騎士と獣と二つのコア   作:kouma

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第十九話

狼牙、一夏、千冬、真耶。

この四人は……事件の後処理などのため休校となった翌日、IS学園を出る。

無論申請などはしており、男性操縦者護衛のため二人もISを持ち同行することとした。

他の教師や専用機持ちなどは万が一の非常時に備えIS学園防衛に回るため今回は出ない。

 

「学園の方は……承知しました」

 

「すまない、頼むぞ更識」

 

千冬は生徒会長の楯無……彼女はやはり普通の人間ではないと。

そのため、非常時は指揮を執ることになるだろう。

 

箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラもついて行きたかったようだが……教師二人の説得後、残ることになる。

 

そうしてIS学園から出た後は……幾度なく電車を乗り換え、都会とは縁がないほどの山へ。

一日に、バスが数本あるかないか。

それほどの山奥に一行は進む。

 

「くっ……なんて田舎なんだ、ろくに道もねえじゃん」

 

「ぼやくな一夏、お前も男なら体力をもっと付けろ」

 

「狼牙の言う通りだ。お前はすでに実戦を経験し、必要だと理解もしているはずだ」

 

「あ、あはは……」

 

最低限の登山用意をし、一行は山道を進む。

山で生まれ育った狼牙はさすがだが、千冬と真耶もやはり世界最強と元代表候補。

険しい山道を変わらないペースで登る……登るが

 

「はあっ、はあっ」

 

背にある最低限の装備が詰まったリュックに加え、アスファルトなどで整備されてない登り道。

一夏は……ここまで付いてくるのが精一杯なほど、疲れている。

 

「……少し休憩しましょう、もうすぐですから」

 

と、登山客用なのか……休憩所らしきものが見えた。

狼牙は一夏を心配してるようで、いったん小休止しようと。

 

「一夏ならまだ大丈夫だろう?」

 

「お、織斑先生それは」

 

「今日はプライベートだ……山田君、先生はいらないぞ」

 

「……千冬ねえ、頼みますから」

 

そんな三人に狼牙は苦笑しながら、休憩所のベンチで休むことになる。

すでにペンキがだいぶはげ落ちている清涼飲料水のロゴが見えた。

四人はそこに腰かけ、いったん昼食を取ることにしたらしい。

一夏お手製のおにぎりなど……やはり登山はこれに限る。

 

「しかし……ここは、本当に空気が綺麗だな」

 

「そうですね、都会とまったく違います……吸ってて、違うとすぐにわかりましたから」

 

「……俺の故郷ですから、そういっていただけると嬉しいですね」

 

「でも、本当に周りは自然しかないんだな……ここって」

 

千冬、真耶、狼牙、一夏は昼食を取りながらそういっていく。

IS学園の中にいては、こういう山に行くことは滅多にないからだ。

しかし、生憎今日は遊びで来ているわけではない。

 

「そろそろ行きましょうか……」

 

狼牙の言葉で、全員立ち上がる。

歩きだし……次第に道が狭くなっていった。

 

「以前、俺が住んでいたころは……まだ村はありました。でも、人は少なくなり廃村……交通手段も途絶えたままです」

 

「なるほどな……道路は荒れ放題、ということか」

 

「はい……でも」

 

歩いて行く途中、狼牙はふと立ち止まる。

それを後ろで見ていた三人はどうしたと尋ねると

 

「……いる」

 

狼牙は、突如道を外れ……別方向へ歩き出した。

 

「狼牙?」

 

「……こっちです」

 

千冬の言葉に、狼牙は……草で隠れてわかりづらいが、足元に道らしきものがあるのを見つけた。

獣道である。

 

「……なるほどな」

 

「こ、ここを行くのか!?」

 

「頑張りましょう、織斑君」

 

そうして一行は進路を変え、獣道を進む。

しかし……木々が生い茂り前を行く狼牙を見失えば、どうなることか。

だが、狼牙は見知った道のごとくすいすい進んでいく。

一行は地面と木々に気を配りながら進み……開けた場所に出た。

そこにあるのは

 

