騎士と獣と二つのコア   作:kouma

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前回、修正前の話を投稿してしまい申し訳ありませんでした。


第十七話

IS学園で開催される学園祭。

一般公開はされていないが、それでも中々盛大に行われている。

しかし、その裏で行動を開始している者たちもいた。

 

「……ふふっ」

 

IS学園の入口に、一人……警備員に止められることなく入る何者かの姿があった。

誰も気にせず、その者は口元に笑みを浮かべ……首から下げたペンダントをなぞっていた。

そして場所はかわり、噂の一年一組では

 

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

そんな声が響く。

なんとメイドが教室の中にたくさんいるのだ。

それも綺麗どころがそろっており、目を引くばかり。

しかし、そこに二人ほど違う姿がある。

 

「「お帰りなさいませ、お嬢様」」

 

燕尾服を着ている一夏と狼牙。

一夏は普段のイケメンスマイルを振りまき女性を虜に。

逆に狼牙は……ツンツンの黒髪をオールバックに、そこへ銀フレームの伊達メガネ。

普通の顔のため酷くもなく……意外に眼鏡越しに見える鋭い視線に印象は悪くないようだ。

 

「ちょっとちょっと、あれ織斑君じゃない!」

 

「執事服でかっこいい……隣の子は確か狼牙君よね、全然悪くないじゃん!」

 

「イケメンではなくても、織斑君には無い野性的な感じ……対照的でいいわね」

 

「牙狼君がいないってのが残念……双子執事を見たかったなあ」

 

意外にも受けがよく、二人は大忙しだった。

接客などは慣れない点もあるが……それがまた好印象らしい。

今、箒やセシリア、シャルにラウラもメイド服を纏って接客中。

 

(普段見ないから……やっぱみんな可愛いんだなあ)

 

狼牙は、普段見ないクラスメイトの新鮮な姿をちらっと見ていた。

確かに男子なら目をひく光景だろう。

 

「ちょっとそこの執事」

 

と、そんな声が聞こえ……見るとどこかで見た覚えのある女子。

チャイナドレスを着ているのは

 

「鈴!?」

 

一夏が驚いた声だが、狼牙も目を見開く。

 

「へえ、似合ってる……さすが本場」

 

「ん、ありがと。あんたも十分負けてないわ……と! それよりも全然こっちに客が来ないじゃないのよ!」

 

いきなりいちゃもんつけてきたのだ。

まあ……珍しい男子二人がいるため、物珍しさにこっちに来る客も多いのだろう。

 

「珍獣扱いされてる気分だよ」

 

「狼だものね、狼牙って」

 

「それは名前に入ってるだけだ」

 

そんな軽口を言い合っていると

 

「あ、いたいた狼牙君~」

 

「へえ、似合ってるじゃない」

 

声をかけられた先には……見知った先輩二人。

瑠璃と桔梗だ。

 

「瑠璃先輩、桔梗先輩……お帰りなさいませ」

 

「いらっしゃいました~」

 

「ちょっと見にきたんだけどね……メイドかあ、みんな綺麗ね」

 

鈴は一夏に任せ、狼牙はこの二人の接客に入る。

席に案内すると……二人はメニューからコーヒーを選択。

狼牙はオーダーを伝え……すぐ二人へと届けた。

 

「お待たせいたしました」

 

「ありがとう~狼牙君」

 

「狼牙君、御苦労さま……様になってるわね」

 

「光栄です、お嬢様方」

 

そんな三人の光景を見ているのは……一組のクラスメイトら。

 

「(ねえねえ、あの三人って)」

 

「(うん、最近噂になってるよね……敵対してたのが急接近って)」

 

「(もしかするともしかして、だよね)」

 

どうもこの三人。

近頃はよく一緒にいることで噂になっているようだ。

一夏という例もあり、男子にお近づきになる女子がいてもおかしくはない。

狼牙自体も嫌がっていないので……色々妄想されているようだった。

そうして、休憩時間を回すということになり……最初に狼牙が休憩に入った。

 

「じゃ、頼んだ」

 

「ああ」

 

一夏にそう言い、狼牙は……執事服のまま校内を回るようである。

 

「お待たせしました」

 

「あら、早かったわね」

 

「待ってたよー」

 

二年二組……桔梗と瑠璃のクラスだ。

中に入ると

 

「あっ、この子がそうなの?」

 

「織斑君と同じ男子かあ……新鮮ね」

 

「双子だって聞いてたけど、お兄さんはいないのか……」

 

そのクラスはもちろん女子のみ。

一斉に視線が突き刺さるが

 

