艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常-   作:リュウ@夕立提督

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夕立の史実話ですね、はい。

やっぱり前置きは何を書こうかってなる・・・


3話「記憶」

「ねぇ、提督さん・・・訊いていい?」

 

私は執務中の提督さんに訊ねる。

 

「ん、何だ?」

 

「提督さんは、頭から離れない記憶ってある?」

 

予想外の質問だったようで、提督さんは少し慌てて答える。

 

「急にどうしたんだ?」

 

質問に質問で返されたけど、まあいいか。

 

「私はあるよ・・・『駆逐艦夕立』だった頃の記憶・・・」

 

私はそれに続けて言う。

 

「1942年10月25日・・・由良さんがかつて沈んだ日の記憶・・・」

 

「お前、それって・・・」

 

提督さんは気付いたようだ。

 

「そう・・・最初に救助に向かったのは私だけど、由良さんを沈めたのも私・・・」

 

「あの時、沈んでいく由良さんを見守るのは辛かったよ・・・」

 

話しているうちに涙が溢れてくる。

辛いけど、忘れたい記憶じゃない。むしろ、忘れちゃいけない記憶のように思える。

 

「夕立、大丈夫だ。由良もそうだが、もう二度と沈まない。いや、沈ませない。」

 

提督さんのその言葉は嬉しかった。

そして私は更に訊ねる。

 

「提督さんは私の最期って知ってる?」

 

「ああ、確か第三次ソロモン海戦で・・・」

 

提督さんが答えかけるが、途中で止める。申し訳ないと思ったのだろうか。

 

「うん、昔の記憶は第三次ソロモン海戦・・・その第一夜戦で途切れてるの。」

 

私が話し始めると、提督さんはそれを静かに聴く。

 

「春雨と敵陣突破した後、私は反転して再び突撃したの。多分、春雨はその時の私の覚悟を知っていたから止めずに見送ってくれたんだと思う。」

 

「その後乱戦して、一度は航行不能になったけど艦長の指示でハンモックを帆にして戦闘を続行したんだけど・・・」

 

その直後、提督さんが口を開いた。

 

「白旗のようなものを掲げているにも関わらず戦闘を行ったため更なる砲撃を受けた、と。」

 

提督さんは意外とものを知っていた。戦争とはいえ、一応ルールはある。

白旗は降伏を表すが、その状態で戦闘を続行すればそれは国際法違反となる。

 

「そう。だけど、沈む前に退艦命令が出て、五月雨と雷に皆を託したの。それからは・・・記憶が飛んで、艦娘としての記憶になってるっぽい?」

 

私たち艦娘には『かつての記憶』と『現在の記憶』とがあり、それらを繋げる間の記憶は無い。自分でもわからない『空白』が存在しているのだ。

 

「全員が退艦するまでよく耐えたな。」

 

提督さんが私に言う。

 

「それは・・・皆が退艦したのを確認しないと、安心して沈めないから。」

 

いくら戦争とはいえ、乗組員たちを死なせたくはなかったから。

 

「そういえば、お前の最後の艦長は確か…」

 

提督さんが言おうとした時、私は口を開く。

 

「吉川潔中佐よ。亡くなった後は二階級特進して少将になったみたいだけど。」

 

「ああ。勇敢な人物だったらしいな。」

 

提督さんがそう言った後、私は言う。

 

「うん。その通りなんだけど…機銃掃射しちゃったりした事も…」

 

機銃掃射はダメなんだけど、あの時はお互い様かな。アメリカも日本もやってたし。

 

「・・・まあ、信望されてた事に違いはないだろう?」

 

提督さんが訊ねる。私はそれに自慢げに答える。

 

「勿論。私も尊敬してる人だから!」

 

艦娘になって分かった事だけど、私って吉川艦長を尊敬してるんだなぁ。

まあ、当然かな。駆逐艦乗りだし、私の最期を見届けてくれた人だし。

でも、少し誤解されそうだから補足しておこう。

 

「感情としては、親みたいな感じだけどね。」

 