「……ここが、そうなんだな」

 

「はい千冬さん……俺の、育った……孤児院です」

 

言うなればそこは、小さな教会。

しかし、すでに廃棄されて長いのか……苔や植物が建物に絡みついている。

だが、道らしきものは……ほとんど木々に覆われ見えなくなっていた。

これでは普通見つからないだろう。

 

「狼牙、ここがそうなのか?」

 

「ああ……一夏。ここは俺と牙狼にとって、もう一つの家だったところだ」

 

「……そうか」

 

一夏もあまり聞こうとはしなかった。

聞けば、元々この教会はかなり古く……今見えるのは、少し酷くなっただけらしい。

 

「……周囲には、何もありませんね」

 

真耶が教会の周囲を見渡すが、特に変わったものはない。

まるでここだけ時間が止まっているかのように

 

 

 

「そう、ここには何もないよ……何もね」

 

 

 

突如声が聞こえた。

四人がその方向を見て……眼を見開く。

 

そこにいたのは、黒

 

全身を黒装束の様なもので覆い……いや、ボディアーマーらしきものの上からマントでそれを隠している。

眼をひくのは、顔を覆う黒い仮面らしきもの。

頭髪は短く、しかし……その雰囲気は別格な物を感じさせる。

 

「何者だ?」

 

千冬と真耶。

二人が一夏と狼牙の前に出る。

だが……その男は、何も言わない。

仮面で隠された口元を……少しばかり歪めただけ。

 

「……」

 

男は、そんな四人を横目に……教会の戸の前へ。

そうして、軽く戸を押す。

ギギッと……さびついた金具がきしむ音が響き

 

「入りたいなら、入ればいい……知りたいのなら、ね」

 

機械的な声。

仮面にボイスチェンジャーでも含まれているのだろうか?

そう言い残し、男は中へ。

一見すれば誘っているかのように見える行為だが……三人万が一のために、すぐISを使うつもりだった。

だが、狼牙だけはそんな三人とは違い……中へ。

 

「狼牙!?」

 

「一夏……大丈夫だ」

 

驚く一夏に対し、冷静に返す狼牙。

一夏は千冬を見、頷いたのを見て……後を追う。

中に入ると、カビ臭い空気。

そして……先に見える、十字架。

男は、その十字架の前に立っていた。

 

窓からこぼれる光だけが、その男を照らす

 

四人は入り口から中に入り……突然、背後の戸が閉まる。

だが、一行は騒がず……すすんだ。

 

「ようこそ、IS学園の皆さん」

 

「……お前は何者だ? 何故私達を知っている?」

 

「何者、か……ククク」

 

男は機械的な声で笑う。

しかし、それは不快な感じはしないのが疑問だった。

 

「有名人を知らない、とは言わせませんよ?……いや、そういうのはおかしいか」

 

「なに?」

 

と、狼牙は……千冬の前に出る。

そうして、目を細め……口を開いた。

 

 

 

「久しぶりだね……牙狼、兄さん」

 

「ああ、そうだな……狼牙」

 

 

 

カツンと堕ちた仮面。

その下にある顔は……狼牙と同じ顔。

いや、違う……鼻の上を中心に、目の横を通りX字の鋭い傷が奔っていた。

 

「!?」

 

「牙狼……君?」

 

「……牙狼、生きてたのか!」

 

三人は、眼を見開いた。

黒装束の男は、あの福音事件以降に行方不明となっていた……不動牙狼だと知って。

 

「ありきたりな反応をありがとう……お久しぶりですね、いや」

 

「正確には一昨日だろ、牙狼」

 

「……そうだな」

 

「一昨日……!?」

 

狼牙の言葉で千冬は気付く。

アリーナ付近で見つかった制服姿の狼牙、その意味に。

 

「そうか……あの狼牙と言うのは」

 

「ええ、俺ですよ……千冬さん」

 

牙狼はおかしそうに笑う。

 

「IS学園、こういってはなんですが……もう少しチェックを厳重にした方がいいかと」

 

「………そのようだな」

 