「えっと……はじめまして、一年一組の不動狼牙です」

 

「「「いらっしゃ~い」」」

 

簡単な挨拶の返事は、盛大な出迎えである。

どうやら……ここはコスプレ喫茶らしい。

メイドもいるのだが、ほとんどアニメなどのコスプレが多かった。

その中で桔梗は……うん

 

「確か……犬○叉でしたっけ?」

 

「そうね、桔梗よ……犬○叉ァ!」

 

そう言い、弓を引く動作。

元がいい上に長い黒髪の為、ものすごくそっくりだ。

 

「で、瑠璃先輩が……」

 

「馬鹿ばっか」

 

どこぞの宇宙戦艦のメインオペレーターらしい。

背丈は似ているし、かつらをかぶっているのか銀髪ツインテールである。

そのほかの女子もどこかで見たようなキャラが多い。

 

「……すごいですね」

 

「でしょでしょ! 頑張ったのよ私~」

 

「って瑠璃先輩が作ったんですか!?」

 

「驚くわよね……私も最初はやりきるとは思わなかったわ」

 

聞けば瑠璃は大のコスプレ好きだと。

で、今回他のクラスとは違う面をやりたく……皆、可愛いキャラになりきろうとしたらしい。

コスプレとはいえ、最初は羞恥心もあったが徐々に無くなったのだ。

 

「というわけで、狼牙君もこの中だと違和感ないよね」

 

「は、はあ……」

 

「そういえば狼牙君はいつまでいられるの~?」

 

「大体一時間ぐらいですかね」

 

そうしてしばらく二組メンバーと話していくうちに……他のクラスを見て回ることになった、

多くの生徒が、自分たちで作り上げたモノを展示したり店を構えたり……とても、楽しい。

狼牙は……ここにきてよかったと、心底思っていた。

だが、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうもの。

狼牙はすぐに一年一組に戻ったのだが

 

「あれ、会長さん?」

 

「こんにちは、狼牙君……その格好、中々素敵よ」

 

「ありがとうございます」

 

何故か生徒会長の楯無がいたのだ。

聞けば、しばらくここで働いてくれていたとか……

 

「わざわざありがとうございます」

 

「いいのよ、これぐらいね。そろそろ私は抜けるわ……頑張ってね」

 

彼女も生徒会の用事なのだろう。

そそくさと出ていく中で

 

「一夏、後は俺が回すからお前もな」

 

「おっ! やっとか」

 

「そうだね……狼牙君が来てくれたから、こっちは大丈夫だと思うよ」

 

「鷹月さん、悪いな」

 

一夏にそう言ったのは、クラスのしっかり者こと鷹月静寝。

今日もまとめ役を買って出ているためか、忙しそうである。

 

「客も落ちついて来てるし、いったん片付けなどもしたいな」

 

「そうだね……力仕事は狼牙君がいれば心強いよ。一夏君は代わりに休憩しててね」

 

そうして、一年一組はいったん小休止に入るようで……一夏と学園祭をめぐるため、戦いが起こった。

まあ狼牙はそれを横目に、いったんテーブルなどの整備やゴミ拾い。

他の女子たちは売り上げなどの計算を始めている。

だが一夏達は……狼牙の言葉で、皆で回ることにしたようである。

そのまま静かになった一年一組。

狼牙はテーブルを持ち上げ、他の女子がササッと掃除をしてくれている……時間も、すぎるのが早い。

 

「頑張っているな、狼牙……こういう時の男手はやはり貴重だ」

 

「織斑先生?」

 

急に声をかけてきたのは……千冬だ。

何故ここにいるのだろうか?

 

「見回りだ、私は学園の教師だぞ?」

 

確かにそうだろう。

しかし、彼女がいるため周囲の空気は少しかわったようだ。

 

「だがおかしいな……」

 

「なにがですか?」

 

急に千冬は腕を組み、狼牙を見る。

あまり見れない光景だが、どうも様子がおかしい。

 

「先ほど、制服姿のお前が歩いているのをアリーナ付近で見たと言う者がいたらしいのだが」

 

「え? いえ、俺はずっとここにいますが……休憩で遊びには行きましたが、制服に着替えてもいないですよ?」

 

「……上空にいる山田君からはなんの連絡もないようだが、あいつらは嘘をつくような奴ではない」

 

千冬の言葉が最初はよくわからなかった。

しかし、確かにそれはおかしい。

狼牙は今日一度も、アリーナ付近へ行ってもいない。

 

「おかしいですね……一夏と間違うはずないのに」

 

「うむ……まあ、人が多いし他のお客と間違えただけかもしれんからな」

 

