」

 

 …え?なんだよいきなり?そんなの決まってるじゃないか。

 

 「何って…そりゃあ、妹…百子を悲しませた奴を、この手でやっつけたい!」

 

 するとゲンさんは、少し間を置いた後、こう断言しやがった…!

 

 「そのようでは、お前は強くなれんな。」

 

 「いや…何言ってんだよ?現に今まで、アンタからの特訓をなんとかクリアして来たじゃねぇか!」

 

 俺は動揺のあまりタメ口で反論してしまった。だがゲンさんは表情を保って更に言う。

 

 「お前はただ、俺に課せられた特訓をクリアして行ったに過ぎない。いくらそれをやって力をつけた所で、その力で憎い奴をやっつけた所で、その先に何がある?」

 

 俺は言葉を失ってしまい、少し俯く。

 

 「強くなって…妹を悲しませる奴を…悪い奴を倒す…それ以外に何があるってんだよ…!」

 

 「そのような事も知らず…よく、強くなりたいと言えたものだ。 お前は強くなるために、大切なものが欠けているという事だ。そのような小手先の考えでは、お前は強くはなれん、それどころか、大切なものを失うぞ!」

 

 俺は俯いたまま、ゲンさんからの痛烈な言葉を浴び続けて行くうちに、悔しさと、自分への不甲斐なさから下におろした拳を震えるほど強く握り、そして目から涙が溢れ始めた。

 

 「他に…何をしろってんだよ…!」

 

 実は俺も薄々感じていた。ただ特訓をクリアして力を付けて行くだけじゃ、何かが足りないと…。

 

 一体、俺が強くなるのを妨げてるのは、何だってんだよ…!

 

 

 「その顔はなんだ…その目はなんだ、その涙はなんだ!」

 

 ゲンさんの更なる厳しい言葉に、俺は涙を流したまま、睨みつけるような表情で顔を上げる。

 

 「その涙で、自分が強くなれるのか…?」

 

 チクショウ…!悔しいが、その通りだ…!一体どうすればいいんだよ…!

 

 

 その時、突如、遠くの方から爆発音が聞こえ、ゲンさんと共にその方へと振り向く。

 

 視線の先のちょっと離れた街のどこかから煙が上がっており、時間差でサイレンも鳴り始めていた!

 

 「何なんだよ?あれ…。」

 

 呆気に取られる俺を他所に、ゲンさんは何やら意味深な事を呟く。

 

 「奴め、遂に動き出したか。」

 

 奴とは一体…?ゲンさんの発言が気になってはいたが、それよりも俺はとある事に気づき、一気に焦燥感に襲われる!

 

 「あそこは…百子が出かけている辺りだ!」

 

 今日、百子は、最近俺が「気晴らしにショッピングにでも行ってみたらどうかな?」とアドバイスしたのもあって、1人で街に買い物に出かけているのだ。

 

 そんな街が、今、何者かに破壊されている…!

 

 気がつけば俺は、無意識に足が動き、走り始めていたが、ゲンさんの一喝に止められる。

 

 「待て! 今のお前では、死ぬ事になるぞ?」

 

 ゲンさんから言われた思いもよらない忠告…!

 

 だが、俺の意思は揺るがなかった。

 

 「それでも…それでも俺は行かなきゃならねぇんだよ!」

 

 そう言って俺は再び走り始める。しかし、ゲンさんはそれ以降、俺を止めることは無かった…。

 

 

 街に着いてみると、そこには悲惨な光景が広がっていた…!

 

 ビルは壊されて行き、パニックで逃げ惑う人々、中には瓦礫により負傷している人や、恐怖でぬいぐるみを持ったまま泣いている子供も…!

 

 そして、逃げる人とは違ったパニックを起こす人、恐らく、またあの謎の光も現れたのだろう…。

 

 「こんな…一体誰がこんな事を…!」

 

 俺が目の前の惨劇に呆気に取られていたその時。

 

 「はっ…百子!」

 

 俺はようやく百子を見つけた。だが、既に瓦礫の下敷きになってうつ伏せで倒れている状態であった…!

 

 俺は百子の元へ急いで駆け寄り、必死に呼びかける。

 

 「…お兄…ちゃん…。」

 

 途切れ途切れでか細いが、俺に声をかける百子。良かった…意識はあるみたいだ…とにかく早く助けないと…!

 

 俺はそこらに落ちていた鉄パイプを拾って瓦礫の下に差し込み、必死に力を入れ始める。

 

 しかし、俺は既に心身共にボロボロ。そして妹の危機に加え、周りの破壊や人々の叫び声等が加速させる焦りもあるからか、なかなか力が入らずにいた…。

 

 「お兄…ちゃん…私に…構わないで…。」

 

 「バカ言ってんじゃねぇよ!必ず助ける!」

 

 俺は尚も必死に鉄パイプに力を入れ続けた。

 

 …いや、バカなのは俺の方だ…!

 

 元はと言えば、俺が軽はずみに百子に出かけるように促したばっかりに…!

 

 それに、この状況に出くわした事により、俺の脳裏に先ほどのゲンさんの言葉がリフレインする…!

 

 「お前は強くなれん、それどころか、大切なものを失うぞ!」

 

 今まさに、それが現実になろうとしちまっている…!

 

 チクショウ…俺がもう少し早く強くなっていれば…!

 

 俺はやがて、自身の不甲斐なさも加えた悔しさから再び目から涙が溢れそうになった。

 

 

 その時、後ろの方から何やら威圧的な声が聞こえる。

 

 「動くな!」

 

 振り向くと、そこには金髪で顔には仮面を付けていて、黒いタイツを着ているような体の怪人が、右手に付いた長いサーベルを俺達に向けて立っていた。(サーベル暴君マグマ星人)

 

 …うそ…マジかよ…?

 

 あのマグマ星人が、50年ぶりにここ黒潮島に襲撃に来たという事なのか…?

 

 あの怪しい光による行方不明事件も、この破壊行動も、奴の仕業だと言うのか…?

 

 嘗て50年前、ここ黒潮島を壊滅させた張本人…いや、正確にはその同族か、そのマグマ星人が再び襲撃しに来た事実に、俺は驚愕を隠さなかった…!

 

 だが、俺が驚いている間にも、マグマ星人は不気味に笑いながらサーベルを向けた状態で迫って来ていた…!

 

 「地球人、無駄な事はよせ!」

 

 「…テメェ…なぜ再びこの地球に…!?」 俺は少し怯みながらもマグマ星人に問いかける。

 

 「我々は、あらゆる宇宙の惑星を侵略する!その手始めとして、この地球から制圧する事にしたのだ! 特にこの島は、以前同族が沈めた事があるらしいからな!まずこの島から沈めてやるよ!」

 

「なんだと…!?」

 

 マグマ星人のおおまかな目的を聞き、動揺する俺。この島が、再び奴によって沈められようとしているのか…?

 

 そんな俺をよそに、マグマ星人は俺が助けようとしていた瓦礫に挟まれてる百子に気づく。

 

 「そこの弱っている者から先に片付けてやる…!」

 

 「ぅぐっ…!」

 

 マグマ星人は左手の拳で俺を殴り飛ばして除けた後、弱りきっている百子に狙いを定めてサーベルをゆっくりと上に振り上げる。

 

 「フッフッフッ…安心しろ、今楽にしてやるからよぉ…!」

 

 地に伏せる俺が立ち上がるのも待たずに、マグマ星人はそう叫んだ後、無情にもサーベルを百子目掛けて振り下ろし始める…!

 

 「百子…!」

 

 このままだと、百子の命が…!

 

 

 (やめろ…!)

 

 

 妹の危機に、俺が心の中で静かに怒りを燃え上がらせたその時…!

 

 

 “ガキンッ”

 

 

 「…何だと…!?」

 

 

 …ここまでの一瞬は、俺もまるで意識が無かった…。

 

 金属がぶつかるような鋭い音が鳴り響き、マグマ星人が驚きの声を上げたのを合図に、俺の意識は徐々に戻って行き、そしてやがて完全に気が付くと俺は、マグマ星人のサーベルを両手で、真剣白刃取りの要領で受け止めていた…!

