艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常-   作:リュウ@夕立提督

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演習のメンバーは夕立、時雨、電、比叡、グラーフ、鹿島のつもりです。

それからオリジナルの元艦娘が出るのでご注意を。


21話「真実」

「手合わせありがとうございました!」

 

午後の演習が終わり、私たちは鎮守府へ帰投する。

 

「皆はこれからどうするのですか?」

 

「僕は小休憩をはさんでから萩風に座学を教えようかと。」

 

「私はこの後研修がありますね。演習を行うそうです。」

 

「ひえぇ・・・演習の直後に演習って由良ちゃんも厳しいなぁ・・・」

 

「私は座学がある。龍鳳は見かけや普段からは想像ができない程厳しいが、学べることが多い。」

 

皆が今日の予定を話し合ってるなか、私は拳を握る。

 

「もっと、強くならなきゃ・・・より多くの人を護れない・・・」

 

私の声が聞こえたのか、時雨がこちらに来る。

 

「夕立、上を目指すのはいいけど、あまり力を持ちすぎないでね。」

 

どういう意味なのか問いたかったが、それを聞く前に時雨は続ける。

 

「艤装のコアが制御できない程の力は自分を殺す事になるから・・・」

 

「そこは見極めれてるつもり。」

 

「それならいいけど・・・」

 

気がつけば鎮守府についていた。私たちは一度解散し、それぞれ思い思いに歩き出す。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その日の夜、俺は一通りの書類を片づけた後、工廠へ行こうと外を歩いていた。

明日の艤装建造に関して明石に頼みたいことがあるからだ。

しばらく歩いていると、一人の女性が辺りを見回している。

 

鎮守府(ここ)は関係者以外立ち入り禁止のはずだが・・・ん?」

 

注意しようとした直後、ある事に気付く。

俺は昔、あの女性に会ったことがある。それも何度も。

彼女は当時自分を「艦娘」と言っていた。あの頃は分からなかったが、提督になり前戦争の資料を閲覧して理解できた。元艦娘ならば一応関係者ではある。

 

「ああ、なるほど。だが・・・」

 

しかし、元艦娘とはいえ退役しているため『白』ではないはずだ。

そう思いながら女性のもとへ歩き出す。

 

「お久しぶりです、春香さん。」

 

綺麗な金髪で和装の女性、朝陽春香さん。今の一つ前の世代の艦娘の一人。

 

「あら、久しぶりね。」

 

「ええ。それで、探し人ですか?」

 

俺が尋ねると春香さんは笑顔で返す。

 

「そうね、一人目はもう見つかったわ。あとは工廠に行くだけ。」

 

もう見つかった・・・?俺だったか。で、二人目は明石だろう。

待てよ、だとしたらなんで明石の事を知ってるんだ?明石が鹿屋(ここ)に来た時は退役してからかなり年月が経っていたはず・・・

 

「さ、行きましょうか。」

 

「え、ちょっ・・・」

 

俺は春香さんに腕を引かれて工廠へ向かう。

 

 

「工作艦明石は居るかしら?」

 

第三工廠に着くと扉を開け、中へと呼びかける。

明石はすぐに反応し、こちらへ歩いてくる。

 

「はい、私が明石ですが・・・どちら様で?」

 

「私は朝陽春香。ちょっと二人には知っておいてもらいたい事があって来たわ。」

 

「朝陽・・・夕立ちゃんのご家族の方ですか?」

 

「親族って言った方が正しいわね。夕立(あの子)の伯母なわけだし。」

 

「なるほど。それで、私たちに知っておいてほしい事とは?」

 

彼女は明石の質問に対し、少し間をとって答える。

 

「『真実』を知っておいてほしいの。公式記録から消され、改竄されたものを。」

 

記録の改竄?かつての上層部はそんな事をやったのか・・・?