そうして、今現在真耶は……色々お仕事の真っ最中らしい。

それを聞いた千冬は

 

「山田君のメイドが見れなくて残念なのか?」

 

「そりゃもう人生に絶望……って違いますって!」

 

「ほう、そうかそうか……まあ、悪いことではないのでよしとしよう」

 

どういう意味だろうか。

まあ、悪い感じはしないのだが……千冬は面白いことを見たような顔で狼牙を見ている。

 

「くれぐれも山田君に失礼のないにな」

 

「は、はあ……わかりました」

 

「うむ。しかし一夏も相変わらずと言ったところか……あの夏以来、随分変わってきた」

 

それは小耳にはさんだことがある。

一夏と牙狼、狼牙が温泉に行ってる間に行われた女子会。

そこで大胆な発言が飛び出してから……一夏争奪も、熾烈を極めて来た。

 

「狼牙、お前からも男同士これからも頼む」

 

「もちろんですよ、大切なダチですから!」

 

「……ああ、そうだな。友とはいいモノだ」

 

そうして、千冬はクラスに一言二言かけて再び出ていった。

やはりこういうイベント時ほど……忙しいのだろう。

と、ようやく一夏達も全員戻り……何故か楯無も一緒に来ていた。

何事かと思えば

 

「一夏君、君の教室手伝ってあげたんだから、生徒会の出し物にも協力しなさい」

 

生徒会への協力要請である。

まあ、手伝ってもらったためにクラスのメンバーもあまり強く言えないようだが……

 

「出し物ですか……えと、何をやるんですか?」

 

「演劇よ。正しくは観客参加型演劇」

 

狼牙は眼をつぶる。

これは頭痛のためであり……この後起こりそうな惨劇の予感に対してだった。

 

「あの~先輩? 一夏を連れて行かれたらちょっと困るんですけど……」

 

話を聞いていたであろうシャルロットが止めにきた。

狼牙はシャルを密かに応援していたのだが

 

「……シャルロットちゃん、あなたも来なさい」

 

「ふぇ!?」

 

「おねーさんがきれーなドレス着せてあげるわよ?」

 

「ド、ドレス…」

 

無駄だったらしい。

どっちみち連れて行く用意ができているのだろう。

 

「それと、箒ちゃんとセシリアちゃんとラウラちゃんもゴーね」

 

どうやら厄介なことが起こりそうである。

一夏が無事に戻って来れるのか、心配になった狼牙だった。

だが、今はこっちをしっかり切り盛りしていく方が大切。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

「いってらっしゃいませ、お嬢様」

 

狼牙は改めて接客に戻る……一夏時ほどではないが、そこそこ指名が来ているのだから。

他のクラスメイトと協力しながら、また活気が戻り始めていた。

そうしてしばらくし、校内放送で生徒会の出し物が始まったとの内容が流れる。

 

 

 

(狼牙……アリーナへ)

 

(!?)

 

 

 

ピタッと、狼牙の足が止まる。

突然狼牙が止まったので、鷹月は狼牙を見るが

 

「……まさか」

 

そう呟く。

そして狼牙は走り出した。

一同はしばしぽかんとしていたが、慌てて狼牙を呼び……すでにその姿はなかった。

だがそのころ、アリーナに至る通路では

 

「なんなんだよお前はっ!」

 

「ああん? 知らねぇのかよ……秘密結社『亡国機業』が1人、オータム様だ!」

 

「何が秘密結社だ! 中二病も「中二病なんかじゃねぇよ! だからガキは――「おらぁ!」――ぐぁ、このガキ!」

 

戦闘が始まっていた。

一夏に対して声をかけていたのは……休憩時、一夏にIS関係で詰め寄ってきていた女性。

だが、それは偽りの姿であったことに気付く者などいらず……今、正体を明かしたのだ。

オータムと名乗った女性はISを展開。

一夏は放たれた銃弾を避けながら、展開した雪片弐型で斬りかかる。

 

「そうだ、てめぇに良い事教えてやるよ! 第2回モンドグロッソでてめぇを誘拐したのはウチの組織だ! 感動のご対面だな、ハハハハハッ!」

 

「なっ……だったら、あの時の借りを返してやらぁ!」

 

オータムの言葉を聞いた瞬間、一夏はそれが嘘とも考えず、雪片弐型を構えて瞬時加速をした。

しかしその攻撃は……まっすぐ過ぎていた。

 

「ククッ、やっぱガキだなてめぇは。馬鹿正直に突っ込んで来やがってよぉ!」

 