 

 俺が、やったと言うのか…?俺はもう既に、心身共にボロボロだったはずなのに…まだこんな力が残っていたなんて…!?

 

 「貴様…どこにそんな力が…!?」動揺しながら問いかけるマグマ星人。

 

「さぁな…俺でも何が何だか!」

 

 そう返答すると俺は、そのままサーベルを両手で掴んで思い切りマグマ星人を放り投げた!

 

 マグマ星人が宙返りをして着地をしている間に、俺も体勢を立て直す。

 

 「もしかして…俺の力を引き出す鍵って…?」

 

 俺が何かに気づき始めたその時、今度は別方向から飛んで来たチェーンの付いた金属製のフックが俺の左手に巻き付く!

 

 「助太刀に出るぜ!」

 

 フックが飛んで来た同じ方向から声が聞こえ、その方を振り向くと、なんとそこにはもう1人のマグマ星人が、行き止まりに追い込んだ1人の男性をサーベルを向ける事で人質に取り、余裕そうに笑いながら立っていた。

 

 まさかマグマ星人がもう1人いたとは…!それに、人質に取られてる人はよく見たら…大村先輩!?

 

 全くさっきから驚きの連発で忙しいぜ…!

 

 「フッ、これで手も足も出ないな地球人!」「自分や他人の命が惜しけりゃ、無駄な抵抗はやめるんだな!」

 

 2人のマグマ星人はスッカリ勝ちを確信しており、人質に取られている大村先輩はスッカリ怯えきっている…。

 

 俺が対峙していた個体は金髪に青い目をしているのに対し、新たに現れた個体は銀髪に赤い目をしているのが特徴だな…。

 

 こいつらは果たして兄弟なのか悪友なのか、関係性は知らんし、ぶっちゃけどうでもいいが、今後は便利上、青い目の方をマグマ星人B、赤い目の方をマグマ星人Rと言って行こう。

 

 大村先輩を人質に取られ、自身の身も危ない状況…。

 

 しかし、俺は奴らへの怒りに燃えている一方で、自分でもビックリなくらい冷静になっており、なんなら今の状況を打破する方法も思いついていた…!

 

 俺は自分の左腕に巻き付いたチェーンを右手で掴むと、そのまま自身の体に巻き付けながらマグマ星人Rへと接近する!

 

 「なっ…何だと…!?」

 

 俺の思わぬ行動にマグマ星人Rが驚愕している隙に、俺は至近距離まで接近すると、チェーンを手刀で切断し、ついでにマグマ星人Rを回し蹴りで蹴り飛ばして大村先輩を人質から解放する。

 

 マグマ星人Rが着地してマグマ星人Bと合流して体勢を立て直している間に、俺は自身の体に巻き付いたチェーンを投げ捨て、大村先輩の方を振り向く。

 

 「大丈夫ですか?大村先輩!」

 

「あぁ、助かったよ、キミ!」

 

 …大村先輩のこの一言の返答、それを聞いた瞬間、俺は不敵な笑みで確信の一言を放つ。

 

 「テメェ、大村先輩じゃねぇな?」

 

「ギクッ!?」

 

 明らかに分かりやすい反応(笑)俺はすかさず大村先輩もどきを投げ飛ばした。

 

 「正体を現せ!」

 

  投げ飛ばした大村先輩もどきが着地した時、既に変身を解いて元の姿に戻っており、起き上がると同時に髪を掻き上げるような仕草を取る。

 

 外見はマグマ星人に似ているが、頭部に角が2本生えており、黒いタイツのような体には金色のプロテクターが付いている…。

 

 間違いない、同じく50年前にこの地球を襲った暗黒星人ババルウ星人の同族だ…!奴も来てやがったのか…!

 

 「よくぞ俺様の変身を見破れたな!」

 

 そう言うババルウ星人に俺は啖呵を切った。

 

 「大村先輩はな、俺の事を“キミ”じゃなくて“廉くん”って呼ぶんだよ…!」

 

「チッ、そこらの人間になりすまして殺戮する作戦が台無しだ!まさか適当にモデルに選んだ人間の知り合いに出くわすとはな…!」

 

 そう苛立ちの言葉を投げかけるババルウ星人だが、徐々に燃え上がって行く俺の怒りの炎は、奴の苛立ちなんかの比ではない…!

 

 妹の命を奪おうとしただけでなく、俺の尊敬する先輩になりすまして悪さしようとしやがって…!

 

 徐々に込み上がって行く怒りにより、下ろした状態の両拳を震えるほど握り、下を向いたまま歯を食いしばっている俺に、ババルウ星人は余裕ぶった言葉を放つ。

 

 「だが、この島はじきに再び沈む! それを皮切りに、この地球の全世界を制圧して行くまでだ!」

 

 更にマグマ星人2人は接近し、覗き込むように顔を近づけて煽り始める。

 

 「なんでもここは以前、俺たちの同胞によって一度呆気なく沈んだらしいからなぁ!」

 

「なのに今もしぶとく残りやがって!こんなチンケな島、俺たちが再び、今度こそ海の底まで沈めてやるよ!青二才な若造の貴様諸共なぁ!ヒヒヒヒヒヒ…!」

 

 

 マグマ星人Bのその言葉に、遂に俺の中の何かがプツンと切れた…!

 

 

 「テメェ…訂正しろよ…!」

 

 怒りを込めたあまり、今まで出した事のないドスの効いた声になっている俺。

 

 「何が間違っている!?貴様は青二才な若造だr…」

 

“ドガッ”

 

「ぐぉあっ…!?」

 

 「なっ!?」

 

マグマ星人Bが言い終わるのを待たずに、俺は奴の顔面に右拳を叩き込んで吹っ飛ばし、それを見たマグマ星人Rは驚いていた。

 

「この野郎…!」

 

今度はマグマ星人Rがサーベルを振るいながら俺に襲いかかるが、俺はそれらをまるで先々の動きが読めているかのようにかわして行き、サーベルを右腕で受け止めて左拳でみぞおちを殴って怯ませた後、一回転しての豪快な上段回し蹴りで蹴り飛ばした…!

 

 

 マグマ星人2人をいなした後、俺は語りを続ける。

 

 「そこじゃねぇよ…!チンケな島だと…?確かにこの島は以前、大打撃を受けた…だがな、あれから50年もかけて、こうして人々が再び暮らせるほどに復興した…!俺はそんな強いここ黒潮島で生まれ育った事を、誇りに思ってんだよ…!」

 

 「なにを寝言を…!」そう言って手首のカッターを向けて威嚇するババルウ星人だが、俺は怯まず続ける。

 

 「だからな…黒潮島を侮辱したり、俺の大切な人達を悪事に巻き込むテメェらを…俺は絶対に許さねぇ…!」

 

 そう言って俺は、ゆっくりと構えを取る。湧き上がる怒りと共に、自分の中で、何かが出口を求めて暴れ狂う感覚がした…。

 

 

 …そうか…ようやく分かったよ、ゲンさん…いや、ゲン師匠!

 

 鍛え抜かれた俺の強さを引き出す鍵が…!

 

 それは、「愛するものを守りたい」という気持ちだ…!

 

 いたって単純な事だが、俺は復讐心に囚われるあまり、それすらも忘れていた…!

 

 復讐のためだけに強くなっては、いざそれを果たした時、そこで成長は終わっちまう。

 

 だが、自身の愛するものをこれからも守りたいという気持ちさえあれば、どこまでも強くなって行けるんだ…!

 

 俺の場合は妹やその他知り合い…いや、とりあえずはここ黒潮島に生きるもの全てのために強くなってやる…!

