騎士と獣と二つのコア   作:kouma

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第三話

千冬について行くまま、不動兄弟は……生徒指導室へ入る。

そこで彼女は二人に椅子へ座るよう命じ、自身もその向かいに座った。

 

「まず、久しぶりだな……牙狼、狼牙。気が付けばお前たちも転入とは」

 

「仕方ないですよ」

 

「そうしないと、俺ら今頃誘拐されているでしょうし」

 

牙狼と狼牙がここに来た理由。

きっかけは、織斑一夏という初の男性操縦者発見というニュースからであった。

その後各国が一斉に自国で同様の男性操縦者を捜索した時、真っ先に反応が出た二人なのだ。

千冬はその件で一度、前もって二人と会っていたのである。

しかし、今まで二人の情報が世間に公開されていなかった……というのも

 

「諸外国に対し、取引とはな…………すまない」

 

「まあ、一国が三人も保有してるのはおかしいって言うのも……言いたくなりますよね」

 

「でも誘拐されモルモットにされるより、俺も牙狼も安全な立場にいますから」

 

「……一夏の代わり、か」

 

千冬は相当な、まあ……弟の一夏を溺愛してると。

それでも今回のことについては、納得ができないのだろう。

この二人も、IS学園を卒業後は日本以外の国にその身を置くだろう。

それが自身を守ることにもつながると……政府はいうが

 

「一夏の身代わりに使われると、納得しているのか?」

 

「俺や狼牙には後ろ盾がないですからね」

 

「親もいなけりゃ親族もいないと……でも、人道的に扱ってもらえるならいい方です」

 

二人は捨て子だった。

それは今の時代、よくあることだ。

まだ子を産んだこともない千冬は……境遇は似たようなものだが、二人の気持ちを理解できるのだろうか?

 

「それに、俺には狼牙がいる」

 

「俺には牙狼がいる」

 

不動兄弟は互いを見ず、千冬をまっすぐに見据え

 

 

 

「「俺たちは繋がっているから……危機に陥ったら、すぐ飛んでいくだけだ」」

 

 

 

牙狼は右手を、狼牙は左手……その中指にある指輪を見せる。

千冬はそんな二人を見て、フッと微笑む。

 

「お前たちの相棒か……聞いた話では、かなり独特だというが」

 

「ええまあ、こいつは癖が強いですね。なあ狼牙?」

 

「だな……でも、ISが使えるので問題はないですから」

 

二人の専用機。

しかし、その元になっているコアには……少しおかしな点がある。

それを千冬はまだ、知らないのだった。

 

「とりあえず、この学園にいる間は誰にも手出しをさせん……それぐらいしか、私には出来ない」

 

「全然構いませんよ」

 

「俺らには俺らで……牙狼と俺、夢ができましたからね」

 

不動兄弟は、歳相応の笑顔だ。

と、今朝のことを思い出したのか千冬は二人に問う。

 

「今朝のことか?」

 

「はい、俺は最強の座を」

 

「俺は、宇宙へ」

 

そう言いきる二人の顔は……決意したという意思がわかる。

と、狼牙は続けて言う。

 

「俺はガキの頃に見た、宇宙から地球を見た光景が忘れられないんですよ……ISは、それを叶えてくれる」

 

「なるほど……元々ISは、そういう意味で活用されるべきなのだがな」

 

「今は無理でも、いずれは……」

 

千冬はそれに頷き、牙狼を見る。

牙狼は目をそらさず、それを受け止める。

 

「牙狼、お前はどうなのだ?」

 

「……最強、ということは今より強く。今持つ力、それをさらに超えて……」

 

いったん言葉を切り、自身の右手の中指にある指輪を見て

 

 

 

「【ブリュンヒルデ】である織斑千冬さん、俺は貴方を超える」

 

 

 

視線を再び千冬に向け、牙狼は正面からそう言いきる。

一瞬、目を少し大きく開いた千冬だったが……フッと微笑を浮かべる。

 

「まさか……ISをほとんど使っていないひよこにそう言われるとはな」

 

「すみません、無礼な言葉で……でもそれぐらい言っておかないと、将来超える人には」

 

「超えたい、ではなく超える……か。つまりお前はそれ以外の、代表候補生や一夏をもか?」

 

「はい。男なら、一番になってみたいものですから。ガキみたいな考えですけど」

 

「私から見たらまだまだそうだ、しかし……その考えは嫌いではない」

 

面白い、と。

あの教室で見せていた顔が嘘のように、とても綺麗な笑み。

 

「牙狼は物事を深く考えねえし、一直線すぎるんだよ」

 

「けっ、狼牙にいわれたくねえよ……ったく」

 

「本当……双子と言うのに初めて会ったが、同じに見えてこうも違うとはな」

 

千冬は苦笑しながらそう言い、席を立つ。

時間を取らせてすまないとだけ残し、部屋を出ていった。

そして、静けさが部屋を支配する。

二人も立ち上がり、部屋を出ようとした時……あることに気付いた。

 

 

 

昼休みが、ほとんど残っていない……つまり、昼食を食べれない

 

 

 

その事実に気付いた時は、すでに手遅れ。

石化した二人の耳に、無情にも……休み時間の終了を告げるチャイムが鳴るのであった。




もうすぐ一日目が終わるのか……早くIS出さないと。
今、はやっているノロウイルスやインフルエンザ。
皆さまも、十分お気を付けください。
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