進撃の亜人   作:薩摩芋

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13話です。
前の話は調子のって10000字も書いてしまいましたが、これからは5000字くらいに抑えようと思います。
それでは、どうぞ。


13話

突然だがここで私の奇妙な同室者を紹介しよう、私が所属している訓練兵団は寮制で、毎日一部屋四人で寝泊まりをしている、当然私もその例に漏れず、私の他に三人の訓練兵が同じ部屋にいる

 

サシャ=ブラウス

私が訓練兵になってから記念すべき友人第一号である、家族や幼なじみを除けば、お互い趣味が狩りというのもあって友人の中では最も親しくしてもらっている、頭の性能は残念の一言だが、彼女の純粋な性格は私の好むところだ、今後とも良い関係を続けたい。

 

ユミル

彼女の名前はユミル、私が知っているのはそれくらいだ、同室者として一年ちかく一緒にいたが、今だにあの女のことはよく分からない、いつもヘラヘラとしている上に自分の事をまったく話そうとしない、ここまで掴み所の無い人間は初めてだ、まぁ話していて退屈しないし、頭のキレも悪くない、浅く付き合う分には問題ないだろう……サシャを苛めるのは関心しないが。

 

クリスタ=レンズ

我が104期訓練兵が誇る女神様だ、優れた容姿と心優しい性格、小柄な体格にも関わらず辛く厳しい訓練に耐え抜く姿はさぞかし男共には魅力的に写るだろう、おまけに、誰にでも分け隔てなく平等に接する事ができる稀少な人間でもある、これだけ揃えば誰もがこう思うだろう「彼女、クリスタ=レンズは間違いなく素晴らしい人間である」と、事実彼女は男女問わず人気者だ、だが、どうにも私は彼女の事が気に入らない、ユミルとは反対で‘嫌いではないが絶対に好きになれない’そんな感じだ、特にあの女が我が身を犠牲にしようとしている瞬間なんて鼻で笑って皮肉の一つでも飛ばしそうになる、もしこの感情があの女に対しての嫉妬ならば、まだ楽なのだがな……どうやらそうゆう訳ではないようなのだ、まぁ何れにしても出所の分からない感情に身を委ねるわけにはいかない、あの女とは表面上は仲良しこよししていよう。

 

 

 

 

 

 

    13話

 

 

 

 

 

 

「う、ん? 朝か」

 

まだ日も上っておらず、真っ暗で冷たい部屋でリュカはおもむろに起き上がる、枕の脇にある眼鏡を掛けて、ベッドのすぐ側においてあるブーツに足を入れる、そしておもいっきり紐をきつく締め上げ緩くなる前に素早く結ぶ、膝から下をすっぽりと入れてしまう程大きなブーツ、ふくらはぎに感じる圧迫感が心地よい

 

「くぅッ~!!」

 

いまだ覚醒しきれない意識を背伸びをすることで無理矢理覚ます、と同時に全身の凝り固まった筋肉も伸ばす、体全体に血液が巡り僅かに体がポカポカしてきた、その状態のまま右手にシャツと真っ黒の手袋を持って部屋をあとにする

 

「よし!行くか」

 

 

 

 

 

リュカが訓練兵になってから1年の月日が流れた、1年も居れば自然と毎日の行動がパターン化してくる、日々の訓練は日によって違うが、リュカの朝は天候の変化や怪我等が無い限り、基本的には毎朝起床してから朝食前の点呼までランニングやストレッチ、馬の世話などをして時間を潰している、いや、していたの方が正しいか、そして今、リュカが居るのは兵舎から歩いて10分程にある森の中

 

「相変わらず大きいな……」

 

だが、ただの森ではない、リュカの前に悠々と佇む高さ50m以上ある木、名を巨大樹、それが何本もそびえ立つ‘巨大樹の森’と呼ばれる所にリュカは居る、訓練場の巨大樹の森は主に立体機動の訓練ないし試験などに使われるが、リュカは今、上は半袖の肌着に手袋、下はズボンにブーツといった比較的軽装で来ている、立体機動装置は着けていない、だからといって別にハイキングに来た訳でもない、巨大樹の目の前にいるリュカはその場でストレッチを始める、彼女はこれからこの巨大樹を登ろうとしているのだ

