進撃の亜人   作:薩摩芋

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9話です。
訓練兵編は出来るだけギャグ主体にしたいと思ってます。
逆に訓練兵編が終われば、後はシリアス一辺倒にしようと思います、楽しんで下さい。


9話

ボゴッ!

 

「クッハ!?」

 

少年の後から、何の前触れも無く突然凄まじい衝撃と痛みが走る、その痛みたるや尋常ではなく、肺に入った空気を全て吐き出し、それでも少しも引かない痛みに遂に意識が遠のき始めた、ボヤける視界に最後に映った光景は、鋭い目つきに冷たい視線を自分に向ける銀髪の女の姿だった、少年は自分の記憶から該当する人物を探して、アタリをつけると最後の力をふり絞って声をだす

 

「な…ぜ?……」

 

そして少年の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

    9話

 

 

 

エレンと微妙な別れをして、リュカは部屋割りを確認した後、少し後悔していた

 

「(なにも出ていく必要はなかったな、しかもあれでは、結局エレンが何故私を嫌っているのか分からないままではないか)」

 

いくらショックだったとはいえ、大事な事を聞かなかった自分の軽率さに呆れ果て、先程の出来事と相まって、リュカのテンションは只今絶賛降下中であった、まぁ、ここで後悔していても仕方がない、リュカに限らず、訓練兵を志願する者は今日の夕飯までは、部屋割りの確認や荷物の整理など、何かと多忙なのだ、グズグズしてても時間は待ってくれない、リュカは気を取り直して今やるべき事をやる。

部屋割りの確認は済ませたので、次は荷物の整理をしなければならない、荷物はもう部屋に届いているらしいので、リュカは受付の人が教えてくれた自分の部屋に入った

 

「あれ?こんにちは」

 

「あぁ、こんにちは」

 

そこには既に先客がいた、茶髪をポニーテールで纏めた少女で、良く見ればなかなか愛敬のある顔立ちをしている

 

「君が私と同室者か、私はリュカ=プレゼンチェカだ、他の二人はどうした?」

 

「サシャ=ブラウスです、あと二人は知りませんね、私が一番のりです、はじめまして、と言うより私、貴女と一度会ってますよ」

 

どうやらこの部屋に来たのはリュカとサシャと言う少女だけのようだ、一部屋四人いるはずなので、残りの二人はまだ来ていないか、開拓地に行ってしまったのかもしれない、そんな事よりサシャの最後に言った言葉が気になるリュカ、たしか教官の前で芋を食っていた女の名前がサシャだった気がするが、自分と面識があっただろうか?本当に覚えがない

 

「本当か?すまないが記憶にないな」

 

「ヒドイですね、ほら制服の採寸の時ですよ」

 

リュカはサシャの言ったヒントをもとに必死に記憶の中を探る、

(制服の採寸の時に話した言葉?あの時はたしか……)

『お腹が空きました』

『調理場に蒸かした芋があったぞ』

『本当ですか!?行ってきます』

ようやく思い出したリュカは、手のひらに自分の拳をポンと置く

 

「思い出したぞ!私が芋の情報を渡したヤツか!まさか教官の前で食うとは思わなかった、あの時は思わず吹き出してしまったじゃないか!、と言うかお前走ってなくて良いのか?」

 

「荷物の整理が終わったら来い、と言われたので一通り片付いたら行こうと思います。」

 

リュカはサシャと教官とのやり取りを思い出し、一気に機嫌が良くなった

 

「そうか、私も荷物の整理が終わったら教官に会いに行こうかと思ってた、どうせなら一緒に行かないか?」

 

「本当ですか!?ではお言葉にあまえて」

 

どうやらサシャ自身も一人では心細く思ってたらしく、リュカの提案に喜んで頷いた、それから互いに自分の荷物の整理があるため、しばらく黙って整理をしていた。

最初は黙っていたサシャだったが、自分の荷物の整理が終わると退屈になり、リュカの荷物をチラチラと覗き始めた、リュカ自身も特に邪魔に思うこともなかったのでほっておいた、するとリュカの荷物の整理が大詰めを迎えた時、サシャの手がリュカの荷物の1つを取った

 

