進撃の亜人   作:薩摩芋

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8話です。
ようやくリュカ登場です。
それでは、どうぞ。


8話

感情を持て余し過ぎると、人は無表情になるらしい、色々な色の絵の具を混ぜても結局灰色になってしまうように、たしかに俺もこの声を聞いた時は無表情だったと思う

 

「ウォールマリア南区、シガンシナ区出身

 

俺の中では色々な感情が渦巻いていた、1つは喜び、良かった生きてたのか、1つは疑問、どうして同期なのか?、他にも思うところは沢山あったが、一番強く思ったのは、怒りだった、生きていたのならどうして今まで教えてくれなかったんだ

 

リュカ=プレゼンチェカです」

 

姉さん

 

 

 

 

 

    8話

 

 

馬車の御者に「そろそろ着くから、出口開けても良いぞ」と言われ、エレンは出口を開けて外を見る、そこは、周りを森に囲まれて、木の生えていない広い敷地にぽつぽつと建物があるだけの殺風景な場所だった、その建物の中で一番大きな建物の前でエレン、ミカサ、アルミンの三人と途中から乗せた、おそらく同期になるであろう人達が馬車から降ろされる、同年代の少年少女が乱雑している。

そんな光景にエレンが感嘆の声をもらす

 

「見ろよ二人とも、凄い数だな!」

 

「エレン、あまりはしゃがないで、恥ずかしい」

 

興奮するエレンをよそにミカサの態度は冷たい、ミカサは分かっているのだ、数は多くても、この中にエレンと同じ調査兵団に憧れる者は、おそらくほんの一握り、むしろこれだけ人数が多いとエレンのような考えを持つものが疎まれる可能性も出てくる、ミカサはそれを危惧している

 

「まぁ、ヨウウェンさんも言ってたけど、適齢の人が訓練兵団に志願するのは風習だからね、世間体を気にして来た人も多いじゃないかな?」

 

どうやらアルミンも同じ考えのようで、言い方をこそ柔らかいが、あまり良く思っているわけではないようだ、しばらくそうして三人で話していると、奥から薔薇の刺繍が入ったジャケットを着ている女性の兵士らしき人が三人の前に現れた、どうやら彼女は駐屯兵団の兵士のようで、周りを見渡せば、たしかにチラホラそれらしき人がいる、丸眼鏡を掛けていて、いかにも真面目そうな人である

 

「君達は訓練兵団希望かな?」

 

「「「はい」」」

 

「なら、これから入団の手続きと、書類の確認、それと制服の採寸と受け取りがあるから、男の子は青い屋根の建物に、女の子はその向かい側の建物に行ってくれ、分かったかな?」

 

「「「分かりました」」」

 

三人の気持ちの良い返事に満足したのか、女性の兵士は一瞬微笑んでからまた別の人に声を掛けに行った、これから三人は別行動になる、エレンとアルミンは青い屋根の建物に、ミカサは向かい側の建物にそれぞれ向かう、ミカサはその事を残念に思いながも、渋々二人と別れた、ミカサが建物の中に入ると、エントランスにはもう既に何人かの少女がいたが、幸いまだ込み合っておらず、込み合う前に手続きを済ませるため、早足でカウンターにいる女性に話しかけた

 

「入団手続きをしたいのですが」

 

掛けられた声に反応した女性は、書類を見ていた顔を上げて、ミカサを見てから紙を取り出してミカサに幾つか確認を取る

 

「名前を」

「ミカサ=アッカーマン」

 

「出身地は」

「ウォールマリア南区、シガンシナです」

 

「ご両親は」

「いません」

 

「では、後見人の職業と名前を教えて下さい」

「憲兵団所属、北部開拓地監督ヨウウェン=マクタヴィッシュ」

 

一通り質問に答えると、それを紙に書き込んでゆく女性、書き終えると、女性は番号札をミカサに渡して、これからの流れについて説明を始める

 

「その番号と同じ数字の部屋に入って下さい、そこで制服の採寸を行います、採寸が終わればこちらに戻って来て下さい」

 

「分かりました」

 