 

 俺の気迫が伝わって来たのか、ババルウ星人達は少し動揺しながらも身構えており、俺もいつでも戦闘開始出来るように構えを取る。

 

 「今の俺なら…テメェらに負ける気がしねぇ!」

 

 

 一方、おおとりゲンは、そんな強くなるための極意に気づいた廉を、少し離れた場所から見つめながら一度頷いた。

 

 「遂に開眼したか…廉よ。」

 

 

 「ブラオ!ロート!やってやろうぜ!」

 

「おうよヴァルツ!」

 

  俺、鳳廉は、マグマ星人2人とババルウ星人との戦闘を始めた。なるほど…目が青いマグマ星人はブラオ、目が赤いマグマ星人はロート、そしてババルウ星人はヴァルツと言うのか…まぁこの際そんな事はどうでもいいが。

 

 「さぁ、どっからでもかかって来いよ…!」

 

 「ほざけ青二才が!」

 

 ブラオの叫びと共にマグマ星人2人はサーベルで突き刺そうと突進して来るが、俺はそれに正面から向かい、大きくジャンプして2人を飛び越え、更にその向こうのビルの壁を蹴った反動で反転し、それぞれ片足ずつでブラオとロートの背中を蹴り、それを受けた2人は吹っ飛んで地面を転がる。

 

 「一つ言い忘れてたな! 俺はな、青二才って言われるのも大っ嫌いなんだよ!更に怒り爆発!」

 

 「調子に乗るなよ!」

 

 ロートの苛立ちの声と共にマグマ星人2人は再びサーベルを振るって俺に襲いかかるが、俺は2人の攻撃を捌きつつ応戦する。

 

 …自分でも驚きだ…!普通2対1なんて不利なはずなのに、俺はまるで2人の攻撃をまるで先が読めてるかのように捌けている…!

 

 覚醒した自身の強さに驚きを隠せないながらも、俺は右手でロート、左手でブラオのサーベルを掴んで攻撃を封じると、そのまま逆立ちをするように半回転して2人の頭部に蹴りを決めて吹っ飛ばした。

 

 「おのれ、喰らえババルウビーム!」

 

今度はヴァルツが右手を突き出してババルウビームとかいう稲妻状の光線を放って来るが、俺はそれに対して真正面から突っ込み、左右と軽快にステップを踏んで避けながら走る。

 

 「今度はこれだ!」

 

 次にヴァルツは口から冷凍ガスらしきガスを噴射するが、俺はそれに対して跳躍して体を丸めて回転させる事で吹き飛ばす。

 

 ガスが多少体に当たって冷たい感覚はするが、こんなの、先日の寒い中での滝壺での修行に比べたらへでもないぜ!

 

 俺は冷凍ガスを吹き飛ばした後、ヴァルツの肩を踏んで更に高く飛ぶと、その先の百子の上に乗っかっている瓦礫目掛けて回転しながら降下し、両足キックで瓦礫を割ってみせた!

 

 それも、挟まれてる百子の負担にならないように、綺麗に真っ二つに…!

 

 「大丈夫か百子!」

 

 俺は着地すると、百子を抱き上げて安否を確認する。どうやら気を失っているようだ。

 

 チェッ…俺のかっこいい所、見て欲しかったんだけどな〜。

 

 ひとまず俺は安全な場所だと判断した近くのベンチに百子を寝かせる。

 

 

 「バカな…たかが1人の地球人にここまでの力が…!」

 

 「ほんっと、自分でも驚きだぜ…ま、この50年で、この島のみならず、たかが地球人も進化したという事だ!」

 

 俺は奴らに軽口を叩けるほど余裕が出来ていた。

 

 奴らと交戦して行くうちに、ゲン師匠からの無茶振り全開な特訓をクリアした事がちゃんと身になっているという事にも気づきつつあった。

 

 百子をサーベルから守った際の真剣白刃取りは妙な機械を相手した時に習得。

 

 大村先輩(ニセモノだったけど)を救出する際のチェーン攻略はムチで打たれる特訓。

 

 マグマ星人2人のサーベル攻撃を捌けたのは金属ブーメラン特訓。

 

 ヴァルツの光線を避ける際のステップは地雷が仕組まれたポールを避ける特訓。

 

 冷凍ガスを吹き飛ばした回転は体中に付いた泡を回転で吹き飛ばす特訓。

 

 そして奴らの攻撃に真正面から挑んで避けれるようになったのはジープで追いかけ回される特訓のおかげだと気づいた。

 

 あと、百子の上に乗っかってた瓦礫を割った回転降下キック…差し詰め「きりもみキック」か、それは回転降下して丸太を割る特訓で取得したものだし、マグマ星人2人の攻撃を捌けたのはブーメラン特訓だけでなく、滝の流れを切る特訓を(偶然流れて来た枯葉のお陰もあり)クリアした事で、2段攻撃に対処出来るようになった影響もあるのかもしれない…!

 

 俺はあの地獄のような特訓の日々で、確実に力がついて来ていた。そして、その自身の中に溜まった力を解放させる鍵である、強くなるための極意も見つけた今、その力を思う存分使いこなせるようになった…!

 

 ゲン師匠…俺、間違いなく強くなった気がするよ。

 

 

 その時。

 

 「廉!受け取れ!」

 

 何処からかゲン師匠の声が聞こえ、その方向へと振り向くと、そこから飛んで来たものを俺は掴む。

 

 それは、赤と白のストライプ模様の2本の棒が、鎖で繋がっている…これは、ヌンチャクか?

 

 渡されたものを見つめた後、俺は少し離れた場所で見ているゲン師匠の方を振り向くと、ゲン師匠は俺の方を向いたまま一度頷いた。

 

 どうやら、ゲン師匠も正式に認めてくれたみたいだぜ…!

 

 俺は益々嬉しくなり、笑顔で頷き返すと、ヌンチャクをお試しとして軽く振り回した後、再び構えを取る。

 

 「カンフーは大学時代、趣味でやってたが、まだまだ感覚は残ってるぜ。 ゲン師匠…使わせて頂きます…!」

 

 マグマ星人2人は再びサーベルを振るいながら向かって来た。俺はそれらを我ながら華麗でキレがいいヌンチャク捌きで対応して行き、一瞬の隙をついてブラオ、ロートと順にヌンチャクでの打撃を喰らわせる。

 

 次に2人の振り下ろして来たサーベルをそれぞれヌンチャクの左右の棒で受け止めると、そのまま無防備になった2人の腹部に蹴りを決めて反転して着地して距離を取る。

 

 次にヴァルツがカッターを出現させた右腕を中心とした格闘術でかかって来る。俺はそれを避けたり、蹴りやヌンチャクでの打撃等でいなして行き、右腕にヌンチャクを巻き付ける事でパンチや切り裂きを封じると同時にヴァルツを捕えると、そのまま腹部に右膝蹴り、胸部に右肘打ち、顔面に右拳での裏拳を連続で叩き込み、更にヌンチャクでの一撃を胸部に叩き込む。

 

 「チェストー!!」

 

 俺は気合いの叫びと共に渾身の上段回し蹴りを繰り出し、それをモロに喰らったヴァルツはたまらず吹っ飛びマグマ星人2人の近くに落下する。

 

 

 よし、このまま奴らを倒せる気がする!そう思ったその時…!

 

 「調子に乗るなよ!モグージョン!!」

 

 ヴァルツが起き上がってそう叫ぶと、地響きと共に土砂が激しく巻き上がり、その中から1匹の怪獣が現れ、それと同時にヴァルツも奇妙なエフェクトと共に巨大化する。

 

 現れたのは、頭部に無数に生えた赤と白のグラデーションのトサカに、長い爪の生えた大きな両手、全体的にモグラのようなフォルムが特徴的な怪獣…確かヴァルツは「モグージョン」とか言ってたな?恐らくあの怪獣の名前だろうな…。(幻視怪獣モグージョン)

 

 「宇宙人同士の取引で手に入れた怪獣だ!やれモグージョン!」

 

 ヴァルツの言葉を受けたモグージョンは咆哮を上げると、手始めに手前にあったビルを巨大な手を活かした殴打で叩き崩す。

 

 すると、次にモグージョンは巨大な手を開き、掌にあるホシバナモグラの鼻先のような器官から閃光を放つ。

 

 俺は咄嗟に腕で目の辺りを覆いながら顔を背けたが、多少それを見てしまい、その瞬間、俺の視界に何かが映る…。

 

 俺はそれに恐怖を感じながらも、目を瞑り、精神統一でそれに耐えて行く…。

 

 やがてモグージョンは俺を捕食しようとしたのか、口から長い舌を伸ばして来るが、俺は目を瞑ったままそれをジャンプしてかわし、着地と共に視界に映った“恐怖するもの”を振り切った。

 

 フゥー、ここで、視界を塞いでボールを避ける特訓で得た心眼が役に立ったぜ。

 

 ホッとするのも束の間、辺りを見渡してみると、同じフラッシュを見たと思われる人々が、何かに怯えるようにパニックを起こして動けなくなっていた。

 

 …なるほど、大体読めたぜ。

 

 奴は掌から発するフラッシュで獲物と決めた相手が最も恐れるものの幻覚を見せて、それでパニックを起こして動けなくなった所を長い舌で捕食するんだな…。

 

 多発していた行方不明事件の犯人も恐らくコイツで、恐らく、百子の友人もコイツに…!