「プレゼンチェカさん「リュカでいい」……リュカは狩りでもするんですか?」

 

「ん?確かに私は狩猟が得意だが、何故そう思う?」

 

「いや、少し大きいですけど狩猟用のシースナイフですよね?これ、それにグリップの部分結構消耗してますよ。」

 

そう言ってサシャが持っていたのは、刃渡40㎝程のやや大きめのサバイバルナイフ、先端がダガーナイフと違い湾曲していて、刺突より撫で斬りに特化しているようだ、それは紛れもないリュカの私物で、リュカが御守り(物理)として持ってきた物だ

 

「たしかにボロボロだな、そろそろ革を巻き直すか、そういえばサシャはダウパー村出身だったな、サシャも狩りをするのか?」

 

「はい、しますよ、私は弓を使います、リュカは罠を張るんですか?」

 

「残念違う、私も得物は弓だ、それにしても珍しいな、正直同じ趣味をもつ女の子がいるとは思わなかった」

 

「私もです、しかも同室者なんて何だかさい先良いですね!改めてよろしくお願します」

 

今度は手を差し伸べてきたサシャ、ちょうど荷物の整理が終わったリュカはその手を取った

 

「こちらこそ、それじゃあサシャ、私も終わったから教官の所に行こう」

 

「わかりました、では逝きましょう、私これから死ぬまで走らされるんですよね、はぁ~先が思いやられます」

 

そう言ってトボトボと一人で歩き出すサシャ、そんな彼女の後ろ姿を見ながらリュカはボソッと一言

 

「自分でさっき、さい先良い、と言った次の言葉がそれか、忙しいヤツだな」

 

そう言いつつも口元はしっかり緩んでいる、話が合う友人が出来て余程嬉しいようだ、それから二人は雑談(主にお互いの趣味について)しながらなるべく遠回りをして、教官の所へ向かった、リュカは話と言っても、今までお世話になったキースにお礼をしただけなので然程時間は掛からなかった、サシャもサシャでキースが彼女を見つけると一言

「今から、走れ、死ぬまでな」

と、言うだけだった、サシャは言われた通りグランドをグルグル走り続けて、リュカはそんな彼女を見て「(取り敢えず、今晩の夕飯を少し分けてやろう)」と心に決めた。

 

 

 

 

サシャと別れたリュカは、部屋に戻ってナイフの持ち手に牛の革を巻き直していた、エレン達の所に行かないのは、正直まだどう接すれば良いのか分からないからだ、そもそもリュカは何故エレンに嫌われているのかすら分からないのだ

 

「(うん、今考えても仕方ないな、時間がたてば何とかなるだろう)」

 

問題の先伸ばしをするリュカ、まぁ実際今考えても仕方がない、ナイフの手入れが終わったリュカは気分転換に外をブラつく事にした、だが部屋のドアから出て直ぐに後ろから自分を呼ぶ声がした

 

「リュカ」

 

「ん?」

 

声を掛けたのはミカサだった

 

「リュカは今暇?」

 

「まぁ暇だか、それがどうした?」

 

これから散歩をしようとしていたリュカだが、別にそれは用事には入らない

 

「なら私の荷物を片付けるのを手伝ってほしい」

 

「なんだ、そんなことか、勿論良いぞ

 

そのかわり、とリュカは付け足す

 

今日の夕食は私と食べてくれ」……

 

 

 

 

 

「そもそも私は、エレンがリュカを嫌っているようには見えない」

 

「だって、私一度も目を合わせてもらってないぞ、それに私が話をふっても生返事ばかりだ、正直ちょっぴり傷付いた」

 

リュカは現在ミカサと二人で会話をしながら夕食を食べていた、今エレンがいると気まずいリュカは、ミカサ荷物の整理を手伝う代わりに、こうして二人っきりで食事をすることを提案した、ミカサは渋々頷いて今に至る、ちなみに今二人が話している内容は、リュカの

『どうしてエレンは私を嫌っているのだ?お前何か知らないかミカサ?』

と言う質問から始まった、先程のミカサの言葉はその回答である

 

「もしかしてエレンは、リュカを怖がっているのかもしれない」

 