 

軽いストレッチにより体を暖めたリュカは、本格的な柔軟運動に移行する

 

「スゥーッ!!ハァー」

「スゥーッ!!ハァー」

「スゥーッ!!ハァー」

 

大きく息を吸い、ゆっくりと吐きながら筋肉を限界ギリギリまで伸ばす、同じことを3回繰り返すと体勢を変えてまた伸ばす、肩から始まり 腕 指 股 太股 そして脚の腱を伸ばしきったところでリュカの柔軟は終わる、手袋を嵌めて巨大樹の前で軽くトントンと跳ね、そっと巨大樹の肌に触れる、溝や出っ張りでゴツゴツとした巨大樹の表面にしっかりと指を食い込ませ

 

「ふっ!!」

 

体を一気に持ち上げる、この時脚に力を入れて助走をつけるのも忘れない、出だしは好調、この勢いをなるべく殺さないようにリュカは上へ上へと登っていく、その様は木登りと言うよりはクライミングに近かった

 

やがてリュカは地上から5m程の高さにある枝まで登り、そこに腰を掛けしばらく休憩をする、巨大樹の表面には縦向きの溝しかなくとても掴みずらい、おまけに足を引っ掛ける所も無いため握力と背中の筋肉を酷使することになる、故にこうして小まめに休憩を挟まねばならないのだ

 

「ふぅ~、よし」

 

休憩が終われば、リュカはまたクライミングを再開する

 

それからしばらく木登りを続けていると、後ろから足音が聞こえてきた

 

「うん!?だ、誰か来たな」

 

リュカは慌てて近くにある枝に掴まり木登りを止める

実はリュカ、一度木登りをしている風景を見た友人のサシャに

 

『まるで虫みたいですね』

 

と言われ、ショックのあまり落下してしまったことがある、幸いたいした高さもなく、また地面が柔らかい土であったため怪我はしなかったが、リュカの心は大いに傷ついた、それ以来リュカは人の気配がするとすぐに樹から降りるようにしている

 

「しかし困ったな、この高さを飛び降りるのは無理だ」

 

下を見れば地面まで結構な高さがある、どれだけ綺麗な受け身をとっても何処かしらの骨は確実に折れる、今後の訓練に支障が出るほどの怪我をすれば最悪卒業することが不可能になってしまう、それはリュカの望むところではない、よってリュカがとった行動は

 

「ふ、そいっ!」

 

上の枝から下の枝に跳び移る、なるほど確かにこの方法なら虫に見えることはないだろう?……多分、それにこの方が多少危険だが普通に降りるより遥かに早い、巨大樹はその枝まで大きく、足場としてはとても安定していた、テンポ良く降りていくリュカ、この調子で行けば背後にいる気配の主がリュカを視界に入れる前に降りることが出来るかもしれない

 

「猿かよ、お前は」

 

が、世の中そう上手く行くはずもなく、あと少しのところで件の人物が来てしまった、声を聞き誰かはすぐにわかったリュカだが、いかんせんリュカは今巨大樹の枝にぶら下がっている、そんな状態で会話など出来る筈もないので、一先ずは残りの枝をトントンと降りて行き、最後は5mの高さを一気に落ちる

 

ドンッ!!

 

着地、片膝と両手を地面に着ける形でその場に停止する

 

「やっぱ猿だな」

 

顔をあげて、目の前でカラカラと笑う人物に顔を向け立ち上がるリュカ

 

「おはようユミル、朝っぱらからこんなところに何しに来たのだ?散歩か?」

 

「まさか、こんな薄気味悪いとこ誰が好き好んで来るか」

 

今リュカと話している人物の名前はユミル、姓も出身地も分からない謎の多い人物であり、同時にリュカと同室者でもある、付き合いは長いが、サシャに恩を着せて使い走りにしたり、たまに無遠慮な発言をしたりするのでリュカは彼女のことをあまり良く思っていない

 

「そうか?陰気なお前にはお似合いだと思うぞ」

 

そのため会えば必ずリュカはユミルに憎まれ口を叩いているのだが

 

「ハッ!違いない」

 