 

 

 「侵略前の腹ごしらえだ!たっぷり味わえ!」

 

 ヴァルツの言葉を受け、モグージョンは地響きを上げながら、身動きが取れなくなっている人々の方へと歩みを進めて行く。

 

 いけない…!いくらこの島と人々を守るために強くなると決めた俺でも、こんな大勢をすぐに避難させるなんて…!

 

 そもそも奴ら、まさか怪獣を隠し持っていたなんて…!

 

 俺はもはや、万事休すに追い込まれていた…!

 

 

 鳳廉の力でもどうしようもなくなったその時、誰かが行かねばならぬ時が来た!

 

 廉達とは違った場所で、『おおとりゲン』はヴァルツとモグージョンを見上げて鋭い視線を向けながら、左腕の袖をたくって左手の薬指にはめた獅子の顔を模っていて上部に赤い宝石が埋め込まれている金色の指輪『レオリング』を見せる。

 

 皆も既にお気づきかもしれんが、彼こそ50年前、故郷や仲間を失いつつもこの地球を怪獣や侵略者、そして円盤生物の脅威から守り抜いた獅子座L77星出身で、今はウルトラ兄弟の1人であるのウルトラ戦士『ウルトラマンレオ』である!

 

 ゲンは腕をクロスして大きく回した後、正拳突きのようにレオリングをはめた左拳を突き出す!

 

 「レオー!」

 

 ゲンの叫びと共にレオリングの獅子の瞳が輝いて変身エネルギーが放出され、青い爆発のような光を背に、ウルトラマンレオが右拳を突き出して飛び出す!

 

 (ウルトラマンレオ登場BGM)

 

 現れたレオは上空で数回スピンした後に着地する。

 

 廉達人間を襲おうとしたモグージョン、そしてヴァルツをはじめ、他の人々、対峙していた廉とマグマ星人2人もレオの方を振り向く。

 

 「…あれは…!?」「ウルトラマン…レオ…!?」「レオだと…!?」

 

ブラオとロート、そしてヴァルツはレオの登場に驚愕を隠せない。なんせ、嘗て50年前、同族が交戦した事あるウルトラ戦士であり、マグマ星人に至っては彼の故郷であった獅子座L77星を滅ぼしているのだから…!

 

 

 「あれが…ウルトラマンレオ…!」

 

 廉も、レオを見上げた状態のまま呟いた。

 

 50年前に地球を守ってくれたヒーローの登場。だが、単にそれに見惚れているのではなく、自身に視線を向けたレオの眼差しを見て、何やら感じるものがあったからである。

 

 やがて自身の方を向いたまま一度頷いたレオを見て、廉は確信した。

 

 「分かりましたよ、ゲン師匠!」

 

 そう言うと廉は、再びマグマ星人2人の方へと振り向き、ヌンチャクを構えて戦闘体制を取る。

 

 「侵略ついでに我が一族の仇も取れる絶好のチャンスだ!」「レオの前に貴様を片づけてやる!」

 

 ブラオとロートがそれぞれそう啖呵を切ると、サーベルを振り上げて廉へと向かって行き、廉もそれに真正面から立ち向かい、戦闘を始める!

 

 因みに先ほどゲンの姿で廉に渡したヌンチャクは『レオヌンチャク』である。

 

 

 「50年越しに我が同族の仇を取れるとはな!やれモグージョン!」

 

 ヴァルツはそう叫ぶと、モグージョンと共にレオに向かって突進を始める!

 

 

 (BGM:ウルトラマンレオ)

 

 

 レオは精神統一をするようにゆっくりと構えを取ると、そのまま迫り来る2体を迎え撃つ!(レオの掛け声のイメージ:50年前当時)

 

 レオはモグージョンの突進を軽くいなすと、続けてヴァルツに蹴りを放って後退させ、続けてモグージョンの放って来た巨大な手を活かした殴り込みをかわしたり拳や膝で防いだりして行き、モグージョンの右腕を左手で掴んでそのままモグージョンの右脇腹に右腕のチョップを決めた後、続けて右足蹴りを腹部に叩き込む。

 

 続けてヴァルツが右手のカッターを振るいながら襲いかかるが、レオは軽快な身のこなしと鋭い反射神経でそれを全く寄せ付けず、胸部にパンチを2発打った後、膝裏を蹴る事でバランスを崩した所に更に胸部に強力なミドルキックを叩き込んで大きく吹っ飛ばした。

 

 モグージョンは格闘戦では不利と見るや、伸縮自在な腕を伸ばして攻撃を仕掛け、レオはそれを跳躍しての蹴りで弾き返すが、知能も高いモグージョンはそれすらも計算に入れていたのか、その隙に頭部のトサカから無数の手裏剣状の光弾を放つ。

 

 それに対してレオは避けたりバリアを張る事もせず、パンチやキック、チョップなどといった徒手空拳で次々と弾き飛ばして行き、その流れ弾の被弾先は…。

 

 「うぉあっ!?いてっ!おいどこに飛ばしてんだよ!」

 

 ヴァルツだった(笑)

 

 モグージョンの光弾を全て弾き返したレオだが、その隙にモグージョンは再度腕を伸ばしてレオに掌を近づけて閃光を放つ。

 

 レオはそれを見てしまい一瞬動きが止まったが、即座に赤い炎のオーラを拡散させるようなエフェクトと共に気合を入れて振り切る。

 

 モグージョンは再度閃光を放ち、それに対してレオは目の光を消す、所謂目を瞑る事でそれを防ぐ。

 

 目を瞑っているレオを見てモグージョンはチャンスとばかりにレオに接近して右手で殴りかかるが、なんとレオは目を瞑った状態のままそれを左腕で受け止めて防ぎ、カウンターとばかりに右拳をモグージョンのみぞおち辺りに打ち込む。

 

 閃光対策として目を瞑り、更にその状態のまま“心眼”で常にモグージョンの動きを捉えて応戦するという離れ業を繰り出しているのだ!

