進撃の亜人   作:薩摩芋

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11話です。
更新遅れて本当に申し訳ありませんでした。
それにしても、まさかお気に入り数が増えているとは……減ることはあっても増えているとは思わず、とても嬉しかったです、有り難うございます。
それでは、どうぞ。


11話

「こら、エレン動かないの、上手く洗えないじゃない」

 

これは夢か?寝た覚えはないが、カルラさんがいるから昔の夢でも見ているのだろう、視界がボヤけているのは場所が風呂場だからだな、良く見れば私もいる、三人称視点で自分の過去を見るなんて不思議な夢だな

 

「だってオレも早くお風呂入りたい」

 

「ならばエレン、私がカルラさんに髪を洗ってもらうから早く其処をどけ」

 

う~ん、こうして駄々をこねる自分を見ると、少し恥ずかしい

 

「ダメよリュカ順番なんだから、後で洗ってあげるから我慢しなさい、お姉ちゃんでしょ」

 

カルラさん、分かって言ってるんだろうが“お姉ちゃんでしょ”は当時の私にとって殺し文句だ、それを言われると何でも言うことを聞いてしまう、あ~私が不満そうな顔をしている、気を付けろよエレン

 

「エレン、頭洗うから目開けちゃダメよ」

 

「そんなこと分かってるよ」

 

「おいエレン、あれを見てみろ」

 

そう言って何もない空間に向かって指を指す私、流石にそんな見え透いたイタズラに引っ掛かる程エレンは馬鹿では……

 

「ん?何がッて!!目が~ッ!!」

 

「アッハハハハ!」

 

あったか、すかさずカルラさんにかけられた水で、必死に目を擦るエレン、傷む目を押さえて「うっ」と涙を耐える、かわいい、えらいぞエレン!てゆうか誰だ?エレンにこんな酷い事をしたのは!許せん……私だった

 

「リュカあんまりエレンに意地悪してると髪の毛洗ってあげないわよ」

 

「すまなかったエレン、許してくれ」

 

我ながら呆れるほど頭の軽い女だな私は

 

「よろしい、おいでリュカ」

 

「うん」

 

「あら、随分かわいい返事ね」

 

「カルラさん、きっと貴女の気のせいだ」

 

「ぷぷッま、まぁそうゆう事にしておきましょう」

 

フフフ、こうして見ると昔の私は必死に大人になろうとしている子供みたいでなかなか愛らしいな、いや、‘みたいで’ではなく実際そうなのだろう、エレンは私の初めての弟だからな、今ではこの話し方にもだいぶ慣れたが、あの頃は苦労したものだ

 

「リュカ、貴女の髪はサラサラしてて羨ましいわ、洗ってる私も気持ちいいくらいよ」

 

私の髪を洗いながらカルラさんはそんなことを言う

 

「そ、そうか!ありがとう、でも私はカルラさんの黒髪の方が良いな、サラサラしているのはカルラさんもじゃないか、それに私と違って艶があって綺麗だ、私の髪は色で言えば銀だが、艶がないからな、どちらかと言えば灰色なのだ」

 

「そうかしら?私は灰色も雲みたいな柔らかい印象があるから好きよ」

 

なんだ?カルラさんめ、照れること言ってくれるじゃないか、あぁそれでも、やっぱり私は

  「あぁそれでも、やっぱり私は」

 

  貴女の髪が一番好きだ

 「貴女の髪が一番好きだ」

 

 

 

 

 

11話

 

 

 

Zzz・・・・

 

静寂に包まれた図書室にあるテーブルの上で、リュカは紙一枚だけを下敷きにするようにしてスヤスヤと居眠りをしていた

 

「リュカ、リュカ起きてください」

 

そんなリュカの肩を揺すり起こそうとするサシャ、そこまで強く力を入れてないあたり急ぎの用事があるわけでもないようだ

 

「もう起きてくださいってば「む?」」

 

いくら力を入れてないとは言え、睡眠中という無防備な時に体に力が加われば誰だって起きる、それはリュカも例外ではなく、テーブルに突っ伏していた体を起こして半目の状態でサシャを見てから一言

 

「……なんだ茶髪か」

 

「悪かったですね」

 

まだ寝惚けているようだ

 

「いや悪いわけではッ!なんだ?腰と首が痛いな、寝違えたか?」

 

そう言って頻りに自分の腰と首を揉みしだくリュカ、痛みは酷いが、おかげでリュカの目が覚める

 

「2時間も机に突っ伏してたら誰だってどこか傷めますよ、せっかく午後は自由時間になったのに、寝て過ごすなんて勿体ないですね」

 