どうゆうわけか彼女はとくに気を害した様子はなく、寧ろ余計にご機嫌になる、リュカとしては彼女のこうゆうサバサバしたところは好感を持っており、好きにはなれないが、どうにも嫌いになれない人物でもあった

 

「それで結局お前何しに来のだ?」

 

「あ?何でだっけ?あ~思い出した、そろそろ点呼だぜ、早く食堂に来な」

 

「そうか」

 

どうやらリュカの知らない間に随分と時間がたっていたようだ、巨大樹の森はその大きさ故にまるで光を通さない、真っ昼間ですらやや薄暗く、夜になれば真っ暗になり、闇が最も深くなる夜明け前にいたっては瞼を閉じているのとそう変わらないだろう、人よりも夜目のきくリュカですら時間の経過が分からなかった

 

「おいおい、せっかく人が教えに来てやったのに、そうかはないだろ、もっとこう無いのか?お礼とか」

 

人をおちょくるような軽薄な笑みを浮かべるユミルだが、不思議とこの女には良く似合う

 

「そうだな後でクリスタには礼を言わなければ」

 

「は?何でクリスタなんだよ?普通私だろ」

 

心底不思議そうな態度を取るが、その仕草も何処か大袈裟で、惚けているのかまるわかりだ

 

「何を言っているのか分からないな、どうして私がお前に礼をいわなければなならんのだ」

 

「そりゃ~遅刻しそうな友人のために、こんなクs「ん?」……こんな寒い朝にわざわざ足を運んでやったんだ、礼の一つや二つや三つ貰ってもいいと思わないか?」

 

「思わないな、お前が理由もなしになんの利益にもならないことするわけがないだろう、……たしか今日の水汲みの当番はお前だったな、どうせサシャに‘リュカを呼んでくるから変わりに水汲みしといてくれ’みたいなこと言ったんだろう」

 

「……80点だな」

 

「ならば付け足そう、サシャにはああ言ったが実は私を呼びに行くつもりなど無く、クリスタと二人で食堂に向かっていたが、道中サシャを騙した事をクリスタに勘づかれ私を呼びに行くようクリスタに促された、どうだ?」

 

何もかもおみとうしだ、と言わんばかりのキメ顔をするリュカ

 

「アッハハハ!ご明察、すげぇなお前」

 

一体何がそんなに面白いのかリュカにはさっぱり分からなかったが、別にリュカにとってはどうでも良いことなのでとくに言及はしなかった

 

「まぁそうゆうわけだから、さっさと来いよ、お前が来ないと私が仕事をサボったみたいに思われる」

 

それだけ言うと手をヒラヒラさせてその場を去ろうとする、そんな彼女に声をかけてリュカは引き留める

 

「おいユミル一ついいか?」

 

「何だよ?」

 

鷲のような細く鋭い目付きで振り返るが

 

「さるって何だ?」

 

リュカの言葉を聞いた瞬間、また軽薄な笑みになり「さぁな」などと曖昧な言葉を残しユミルはスタスタと行ってしまった、手袋を外し、一緒に持ってきたシャツのボタンを閉めながら、リュカは遠ざかるユミルの足音を聞く

 

「わからん奴だ」

 

ボソッと言った一言は、暗く静かな巨大樹の森に吸い込まれ、消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

朝のトレーニングを終えたリュカは、ユミルに言われたとおり真っ直ぐ食堂に向かって行った、やがてリュカが食堂のある建物の前に着くと、そこには既にサシャ クリスタ ユミルの三人が待っていた

 

「おはよう三人とも、待たせてしまったか?」

 

リュカの声を聞いた三人が一斉に振り返ると、何故かサシャは涙目でユミルはニヤケ顔である、状況がサッパリ掴めないリュカだったが、二人を微笑ましく見つめるクリスタを見つけ、大体理解した

 

「リュカ!調度良い時に来ました!」

 

涙目のサシャがリュカに駆け寄る

 

「聞いてくださいリュカ!ユミルが私の事を食い意地張った牛女なんて言うんですよ!酷いですよね!これは名誉毀損で訴えられます」

 

「お前随分難しい言葉知ってんだな、誰に教えてもらった?」

 

「リュカです」

 

「そうか、いや分かってたが、だが残念だったな、折角その録に容量の無い頭の大部分を消費してまで覚えていたのに無駄にさせちまって、仮に裁判になったら‘この国に本当の事を言ってはいけない法律などない’って判決が下るだろうさ」

