騎士と獣と二つのコア   作:kouma

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第六話

6限目の授業が終わり、長く見えた授業も終了。

不動兄弟の転校から、波乱に満ちた一日が終わろうとしていた。

あの模擬後、各国家の専用機の戦いを見ながら……不動兄弟にとって、忘れられない一日となったのだ。

 

「……あー」

 

「疲れたな」

 

牙狼と狼牙。

寮の部屋は同じで、それは当然の配慮だろう。

しかし、男性がまだ三人ということもあり寮の中では無防備な女性がちらほら。

 

「狼牙、あれはもはや毒だ」

 

「違いない……で、こうして抜け出して屋上ってか」

 

「寝るまで……いや、織斑先生が来る前だが」

 

あの後、色々根掘り葉掘り聞かれることになってしまい……取材とやらも受けた。

正直にいえば、ああいうのはイケメンの仕事ではないのかと思っていた。

だが、研究所でしばらく拘束されていたころに比べれば楽ではある。

 

「…………ようやく、第一歩だな」

 

「俺も牙狼も、ね」

 

夢に近づく一歩。

二人にとって、それが何よりも嬉しいのだ。

しかし

 

 

 

(ん?……そう、悪いこと、するんだな……牙狼)

 

(そうだ、悪いことだ)

 

 

 

不動兄弟の顔が、よからぬことを考えた悪そうな顔になっている。

口に出さず会話をしている二人。

盗聴などはないと思うが、念のためと……互いに声のない会話を続ける。

 

(具体的には?)

 

(小遣い稼ぎといったところだ……方法は任せろ)

 

(楽しみだね、牙狼)

 

そうして会話を切り、二人は息を吐く。

と、狼牙が急にドアの方へ歩き出した。

 

「俺は先に寝るよ……牙狼は?」

 

「もう少しいるわ」

 

「了解」

 

ドアを開け、振り向かず軽く手を振りながら狼牙は出て行った。

それを見ずに、牙狼は夜空を見上げる。

 

 

 

「10代の男が何悲観じみた顔をしている?」

 

「少し、この世の非情さに嘆いていたところです……織斑先生」

 

 

 

振り向かずに牙狼は答える。

コツコツと、こちらに向かってくる足音。

隣に、スーツ姿の女性が来ている……千冬だ。

 

「何を言っているのだ、お前は」

 

「しょうがないでしょう、嘆きたくもなりますよ」

 

「……私と戦えないことがそこまで残念か?」

 

「そりゃもう、残念すぎて今夜添い寝をしてもらいたいぐらい」

 

「弟に頼むがいい」

 

バッサリと切られる。

まあ、どっちも本気で言ってるわけではないのが顔でわかるが……

千冬は顔を向けず、続ける。

 

「狼牙、お前たちのISは」

 

「第二世代と第三世代の中間……みたいな感じらしいです」

 

「……特徴を持ちつつ、中途半端か。だから武装もあれだけ、と?」

 

「コアも、です……どこから流れてきたのか知らないが、登録されていないものとか」

 

その言葉に、千冬は自身の友人の姿を思い出す。

彼女が手を出したとは考えられないが……

 

「あのコアは、噂では00番前。制式採用前の試作、実験用だったとか」

 

「なるほどな……だから、登録もされてないと?」

 

「あくまで噂です……しかし、コアネットワークにつながっていないのが証拠かと」

 

どういった経緯で入手されたかは不明。

そして、その制御も骨が折れるコア。

 

「……お前たちが、男だからか?」

 

「ま、男の専用機をそう毎回毎回用意できませんからね……あまりモノってとこです」

 

「そうか……しかし、今日の動きを見た感じでは」

 

「まだまだ、ですよ……」

 

 

 

 

 

 

もっと、もっと力を……俺は手に入れる

 

 

 

 

 

 

そう呟くように言う牙狼の横顔。

千冬は、言い知れぬ不安に駆られていた。

 

「……私を超えるためか?」

 

「どうでしょう……俺は、その先に行きたいのかもしれない」

 

「先?」

 

「この世界を……俺は」

 

「千冬ねえ大丈夫か!」

 

と、急に扉があけ放たれる。

牙狼は口を閉じ、千冬が目を細め……一夏を見る。

 

「ここではそう呼ぶなと」

 

「す、すみません……でなくて! さっき千冬ねえが牙狼に襲われてるって」

 

「「は?」」

 

何を言っているのだろうかこいつは?

二人してそんな声を出すと

 

「狼牙が慌てて俺にそう言ってたんだが……」

 

「よーしあの愚弟、命がいらねえらしいな」

 

すぐに理解したのか、いい笑顔になった牙狼。

対し、千冬は額に手を当てる。

 

「お互い弟に苦労するな……まったく」

 

「……あれ、でもマジで慌ててたぞあいつ!?」

 

「さあ、処刑の時間だ」

 

呆ける一夏の横を通り過ぎ、牙狼は獲物を探す獣のごとく走り出した。

それを見ながら、一夏は千冬の方を見る。

 

「お前ももう寝ろ……山田君の仕事を増やすなよ」

 

「あ、はい……織斑先生は」

 

「私も見て回る……早く行け」

 

そのまま、一夏がおやすみとだけ言い出ていくのを確認。

千冬は流し眼で夜景を見る。

 

(牙狼と狼牙は違う……二人は、考えが違い過ぎる)

 

先ほど聞いた言葉。

途中で一夏に遮られたが、あれは……

 

 

 

「牙狼……道を、間違えるなよ」

 

 

 

千冬のその言葉は、ここにいない牙狼には届かない。

新たな男性操縦者達。

この先に待つのは何か、今の千冬には知るすべもない。

そのIS学園に……波乱に満ちた臨海学校が、近付いてきていた。




そろそろ第三巻に突入。
……うーん、一夏ハーレムがいまだに書けない。
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