現在の時刻は午後4時、普段ならば訓練に明け暮れている筈なのだが、今日は雨が降ってしまったため二、三年生が立体起動の訓練の代わりに練兵場で走り込みをしている、そのため一年生は外で訓練が出来なくなり午後の2時あたりで今日の分の座学を終えて、それから夕食の六時まで自由時間になったのだ

 

「どうせ明日は先輩達が荒らした練兵場の土を私達が整備することになるのだ、今のうちに休んでおくのが賢明というものだろう、ところでサシャ見たところまだ夕飯まで大分時間があると思うのだが、何か用か?」

 

雨で濡れた窓から外を見れば、雲っているにも関わらずまだうっすらと外が見える、季節は冬、夕飯の時刻になればもう星の光しか頼りにならないくらい暗くなる、つまり、まだ夕飯まで時間があるということ

 

「まだ寝惚けているのですか?リュカ、今日の夕飯の当番は私達じゃないですか」

 

「そうだったか?」

 

「そうですよ!しっかりしてください、リュカの料理は皆楽しみにしてるんですよ、コニーなんて貴女の御飯を美味しく食べるために、今必死に走ってお腹を空かせようとしてるんですから」

 

カルラ仕込みのリュカの料理は中々のモノで、調査兵団にいた頃は炊事を任されていたほどだ、サシャの言葉はリュカにとって嬉しい筈なのだが、しかしリュカはその言葉を聞いて何とも言えない微妙な表情をする

 

「ん~何と言うかコニーだからな、どうにも走りすぎて食欲無くすような気がしてならない」

 

リュカが言ったコニーとは104期訓練兵の同期である小柄で坊主頭の少年のことである、この少年、身体能力は高いものの如何せん頭が悪い、どれくらい悪いかと言うと、書類などで自分の名前を書く欄に

コニー=スプリンガー ではなく

コニー=ヌプリンガー と書いてあった、自分の名前すら書けないとは、これ如何に

 

「まぁコニーですから」

 

「コニーだからなぁ」

 

「「…………」」

 

二人の間に何故かしみじみとした空気が出来上がる、ちなみに、コニーに走るように提案したのはサシャだったりする、無論サシャはそんなこと忘れている、コニーも馬鹿だがサシャも大概頭の弱い女子であった

 

「行くか」

「行きましょう」

 

そう言ってリュカは荷物をまとめて図書室を後にする、微妙な空気と静寂を残して

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばリュカ、貴女が書いていた手紙、それ誰宛てですか?」

 

食堂の厨房に行く道すがら、移動している時間が暇なサシャはさっきから少しだけ気になっていた事を聞く

 

「これの事か?」

 

「そう、それです」

 

そう言って指を差した先にあるのは、先程リュカが下敷きにしていた手紙、ちなみに何の手紙かと言うと、リュカが眼鏡の作成を依頼するための物だ、目の悪くないリュカが度の入った眼鏡をすると逆に視力が悪くなってしまう、そのためリュカは特注で度の入っていない眼鏡、いわゆる‘だて眼鏡’を作って貰おうとしているのだ、それなりに値は張るし度の入っていない眼鏡など無意味であるが、リュカにとっては眼鏡の有無で第一印象がまるで違う、そして少年少女が沢山いる訓練兵団では眼鏡をしていた方が何かと都合が良い

 

「(って説明しても良いが、それではつまらんな)」

 

リュカがそう思う理由は後ろからする足音、音の大きさから体重を予測し、さらに歩くペースから候補を絞ってゆく、以上二つの条件に該当するのはリュカの知る限り一人、ミカサだ、リュカに何か用があるのだろう、先程から徐々に距離を詰めていて現在はリュカの三十メートルくらい後ろにいる

 

「(少しミカサをからかってやるか、クククッ、ミカサはどんなに顔をするんだろうな)」

 

リュカ達が居るのは学舎の廊下、雨で窓を閉めきっているため音を出せば良く響く、それこそ、後ろにいるミカサなら話し声すら聞こえるだろう

 

「恋人だよ」

 

リュカがそう言った瞬間、ミカサ一瞬の風になる

 

「ああ、そうなんで「相手は何処?」」

 

「……ッ!」

 

サシャの言葉を遮るようにしてミカサが話に入ってくる、先程までリュカの後ろにいた筈のミカサが、何故か正面に立ちジト目でリュカの両肩をガッシリ掴んでいて離さない、リュカはビックリし過ぎて声も出せず口をパクパクさせている、爆弾発言でミカサを驚かせる筈が逆に度肝を抜かれるリュカ、もう救いようが無いほどの見事な自爆である

