艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常- 作:リュウ@夕立提督
初月はヴェル辺りが面倒みる事になる、多分。
その日、僕は萩風に航行及び砲雷撃の基礎を教えていた。
萩風は航行技術や砲術などの基礎はおろか、教えていない応用的な技術すらも身につけていた。
明石さんも「適合してから日が浅い上に海に出た記録もない」と言っていたけど・・・
座学だけでは技術は身につかないし、海に出ていないのなら技術を得る事もできない。
そう考えていると萩風がこちらに戻ってくる。
「あの、どうでしたか・・・?」
「うん、初めてとは思えないほど上手くできていたよ。」
「そうですか・・・よかった。」
萩風は僕の言葉を聞いて安心したようだ。
僕は一つ訊いてみる事にした。
「萩風、君は本当に海に出たのも砲雷撃を行ったのも初めて?」
「はい、艤装と適合しても行っていたのは座学でしたので・・・」
なるほど、嘘じゃないようだ。
だとすると、何故あんなに上手かったのだろう・・・才能?いや、そういったものは一度見せたりして教えないと開花しないものだろうし・・・
「『萩風』が・・・艤装が教えてくれたんです。どうすれば上手く航行できるのか、どうすれば攻撃が命中しやすくなるのか・・・」
「艤装が・・・?」
「はい・・・なんだか、『萩風』が私自身であるかのような感覚がするんです。」
自分が艦だったかのような感覚か・・・何かありそうだ
「・・・今日の訓練はここまでにしようか。以降は自由にしてくれてかまわないよ。」
「はい、ありがとうございました。」
萩風は一礼し、踵を翻す。
僕は急ぎ足で第三工廠へ向かった。
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「明石さん、少しいいですか?」
僕は第三工廠に着くやいなや明石さんを引き留める。
「何かしら?」
「萩風の事で聞きたいことがあります。」
「プライベートに関わる事でなければ答えるわよ。」
「まず、萩風の艤装との適合率は?」
「97%でかなり高いわ。適合直後より1%上がってる。」
この短期間で適合率が上がる・・・その時点でおかしい。
適合率はほぼ変わらない。例外として改装を行った場合には上がり、艤装の外装を完全に作り直した場合には下がるけど。
「それから、艤装との同調率は?」
同調率・・・艤装の
「87%よ。極めて高い数値ね。」
確かにかなり高い・・・だけど、高いから自分と艦が同じ存在のように感じる事はない・・・
そう考えていると明石さんが「だけど」と付け足す。
「この時点でこの数値は異常としか言えない。使い続ければこの数値になる事は普通だけど、適合してから日が浅いとどんなに高くても76%が限界なはず・・・そう考えるとあの子は・・・」
「『イレギュラーな存在』・・・ですか。」
「ええ。少し危険かもしれない・・・」
確かにこのままだと危険だろう・・・同調率が高いという事は即ち『深海棲艦に近い存在』という事・・・
適合直後にこの数値という事は時間が経つにつれてより深海棲艦に近づく・・・
「このままじゃ萩風が・・・」
「ええ、だからちょっと強引ではあるけど、できる限りこの数値を保てるようにするわ。」
「できるんですか・・・?」
「制御コアをより強く作動させる・・・私でもそんな事はやったことがないけど理論上は可能なはず・・・」
あくまで『理論上は可能』か・・・でも、萩風を『萩風』にしないようにするにはやるしかない・・・
「お願いします、明石さん。」
「ええ、任せて。」
僕は一礼し、執務室へ向かうために第三工廠を後にした。
この事は提督に報告するべきだから―
四駆では萩風が一番好きな自分。
まあ、自分の好みを自分でも理解できてないわけですがw