「何故そう思うのだ?ミカサ、ちなみにそれが本当なら、まだ嫌われていた方が私的には楽なんだが」

 

嫌われているのなら理由が分かればまだ対処のしようがある、だが顔が怖いと言うならリュカにはどうしようもない、しかしミカサの返事は今まで誰も触れなかった事を言う

 

「だってリュカ眼鏡してないから、目つきがキツい」

 

そうである、リュカは今眼鏡をしていない、そもそもリュカの視力は悪くない、いや、むしろ良い、少なくとも5,0以上はある、幼少の頃着けていたのは、キツい目つきを誤魔化すための“だて眼鏡”である、では何故今は付けてないかと言うと

 

「そうなのか、調査兵団の皆は眼鏡が無い方が綺麗だと言ってくれたんだがなぁ、まぁミカサが言うならそうなんだろう」

 

単純に好みの違いだろう、調査兵団にお世話になっていた時は、目つきに関して特に言われる事はなかったからだ、リュカは眼鏡をはずすと大人から見れば“綺麗”になる、だが、子供から見れば凄まれているようにしか見えないのだろう、でもそうなら次からエレンに合う時は眼鏡を掛けなければならない、そう思いエレンの居るテーブルを見る

 

「……なにをやってるんだアイツは」

 

若干呆れ気味に見るリュカの視線の先には、何やら他の男との間に険悪な雰囲気を醸し出すエレンの姿、先程までは他の訓練兵に囲まれて何やら話していたが、急に何があったのだろう?まぁそんな事はどうても良い

 

「(不味いな、エレンは何故かは知らないが私のせいで気が立っている、このままでは騒ぎを聞きつけたキースさんに頭突きをされてしまう)」

 

弟の不幸を見過ごすほどリュカは人間腐ってはいない、

(止めに行かなくては)

リュカはそう思い席を立ちエレンに近づく、

ここまでは良かった、リュカも止めるとは言ったが、暴力を振るうつもりなど毛ほども無かった、だが、ここからがいけなかった、エレンと男の口論に火が付き、段々互いに使う言葉が荒く、下品になってゆく、リュカがエレンの真後ろについて“そこまでだ”と言おうとした瞬間、エレンは言ってしまった、リュカの前では決して言ってはいけない言葉を

 

「そこま「もういっぺん言ってみろこの“クソ野郎

”!!」」

 

瞬間リュカの顔から表情が消える、エレンも悪気があった訳じゃない、そもそもリュカの地雷が“クソ”と言う単語だなんてエレンは知らない、だが、リュカにとってそんな事関係無い、自分の最も触れてはいけない逆鱗に触れた者は例外なくぶっ飛ばす、例えそれが家族であっても

リュカはエレンの肩を掴む筈だった腕を引き、腰を落として、狙いを定める、場所はエレンの背中の右脇の近くにある臓器、体幹で貯めたエネルギーを拳に乗せて、放つ

 

ボゴッ!

 

「クッハ!?」

 

リュカの放ったパンチは、寸分違わずエレンの肝臓に吸い込まれていき、エレンはその場で崩れ落ちる、余りに唐突な出来事にその場に居る誰もが言葉を失う、あろうことかミカサまでも、そんな事、知ってか知らずがリュカは冷たい視線をエレンに向けて、これまた冷えきるような声で、痛みのあまり気絶したエレンに言い放つ

 

「良く覚えておけエレン、これ以上リュカパンチをくらいたくなければ、二度と私の前で“クソ”なんて単語を口にするな、分かったか?」

 

「…………」

 

リュカは言うだけ言うと、踵を返してその場を去って行った。

 

カーン カーン カーン、とまるで試合終了を知らせるゴングのような、食事終了を知らせる鐘の音が静寂に包まれた食堂に響いた。

 

 

 

 




はい、9話終了です。
リュカの地雷の原因は、6話のエピローグに書いてあります。
一応サシャとリュカは親友にするつもりです、それとリュカが「狩りが得意」と言いましたが、それだけで目と耳と馬術と弓の腕意外はリュカは普通なので、リュカはサシャの上位交換と思って下さい、立体起動はサシャの方がずっと上です。
いつまでたっても感想欄がキース教官の頭みたいな状態です、寂しいので感想下さい。
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