 

「ムキーッ!!まだそんなことは言うんですね!でもそれもここまでです!リュカが来たからには貴女はもうおしまいなんですよ、さぁリュカ!ユミルに何かギャフンと言っちゃってください!」

 

(いや知らんがな)

 

口には出さなかったがリュカは確かにそう思った、必死なサシャには申し訳ないが、リュカにとってはサシャが人だろうが牛だろうがどちらでも構わないのだ……まぁ敢えて言うならばサシャは牛というよりもリスだとリュカは思っている

 

おっと話が横に逸れた

 

正直な話、リュカとしてはここでサシャ達と駄弁ってないで早く食堂で朝食を食べたい、朝からそれなりに激しい運動をした後なのだ、お腹が空いてしかたない、もうこの場は適当に流そう

 

「サシャ、ユミルはな沢山食べるお前が愛らしいと言っているんだ」

「そうなんですか?」

 

「違う」

 

「サシャ、お前は牛肉が大好きだろう?」

「はい」

「つまりユミルはそれと同じくらいお前のことが大好きだと言うことだ」

「なんだそうだったんですか」

 

「違う」

 

「分かったか、ならもうこの話はおしまいだ、さっさと中に入って温かい朝食でも頂こうじゃないか」

「はい、そうしましょう」

 

「おい」

 

メチャクチャな形で話を纏めたリュカは、そのままサシャを引き連れ食堂に入って行く、後ろからクリスタと一緒にいるユミルが何か言っているが、無視だ無視

 

 

 

 

 

 

 

「しらかば7号室、クリスタ=レンズ、リュカ=プレゼンチェカ、サシャ=ブラウス、ならびにユミル、起床しました」

 

「うむ、確認した」

 

白髪で初老の眼鏡を掛けた男性が、食べていたであろう朝食を脇におき、紙に○を付けて行く

 

この点呼、今はクリスタが行っているが、本当は室長であるリュカがするべきことだ、だがリュカが確認をとってもらうのはいつも決まってキース教官、食堂にいる教官なら誰でも良いのに、よりにもよってキース教官である、何故キース教官なのかと言えばそれはひとえにリュカがキース教官になついているからだ、別にクリスタとユミルは誰でも良いのだが、度々問題を起こすサシャにとってはキース教官はまさに天敵、できれば朝っぱらから遭遇するなど勘弁したい、そのため今は点呼は無難なクリスタが行っている

 

ちなみにサシャがキース教官を怖がっているのをリュカに相談した、際リュカからは

『彼は怖いのではない、厳しいだけだ、それにたまにする笑顔なんて威嚇した熊みたいで可愛いぞ』と、常人には理解できないキース教官の魅力を語られたそうだ

 

 

 

「あぁそうだ、待ちたまえ君たち」

 

点呼が終わり、朝食を取りに行こうとしていたリュカ達を白髪の教官が引き留める

 

「今日キース教官が大切な事を確認したいそうだ、よってお前達104期訓練兵は朝食が済み次第、ただちに練兵場にあるグラウンドに集合するように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練兵になって一年が経つと立体機動と呼ばれる対巨人用の戦術の指導が本格的に始まる、しかしこの立体機動は恐ろしく心と体を酷使する、その過酷さたるや訓練中に死人が出てしまう程だ、そのため今は身も心もなるべく強くさせなくてはならない追い込みの時期である、教官達の指導にも熱が入り、当然訓練は過激さを増す

 

「いいか!?良く聞けこの豚共!!」

 

鼓膜を通り越し脳まで震動する程大きな声が練兵場に響き渡る

 

朝の点呼と朝食を済ませたリュカは真っ直ぐ練兵場へと向かった、それは他の訓練兵も同じで練兵場には104期訓練兵が全員そろって整列をしていた、先程までややざわついていたがキースの強烈すぎる第一声のおかげで一気に静かになる

 

これから彼が行うのは極端に辛くなる訓練に、付いてこられる、いや、付いてくるつもりがあるのかどうか、訓練兵に意志確認をするつもりなのだろう

 