オータムは指先をあやとりのように動かし始め、エネルギーの塊を構築させる。

そしてそのエネルギーの塊を投げつけ……まるで罠を仕掛けているクモの糸のように巨大な網を張った。

 

「そんな物!」

 

一夏はその網ごと、オータムに斬りかかる。

それはすぐに避けられたが、網は斬り裂く。

 

「おいおいクモの糸を甘く見んじゃねぇよ」

 

すると斬り裂いたはずの網が、ユラユラと白式に巻きつきこうとしてくる。

まるで生きているかのようだ。

 

「っ!?」

 

その瞬間、一夏はそれに何か触れてはいけないと感じたのか……網から急いで離れる。

だが、相手は逃さない。

 

「それに触れねぇようにしたのは良かったが、甘ぇよ!」

 

それを読んでいたのか、オータムは一夏の離れようとした場所へ回り込んでいた。

オータムの手元にはいつのまにか構築した……4本足状の機械を持っている。

 

(狼牙のIS以上だなこれ!)

 

一夏はその姿と能力に、自身の友達のIS以上のゲテモノっぷりを感じている。

しかし

 

「取りこんでるようだな、一夏」

 

一夏の背後から聞こえる聞きなれた声。

白式のハイパーセンサーが……いつの間にか後ろにいる、「制服姿の狼牙」をとらえる。

 

「狼牙か! すまん手を貸してくれ!」

 

「手か……いいぜ」

 

だが、この状況でもオータムは眉一つ動かさず……むしろ、笑みが深まっていた。

そして逆に……狼牙の援護はありがたいと、そう思い一夏は前だけに再び意識を集中させ

 

 

 

背後からの一撃をよけれなかった

 

 

 

完全に無防備な背後から「蹴り」を喰らい……一夏は後ろを確認する間もなく。

オータムは……その機械を一夏の白式の胸部につけた。 

その瞬間、一夏の全身を激痛が襲う。

 

 

 

そして……白式は一夏の手を離れる

 

 

 

胸に付けられた機械の名は剥離剤(リムーバー)。

ISに装着させると、強制解除させる兵器だった。

 

「終わったな」

 

「ああ……これで!?」

 

だが、その解除された白式を手にしたのは……制服姿の狼牙。

それを見たオータムは眉を動かす。

 

「おいてめえ、どういうつもりだ」

 

「……さあな」

 

そう言いながらいじるように触り、オータムへ放った……制服姿の狼牙は、その場を立ち去る。

オータムは舌打ちをし、白式を拾って別の場所から出て行こうとするが……そこへ突撃してきたのは、楯無。

どうやら何かに足止めを食っていたのか、激しい戦闘後のようでボロボロである。

 

「あいつ……わざとか!」

 

「くっ……あちらは逃がしたけど貴方まで逃がすわけにはいかないわ! このIS学園で、私の前で!」

 

「はっ! 悪いが目的は達成したのでね……戻ってあの野郎を一発殴らなきゃいけねえしよ!」

 

奪われた白式。

だが、白式は……再び一夏の元へ戻ることになる。

一夏の呼びかけに反応したのである。

こうして再び白式を纏い、一夏と楯無……形勢は逆転し、オータムはISを撃破されてしまう。

 

そして、同時に狼牙は……たどり着いたアリーナが、戦場に変わる瞬間に遭遇した。

 

何やら出し物があると更識会長が言っていたのを思い出したが……今となっては、どうでもいいことだった。

すでに出し物の領域を超えている。

 

「一夏! さがれ!」

 

「狼牙!?」

 

狼牙は執事服を脱ぎ捨て、伊達メガネを放り……覇鬼を纏い降り立つ。

見ると楯無もおり……見たこともないISである。

しかし

 

「狼牙てめえ! さっきはどういうつもりだ!」

 

突然一夏が狼牙に喰ってかかる。

狼牙は訳がわからない感じだが……後で訳を聞くことにし、すぐに向かう……敵に。

その向かった先にいる女性。

見るとすでにかなりのダメージを受けているのか、狼牙は左の威力を最小限にしたハサミで捕縛しようとし

 

 

 

上空から飛来したのは、ひと振りの剣

 

 

 

向かおうとした狼牙の目の前に投げられた剣。

同時に……一夏と楯無も上空を見た。

そして、目を見開く。

 

「黒い……」

 

「狼?」

 

二人がそうつぶやく中、ゆっくりと降りてくる。

そうして……狼牙の前に降り立ったそれは、剣を抜き取り……下へ振り下ろした。

その視線は、狼牙を見ていた……ジッと、見ていた。




謎の敵、その正体は……
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