 

 モグージョンは動揺するように数歩後退した後、体勢を立て直して再びレオに襲いかかるが、レオはモグージョンの攻撃を的確にいなして行き、逆にパンチやキック、チョップ等の打撃を決めて行き、モグージョンの左腕のパンチを掴んで受け止めて左脚蹴りを胸部に叩き込んだ後、そのまま回して遠心力をつけて投げ飛ばして地面に叩きつけた。

 

 今度はヴァルツがレオに飛び掛かるが、レオは自身に飛びかかって来るヴァルツを横にそれてかわすと同時に胸部に回し蹴りを叩き込んで体勢を崩し、すかさず左肩に右手のチョップ、腹部に正拳突き2発、右脇腹に左脚蹴り、左脇腹に右脚蹴りを目にも止まらぬ速さで連続で打ち込み、ヴァルツが怯んだ隙に跳躍しての右足蹴りを胸部に叩き込み、それを受けたヴァルツはたまらず大きく吹っ飛び、地面を転がった。

 

 モグージョンは再度右腕を伸ばして爪でレオの左腕を挟む形で捕え、続けてそのまま接近して左手の爪でレオの右腕を捕える。

 

 そしてレオの両腕を封じたモグージョンは頭部のトサカを電動ノコギリの回転のように振動させて切り裂こうとするが、レオは即座に逆立ちしてカウンターの『レオキックスライサー』を放ってモグージョンのトサカの一部をガラス細工のように砕いて破壊し、更にそのまま両足蹴りを顔面に決めて怯ませた後、数回バック転をして距離を取る。

 

 

 ババルウ星人とモグージョンが2体がかりでも洗練された宇宙拳法で難なく応戦して行き、モグージョンの幻覚攻撃をも寄せ付けずに果敢に立ち向かうウルトラマンレオ。

 

 マグマ星人によって故郷を滅ぼされた後に、地球を第二の故郷に決め、時には怪獣や侵略宇宙人に敗北しながらもモロボシ・ダン(ウルトラセブン)からの地獄の特訓を突破して強くなって行き、仲間や親しくなった人達を失う事もあったがその悲しみすらも力に変えて地球を守り抜いた男。

 

 いくつもの修羅場を潜り抜けて心身共に強くなって行き、今や宇宙拳法の達人になっているレオの前では、(嘗て戦った宇宙人の同族とはいえ)ポッと出の侵略者と怪獣が2体がかりでも敵ではないのだ。

 

 

 レオによって自身の得意技を次々と完封されて行ったモグージョンは最後の手段とばかりに激しく土砂を巻き上げながら地面に潜る。地中から不意打ちを仕掛ける戦法に入ったのだ。

 

 レオはゆっくりと足を動かしながら辺りを見渡し、心眼でモグージョンの居場所を探って行く。

 

 そして、僅かな地面の動きからモグージョンの居場所を捉えたレオは、右手に破壊エネルギーを集中させて火球状の赤い光球『エネルギー光球』を形成させ、その地面目掛けて投げつける!

 

 赤い光球が命中して爆発した地面から、その爆発によりモグージョンが上空へと打ち上げられ、その隙にレオは一度構えを取ると、地面を蹴ってそれ以上に高くジャンプし、空中で数回スピンした後、特徴的なSEと共に右足に赤い炎のようなエネルギーを集中させて飛び蹴りの体勢を取る。

 

 これぞレオの身体能力、特に最大1000メートルのジャンプ力を最大限に活かした必殺キック『レオキック』だ!

 

 打ち上げられていたモグージョンは激しく土砂を上げながら着地に成功するが、その瞬間だけ無防備になってしまい、そのまま急降下して来たレオの飛び蹴りの直撃を爆発と共に胸部に受ける!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 モグージョンにレオキックを決めたレオは再度空中でスピンして着地して構えを取り、レオキックの直撃を受けたモグージョンはその部位から火花を吹き出しながらしばらくのたうち回った後、うつ伏せで倒れて大爆発した。

 

 

 モグージョンを撃破したレオは、ヴァルツの方を振り向いて構えを取る。

 

 「バカな!モグージョンが…!」

 

 よほどモグージョンの多彩な技と強さに自信があったのか、ヴァルツはモグージョンが倒された事に動揺が隠せない。

 

 

 一方、マグマ星人2人と交戦していた廉は、2人をヌンチャクによる打撃で吹っ飛ばしていた。

 

 「やっぱりスゲェな…ウルトラマンレオ…!」

 

 廉は、噂には聞いていた、そして今や自身の師匠にもなったウルトラマンレオ(50年前にこの地球を守ったヒーロー)の噂以上の強さに感心していた。

 

 ブラオとロートも、モグージョンの敗北に気づくと動揺する。

 

 「ウルトラマンレオめ…こうなったら我々も加勢するぞ!」

 

 ブラオの提案により、2人は廉との戦いを放棄し、奇妙なエフェクトと共に巨大化し、ヴァルツと同流する。

 

 「手を貸すぜヴァルツ!」「お互い同胞の仇、一緒に討とうぜ!」

 

 「おぉ、助かるぜお前ら!」

 

 合流してレオ(同胞の仇)に向かい構えを取る宇宙人3人。レオも相手が3人になりながらも臆する事なくゆっくりとファイティングポーズを取る。

 

 そして、レオVS宇宙人3人の交戦が始まった。

 

 

 廉は近くのベンチに寝かせている気を失ったままの百子の元へと駆け寄ると、レオの戦いを見守りながら、握り拳を震えるほど強く握って少し悔しそうに呟いた。

 

 「師匠…俺はもう、見てるしかないのか…俺も最後まで戦って、百子の無念を晴らして、ここ黒潮島の平和を守りたいのに…!」

 

 

 その時、突如、上空から一筋の光が廉の元へと降り注ぎ、その神秘的ながらもどこか暖かい光の中で、廉は思わず腕で目元を覆って顔を背けた後に徐々に顔を前に戻す。

 

 すると、視線の先にはレオとは別の1人のウルトラ戦士が上半身のみを現してこちらを見つめていた。

 

 そのウルトラ戦士か感じる半端じゃない威厳と神々しさに見惚れつつ、廉は意識を保って反応した。

 

 「あなたは確か…ウルトラマンキング…?」

 

 廉の前に現れたのは伝説の超人と言われており、ウルトラの国では長老でもある『ウルトラマンキング』である。

 

 どうやらキングは、50年前に度々地球を訪れ、その神秘的な力でレオの手助け等をしていた事から地球人にも認知されており、伝説として語り継がれているようであり、廉も誰かから聞いたのか、その存在を知っていた。

 

 すると、続けてキングの横に新たにもう1人のウルトラ戦士が歩いて来て廉の方を向く。

 

 新たに現れたウルトラ戦士は、レオ同様、獅子座L77星出身であり、今はウルトラ兄弟の1人。そして何よりレオの弟でもある『アストラ』だ。

 

 廉は、自身の前に現れたアストラとキングを見て何かを察した。

 

 「俺に、力を貸してくれるのか…?」

 

 廉の問いかけを聞いたアストラは無言で頷いた。

 

 2人は、レオからの試練を乗り越えて心身共に強くなり、それでも更に平和のために最後まで戦いたいと願う廉の想いに応えようとしているのだ。

 

 それを知った廉は、嬉しそうな笑みを浮かべながら元気よく頷き返した。

 

 

 キングは光を纏った右手を前方に突き出し、アストラは両腕を胸の前でクロスする。

 

 するとアストラは光の粒子になって廉の左手の薬指へと飛んで行き、やがて指輪状のものになった後に光を消失させて姿を現す。

 

 廉の左手の薬指には、ゲンが付けていたレオリングと似たリングがはめられていた。

 

 キングの力により、廉はアストラと一体化したのだ。このリングは『アストラリング』とでも名付けておこう。

 

 「…ありがとう…この力、使わせてもらうぜ…!」

 

 決意を示すようにアストラリングをはめた左手を握り、お礼を言った廉。それを聞いたキングは無言で頷いた後、そのまま後ろへと下がって行くように離れて行き、やがて見えなくなるまで離れた後、廉の周囲の光も消えて行き、廉は現実世界へと戻る。

 

 現実世界に戻った廉は再度自身の左手のアストラリングを確認し、自分はウルトラマンの力を得たんだと確信した。

 

 「最後のもう一戦…行くか!」

 

 その時、何処からか聞き覚えのある声が聞こえて来る。

 

 「おーい!廉くん!」

 

 廉が振り向くと、廉の先輩の大村が手を振りながら駆け寄って来た。

 

 「大丈夫か?」

 

 「大村先輩!…本物だよな…?」

 

「ん?何がや?」

 

「いや、何でもないっす。」

 

 廉は、自身の呼び方や喋り方から大村が本物だと確信する。どうやら大村は、逃げ遅れた人を探して避難所へと案内していたようであり、その最中に廉を見つけたという事だ。

 

 それを聞いた廉は、気を失っている百子を大村に預ける事にした。

 

 「先輩、百子を頼みます!」

 

「お、おぉ、廉くんはどうするんだ…?」

 

「…男として、戦わなければならない時が来たのです…!」

 

 「お、おい廉くん!」

 

 廉は大村の心配の声を背に、宇宙人達と戦うレオの方へと走って行った。

 

 

 「廉くん…あいつもしかして…。」

 

 大村は何かを勘づいた後、戦うレオを見上げて感慨深そうに呟いた。

 

 「あれが…おじいちゃんが言っていたウルトラマンレオ…!」

 

 

 戦場の近くまで走って来た廉は、戦うレオを見上げ、遂に戦う決心をする!