馬鹿にしてるふうでもなく、心配してるような声だった。

だが、向けられている三人は……眼を細めている。

 

「じゃあ、牙狼……俺を蹴ったのは」

 

「狼牙でなく俺さ、一夏……痛かったら済まない」

 

「いてえどころじゃねえよ……」

 

顔をしかめ、あの時を思い出す。

白式が奪われかけたのは……

 

「だがま、時間稼ぎはしてやったんだ……礼ぐらい欲しいぜ」

 

「?」

 

「ま、それはいいとして」

 

牙狼は四人を見る。

 

「ここがなんなのか知りたい……そんな顔をしていますね」

 

「……そうだな、ぜひとも知りたいところだ」

 

「千冬さん、直球ですね……いいですよ、こちらへ」

 

と、牙狼の足元が急にきしむ。

そうしてフッとその場から離れると……地下へ続く階段が。

 

「ついてきてください」

 

牙狼は、そこへ降りていく。

四人は……黙って、その後をついて行った。

降りた先にあるのは、異様なほどに広い空間。

電力が生きているのか、ここは少し明るかった。

 

「ここは?」

 

「俺と狼牙の保護された場所ですよ……」

 

千冬の言葉に応え、そのまま通路を進む。

そうしてその先に見えたのは

 

四つのベッド、そして机

 

そう言ったモノのほかに、壁に描かれた落書きや床に紙が散乱した部屋だった。

すると狼牙は……ある机の一つに触れる。

 

「そう、そこが狼牙……俺は、その隣」

 

牙狼はその隣へ。

そこには、Gと彫ってあった。

狼牙のはR。

しかし

 

「Mと……T?」

 

残った二つの机に掘られたもの。

それを真耶は見てつぶやく。

 

「ああ、そこは特別なんですよ……」

 

「牙狼、二人もいたのか?」

 

(……狼牙、今はまだだ)

 

そうして牙狼は……ある一か所へ向かう。

そこには、壁に傷が何本もつけられていた。

 

「覚えているか、これ?」

 

「俺たちの……背比べの痕だ」

 

「そうさ、同じだってのに意地はってよ……懐かしいな」

 

千冬や真耶、一夏は何も言わない。

今二人は、昔に戻っている。

兄弟で逃げて……その後の時間に。

 

「……な? ここにはもう何もないんだ……何もな」

 

「では牙狼、お前は……何故あの時、助かったのだ?」

 

「ああ……千冬さん、それは」

 

 

 

「私が助けたからだよ~」

 

 

 

と、急に一行が入ってきた側から声が。

牙狼を除く四人がそちらを振り向くと

 

「たっ……束?」

 

「束さん!?」

 

「え、なんでですか!?」

 

そこにいたのは、行方不明になっている篠ノ之束だった。

しかし、少しばかり違うところがある……金属製のウサ耳でなく、普通の犬耳の様なものをつけていた。

身体的にも、年齢も少し幼く感じられるのだ。

服装は、黒いセーラー服を改造したもののように見える……豊かな胸元を強調しているからだ。

さらに……浮遊する車いすらしきものに乗っているのである。

 

「……お前」

 

「やっほ~牙狼! ついてきちゃった!」

 

てへっと言う感じで舌を出す。

その仕草は、どうも自分らの知っている篠ノ之束とは似ているようで違う。

 

「なっ、なんだお前は!?」

 

「ん~……ああ、なんだいたの?」

 

「!?」

 

千冬を見た瞬間、興味が無い目つきに変わる。

その仕草は、自身の友人ほどではないが……似過ぎだった。

 

「でもでも! 狼牙も久しぶりだよ~」

 

「……え、え?」

 

「ああ待て司(つかさ)、今は」

 

「むっ……そうだったね」

 

司、牙狼はそう言った。

しかし、狼牙は……その少女に見覚えはなかった。

 

「き、君は?」

 

「ん、あ~……いいの、今はまだね」

 

「今はって」

 

「そ、それよりどういうことだよ! なんで束さんが」

 

「むっ! またあんな奴の名前なんて聞きたくもない……君、むかつくね~」

 

司は一夏を見て、眼を細める。

あまり興味がわかないようだが……何故か束の名に強く反応していた。

 

「……牙狼、どういうことだ?」

 

見かねた千冬が牙狼に聞こうとしたが

 

「こらっ! そこの!」

 

突然司の……浮遊椅子、というのだろうか?