恋愛対象としては見ていなかった。というかあの時は私、艦だし。

 

「わかってるって。」

 

提督さんは時計を見る。私も見てみると、もう12時をまわっていた。

 

「もう遅いし、俺は寝よう。」

 

「ん、私も部屋に戻って寝るね。」

 

私は立ち上がり、執務室の扉を開ける。

 

「夕立、おやすみ。」

 

「うん。提督さんもおやすみ。」

 

私は執務室の扉を閉め、自室へ向かった。

 

 

 

気がつくと、私は春雨と一緒に海上に立っていた。

私たちの前には誰か居る。真っ暗で確信できないけど、由良さんの可能性が高い。

でも、様子がおかしい。

 

「由良さん・・・ですか?」

 

私が訪ねると、彼女は答える。

 

「えぇ。夕立、春雨…そこに居るのね?」

 

「はい。」

 

私が答えた直後、由良さんの雷撃処分が指示される。

 

「なっ・・・!?」

 

私には信じ難いものだった。

だけど考えてみれば、私や春雨には由良さんの人たちが居た。

 

「そんな事、できる訳が・・・!」

 

「命令だ。」

 

即答されてしまった。確かに、駆逐艦の一隻や二隻程度じゃ発言力が無い。

それでも、雷撃処分なんてしたくはない。

そう思っていると、由良さんが私に言う。

 

「いいのよ。どの道、私は再起不能・・・もう動けないのよ。」

 

「だけど・・・!」

 

私が反論しようとした直後、由良さんが更に言う。

 

「それに、拿捕されるくらいなら沈んだ方が幾分かマシ。だから、お願い。」

 

私にはそれ以上反論ができなかった。

 

「由良さん・・・ごめんなさい・・・!」

 

そう言うと、私は春雨と共に魚雷発射管を由良さんに向け、魚雷を数発発射する。

しかし、ほとんどが由良さんの船底を通り過ぎてしまった。

由良さんも軽巡、魚雷の一発や二発受けてもそう簡単には沈まない。

 

「もう、由良さんが苦しむのはこれ以上見たくないよ・・・」

 

私が呟くと、由良さんは私に言う。

 

「・・・夕立、私を砲撃で沈めて。」

 

「え・・・?」

 

駆逐艦の砲撃で軽巡を沈める?不可能じゃないけど、12.7cm砲で由良さんの14cm防御を貫けるか怪しいところだ。

 

「お願い。貴方たちに私の最期を看取って欲しいの。」

 

「わかりました・・・」

 

私はそれに応じるしかなかった。

 

「由良さん・・・どうか、安らかに・・・」

 

私は由良さんに砲を向け、そのまま数発砲撃を行う。

ほぼ直撃し、由良さんが沈み始める。

由良さんは私たちに言う。

 

「夕立、春雨…ありがとう。それから・・・おやすみなさい。」

 

由良さんは私たちに敬礼し、海上から姿を消す。私も由良さんに敬礼をする。

もう、由良さんと一緒に過ごす事はできない。

 

「まだ思い出さないんですか?」

 

春雨が私に問いかける。

 

「思い出すって、何を・・・?」

 

私が訊き返すと、春雨はにやりと笑う。

 

「『この状況』をですよ。」

 

この状況…由良さんの雷撃処分?

 

「・・・!」

 

「やっと思い出しましたか?」

 

そうだ、何か身に覚えがあると思ったら・・・これは私が実際にやった事。

私が由良さんを手にかけた…由良さんを沈めた。

 

「何で・・・」

 

私が言いかけると、春雨が私に言う。

 

「それは、これが悪夢だからです。夕立姉さんにとっての悪夢…由良さんの雷撃処分・・・」

 

「やめて!」

 

「ふふ・・・」

 

春雨は不敵に笑いながら消えていき、私も目の前が真っ暗になり意識が遠のいていく。




このあと滅茶苦茶介抱された。

今まで書いたやつを見直してたら、演習とはいえ戦闘あったよ・・・
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