 

「もう一度聞く、相手は何処?リュカ」

 

反応のないリュカにミカサが再度問いかける、今だに声は出ないリュカだがここで漸く頭が回りはじめる

 

「(お、落ち着け私!お前は姉だろ、妹のジト目に臆してどうする!それにこのままでは眼鏡職人さんが危ない)」

 

既に気づいている人もいるだろうが、ミカサは「相手は‘誰?’」ではなく「相手は‘何処?’」と聞いている、場所を知ったミカサは相手をどうするつもりなのだろう、ミカサは一言も過激な事を口にしていないが、リュカにはどうしても眼鏡職人が無傷でいられる未来が想像出来なかった

 

一方その頃ミカサはかつてない程の怒っていた、最初はそうでもなかった、いきなりリュカが恋人がいるなんて言うから、少し何処にいるのか聞いただけである、何処にいるのか分かったら、適当に空いた日にエレンを連れてどんな人物か自分の目で確かめて、自分もエレンもリュカに相応しいと思うほどの人だったなら、取り敢えず手紙のやり取りから認めよう、と思っていたのだ、しかし反って来たのは沈黙

 

「(何か言えない事情がある?)」

 

ミカサがそんなことを思うのは有る意味当然の事である……当然の事であるのだろうか?

 

「もう一度聞く、相手は何処?リュカ」

 

念のためもう一度聞く、だが、やはり反って来たのは沈黙、それだけではない、良く見れば少しだけ怯えているようにも見える、ここでミカサは1つの仮説をたてた、それは

 

「(もしかしてリュカは弱味を握られているだろうか?)」

 

少し、いや、かなり思考が跳躍しているがそれだけリュカが怯える事は異常なのだ、実際はミカサのジト目にびびっているだけであるが

 

「(そう考えれば全てつじつまが合う)」

 

いや、合わない

ちなみにミカサの頭の中では、ゲス顔の男が、嫌がるが抵抗出来ないリュカを無理矢理押し倒している所まで想像して、止めた、いくら常人よりも遥かに高い戦闘力をもつミカサでも、まだまだ中身は12才の女の子、押し倒されてから先はオトナの世界、子供のミカサには分からない、ただまぁ

 

「(取り敢えず手紙の受け取り主はヤってしまおう)」

 

そう心に誓い殺気を膨らませるミカサ、それに気付いたリュカは自分がボケッとしている間に事態がさらに悪化しているのを感じた、そして、そんなことを知らない能天気なサシャが余計な事を言う

 

「宛先はトロスト区のサンシェスタ通り七番地って書いてありますね」

 

いつの間にかリュカの落とした手紙を拾ったサシャが、今一番重要な情報を口にする、その言葉にミカサとリュカが同時にサシャの方に向く

 

「な、何ですか二人とも?」

 

二人の相対する視線に少しだけ怯むサシャ、リュカはサシャに「言いやがったこのアマ」と言う非難を含んだ目を、ミカサは「よく言った」と言う称賛を含んだ目をする、いよいよあとがなくなったリュカ、極限の緊張の中で頭の中に何やら幻聴が聞こえてきた

 

『おや、綺麗なお嬢さんだね』

 

それはたしか、初めて眼鏡職人さんと会った日

 

『え、度の入っていない眼鏡?』

 

『そんなの作ったことないねぇ~』

 

『そこをなんとかと言われてもねぇ~』

 

『特注だからねぇ~それなりにコレが必要なんだよねぇ~』

 

そう言って、人差し指と親指で輪を作っる眼鏡職人さん

 

『そんなにない?それは困ったねぇ~こっちも仕事だからねぇ~』

 

『よかったらおじさんが良いお仕事紹介してあげるよ』

 

『大丈夫大丈夫、お嬢さん見た目綺麗だから、クフフフきっと大儲け出来るよ』

 

何だか急に眼鏡職人を庇うのが馬鹿らしくなったリュカ、住所もバレて、庇う者もいなくなり、いわれのない罪で勝手に身の危険にさらされる、だが何よりも不幸なのが、その事を本人が全く知らないことだろう、最早眼鏡職人の命は風前の灯、果たして彼の命はどうなってしまうのか!?

 

 

続く

 

 

 

 




はい、11話終了です。
こんな下らない話で2話も使うのは少し勿体ないと書いてて思いました、訓練兵編はあと4話くらいで終わらせたいですね。
それと、関係ないのですがメタルギアファントムペイン始めました、色々思うところはありますが、取り敢えず一言、パス生きててよかった~!
感想まってます。
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