それが牙狼の前に来たのだ。

 

「なっ」

 

「……思いだしたよ、あなたが千冬さんね?」

 

「そ、そうだが?」

 

その瞬間、司は……周囲が冷たくなるほど、眼を細めながら敵意を出していた。

司は俯き、前髪により眼が隠れる。

 

「あなたが……牙狼の……エムの……あの女の……」

 

ぶつぶつと、何かをつぶやいていた。

そして

 

「シンジャエ」

 

顔を起こしながら眼を見開き、千冬を見ながらそう叫ぶ。

浮遊椅子から、量子化されたガトリングガンが出現する。

その距離は近く、その銃口が回り始め

 

「やめろ」

 

黒い影が、千冬の前に立ちふさがる。

千冬もすでに……打鉄を纏っていたが、それより速い。

そしてその影は……見覚えのあるモノ。

 

「黒い、狼」

 

一夏と狼牙がアリーナで見た、あのISだった。

背にある朽ち果てたマントらしきものを靡かせ……漆黒の剣を持つ。

そしてその声は、牙狼のもの。

 

「牙狼っ!?」

 

「司……二度は言わないぞ?」

 

手に持った剣が、燃え盛る炎のようにエネルギーを集めていた。

それを見た司は……ギリッと歯をかみしめながら、ガトリングガンを消す。

 

「……すみませんね」

 

黒いISは振り返らずにそういう。

 

「それは、やはり……お前のだったのか」

 

「はい、俺のISはセカンドシフトを果たした……あの、福音との戦いの後で」

 

そうして、話しながら牙狼は思いだす。

あの日の出来事を。

消えた黄金の鎧。

 

落ちていく。

 

額の部分から赤いモノが流れ、自身の身体が落ちていく。

眼に映る姿は……銀。

水の中から見える、銀の光り。

それが……広がり

 

 

 

全てが、闇に消えた

 

 

 

視界は黒く染まる。

その中……引き上げられるような感覚に陥った。

誰かが、自身の隣にいる。

牙狼には見えたのだ、黒く……黒く美しい黒髪の、漆黒のドレスをまとった女性を。

どこかで見覚えのある女性を。

 

「力を欲するか?」

 

その手にある、漆黒の剣を自身の前に突き立てて。

女性は……牙狼に問いかける。

 

「力を欲するか?……何のために?」

 

「そうだな……超える為に」

 

「何を?」

 

「最強の存在を」

 

すると、漆黒の女性はクスリと笑う。

 

「最強の存在……汝の心は、望んでいるのか? ただの女のためにか?」

 

「ああ……好きな女を超える為に。単純な腕力とかでなく、全てで……世の中の色々なものと戦うから」

 

牙狼は今まで抑えていたモノがあふれていく感覚になる。

しかし、それが止まらない。

 

 

 

「不条理な物、どれだけ思っても届かない……邪魔をされる、否定される。そして俺も否定された、この世界から……」

 

「ならば、全てを壊せばいい……そして我は汝の傍に」

 

「いてくれるのか……共に?」

 

「我は汝の傍にいつもいよう……行くがいい、覇者の道を。その闇を、全てを喰らえ……我が名は「キバ」」

 

 

 

周囲の闇が牙狼の体へ集まり……気がついたときは、纏っていた。

その闇に染まった鎧を。

海水から上がり、一歩一歩、砂浜を歩き……目の前に降り立った黒いセーラー服の少女と、想い人に似た少女を見る。

その黒いセーラー服の少女は、浮遊した椅子に乗っている。

 

あるのは笑顔、そして……広げられた手。

 

想い人に似ている少女は、そんな少女の隣で……何かを牙狼に向かい言っていた。

それを聞いた牙狼は、酷く安心感を覚え鎧を外し……その黒いセーラー服の少女の腕の中へ倒れた。

 

