艦隊これくしょん -鹿屋基地第六〇三戦闘大隊の日常- 作:リュウ@夕立提督
どうも自分がシリアスっぽく書くとシリアスになりきれないらしい。
演習が終わって、空は暗い。
午後8時を過ぎたから当然と言えば当然か。
僕達は部屋へ戻り、就寝準備をする。
「時雨、どうしよう・・・?」
白露が準備をしながら訊ねてくる。
「何が?」
僕がそう聞き返すと白露は震えながら答える。
「今日、怖くて寝れないかもしれない・・・」
あー、演習が原因かな・・・
僕は少し考えてから白露に言う。
「一緒に寝ようか?」
僕は夕立のアレには慣れてるから怖いとは思わないけど、白露は初めて見たし、無理は無いか。
「ありがとう時雨!さすが白露型2番艦!佐世保の時雨!」
「はいはい。ほら、早く準備を済ませないと一緒に寝てあげないよ?」
「はーい!」
そんなやりとりをしていると、村雨が口を開く。
「これじゃあどっちが姉かわからないわね。」
ご尤もです・・・
その直後、春雨が村雨の袖を軽く引っ張る。
「あの、村雨姉さん・・・」
春雨は今にも泣きそうだった。まあ、本気の夕立ってあまり見れないから…
そんな春雨を見た村雨は春雨に言う。
「んー、一緒に寝よっか?」
「はい!ありがとうございます・・・!」
二人とも既に終わっていたようで、春雨は村雨と一緒に村雨の布団に入る。
「時雨ー。」
村雨が呼ぶので振り返ると、そこには春雨を抱いて横になっている村雨の姿があった。
「何してるのさ?」
「妹湯たんぽ。ぬくいよ?」
「いいから早く寝なさい。」
「はいは~い。」
村雨とそんなやりとりをしてから、僕は白露と布団に入る。
「ねぇ、時雨。」
静かで暗い部屋の中、白露が僕に呟く。
「何?」
「長女の・・・白露型1番艦のあたしがこんなじゃダメだよね?もっとしっかりしないと・・・」
白露ももっとしっかりしないといけないという自覚はあったのだろう。
その問いに僕は僕なりに答える。
「いや、白露は今のままでいいんだ。白露が見落としたりしたものは僕が拾う。それに、周りがしっかりしすぎるのは寂しいから。だから、白露は自分のペースでいいんだ。僕もそうさ。」
「ん、ありがと・・・少し安心したよ。」
白露は先ほどの悲しそうな表情から打って変わって穏やかな表情になった。
やっぱり、白露は笑顔でないとね。
それから暫く沈黙が続く。気付けば白露も寝入ってしまっている。
すると、村雨が僕に尋ねてきた。
「時雨ってさ、すごいよね。どんな事でもやってのける、そんな強さがある。」
「僕は、自分にできる事を全力でやってるだけだよ。自分の力は過信しない。過信すれば、それこそ赤城さんの言う『慢心』に直結するからね。だから、白露も、僕も、村雨も、夕立も、春雨も、五月雨も、海風も、江風も、涼風も、できる事はそれぞれ違うから、自分にできる事を全力でやればいいだけさ。」
僕が戦場でできる事・・・戦闘では少ないけど、それ以外でなら護衛や防空、対潜警戒と色々ある。
僕には夕立みたいな火力は無いし、白露や村雨みたいな大胆な行動力もない。だけど、僕には僕にしかできない事がある。だから、僕はそれをできるだけ慎重に、かつ全力でやる。
「でも、私にはできる事はないけどね。せいぜい対潜哨戒任務くらいかしら。」
村雨の言葉に僕はすぐに返す。
「そんな事はないさ。村雨には行動力や広い視野、それに高い統率力がある。白露型で一番旗艦に適していると思うよ。不測の事態にも対応できるだろうからね。」
僕がそう言うと、村雨は冗談混じりに言う。
「・・・それ、私を旗艦にさせたくて言ってる?」
「いや、そんなつもりはなかったんだけど・・・」
僕の返答に対して少し間を置き、村雨がくすくすと笑う。
「ふふ、やっぱり時雨には敵わないわね。」
「え?」
「でも、ありがとう。おかげで自分に自信が持てたかも。」
「それならよかった。村雨、自分のやる事に手を抜いちゃダメだよ?」
「うん、わかってる。それじゃあ、おやすみ。」
村雨とそんな会話を交わしてから僕はそっと目を閉じる。
さて、次回から明石さんと新兵器の登場。
・・・主人公ってなんだっけ?