 

「結論から言うわ。第零世代『夕立』及び『時雨』は正確には戦死していないし、最期を迎えたのは陸。」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺と明石は「えっ」という声を漏らす。

俺も明石も『夕立及び時雨は海戦で轟沈後、艤装の回収をされた』と聞いているし、資料等でもそう書かれている。

 

「どういう事ですか・・・?」

 

「艤装開発側から仕組まれたとしか思えない『欠陥』のせいで亡くなったわ。」

 

「欠陥・・・?」

 

「ええ。艦娘に携わる人間なら初心者でも気づくレベルのね。」

 

俺と明石はその『欠陥』に驚きを隠せなかった。明石に至っては怒りを含んだ表情だった。

 

「・・・夕立の艤装制御コアが作動していなかった。」

 

艤装制御コアは艤装の力を艦娘の力で制御するためのもので、深海棲艦とほぼ同じ力を使う艦娘はこれがなければ戦えば戦うほど深海棲艦に近づいていく。制御コアは深海棲艦化を防ぐために必要不可欠なものだ。それが作動していなかったのなら、間違いなく深海棲艦となり、艦娘を敵と認識するようになる。

 

「コアが作動してなかった・・・!?艤装の建造終了はコアが正常に作動している事が前提条件のはずです・・・!」

 

そう言うと明石は第二工廠へ向かおうとしたが、春香さんに止められる。

 

「今は大丈夫。私の同期が現場で一つ一つ確認しているわ。」

 

「その言葉、信じてもいいんですね・・・?」

 

「ええ。彼女たちも鹿屋(ここ)の艦娘だったから信用できるわ。」

 

明石は「それなら」と言い、中へ戻ってくる。

 

「さて、あの時起こった事をすべて話すわ。」

 

春香さんは真実を話し始めた。

 

端的に言えばこうなる。

 

 

前戦争の終戦直前、夕立は半深海棲艦化してしまい、多くの艦娘が負傷。雨宮提督が処分する事となり、自身も致命傷を負うも夕立を殺処分。二人の艤装は工廠に保管された。

 

 

普通ならありえない話だ。だが、あの艤装がサルベージされたにしては状態がよかったのも納得がいく。

 

「その時最初に処分しようとしたのは私だった・・・まだ意識はあったの。あの子(夕立)が、あの子であるうちに殺さないと余計に悲しませてしまう。そう思ったから。」

 

「それで、貴方の代わりを雨宮中将が買って出た、と。」

春香さんは「ええ」と頷く。

 

「夕立は知らないままでいいんですか?」

 

「・・・あの子はまだ知らない方がいいわ。」

 

「時雨ちゃんは・・・?」

 

「時音ちゃんは既に知っているはずよ。雨宮提督、亡くなる直前まで個人で記録をとるようなマメな人だったから。」

 

「しかし、何故そんな事を・・・」

明石が問いかける。

 

「昔は今と違って上は腐った連中ばかりだったから、何を思ってやったかはわからないわ。何かやろうとしていて、適性が高く勘のいいあの子が邪魔だったのでしょうね。」

 

春香さんは「そして」と加えて言う。

「あわよくば障害となる雨宮提督も居なくなればよし。それからは話した通り・・・」

 

・・・フザけた連中だ。艦娘を何だと思ってるんだ。

そう考えていると春香さんは笑顔で言い放つ。

 

「ま、私の同期が連中の計画を知って、裏付けをした上で本部のトップに報告。その後はお察しの通り処分されたわ。そして本部を含めた全鎮守府が再構築され、今に至るの。」

 

いい笑顔で言うな・・・まあ、そんな状況なら誰だって「ざまぁみろ」と言いたくなるだろう。

 

「さて、伝えたいことは全部伝えたし、私は帰るわね。」

 

「ええ、道中お気をつけて。」

 

「明日、普通に遊びにくるわ。」

 

春香さんはそう言うと歩いて行った。

 

えっ、遊びにくる?鎮守府はそういう場所じゃないんだが・・・




第零世代の元艦娘は基本30~40代。
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