正直自分でも前置きが長いと自覚してますが、書いていて面白くなってしまいズルズルと2話まで引きずってしまいました、反省してます。今回は少し短めです。
それでは、どうぞ。
あぁ、何ていい気分なんだ、まるで雲の上に乗ったかのようなこの全身を包み込む包容力、この心地を前にしては起きなくてはならない、そんな責任感まで四散させる罪深い快感、もう駄目だ、堕ちてゆく、夢の中に。
おやすみなさい
「…きろ、お…!起きろ姉さん!!!」
むくっ、
「やっと起きた、おはよう姉さん」
「…あぁ、おはよう、エレン私は不機嫌だ」
理不尽な姉の寝起きの悪さがエレンに牙を剥く。
トントントン、軽快な音がイェーガー邸に響き渡る、だがそんな軽快な音とは裏腹に何時も騒がしいはずのイェーガー邸のリビングでは、ピリピリとした空気が漂っていた、理由はなんと姉弟喧嘩である、実は今まで何度か姉弟喧嘩はあったが大抵悪いのは、やんちゃなエレンであった、しかし今回ばかりは悪いのはリュカである、原因は些細な事でエレンが寝坊しそうなリュカを起こしたことだ、だがこの時リュカはかつて無いほどの快眠で、それを邪魔したエレンに八つ当たりをしてしまったのだ、それ以来二人は一切会話せず、この冷戦状態が続いており、その空気に当てられてミカサまでピリピリしているのである。
「、、、」
「、、、」
「、、、はぁ、二人ともいい加減にしなさい」
痺れを切らしたカルラが言う
「今回ばかりはリュカ、あなたが悪いわ、エレンに謝りなさい」
「、、、早く薪拾いにでも行け」
「リュカ!」
「ッ!!そうかよ!ミカサ行こうぜ!」
「あ、うん」
バタンッとドアが乱暴に閉められ、エレン達は出ていった。
「どうしたの?リュカ、あなたらしくもない、何かあったの?」
先程とはうって変わって、優しげな声でカルラは尋ねる、まぁ、そうだろうリュカは同年代と比べても頭一つ抜けて大人びている、少なくとも寝起き悪さで癇癪起こすような子ではないのだ、何かあったと考えるのは至極当然だろう。
「分からない、だが何故か今朝から感情を上手くコントロール出来ないのだ、エレンには悪いことをしてしまった、今は無理だがもう少し経ったら謝りに行こうと思う」
「そうしなさい、それにしても私意外だわ、リュカにもそうゆうとこあるのね」
「私だってまだ子供なのだ」
子供はそんなこと言わない
一方その頃エレンは
「なんだよ!姉さんのあの態度!!」
歩いて幾分かは気が紛れたとはいえ、いまだにプリプリしながら薪拾いをしていた。
「エレン、手が止まってる、私はエレンの付き添いなのに、私の方が働いているのはおかしい」
「分かってるよ!そんくらい」
「そう、ならいい」
エレンとしても何も八つ当たりされただけてはこんなに怒らない、タイミングが悪いのだ、今日は調査兵団が帰ってくる、エレンはいつもより上機嫌に目が覚めた、オマケに普段隙を滅多に見せない姉が、今日に限って寝坊している、だからリュカを起こせば
「エレンに起こされるなんて、私もまだまだだな、ありがとうエレン、おはよう」
こう言われると信じて疑わなかった、だが結果はなんと八つ当たり、しかもリュカは寝るとき眼鏡を外すため眼孔が鋭くて、マジでエレンは恐怖した、朝の上機嫌を台無しにされたのだ。
そして今それを思い出して、急にやる気が無くなってしまい
「あぁ~もう、やめた」
ついにふて寝を始めた。
ズズ、、ザーザーグルグル
ノイズの入った不愉快な音と一緒にボヤけた視界が次々と見慣れない光景を映し出す、気持ち悪い、どれもこれもハッキリとは見えず自分が視界を認識する前に映像が変わる、気持ち悪い、そして最後に見た光景は少し長めで、ボヤけていたが、なんとなく分かった、それは、小さい背中に必死に手を伸ばすが届かず、むしろどんどん離れていって、それは、とても悲しくて、気付けば声に出していた
ーーー! ーーん!! ーさん!!
