進撃の亜人   作:薩摩芋

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4話です。今回はエレン説得から超大型巨人登場まで書ければなぁ~と思います。
それでは、どうぞ。


4話

「エレン、調査兵団はやめろ」

 

真剣な眼差しはエレンの両目をとらえていて、逸らすことを許さない、いったいこの一言にどれだげの想いが込められているのだろう?それは本人にすら分からない、だが曲げることが不可能なのは確かだ、一方エレンは急な一言に少し怯んでいた、今までリュカはエレンに、やめた方が良い、死にに行くようなもの、など誘導的なもので反対していたが今のように命令口調で言うのは初めてだ、それだけリュカが本気だということだ。

 

「さっきの調査兵団を見ただろう、お前あれ見てどう思った?」

 

「、、、酷かった」

 

「なら!「でも!!!」

 

「ここで諦めたら、今まで死んでいった人たちの犠牲が無駄になる」

 

「無駄ではないさ、ああやって定期的に壁外で人が死ぬから皆壁外の恐ろしさを知っている、だから壁の中の生活に不満を抱かない」

 

「そんなの、あんまりだ!」

 

確かに、リュカの言っていることは赦される事ではない、

だが、そんなことはリュカだって知っている、自分で言った言葉に虫酸が走る、それでもここで止める訳にはいかない、先程一人の女性が調査兵団の列に飛び込み自分の息子を探していた、そして帰って来たのは愛する息子の右腕だけ、当然その女性は泣き崩れた、もし、もしも、あれが自分の立場だったら、きっと私は壊れる、そんな確信がリュカにはあった。きっとこの説得は成功しても失敗しても自分はエレンに嫌われる、悲しいことだ、それでもエレンが死ぬよりかは万倍良い、そもそも自分は誓ったではないか、死に急ぐエレンの足手纏いになると、ならばこれはその第一歩だ。

 

「良いか?エレン、所詮この世は弱肉強食だ、強者は生き残り弱者は淘汰される、死にたくなければ戦わなければ良い、エレンの言う犠牲者は戦うことを選び、そして負けた、そこに同情の余地など皆無だ、それに犠牲を無駄にしない為にエレンが犠牲になっては本末転倒じゃないか」

 

「何で俺が犠牲になるのが前提なんだよ!」

 

「人の話を聞いていたか?言っただろう、弱肉強食だと、ならばエレンは間違いなく弱者だ」

 

「ッ!!ふざけんじゃねぇー!!俺は強い!」

 

「ふざけているのはお前だエレン、未だに組み手で私にすら一度も勝ててないのに強いだと?愚か過ぎて腹がよじれるな」

 

この一言でエレンがキレた、本当に今日は最悪の1日である、せっかく調査兵団が帰ってくるのに、せっかく滅多に見せない姉の一面を朝イチで見れたのに、台無しだ、全部台無しだ、どうしてこんなことになったんだろう?

 

「うるせぇー!俺の命をどう使おうと俺の勝手だろう!」

 

「それ本気で言っているのか?自分の命が私達には関係無いと、貴様そう言ったのか?!!」

 

エレンの言葉はリュカにとっては地雷だ、リュカがこうして嫌われているのも一重にエレンを想ってのことだ、それを関係無いと言われたのだ、リュカもマジギレである。

最早お互いに正常な理性は無くなった、リュカは調査兵団やエレンを中傷するようなことを言い、しかし口下手なエレンは言い返せず、ストレスばかりが蓄積されてゆく。

 

「いつから貴様はそんなに偉くなった?お前達には関係無いだと?自分一人で生きてきたつもりか?思い上がりもいい加減にしろこの大馬鹿者!!だいたいお前はいつも、、、

 

「もう黙れよ!!!!!」

 

限界だった、朝の喧嘩も

      訳の分からない夢も

      何処からくるか分からない罪悪感も

      この口喧嘩も

 

だからだろう、普段絶対にしちゃいけないことを、よりにもよって姉にしてしまったのは。

 

 

ドゴッ!!