非常に無駄のない事務的なやり取りが終わり、ミカサは言われた通り、自分が貰った番号札と同じ数字の部屋に入って制服の採寸をした、採寸が終わり先程のカウンターのあるエントランスに戻ると、もう既に沢山の少女でいっぱいだった、直ぐに済ませて良かった、と思うミカサであった、制服を渡されるまで暇なミカサは周りの会話に耳を傾けることにした

 

「うわっ!凄いこんでる!」「緊張するわ、、、」

「もう少し早く来るべきだったな」「お腹空きました」

「調理場に蒸かした芋があったぞ」「本当ですか!?行ってきます」「知り合いいるかなぁー」「ここの教官、凄い怖いっんだって!」「ヤダァ~!」「でもさぁ~、、、

 

などなど、年頃の少女は本当に良く喋る、何時も無口で無愛想なミカサには、どうしてそんなに喋れるのか?不思議でならなかった、しばらくそうしていると、ミカサの名前を呼ぶ声がした

 

「ミカサ=アッカーマン」

 

「はい」

 

ミカサを呼んだのは、先程のカウンターにいた女性で、手に何か包みと、少し大きめの箱を持っている

 

「こちらが貴女の制服とブーツです、最低限の修復や手入れは自分でして下さい、ジャケットとブーツはそれぞれ一着、パンツは二着入っています、制服着用時ジャケットの中に何を着るかは貴女の自由ですが、動きやすく長袖の物が好ましいです」

 

一息で言うそれを、ミカサは聞き漏らさずに全て頭に叩き込む、続いて女性はこれからの流れを言う

 

「これからですが、先ずはその制服を奥にある着衣室で私服から着替え、着替え終わればこの建物の裏口から出て下さい、真っ直ぐ進めば教官がいるので、後は教官の指示に従って下さい、何か他に質問はありますか?」

 

「いえ、ありがとうございました」

 

何の温度も感じないこのやり取りの後、ミカサは制服に着替えてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

ミカサは制服の採寸が終わった後、真っ直ぐ教官の所には行かずエレンとアルミンを待つことにした、二人が既に教官の所に着いている事も考えたが、自分のいた建物の裏口から真っ直ぐの所に集合するのだから、向かい側の建物にいる二人は自分よりも少し遠いはず、そう判断してのことだ、その判断は正しく、暫く待っていると

 

「おーい!ミカサ~」

 

「お前待ってたのか」

 

と、二人の声がした、見た目は無表情で内心少し喜びを感じつつ、エレン、アルミンと合流して、三人で教官の所に行く、先を少し見るともう既に何人かの志願者が教官の所にいたが、不思議なことに幾つか列が出来ているにも関わらず、一例ごとの人数がバラバラである、その事を訝しんでいると、眼鏡を掛けたら優しげな初老の男性が来て、三人を別々の列に案内した、その後もぞくぞくと来る志願者達を、次々と捌いていった。

 

 

 

「貴様は何者だ!!!」

 

威圧感と意味分からないくらい大きな声がアルミンに襲い掛かる、自身の素性を聞かれているはずなのに、文にまったく“?”が感じられない、聞かれていると言うよりは、無理矢理聞き出されている、と言った方が適当だろう、アルミンは今更ながら自身の短慮を悔やんだ、アルミンはてっきり最初自分達を案内した、あの優しげな初老の男性がキース=シャーディスかと思ったのだ、だが実は彼はフェイクで、本物のキース=シャーディスは初老の男性とは正反対で、髪を全て削ぎ落とした悪魔だったのだ

 

「貴様は何しにここへ来た!!!」

 

「人類の勝利の役に立つためです!」

 

「それは素晴らしいな!貴様には巨人のエサになって貰う!3列目後を向け!」

 

これである、どれだけ正しい事を言っても、返ってくるのは罵声ばかり、しかも言う時に顔をメチャクチャ近づけてくる、怖い、凄く怖い、怖すぎる、どれくらい怖いかと言うと、見上げた教官の後に見える雲から、死んだお爺ちゃんが手招きしている幻影が見えるくらい怖い、もう3センチ顔が近ければ、アルミンは間違いなく何処かに逝ってしまっていたことだろう、だが、アルミンの恐怖はまだ終わらない、アルミンは見てしまったのだ、キースに後を向けと言われ、言われた通り回れ右をしたら、自分より2列後つまり、前から5列目に芋を食っている女がいることを。幸い教官はまだ別の男を怒鳴っているため気付いていない