 

 「一緒に戦わせてください…師匠!」

 

廉はそう叫ぶと、腕をクロスして大きく回した後、正拳突きのようにアストラリングをはめた左拳を突き出す!

 

 「アストラー!!」

 

 廉の叫びと共にアストラリングの獅子の瞳が輝いて変身エネルギーが放出され、青い爆発のような光を背に、アストラが右拳を突き出して飛び出す!

 

 再び距離をとって対峙するレオと宇宙人達。その間に、現れたアストラが着地を決め、ゆっくりと体を起き上がらせた後、レオの元へと歩み寄る。

 

 見つめ合うレオとアストラ。レオはアストラを見て、新弟子の廉と一体化しているという事に気づいて一度頷き、アストラもそれに対して頷き返す。

 

 互いに意思疎通をした後、レオとアストラ、所謂『レオ兄弟』は宇宙人達の方を振り向く。

 

 「チッ、レオ兄弟が揃い踏みか!だが人数ではこっちの方が多いぜ!」

 

「貴様らの首を取れば、侵略作戦のモチベーションも上がりそうだしなぁ!」

 

 ブラオとロートが啖呵を切り、ヴァルツもそれに続く。

 

 「それにこの地球以外にも、我々が取り引きで手に入れた怪獣達は他にもいて、色んな惑星に放ってんだよ!」

 

 

 どうやらヴァルツ達は、この地球以外にも侵略の標的に決めた惑星に怪獣を放って暴れさせているようである。

 

 「それについては問題ない。既に対策は取ってある。」

 

 レオは動じる事なくそう言った。

 

 実は光の国は、ギャラクシーレスキューフォースの協力もあってヴァルツ達の暗躍に気づいており、それぞれ怪獣を放った惑星にウルトラ戦士を派遣しているのだ。

 

 因みにこの地球へと放っている怪獣はモグージョンの他にも2体存在しており、その怪獣達をウルトラセブンとウルトラマンレグロスがとある小惑星で迎え撃っていた。

 

 セブンは『円盤生物シルバーブルーメ』、レグロスは『円盤生物ブラックエンド』とそれぞれ交戦している。

 

「ここは我々が食い止めるぞ!」

 

 セブンはそう言いながら、シルバーブルーメが浮遊しながら放つ伸縮自在な触手や黄色い溶解液の攻撃を軽快なステップで避けたり、右手持ちのアイスラッガーでの斬撃や、左腕を胸部に当てて額のビームランプから放つエメリウム光線で撃ち落とすなどして応戦して行く。

 

 「俺も、レオ達に負けてられないしな!」

 

 レグロスもそう返事をしながら、ブラックエンドの腕のように振るう巨大な角や、サソリのようなハサミの付いた長い尻尾での攻撃を、自身の得意拳法である赤龍白虎拳を中心としたコスモ幻獣拳による打撃で弾き返しつつ、パンチやキック等の打撃攻撃を決めて行く。

 

 

 対峙するレオ兄弟と宇宙人三人衆。やがてレオの掛け声と共に戦闘が開始される!

 

 「行くぞアストラ!」

 

「はい!兄さん(師匠)!」アストラと廉の声がシンクロした。

 

 

 (BGM:戦え!ウルトラマンレオ)

 

 

 レオ兄弟は構えを取ると走り出し、宇宙人三人衆もそれぞれ武器を構えて走り出す!

 

 レオはマグマ星人2人、アストラはヴァルツの相手を始める。

 

 レオは2人のサーベル攻撃を難なく素手で捌いて行き、ブラオとロートのサーベルをそれぞれ右腕、左腕で受け止めると、ブラオのサーベルを右足蹴りで蹴り飛ばし、続けてロートのサーベルを右手の手刀で弾き飛ばした後、ブラオ、ロートと順に腹部に蹴りを打ち込み、更に後ろ回し蹴りを放って2人を纏めて蹴り飛ばす。

 

 アストラは新たにババルウスティックという刺股を持ち出したヴァルツに対し、レオヌンチャクを手に応戦する。

 

 お互いに火花を散らしながら激しい武器の応酬を繰り広げるが、武器の扱いはアストラの方が上手であり、目にも止まらぬヌンチャク捌きにヴァルツは徐々に打撃を喰らって押されて行く。

 

 やがてアストラは刺股にヌンチャクのチェーンを巻き付けてヴァルツから手放させてヌンチャクごと投げ捨てた後、ヴァルツの腹部に右脚蹴りを2発、胸部に左右交互にパンチを決め、ヴァルツの反撃で放ったカッターの付いた右腕でのパンチを両手でいなすと、そのまま両腕を高く振り上げてヴァルツの肩に左右同時にダブルチョップを打ち込むアストラチョップを決めた。

 

 ブラオとロートはサーベル攻撃の他にも両腕を合わせて放つ光線や、指から放つフィンガーニードルでの攻撃も仕掛けるが、それらもレオの宇宙拳法により弾き返されて無効化され、レオは更にパンチやキック等の格闘技で2人を追い込んで行く。

 

 アストラはヴァルツと格闘技の応酬を続けた後、一瞬の隙をついてキックボクシングの要領で連続蹴りを決めて行く。

 

 

 レオ兄弟は同時に連続バック転を始めて、それぞれの相手から距離を取ってお互いすれ違った後にそれぞれの相手をチェンジし、レオはヴァルツ、アストラはブラオとロートを相手し始める。

 

 レオは一対一の格闘戦ならもはや優勢であり、ヴァルツに目にも留まらぬ速さで前蹴り、横蹴り、回し蹴りなどと連続で蹴り技を決めて行く。

 

 アストラはマグマ星人2人のサーベル攻撃を連続パンチ技のハイスピードラッシュで弾き返した後、ブラオとロートのサーベルをそれぞれ右手、左手で掴んで受け止め、そのまま2人を引き寄せると同時に2人の胸部に肘打ちを決め、続けてブラオ、ロートと順に腹部に蹴りを打ち込んだ後、2人の顔面に同時に右フックを叩き込んで吹っ飛ばした。

 

 

 レオは洗練された巧みな格闘術、アストラはパワーを活かした力強い打撃を活かし、また息の合ったコンビネーションも駆使し、宇宙人三人衆を追い込んで行った。

 

 アストラは鳳廉と一体化してるからか、彼の戦闘スタイルも取り入れた戦い方を披露している。

 

 

 小惑星で戦っているセブンとレグロスも、それぞれ決着をつける時が来た。

 

 セブンはシルバーブルーメを右拳のパンチで吹っ飛ばすと、アイスラッガーを投げつけ、白熱化して縦横無尽に飛ぶアイスラッガーはシルバーブルーメの触手を次々と切り落として行く。

 

 そして戻って来たアイスラッガーを自身の前に静止させ、両腕を突き出すと同時にハンディショットを当てて威力を高める合わせ技のウルトラノック戦法を繰り出し、白熱化して高速で飛ぶアイスラッガーはシルバーブルーメのボディを貫く!