 

「………あ、」

 

「エレン?!!」

 

「ーーーーーー」

 

自分の拳がズキズキ痛む、歯に当ててしまったのだろうか、だか今はそんなことより自分のしてしまった事にただ唖然としている、言いたい事はたくさんあるのに、どれも口をパクパクさせるだけで肝心の声が出ない、リュカ本人は未だに顔を軽く右下に向けていて動かない、不思議とこの場で一番悲痛な表情を浮かべていたのはミカサだった、朝の喧嘩にも、今の口喧嘩にも、そしてエレンの暴行にも、自分は止めるどころか割って入ることすら出来なかった、この中で一番強いのは私なのに、ミカサはそんな自分の無力が嫌にになった、きっとミカサは優しい子なのだろう。

永遠と思うほど一瞬の沈黙がその場を支配した後、ようやくリュカが口を開いた

 

「…私は、反対だからな」

 

「…」

 

今の言葉は返事を前提にしてない、私は言った、後はお前の勝手だ、そういう意味だ、リュカは踵を返して家の方へ歩いて行った、その後ろ姿は皮肉なことに先程の調査兵団と同じ空気を身に纏っていた。

 

 

 

 

カルラは帰りの遅いリュカ達を心配していた、仲直りの時間を考えても少し遅すぎる、既に夫は内地に診療しに行ってしまった、もう少し待っていようと思ったところで、家のドアが開かれた、帰って来たのはリュカだけで、しかも表情に影がさしてよく見えない。

 

「お帰りなさいリュカ、あら?エレンとミカサは?」

 

しかし返事はなく、ゆっくりとした足取りで階段を登っていった、なにやら不穏な空気を感じたカルラはリュカの後を追った、二階に着くと既にリュカはベッドの近くに膝間付いている、どうやらこれからベッドの下に向かうようだ

 

「何か、あったの?」

 

そう尋ねても返事は無く、かわりにベッドの最奥に向かってズイズイと体を潜り込ませるばかりである、ただ事ではない、と判断したカルラは、すかさずリュカの両足を掴む、足をバタつかせて抵抗するも効果は無くズルズルとベッドの下から引きずり出された、とっさに顔を両手で覆うのを見て、顔に何かある、と判断したカルラはすぐさまリュカの両手を顔から外して、、、絶句する

 

「どうしたの?、これ、、、」

 

綺麗な顔の右頬が青く腫れ上がっていた、腫れた頬を指で優しく撫でながら、分かりきったことを問う

 

「誰にやられたの?」

 

本当にこれは分かりきっている、何故ならリュカは今泣いているからだ。

リュカは一度だけ腕の骨を折っている、いや夫のグリシャ曰く『折られて』いる、誰にされたかは最後まで言わなかったが、その時の事は今でもはっきり覚えている、まるで壊れたオモチャの修理を頼むかのように夫に治療を求めるリュカの姿を、見れば直ぐに分かるくらいポッキリと折れているのに、まるで痛がっている様子は無い、夫はリュカのことを『痛みを情報として感じているが、苦しいとは認識していない』といった、なら彼女の流している涙の原因は精神的なモノ、そして泣くほど彼女の精神に深く入り込んでいるのは一人だけ、それは

 

「エレンにぶたれたのね」

 

「ッ!!違う!!」

 

「そう、エレンが、、、」

 

カルラは最初信じられなかった、エレンはやんちゃで、気性が荒く、激情的なところがあり、町のチンピラと喧嘩沙汰になることはしばしばあった、だが理不尽な暴力に訴えた事は一度も無い、本人もそう言ってたしカルラはそれを信じていた、そんなエレンが女の子の顔を殴る?しかも大好きな姉を?疑ってしまうのも無理はない、だが事実そうなのだから仕方ない、何故殴ったのか?そんな事はどうでも良い、どんな理由があったって女の子の顔を傷つけるなんて最低だ、しかもよりにもよってウチの馬鹿息子(エレン)が愛娘(リュカ)に手を掛けたのだ、いつもの4倍怒らなければならない、

 

「帰って来たら、覚悟しなさいエレン」

 

カルラは一言そう言って、とりあえずグスッグスッと泣いているリュカを落ち着かせ、用意していた朝食を一緒に食べる事にする。

 

 

 

 

 

一方そのころエレンとミカサは、リュカが家に行ってしまったため、気まずくて帰れない状態であった。

 

「エレン、気まずいのは分かるけど殴ったのはエレンが悪い、一緒に行ってあげるから謝りに行こう」

 

「ミカサ、俺は騙されないぞ、お前そう言って、ただご飯食いたいだけだろう?」 

 

エレンの言ってる事は正しい、ミカサは一緒に‘行って’あげるとは言ったが、一緒に謝るとは言っていない、つまりイェーガー邸に着いたら謝るエレンをほっておいて、ミカサは自分だけご飯を食べようと企んでいた、ちなみにミカサの思考にエレンを置いて一人だけで帰るという選択肢は最初からない、難儀な性格である。

 