「は!」
「あれ?、ミカサ?」
急に視界がクリアになり、目の前の少女が言う
「そろそろ帰ろう」
「?あれ、何でここに?」
「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?」
そうだっただろうが?上手く思い出せない、だだ
「いや、何か、すっげー長い夢を見てた気がすんだけど、良い夢じゃなかったと思う」
「エレン?どうして泣いてるの?」
「え?」
疑問ばかり増えていくなか、空だけは、忌々しいほど澄みきっていた。
「絶対言うなよ、俺が泣いてたこと、特に姉さんには」
「分かってる、でも理由も無いのに涙が出るのはおかしい、一度おじさんに診て貰ったら?」
「バカいえ、親父に言ったら姉さんにもバレるだろうが」
ただでさえ朝、喧嘩して気まずいのだ、下手に弱みなど握られたくない。
「何泣いてんだ?エレン」
そう言って一人の兵士がエレンの前に現れた
「ハンネスさん」
「リュカと喧嘩でもしたのか?」
「は?!何で俺が泣くんだよ!」
リュカと喧嘩してたのは事実であるため否定しない。だがエレンはそんなことより気になることがあった
「ん?、酒臭っ!」
ハンネスの後ろからは同僚と思わしき兵士が、楽しく談笑しながら酒を飲んでいる。
「こんな朝っぱらから飲んでる」
「おう!お前達もどうだ?」
ふざけているのか、エレンにも酒を勧めるハンネス、そんな上機嫌なハンネスとは逆にエレンの気分は最悪だった、朝は姉と喧嘩し、訳の分からない夢を見て涙が出たと思ったらその事をハンネスにからかわれる、しかもハンネスは仕事もしないで飲んだくれ、ときたものだ、ここは言いたいこと言わないと気が済まない。
「そんなんでイザッて時戦えんの?」
「イザッて時って、何だ?」
「決まってんだろ、ヤツらが壁を壊して町に入って来た時だよ!」
「「「、、、、、、」」」
しばしの沈黙の後、後ろで飲んでいた兵士が話に入ってきた
「く、くはははぁー!元気が良いな、医者のせがれ、ヤツらが攻めてきたら、そりゃしっかりやるさ、だがそんなことこの100年間で一度も無いんだぜ」
「でも!「だからと言って、兵士が真っ昼間から人目も気にせず酒を煽って良い理由にはならんぞ、フーゴ」
割って入るように、突然少女の声がして、思わず身構える駐屯兵団一行
「!!り、リュカか、脅かすなよ」
そんなフーゴと呼ばれた男性の言葉を無視して、少女リュカはずいずいとエレンとミカサに近づき、二人の手を握って早足でその場を後にしようとする
「お、おい待てって!」
何か言いたいことがあったのか、ハンネスが止める
「黙れ飲兵衛、私はお前達のような仕事を適当にしようとする大人が大嫌いなのだ」
このあんまりな言い方にフーゴとハンネスを除いた兵士達に凄まれるも、リュカは気にせず去ってゆく、すると後ろからハンネスが大声で
「おーい!もしヤツらが攻めて来ても、お前達だけはしっかり守るからなー!!」
と、言ってきた、リュカはフンッと鼻を鳴らしただけだがエレンとミカサは少しその言葉が嬉しかった。
しばらく歩くと、エレンが握られていたリュカの手を振りほどいて俯く、エレンは何故か先程の夢を見てからリュカに対して背徳感を感じており、だがそれがどこから来るのか分からず、自分の感情が良く分からなくなっていた。
そんなこと知らないリュカは、やっぱりまだエレンは怒っていると思い、深々と頭を下げた。
「エレン、今朝は本当にすまなかった、許してくれ」
「、、、」
謝られたところで胸の痛みが増すばかりである、どこからくるか分からないが痛む胸、次第にエレンはイライラしてきた、その時壁外側のベルが鳴る、調査兵団が遠征から帰って来たのだ、
「調査兵団が帰って来た!、行くぞミカサ、英雄の凱旋だ!」
「あ、待ってエレン」
エレンは胸の痛みを忘れる事にして町の大通りへ駆け出した。
リュカは自分の名前を呼んでくれなかった事にショックを受けつつ、遠ざかるエレンの後ろ姿を見ながら、誰にも聞こえない声でボソッと言った
「何が英雄だ」
この時の彼女の表情は、普段の親しげな顔を歪め、その目には侮蔑と嫌悪がありありとしていた。
パカパカと馬と一緒に調査兵団の団員達が次々と門を通り過ぎてゆく、エレンは先程これを英雄の凱旋と言ったが、それはおそらく間違いだ、英雄とは戦場で華やかな戦果を上げたもので、少なくとも彼らのように瞳に絶望と憎しみを宿らせたりはしない、凱旋とは戦いに勝利した戦士を称える事で、少なくともその場に呆れや、嘲りを含んだ言葉は飛び交わない、この場を正しく表すならー英雄の凱旋ーではなく、さながらー死者の行軍ーである。
流石にこの光景にはエレンも絶句した、だがリュカにとってはこれはチャンスだ、エレンに調査兵団を諦めて貰う、おそらく最後の、リュカの行動は早かった
「な!、ちょ、おい!なんだよ!?姉さん!!」
エレンの手を握って、多少強引だがそのまま民家の間を抜けて、ちょっとした公園にエレンを連れてきた勿論後ろからミカサも付いてくる、そして真剣な目でエレンを見つめこう切り出した
「エレン、調査兵団はやめろ」
明確な拒絶の意志を込めて言い放つ、きっとここはターニングポイントなのだ、エレンにとっても、そしてリュカにとっても。
はい、3話終了です、今回はあまり進みませんでした。
次回はエレン説得の続きです、調査兵団を悪く言ったりするので怒らないで見てください。エレン説得は次に起こる悲劇の伏線なので個人的にには必見です。
感想待ってます。