 

 更にセブンはトドメとして両腕をL字に組んで必殺光線ワイドショットを放ち、それを浴びたシルバーブルーメは大爆発して砕け散った。

 

 嘗て自身がモロボシ・ダンとして隊長を務めていたMACがシルバーブルーメによって全滅した際、自身も死にかけた事があるのもあってか、大技の連続で念入りにシルバーブルーメを撃破したセブン。

 

 レグロスは電撃を纏った引っ掻き攻撃・電撃白虎拳でブラックエンドを攻撃し、それを受けたブラックエンドは先端のハサミで攻撃しようと長い尻尾をレグロス目掛けて伸ばす。

 

 それに対してレグロスは跳躍して両足に火炎赤龍拳と電撃白虎拳の力を纏って連続蹴りを放つ蹴り技・無影赤龍白虎脚を繰り出し、自身に向かって来た尻尾攻撃を蹴り飛ばすと、そのままブラックエンド本体に連続蹴りを打ち込んで吹っ飛ばし、巨大な角も折れて大ダメージを受けたブラックエンドは地面を転がる。

 

 「閃光烈破弾!」

 

レグロスは全身の模様を燃え上がらせると、エネルギーを両手に込めて必殺光弾・閃光烈破弾にして放ち、その直撃を受けたブラックエンドは大爆発した。

 

 

 レオ兄弟にも、トドメを刺す時が来た。

 

 レオはヴァルツが再び手に持っていた刺股を、アストラは左手で同時に掴んだブラオとロートのサーベルを、それぞれ赤熱化した右の手刀・ハンドスライサーで叩き折ると、レオはヴァルツを右足蹴りで、アストラはブラオとロートを両足蹴りで吹っ飛ばし、宇宙人三人衆は互いにぶつかり合う形で合流する。

 

 「バッ…バカな…!」「我々の野望が…!」「ここで、砕かれるのか…!?」

 

 3人が自身の劣勢に動揺している中、合流したレオ兄弟は体勢を立て直し、レオの前に立ったアストラが片膝をついてしゃがみながら両腕を上に伸ばし、その両手に背後に立ったレオが両手を挟むように合わせる事で赤い稲妻状の合体光線・ウルトラダブルフラッシャーを放つ!

 

 「グワァァァッ!!我々が…こんな所でぇぇぇぇぇぇ…!!」

 

 レオ兄弟最大の合体技の直撃を受けた3人は、ヴァルツの敗北を受け入れられない叫びと共に大爆発して砕け散った…!

 

 

 (BGM終了)

 

 

 宇宙人三人衆を撃破して黒潮島、及びこの地球の平和を守ったレオ兄弟は、光線の発射体勢を解き、お互いに見つめ合った後にクロスタッチをする。

 

 すると、街の方から人々が、自分たちに手を振りながらお礼や感謝の声をかけているのに気づき、その方を振り向く。

 

 その中には大村、そして、いつの間にか意識を取り戻して笑顔になっていた百子の姿もあった。

 

 アストラの姿でそれに気づいた廉は、安心するかのように無言で一度頷いた。

 

 レオもまた、50年前は守れなかった黒潮島を守り切る事が出来た事、それによりその島の人々から感謝される事に嬉しさを感じで安堵するように、無言で一度頷いた。

 

 自分たちに感謝の言葉をかける人々を見届けた後、レオ兄弟は飛び立ち、夕日に向かって飛び去って行った…。

 

 

 やがて変身を解いた廉は、1人、目の前に海が広がる崖に佇んで夕陽を眺めていた。

 

 

 俺、鳳廉は、自身に起こった出来事がまだ信じられないでいた…。

 

 ゲン師匠からの特訓により自分でも驚くくらい心身共に強くなったどころか、まさかウルトラマンになって師匠と肩を並べて戦えるなんて…!

 

 だが、改めて左手を見てみると、俺の指に指輪はもう付いていなかった。どうやら一度きりの変身だったみたいだ。

 

 ある意味、神様がくれた一度きりのチャンスだったというワケか。

 

 だが、俺はその一度きりの変身で、悪党どもを倒し、百子の無念を晴らし、この島…いや、この地球の平和を守れたのだから、悔いはないぜ!

 

 

 その時、何処からかひっそりとギターの音が聞こえ始める。

 

 俺が辺りを見渡すと、少し離れた場所で、俺と同じく海を見つめながら、ゲン師匠がギターを弾いていた。そして、歌を口ずさみ始める。(星空のバラード)

 

 その歌は、ギターの旋律も歌詞もどこか物悲しいものだが、なんだか、聴いて行くと心が温まるものでもあった。

 

 きっと、ゲン師匠…ウルトラマンレオの、嘗ての故郷を想う歌なのだろう…。

 

 1コーラス歌い終えたゲン師匠の元に、俺は歩み寄り、ゲン師匠もそれに気づき、ギターを置いて語り始める。

 

 「俺は、久々にこの地球に来て、人助けをしながら宇宙人の捜索をしていた。その最中、ふとここ黒潮島を懐かしく思い、訪れた際にお前に出会ったという事だ。」

 

 どうやらゲン師匠は、1ヶ月前に地球に到着してからモグージョンによる行方不明事件を未然に防ぐために人助けにも努めていたみたいだ。

 

 「俺は嘗て、故郷を滅ぼした宇宙人相手に、復讐心で戦っていた。結果、多くの人々を巻き込んでしまい、この島を守れなかったのは、そのせいでもあった。初めて会った時のお前は、その時の俺と何処か似たものを感じ、その格闘技の腕も見て、ちょいと試してみたくなったんだ。どこまで根性があって、強くなれるかを。 期待以上だ。」

 

 俺が無事に正しく強くなった安心からか、そう語るゲン師匠の表情は、初めて会った時と特訓の時の厳格なものではなく、優しいものになっていた。

 

 「ゲン師匠…ありがたきお言葉です…!」

 

 ゲン師匠の言葉に、俺は嬉しさでいっぱいになり、目頭が熱くなるが、グッと堪えた。

 

 もうゲン師匠の前で涙は流さないと決めたからな。

 

「あ、そういえば…これは、お返しします。」

 

 そう言って俺はゲン師匠から借りていたレオヌンチャクを両手待ちで差し出す。

 

 だが、ゲン師匠はそれを受け取る事なく、ゆっくりと首を左右に振った後に言った。

 

 「それは、お前が持っておけ。免許皆伝の証だ。」

 

 「師匠…。」

 

 「それを使って、これからも守りたいものを守って行け。しかし忘れるなよ。最後に頼るのは、自分自身だという事を。」

 

「…はい!」

 

 ゲン師匠の最後のありがたい言葉に、俺は元気よく返事をした。

 

 そしてゲン師匠は、最後に満面の笑顔を見せた後、俺に別れの言葉を言って去り始める。

 

 「では、さらばだ。」

 

 俺は、小さくなって行くゲン師匠の背中を見て、改めて誓った。

 

 自分の信じるもの、大切なもののために、これからもそれを守れるように自分を磨いて行くと…!

 

 

 ゲン師匠が完全に見えなくなってしばらくすると、百子の呼びかける方が聞こえて来た。

 

 「お兄ちゃん!」

 

 振り向くと、そこには手を振って駆け寄って来る百子の姿があった。

 

 その満面の笑みを見て、元気を取り戻し、いつもの元気な百子に戻ったんだなと確信した。

 

 「百子…怪我とかは大丈夫なのか?」

 

「うん、この通り…いててててて…!」

 

「おいおい無理すんなよ。」

 

 百子は一回転して元気をアピールしてたが、恐らく痛んでいると思われる腰を抑え始め、それに対して俺は嗜めるように言ったが、後に俺と百子は笑い合う。

 

 どうやら幸い大怪我は免れたものの、強い打撲だったみたいであり、約1週間安静に過ごしてれば治るというらしい。

 

 とにかく良かった…百子が大事にならなくて…!

 

 「ありがと、お兄ちゃん。」

 

「…何がだ?」

 

「だってお兄ちゃん、私を助るために、諦めずに一生懸命頑張ってくれたじゃない。私もそんなお兄ちゃんを見習って、いつまでもしょげてられないね!」

 

 「百子…こいつ〜!」

 

 俺は笑いながら百子を軽く膝で突き、その後俺と百子は再び笑い合った。

 

 百子の奴、気を失いつつも俺の頑張りを感じてくれていたのか…?兄妹の絆的な…?

 

 それとも大村先輩が言ったのか?

 

 まぁとりあえずどうでもいいや、とにかく、百子が立ち直ってくれた、それだけでも、強くなるために命懸けで頑張った甲斐があるぜ!

