艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常-   作:リュウ@夕立提督

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という事で試作の武器を渡された時雨がひたすら斬るだけの回。
ここの工学部コンビは若干フロム脳が混じってる。そしてMURAKUMOとかKARASAWAとか作る。

というか、瑞穂が出ません・・・


10話「試斬」

「で、今度は何ですか?さっきまで作ってたんですよね?」

 

 

「いやー、実はあの時点で9割はできてたのよ。」

 

工廠に入った直後にそんな会話を夕張さんと交わす。

夕張さんの手には一本の黒い棒のようなものがある。

 

「まさか、『それ』ですか?」

 

「そ。これがその『断艦刀』・・・ちょっと特殊だけど。」

 

「断艦刀って・・・僕たちに譲与されたやつじゃないですか。」

 

「あれは普通じゃないけど普通の刀・・・これはそれ以上のものなの。」

 

「え、あれって刀だったの?てっきり外見以外はナニカサレタ武器だと思ってたわ。」

 

明石さんが話に入ってくる。

まあ、確かに深海棲艦に通用したり全然折れなかったりで普通の武器ではないけど・・・

 

「大体合ってますけど、ナニカサレタわけじゃありません。深海棲艦の装甲を利用してるだけです。」

 

「なるほどねぇ。そういうのは夕張ちゃんに任せっきりだったからイマイチ理解できてないのよね・・・」

 

この二人の会話は何かおかしい。

取り敢えず、夕張さんに説明を要求しよう。

 

「それで、一体何なんですか、それ?」

 

「試製高周波断艦刀改・・・パッと見は普通の剣なんだけど・・・」

 

どこが普通なんだろう。

鍔が無いのはいいとして、真っ黒だし、なんかカートリッジみたいなのついてるし・・・

どう考えても普通じゃないよ。

 

「小型の高周波発生装置が内臓されていて、それで刀身を高速振動させて対象を斬るの。いわゆる『振動剣』ってヤツね。」

 

「それで、僕に試し切りをしろと・・・」

 

「そういう事。」

 

「だからなんで僕なんです?刃物の扱いなら菊月や航空戦艦の4人の方が慣れてるで

しょうに・・・僕は光波撃てませんし。」

 

「いいからいいから。」

 

「・・・仕方ないですね。」

 

そんなやりとりをしながら夕張さんから『それ』を受け取る。

そんなに重量はなく、軽いわけでもない。丁度いい重さだ。

そう考えながら抜刀すると、黒い刀身が出てきた。

 

「え、刀身黒っ・・・!?」

 

「一応深海棲艦の素材使ってるもの。それも通常の断艦刀以上にね。」

 

刀身の黒さにも驚いたが、それ以上に驚くところがあった。

 

「というか、柄長すぎじゃ・・・」

 

そう、柄が長い。それも普通の両手剣の比ではない。

床から僕の腰までよりも長い。

夕張さんは「いろんな戦術を視野に入れたらこうなった」と説明していたけど、どういう戦い方を想定したらこんなに柄が長くなるのさ・・・

 

「さあ時雨ちゃん、演習場行くわよ。明石さん、後は任せますよ。」

 

「はーい。後でデータ見せてね?」

 

「わかってますよ。」

 

夕張さんはそんな会話を明石さんと交わしてから僕を連れて演習場へ向かった。

 

 

 

「そうねぇ・・・まずは普通に斬ってみて。」

 

演習場について早々僕はそんな指示を受ける。

 

「わかりました。」

 

そう返事をして、僕は海上を30ktで駆ける。

そして、的に対して剣を振り下ろし、真っ二つに斬る。

 

「切れ味は断艦刀とあまり変わりませんね。」

 

「なるほど、切れ味に変化はあまり無い、と。」

 

夕張さんはメモを取るとまた指示を出す。

 

「それじゃあ、次は高周波を発生させつつ斬ってみて。柄頭に発生装置のスイッチがあるから。」

 

「これかな。」

 

柄頭のスイッチを入れる。

外見に変化はない。でも、これで高周波が出ているのだろう。

そう思いながら僕は再び30ktで前進する。

的の付近まで来たところで僕は的を中心にUターンしつつ斬り払う。

すると、的は綺麗に斬れた。しかも、斬った時にあるはずの抵抗感を一切感じなかった。

 

「・・・えっ・・・・・・!?」

 

軽い力でもすんなりと鋼鉄を切り裂く感覚に僕は驚きを隠せなかった。

斬る時の感覚はまるで紙を切るかのような感覚だった。

鋭いなんてものじゃない。

 

「おー、結構いい出来じゃない。安全装置も働いてるようだし、問題ないわね。コストには目を瞑るしかないけど・・・」

 

夕張さんの独り言を無視しながら試斬を続ける。

 

 

 

数十回斬ったところで僕は夕張さんの元へ戻る。

 

「時雨ちゃん、ありがとね。」

 

「いえ、まさかあんな軽い力で斬れるなんてびっくりしましたよ。」

 

「そうよね。抵抗感の無い斬撃なんてウチでは初めてなのよね。」

 

夕張さんが「それから」と付け足すように質問する。

 

「扱いやすさとしてはどうだった?」

 

「そうですね・・・僕個人の意見ですけど、もうちょっと短ければ扱いやすくなりますね。」

 

「柄が長かった?」

 

「柄もそうですけど、全長190cmは長いです。」

 

「じゃあ時雨ちゃんのは短くしておくわね。」

 

僕のはって・・・僕にも譲与されるのかな?

断艦刀があるし基本的に抜刀禁止だから必要はないと思うけど…

そんな事を考えながら納刀する。

 

「そうだ、後でお昼食べない?」

 

「いいですね。僕も昼食はまだですし。」

 

そんな約束をして僕たちは工廠へ戻る。




次回から更新遅れるかと思います。
ちょいと武器の説明でも。

・試製高周波断艦刀改
振動剣の一種として開発された武装。鍔の無い直刀で、柄が長いのが最大の特徴。使い方次第で槍としても運用可能。高周波を発生させる時に必要なエネルギーは鞘を介して艤装から直接供給される。後に「三式高周波断艦刀」と名付けられる。
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