艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常- 作:リュウ@夕立提督
これで春雨までの白露型は全員メインになったかな。
「じゃあ審判お願いします、山城さん。」
夕立が離れて立っている山城さんに言う。
山城さんは艤装を解除しており、目視のみで判定を下すようだ。
今回の演習のシチュエーションは『夕立が単独行動中に敵艦隊の奇襲を受ける』というもの。
あたし達は各自好きな場所で待機し、夕立に襲撃を仕掛ける。
普通なら勝ち目が無い戦闘だけど、夕立はどう対処するのか楽しみだ。
「それでは・・・演習、始め!」
演習開始の合図と共にあたし達は夕立への奇襲を開始する。
最初に村雨が魚雷を8射線放ち、突撃する。
白露型は魚雷次発装填装置があり、予備魚雷を即座に装填可能なので『雷撃で撹乱しつつ撃破する』という作戦を取ったようだ。
「よく考えたっぽい?」
夕立は不敵な笑みを浮かべると、魚雷をかわしつつ村雨の方を見ずに魚雷を後方へ4発放つ。
魚雷は水中に入った直後にぐるっと急旋回し、村雨の未来位置へ高速で突き進む。
「え、うそぉ!?」
避け切れなかった村雨は魚雷が直撃し、中破判定をもらう。
その直後に春雨と時雨が夕立を挟み撃ちにする形で砲撃を開始する。春雨は反抗戦、時雨は同抗戦だ。
「2対1・・・こういうのを待ってたっぽい!」
暫く砲戦を行っていると村雨が夕立の頭を抑える形でT字戦に持ち込み、砲撃を行う。
夕立は左右と前方から砲撃をされている。
「今っ!」
そして私は夕立の背後を取り、砲撃を始める。
これで四方から砲撃を行い、夕立を叩く。
そして、三方向から各8射線の酸素魚雷が放たれる。
「へぇ・・・なかなか良い作戦ね。でも・・・」
夕立はニヤリと笑い、無数の水柱に包まれる。
「流石の夕立もこれなら・・・」
あたしがそう言いかけた瞬間、崩れゆく水柱の中に人影があった。
「だけど・・・まだ甘いっぽい!」
夕立の判定は小破だった。大破はおろか、中破すらしてない。
「酸素魚雷を24発食らって小破!?」
あたしが驚いていると、時雨が何かに気付く。
「な・・・砲撃で魚雷を撃破した・・・!?」
確かによく見ると夕立の主砲の全門から煙が出ている。
でも、砲撃で魚雷を破壊するなんて、伊勢さんでも一度できたほどの奇跡をやってのけるなんて・・・
「最高に素敵なパーティしましょ?」
夕立が指を鳴らすと、空が一気に暗くなる。
そう、夜戦に突入したのだ。
「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」
夕立はそう言うとどこかへ姿を消す。
真っ暗なため、相手の視認は不可能に近い。
「・・・どこに・・・・・・?」
あたしは電探を利用し、夕立を探ることにした。
だが、その直後に爆発音が鳴り響く。
村雨が撃沈判定をもらったのだ。
「村雨ッ!」
さらにそこから爆発音が2回続けて聞こえる。
春雨と時雨が撃沈判定をもらう事になった。
「あたしだけ・・・・・・!?」
残されたのはあたしのみ。
でも、白露型1番艦としてここで諦めるわけにはいかない。
「小型とはいえ、電探さえあれば・・・!」
なんとかして夕立を見つけ出す。
しかし、その反応はすぐ近く。あたしの真後ろ。
「・・・ッ!?」
まるで本当の絶望を与えられたような気分だった。
本当の恐怖とは何なのか何かを教えられたように・・・
「まだ・・・終わっちゃいない!」
即座に背後を振り返ると至近距離で主砲を構えている夕立の姿があった。
瞳は薄暗く輝いて、より恐怖を煽ってくると同時に狂犬のような恐ろしさを醸し出していた。
「選り取りみどりっぽい?」
夕立はそう言うと一発だけ砲撃をしてきた。
避けきれず、直撃し、撃沈判定をもらってしまった。
時雨の言ってた事は本当だったようで、ただただ錬度が高いわけではなく、それまでの経験を応用してより高い戦闘技術を得てきたようだ。
確かにこれなら勝ち目は無いかも。
演習終わり。
初見だった白露と春雨は無事トラウマになりましたとさ。
そして普段大人しい人(時雨)や普段のほほんとしてる人(夕立)は本気にさせちゃいけないと思った白露でした。
というかしばらく時雨メインに話が展開していきそう。