「今日から本格的な立体機動の訓練が始まる!今までみたいなちゃちな機械運動ではなく本物の立体機動装置を着けた訓練だ!言っておくがな!俺が教官になって、いや!この立体機動の訓練が訓練兵団のカリキュラムに取り込まれてから、死人が一人も出なかった年など存在しない!」

 

教官の言葉に何人かが息を飲む、彼の言葉はよく響く、それは、鼓膜は勿論のこと心までもが奮えるのだ、内側からビリビリさせるような緊張感は、これから彼が話す内容がどれだけ重要な事か、聞く者に否応なく理解させる

 

「はっきり言おう、今の貴様らの体で立体機動を行えば恐らく半分以上が運が良くて怪我、悪ければ死ぬ!いいか!?これでも少なめにめに見積もっている!実際に行えばもっと酷い結果となるだろう!」

 

最悪なことに教官は台があるのに乗っておらず、ネチネチとゆっくりとした速度で整列した訓練兵の前を通り抜けながら言っている、その上言うこと全てが不安な事ばかり、だが何よりも最悪なのは、彼は決して悲観的なことは言わず、ただ事実を大声で言っているだけであること、そしてその事を、ここにいる訓練兵全員が理解していることだろう

 

「だが!それは今すぐ立体機動を始めた場合だ!幸運なことにお前たちの訓練に生死が関わるようになるのはおよそ三ヶ月後!その三ヶ月間!俺が直々にお前たちを鍛えてやる!心臓食い破られる程キツい訓練をたっぷり用意してあるから楽しみにしていろ!仮に本当に貴様らの心臓が止まった時はこの俺が人工呼吸してやるから光栄に思え!」

 

後半何を言っているのかよく分からなかったが、要するにこれからの訓練はより厳しくなると言うことだ

 

「勘違いするな!最初の一年でここを去った者は論外だ!根性が無いにも程がある!お前たちは今日!この日この時をもって初めてスタートラインにたったのだ!たが!始まりは皆同じだと思うな!この中の何人かは既に兵士と遜色ない肉体を持っている者もいる、残酷な話才能や適性は存在する、それが原因で腐る者もいるだろう、それは仕方のないことかもしれない」

 

言葉を重ねて行く内にキースの表情に影が差す、が、それも一瞬、直ぐにまた凶悪な顔つきになる

 

「しかし!世俗ならばいざしらず、ここ訓練兵団ではそのような者は赦されない!俺は一度として俺の気に入らない腐りきった訓練兵を卒業させたことはない!無論今後もそのつもりだ!」

 

この激励も最後が近いのだろう、キースは歩き回るのを止めて台の上に立つ

 

「逆に言おう!どれだけ才能が無くとも、どれだけ兵士としての適性が合わなくとも!決して腐らない強靭な意思がある者ならばソイツは必ず兵士になる!なぜなら俺がそうさせるからだ!」

 

根性を見せて努力を惜しまなければ最後まで面倒を見てやる、キースはつまりそう言っているのだ、彼の意図に気付いた者もいれば、そうでない者もいる、唯一つ共通するものがあるとすれば、彼の言葉を聞いていると不思議と、胸の奥から熱いナニカがせり上がって来るのを感じた

 

「屈強な肉体!強靭な精神力!これらは兵士となるためには最低条件であり、そして全てだ!その上で貴様らに聞こう、問えるか!?己の心に!自分の命ははたして捧げる価値があるのかを!返事は聞かん!上部だけでは意味がない!故に見せろ!この俺に!自分自身の命の価値を!」

 

散々脅された挙げ句、最後の最後で試すような事を言われた、そんなことをされたら彼らの返事はもう決まっていた

 

  「「「「「ハッ!!」」」」」

 

満場一致で肯定の意を示す、教官の口ぶりから察するに、これからの訓練は今までとは比べ物にならないくらいハードなものになってゆくのだろう、そんなことはここにいる全員が理解している、理解した上でそれを是としているのだ

 

 

 

 

まったく大したものだろう

 

 

 

 

 

 

 

キースという男は

 

 

 

 

 

 

こうして104期訓練兵団の過酷な日々が幕を開けた。




はい、13話終了です。
キース教官の激励はキングダム読みながらノリと勢いで書きました、反省しています。
感想待ってます。
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