 

 「それよりお兄ちゃん大丈夫?道着かなりボロボロじゃん!」

 

「あっ、そういえば…ヘックション!!」

 

 百子に指摘されて、そういえば今日ずっとボロボロの道着を着ていたのを思い出した瞬間、俺は一気に寒気を感じた。そういやぁ今は12月後半だもんな…。

 

 さっきまではなんとも思わなかったのに…まぁでも、これも平和が戻って安心出来るようになった証拠かな。

 

 「んも〜!お兄ちゃんったら、はい、それ脱いで。」

 

 百子は持っていた紙袋から黒色の長袖のコートを取り出して差し出す。

 

 「…これは…?」

 

「お兄ちゃんにお似合いかなと思って!この季節にもピッタリだし!あと…私を気にかけて、サポートしてくれたお礼。」

 

「…百子…ありがとな。」

 

 俺はまたしても嬉し涙が出そうになったが、ボロボロの道着を脱ぐ際にさりげなく拭き取ると、百子から受け取ったコートを羽織る。

 

 「うん、とっても似合う!なんか新しいお兄ちゃん誕生って感じ!」

 

 「(笑いながら)どういう事だよそれ。」

 

 「だってお兄ちゃん、今まで道着のイメージしか無かったんだもん!」

 

「(百子の頭を掴んでワシャワシャしながら)こいつ〜!」

 

 俺と百子は再び笑い合った。

 

 「さ、早く帰ろ!あ、その前にもうちょっと買い物したいな!来週はクリスマスだし!」

 

「今から準備始めんのかよ、気合い入ってるな〜。あ、あとロンの餌も買わないとな。」

 

 あ、ロンとは俺たちのペットの犬の名前です。

 

 

 俺は百子と共に帰り道を歩き始めた。

 

 あの夕日に、これからも強くあるための正しい心を忘れずにいたいという事を誓って…。

 

 

 そしてあれから3ヶ月後、3月に入り、まだ風に微かに冬の冷たさが残っている季節。

 

 俺は大村先輩が責任者を務める新・城南スポーツセンターの指導員を勤めている。

 

 生徒たちを指導して働きながら、己も鍛えて行く日々は、毎日が楽しい!…ばかりではないが、とても充実感があり、1週間やり切ったり、成長した生徒を見ると達成感も感じる。

 

 因みにメニューの一つとして走り込みもあるのだが、それをサボったり手を抜く生徒がいれば、乗り物で後ろから追いかけてまで走らせている。

 

 どうやらゲン師匠のスパルタが多少移ってしまっているみたいだぜ(笑)

 

 でも安心しろ、ジープじゃなくて自転車だから(笑)

 

 

 百子は年明け後に大学に復学しており、定期的に楽しかった事などの連絡をくれる。

 

 新しい友達も出来て、順調らしい。とりあえず良かった…。

 

 因みに百子はあの事件以降、自分も護身のためにも強くなりたいと思い始めたらしく、都合さえ合えば帰省して新・城南スポーツセンターに通っている。

 

 今日も、俺が直々に指導してやっていた(笑)

 

 「ほらほらどうした?そんなもんか?」

 

 今やってるのは柔道の練習。俺は投げ飛ばした百子に檄を飛ばす。

 

 …因みに投げたと言ってもかーなーり加減してな?(笑)

 

 「んも〜!お兄ちゃんってば超スパルタ!」

 

 え?そうか??こんなの俺がゲン師匠から受けた特訓に比べたらずっと生ぬるい方だと思うが…。

 

 「大村さん、教えて!」

 

 「え?えぇと、どうしようかな〜…?」

 

 百子に甘えるように縋られて困惑する大村先輩。それを俺は呆れ気味に見ていた。

 

 ったく、百子はすぐ俺から大村先輩に逃げるんだから…。

 

 大村先輩は教え方自体はいいんだけど、生徒(特に女子)にやや甘いからな〜…。

 

 「まぁでもモモちゃん、もう少し頑張ろ?今週末の映画を楽しみに!」

 

 そう百子を励ますのは、百子がスポーツセンターで親しい仲になった生徒・美山カオルである。

 

 「そうね、トオル君と一緒に行くもん、それを楽しみに今を頑張らなくちゃ!」

 

 そう言ってやる気を取り戻した百子を見て、俺は安心の表情になった…。

 

 …ん?誰だ?トオル君って?

 

 「誰なんだ?そのトオル君って?」

 

「私のボーイフレンド!」

 

 「あーそうかそうか…え!?」

 

 ボーイ…フレンド…つまり…彼…氏…だとぉぉぉ〜!?

 

 百子の奴、新しい友達どころか彼氏も出来たのか〜!?

 

 誰なんだ!?一体誰なんだ!?そのトオル君ってのは!?

 

 今すぐ連れて来い!!お兄ちゃんが面接なりなんなりして、百子に相応しいか見極めてやる〜!!

 

 …とまぁ、予想外過ぎる報告に多少、というかかーなーり動揺してしまったが、何はともあれ、百子がこうして元の明るい妹に戻って楽しく過ごしてるだけでも、お兄ちゃん非常に嬉しいものだ。

 

 

 練習が終わり、帰宅した俺は自室に入り、あるものに向けて左掌に右拳を当てるポーズでお祈りをする。

 

 そのものとは、ゲン師匠から譲り受けたレオヌンチャクだ。

 

 今は使わずに、ショーケースに入れて部屋に飾っている。

 

 これがあると、どこかゲン師匠を近くに感じるし、挫けそうになった時もこれを見ればゲン師匠が俺を激励してくれるような、そんな気がするんだ。

 

 「ゲン師匠…これからも俺、精進して行きます…!」

 

 俺はそう呟くと、レオヌンチャクにゲン師匠の姿がオーバーラップする気がした。

 

 

 …なんだ?

 

 最後に、俺がモグージョンの光を見た時、何が見えたか知りたいだって?

 

 しゃーねーな…ここだけの話だぞ?

 

 

 豆大福。

 

 

 (ED:戦え!ウルトラマンレオ)

 

 

〈完〉




 読んでいただきありがとうございます!

 昨年はウルトラマンレオが50周年を迎えたという事で、私なりのレオの後日談を作りたいなと思い制作しました。

 そこでアストラをどういうタイミングで登場させようかと考えた結果、レオ(ゲン)の地球人の新弟子がキングの力で一体化して変身するという展開にしました。

 また、彼らと関係性の深いウルトラ戦士として、元MACの隊長でレオの師匠でもあるセブン、嘗てレオ兄弟と共闘した事があるレグロスも登場させました。

 因みにレオの弟子であり、昨年15周年を迎えたゼロは敢えて登場させませんでした(笑)

 今回の舞台である黒潮島に関しては、レオの時に島民のほとんどが全滅し、メビウスの時も無人島みたいな描写でしたが、今回は私なりにアレンジを加え、数少ない生き残りやその他の人々の50年かけた尽力により街が出来るほどに復興しているという設定にしました。

 敵側のキャラクターに関しては、やはりレオといえばマグマ星人とババルウ星人だなと思い、彼らが手を組んで侵略活動をするという設定にし、怪獣はブレーザーに続きアークにも登場し、レオの力を発揮させるのにもうってつけだと思い、私自身も個人的に気に入っているモグージョン、そして円盤生物の中から代表格だと思うシルバーブルーメとブラックエンドを選出しました。

 (ブラックギラス・レッドギラス兄弟も出したかったんですけどね(笑))


 因みにこれは余談ですが、新キャラ兼今回の主役だった鳳廉くん、ゲン(ウルトラマンレオ)の新弟子としてゲンに鍛えられた結果、本作最強クラスの身体能力のオリジナル人間キャラになってしまいましたね(笑)

 純粋な身体能力の強さなら本作の本編の主人公の竜野櫂くんと互角か、下手すればそれ以上かもしれませんね(笑)


 今年も時間を見つけては作品を制作して行こうと思いますので、宜しければ今年もよろしくお願いします!


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