「俺は手に入れた……最強の力、究極の力を」

 

振り向いた、その顔。

見る者を威圧させ、全てを喰らいつくすような牙……胸に付けられた髑髏、腹部のクロスシンボル。

闇に染めた全身装甲、その背にある朽ち果てたマント。

そして……首から肩などへ向かい、微かに黄金のラインが奔っていた。

 

「千冬さん……俺は、今でも同じ想いのままだ……狼牙が伝えてくれたように」

 

「!?」

 

「……ならっ、ならなんでだよ牙狼! そこまで、そこまで想ってやがるなら!」

 

と、固まる千冬の前に出て来たのは一夏。

一夏はわかったのだ……鈍感な彼でも、自身の姉に対する牙狼の本気が。

 

「今の世界は、非情だよ……理不尽に満ちて、苦しむモノが増え……悲しみも増えた」

 

「牙狼君……貴方は」

 

「山田先生、俺と狼牙が受けたのは……この世界に否定されたこと」

 

「そ、それは」

 

「男だからという理由で否定され、同じ苦しみを味わう者も少なくない……一夏のことを疎ましく思う存在だっているだろう」

 

その言葉に、一夏は驚いた顔で牙狼を見る。

牙狼の声は……明らかに一夏を心配している声だった。

ISは変わっても……目の前にいるのは、やはり自身の友達だと。

だからこそ、である。

 

「牙狼、みんな待ってるんだ……お前が戻るのを」

 

「……だめだ、俺はやらなきゃいけない。この力で、この「キバ」で」

 

一夏が必死に言う中、狼牙だけは……無言。

その言葉、どれだけ言いたかったことか。

同じ男である限り、一夏の問題は自身と同じなのだ。

真耶はすでに、何を言えばいいのか……それすら迷っていた。

その中、千冬は牙狼に声を出す。

 

「牙狼っ……」

 

「千冬さん、俺は……貴方のためにも、世界を変える」

 

「なっ」

 

ISを解除し、牙狼は千冬を見た。

 

 

 

「大切な女を、ただの女にするために……俺は、戦うだけ」

 

 

 

それは間違いなく、千冬を想っての行動。

ただそれだけを願い……最強の道を目指す牙狼。

 

「それまで、また……狼牙」

 

「……兄さん」

 

「身体を大事にな、お前も」

 

「うん……」

 

それだけ残し、牙狼は……四人の間を抜け、出口へ。

千冬は、思わず手を伸ばそうとし……前に現れた司に遮られる。

その背に届かず、姿は扉の向こうへ。

 

「っ!? 貴様は」

 

「邪魔なんてさせないよ? 牙狼の邪魔を……(なんで、なんであんたのような女を)」

 

ギリギリと、歯を食いしばる。

最後の、本当に呟くような言葉には憎悪が込められていた。

 

「一つだけ教えてあげる、牙狼と狼牙の機体を作ったのは私」

 

「「「「!?」」」」

 

「でも、だからって欠陥はないよ……あとは、狼牙次第。コアはあいつのだからむかつくけど」

 

そのまま司は、一夏に視線を移す。

 

「そして、貴方は確か弟の一夏君だっけ……」

 

司は……織斑姉弟を見て、口元を歪める。

それは歳に似合いそうにない、狂気の笑み。

 

 

 

「二人を待ってる子もいるから、楽しみにしていてね……そう、楽しみにね~」

 

 

 

どういう意味なのだろうか。

司はそれだけ言い残し……浮遊椅子を動かし、牙狼の後を追うように出ていった。

 

「なんなんだよ……どういうことなんだよ」

 

「牙狼君も、あの司という子も……一体、何が起こってるんですか?」

 

「……亡国機業、牙狼のキバ、司と言う束博士そっくりの子……(僕は、何を忘れている?)」

 

「私は、また……くっ!」

 

四人はそれぞれの想いを吐きだす様に口を開いていた。

静けさが戻り……全ては、始まる。




暗黒騎士登場。
そして残りのM……ばればれだ。
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