「エレンはひねくれてしまった、私は悲しい」

 

白々しい、エレンはそう思うも口には出さなかった、だがエレンの目は口ほどにモノを言っていたらしく、ミカサとエレンの間に微妙な空気が立ち込めた、だがそんな空気をぶち壊す声が隣の路地から聞こえた、町のチンピラ3人とアルミンの声だ

 

「うるせぇーぞ、この屁理屈野郎!」

 

「ヴッ!」

 

全てを察したエレンは急いで駆け出す、決してこの微妙な空気に耐えられなくなったからではない、と思う、

 

「やめろっ!」

 

エレンの一言で4人が一斉にエレンの方を向く

 

「やべぇエレンだ!」「てことは近くにリュカとミカサもいるぞ」「逃げろ!」

 

チンピラ3人はエレンを見つけるやいなや一目散に逃げたした、これを見て気分を良くしたエレンは上機嫌に言った

 

「アイツら俺を見て逃げ出した」

 

「そ、そうだね(多分エレンが想像してるのとは違うと思う)」

 

アルミンは正しい、あのチンピラは、昔エレンを3人でリンチしたことがある、この時のエレンは結構重症で3日目を覚まさなかった程だ、無論そんなことされてリュカとミカサが黙ってるはずもなく、直ちに報復行動にでた2人によってボコボコにされた3人は、止めに眼鏡を外したリュカに『次、ウチの可愛い弟に手をだしてみろ、貴様の‘ムスコ握り潰す’』と、言われた、以来彼らは軽いPTSDになってしまい、リュカ、ミカサ、エレンの内一人でも見ると情緒不安定になってしまったのだ。

 

「立てるか?アルミン」

 

そう言ってエレンはアルミンに手を伸ばす、アルミンはその手を

 

「ありがとう、エレン」

 

受け取った。

 

 

 

 

 

「ーーーそれで、人類はいつか外の世界へいくべきだ、って言ったら、殴られた、異端だって」

 

あれから3人は川に向かって歩きながらアルミンが殴られた経緯について話していた、

 

「クソッ、どいつもこいつも姉さんみたいなこと言いやがって」

 

「え!エレン、リュカに殴られたの!?」

 

「それは違う、リュカはエレンが心配なだけ、むしろ殴ったのは「ミカサ言うな!」……」

 

「リュカと何かあったの?エレン」

 

心配そうにアルミンが尋ねる

 

「、、、姉さんと喧嘩した」

 

「そうなんだ、それはエレンが悪いね」

 

「……アルミン、俺まだ何も言ってないよな?何で俺が悪いって分かるんだよ?」

 

「目が据わってるよエレン、まぁさっきの話の流れからしてエレンが先に逆上しちゃったんだろ」

 

「、、、あぁ」

 

「やっぱりエレンが悪いじゃないか、でもまぁ話してみてよ」

 

そう言われ、ポツポツと口喧嘩の内容を話すエレン、最後に自分がリュカを殴った事は言わなかった、いや、言えなかった。

 

「ーーーって訳だ」

 

一通り話した後アルミンを見る、何やら深く考え込んでいる、そして呆れたような目でこちらを見ながら言った

 

「エレンは、本当のこと言わなきゃダメだよ」

 

「嘘なんか言ってない!」

 

「言ったよ、エレンが壁の外に行きたいのは、別に犠牲者の死を無駄にしない為じゃないだろう、いやそれもあるんだろうけど、一番じゃない、そうだろう?」

 

「あぁ」

 

「教えてくれエレン、君はどうして壁の外に行きたいんだい?」

 

そんなこと決まってる

「知りたいんだ、壁の外がどうなっているのかを」

 

「それだよ、まずそれを言うべきだったんだよエレンは、さっきの話じゃリュカは怒って当然だよ、だって本音を言ってたのはリュカだけなんだから」

 

「、、、帰ったら姉さんに謝ってちゃんと話す」

 

「そうしな」

 

「でも、死にたくなければ戦わなければ良い、っていうのは共感出来ないな、それって壁が破られなかったらの話でしょ、百年壁が壊されなくても

 

‘今日壊されない保証なんか何処にもないのに’

 

 

ズドンッ!!!

 

大きな雷鳴のような音に、町が一瞬静まりかえる、そして誰もが言葉を失う。

 

そこにはいた

大きな壁より、なお高く

町を見下ろす

巨大な人を。




はい、4話終了です。
ギリギリ1日オーバーしてしまいました、出来れば、次回で子供編終了にしたいです。感想待ってます。
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