艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常-   作:リュウ@夕立提督

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前話から引き続き江風がメインはってます。
この作品において艦娘とは「人工的に深海棲艦の力を得て、艤装によってそれを制御する人間」という事になります。
神機使いみたいな感じですね。(わかる人にしかわからない例え

もうじき秋イベですね。皆さんは備蓄大丈夫ですか?自分はバケツとボーキが非常に心配です。
難易度がそこまで高くないといいんですけどね。夏並だったら乙すら危ういかもしれない…


17話「艦娘と深海棲艦」

私は江風、今執務室に居る。夕立の姉貴と提督も居る。

理由は単純、『艦娘はどうして二つの魂が混在していても平気なのか』を知るためだ。

 

「なー提督、艦娘って人の魂と艦の魂がどっちも身体にあるんだよな?」

 

「そういう事になるな。」

 

「なんで平気なんだ?」

 

「そうだな・・・俺はそういう説明が上手くないからわかりやすい例を挙げよう。」

 

提督はそう言うと二つの透明なプラスチックのコップにそれぞれ水と油を注ぐ。

 

「この水の入った方が艦娘の身体で水が人の魂、油が艦の魂としよう。」

 

続けて言う。

「艦娘は人の魂と艦の魂が一つの身体に混在している・・・つまり、こういう事だ。」

 

提督が油を水の入ったコップに移し、かき混ぜる。

当然、水と油なので普通は分かれたままだ。

 

「要は二つの魂は混ざりようがない、って事か。」

 

「そうだ。だが、深海棲艦化する時は例外でこの二つの魂が混ざってしまう。」

 

「混ざらないのにか?」

 

「ああ。深海棲艦化する際は何かしらの媒体がなければならないんだが・・・」

 

「沈んだ場合、艤装がその媒体の役目を持ってしまうわ。」

 

提督の言葉を遮るように夕立の姉貴が言う。

 

私が「なんで?」と訊くと姉貴はすぐに答える。

「艦娘の艤装が深海棲艦と同じ材料からできているからよ。普段は制御できるけど、非常時には制御が利かなくなって艤装が艦娘(私たち)を侵蝕し始める・・・」

 

姉貴が言うには深海棲艦化は艤装から起きるらしい。あれ、てかなんでそんな事知ってるんだ?

 

私は水と油の混在しているコップに目を向ける。

「けどさ、この例だとどうやっても分かれたままだろ?」

 

すると提督は小さな石鹸を取り出す。

なんでんなもんが執務室(ここ)にあるんだよとか突っ込みたくなったが、突っ込まずに黙って聞く。

 

「これが艤装だ。そしてこれが身体(このコップ)に入ると・・・」

 

提督はコップに石鹸を入れ、かき混ぜる。

当然の事だが水と油は混ざり、乳化する。

 

「こうなる。これが深海棲艦だ。艦娘が深海棲艦になる事は簡単だが、逆は現時点では不可能に近い。」

 

「近い?可能なのか?」

 

提督は「一応な」と言うと姉貴を横目で見ながら話し始める。

「稀に居るんだが、深海棲艦になっても艦娘としての意識が残っていれば艦娘に戻してやる事ができる。」

 

なんで姉貴を見て言うんだ?

まあいいや。

私は今一番気になってる事を尋ねる。

 

「そういや、『ドロップ艦』ってのはなんなんだよ?」

 

「ああ、あれは深海棲艦の一部が艤装に変化したものだ。通常の艤装建造よりも早く適合者が見つかるのはまだ謎だけどな。」

 

確かにそれは謎だな。

 

「提督、かなり詳しいんだな。」

 

「提督という職業上、色々と教えられたからな。これを知っているのは軍事関係者のみだ。」

 

「民間人を騙し続けてるってわけか・・・」

 

「そういう事になってしまうな。だが、こればかりは仕方がないんだ。」

 

「ああ、わかってる。」

 

私が返すと提督は話題を少し変えてくる。

「しかし、今まで気にも留めなかったお前が訊いてきたのには驚いたぞ。」

 

「いや、ちょっと色々あってな。」

 

私は工廠の奥にさび付いた艤装が合った事をふと思い出す。

あの艤装がなんなのか気になるな、ちょっと訊いてみるか。

 

「話は変わるけどさ、第二工廠の奥に時雨の姉貴のっぽい艤装が置いてあったんだけど、アレってなんだ?」

 

形状は姉貴の艤装と全く同じだったが、姉貴のだとしたらさび付いているのはおかしい。

となると違う『時雨』の艤装か?

そう考えていると提督が口を開く。

 

「あの艤装は、最初の艦娘であり鹿屋基地(ここ)の先代提督の艤装だ。」

 

最初の艦娘であり前任の提督?どういう事だ?

 

「今でこそ艦娘の適合者は問題なく生活できているが、第零世代、その中でも最初期の艤装には無視できない悪影響があったんだ。」

 

「どんなだ?」

 

「『記憶の欠落』・・・普通の人間だった時の記憶が一切無くなる。そのうえ、上層部からは本名すら消されるなんていう嫌なサプライズつきだ。」

 

「つまり、艦娘になってからの記憶しかないって事か・・・」

 

「ああ。あの艤装の主はそれが特に顕著だった・・・まあ、提督でもあったためか苗字は残されたが。」

 

「その人の名前は?」

 

「『雨宮』・・・当時の階級は中将、艦娘名は―」

 

提督は帽子を深くかぶる。

 

「―白露型駆逐艦2番艦『時雨』」

 

駆逐艦『時雨』・・・時雨の姉貴じゃない、よな・・・?

 

「・・・時雨・・・姉貴じゃない、よな・・・?」

 

提督は私の言葉を聞いて少し間をとってから口を開く。

 

「それに関しては俺から言うべきではない事だ。」

 

「時雨は構わないって言ってたからいいんじゃない?」

 

「そうか・・・」

 

提督は帽子をかぶりなおして続ける。

 

「雨宮中将はあの時雨ではないが、彼女の母だ。」

 

なるほど、と思いつつ提督の話を聞く。

 

「彼女は自ら出撃し、戦死。その後艤装のみが発見され、回収されたらしい。」

 

「らしい?」

 

「ああ。俺はその場にいたわけじゃなかったからな。」

 

ああ、そりゃそうか。

・・・待てよ、姉貴と同じ艦型・艦名の艦娘・・・って事は艤装の装備もできる可能性もあるよな・・・。

 

「そういえばさ、時雨の姉貴はあの艤装を装備できるのか?できるなら転用も視野に入るぞ。」

 

「同名・同艦型の艤装だから可能だろう。だが、問題がある。」

 

提督は続ける。

「あの艤装に刻まれた歴史を全て見る事になる。まるで体験したかのようにな。」

 

「それじゃあ転用は視野に入らないな。」

 

私は艤装転用を諦める事にした。

 

「提督、サンキューな。」

 

私はそのまま執務室を後にする。

けど、転用できないなら何か使えないものか・・・




話書いたり絵描いたりしてたら気づけば海風がレベル70超えてたという。
これは本編でももう研修終わってもいい気がするw

というわけで次回は多分海風の研修終了話になります。

しかし、夕立にしろ時雨にしろこの鎮守府の艦娘は「艦娘の娘は艦娘の適正が高い」というこの世界の法則が当てはまりすぎてるなぁw
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