 

「貴様は何者だ!!!」

 

「トロスト区出身、ジャン=キルシュタインです」

 

「貴様は何しにここへ来た!!!」

 

ジャンと言う男は、教官の顔に冷や汗を欠きながらも、ハッキリと言う

 

「憲兵団に入り、内地で暮らすためです。」

 

何のキレイごともない、素直な一言に教官は

 

「そうか、貴様は内地に行きたいのか」

 

「はい!「ふん!」ッ!!」「プッふ!、、、」

 

見事な頭突きで返した、アルミンは後に聞こえた誰かが噴き出す声は聞かなかった事にした、それが、いまだに芋を食っている女と同じ列からしたなんて気付かなかった事にした、これ以上の不安要素などノーサンキューである、だが残念な事に、教官は着実に芋を食っている女(芋女)に近付いてゆく、そしてその時は来た、コニーと呼ばれた男の子の頭を両手でアイアンクロウしながら、芋を食っている女の光景に流石のキースも唖然とする、唖然としながらコニーをアイアンクロウで持ち上げ続けている光景にも周囲は唖然としている、やがてコニーを降ろし(落とし)芋女に近付く

 

「おい貴様、何をやっている」

 

キースの静かだが、重い声が芋女に問を投げる、ここまでされても芋女は、キースが誰に向かって言っているのか気付いていないようだ、仕舞いにはもう一口芋をかじろうとして

 

「貴様だ!貴様に言っているんだ!!貴様は何者なんだ!!!」

 

間違いなく今日一番の大声を上げたキースに止めさせられる、流石の芋女もこれには驚くが、すかさず口に含んでいる残りの芋を飲み込み、キースの問いに答える、この女、実は大物なのかもしれない

 

「ウォールローゼ南区、ダウパー村出身、サシャ=ブラウスです」

 

「サシャ=ブラウス、貴様の右手に持っているモノは何だ」

 

子どもが聞いたら泣き出すどころか失禁確実の声で尋ねる、両サイドにいる男二人は関係ないのに既に泣きそうだ

 

「蒸かした芋です、丁度頃合いの物があると聞き、つい」

 

ハッキリと答えるサシャ、しかもこの事件にはどうやら他に黒幕がいるようだ、本当に誰だろう?

だがキースにはもっと聞かなければならない事がある

 

「貴様盗んだのか、何故だ、何故今芋を食べだした」

 

「冷めてしまっては元も子もないので、今食べるべきだと判断しました」

 

(そうゆう問題ではない)この思いは満場一致である

 

「いや、分からないな、何故貴様は芋を食べた」

 

「?それは、何故人は芋を食べるのか、と言う話しでしょうか?」

 

   ヒュー

 

沈黙と言う名の地獄が広がる、だが、最悪はこれだけにとどまらなかった

 

「ブッフォッ!!」

 

、、、、、、

 

「今笑ったのは誰だ!!!、名乗り出ろ!さもなくばここにいる全員この後死ぬまで走らせるぞ!」

 

(冗談ではない)この場にいる全員が思った、だが同時に諦めてもいた

(名乗り出る訳がない)と、しかし

 

「私です」

 

凛とした声がグラウンドに響く、アルミンは名乗り出た勇者を見て、言葉を失う、アルミンだけではない、エレンもミカサまでも言葉を失う、

 

「そうか、よく名乗り出た、では聞こう、貴様は何者だ?」

 

心なしかキースの態度が急に柔らかくなった気がする、だが、今のアルミンにはそんなことはどうでも良い、

多少容姿が大人びていても見間違える訳がない、

 

「ウォールマリア南区、シガンシナ区出身

 

風になびく銀髪に鋭い目つき、

そこにいたのは間違えなく、かつて死んだとされる

 

リュカ=プレゼンチェカです」

 

友達の姿だった。




はい、8話終了です。
実はリュカは最後以外にもこの話に出ています、分かりましたか?
そしてサシャをそそのかした黒幕とは一体誰なのか?
感想待ってます。
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