ツイテル話   作:笹鉄砲

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第十七話

 修行は概ね順調に進み俺はもう修行しなくてもいいということなので橋に行ったり家で待機したりと結構ゆったりと過ごしている。ナルトは夜遅くまで修行をしたりとかなり燃えているようだ。だが甘い俺は一週間寝ずに水の上に立たされたことがある。もっと気合い入れてほしいものだ。

 

 そんな日常を過ごしていたある日の晩、イナリ君が俺たちに我慢できなくなったのか泣きながら思っていたことを全てぶちまけた。それに対してナルトがキレた。ナルトのことは間接的にだが知っていたのでこうやって怒る理由も分かる。

 

 その後外に飛び出したイナリ君を追いかけてカカシ先生が出て行った。きちんと大人らしいことを見せてほしいものだ。

 

 そしてその夜、俺にしか出来ないことをするために起きる。ちゃんと誰にもバレテいない事を確かめて外に出る。そして木登りの再開をする。

 

「こんな夜にも修業とはせいが出るねウツロ」

 

「習慣ですよ。昼間は護衛で家とかから離れられないのでこんな時間にしか修行できないのですよ」

 

「ほう、俺も昔はそれぐらい真面目に修行したもんだよ」

 

「嘘は駄目ですよ、カカシ先生」

 

「本当だって、こう見えても優秀だったんだから」

 

「そんなこと前から知ってますよ」

 

 俺はこっそりと着いてきたカカシ先生と談笑しながら木登りの修行をした。

 

 しかしこっちは本命ではないのだよ。

 

 

 

 場所は変わってタズナさんの家、俺はイナリ君の部屋に入る。

 

「イナリ君のお父さんですよね?」

 

『お前、俺が見えるのか?』

 

「はい、困ったことにそんな体質なもんで」

 

 俺が苦笑いすると少し嬉しそうな顔をするイナリ君のお父さん。本物がカカシ先生を引きつけている間にさっさと用事をすませよう。

 

「ここから少しの間ですがイナリ君と話せるとしたらどうします?」

 

『イナリと話せるのか、是非話させてくれ!! 俺のせいでイナリがこうなっちまったんだ。だから俺が元気づけてやりたいんだ!!』

 

「分かりました。では少しだけですがあなたをあなたの姿に変化した俺に憑依させます。ちなみに会話は俺には聞こえないのでどのような内容でも話してもらって結構です。ではどうぞ」

 

 俺はイナリ君のお父さんを憑依させた。

 

 正直関わるつもりは無かったがさすがにあんな話やイナリ君の様子を見せられては無視できない。

 

 せめてイナリ君が前へ向けるように祈っておこう。

 

 イナリ君の部屋の外にはもう一人の影分身を配置しておきいい感じで会話が終わったら憑依を解くつもりだ。

 

 部屋の中からは泣き声と嬉しそうに話す親子の会話が聞こえた。面倒事ばかり起こる体質だけどこんな時ぐらいは感謝しよう。

 

 会話が一息ついたのかイナリ君の声が聞こえなくなったので中に入るとやはりイナリ君は寝ており、お父さんはイナリ君の頭を撫でていた。

 

「どうでした?」

 

『ああ、言いたいことは全部言えた。こいつもこれからは頑張るって言ってくれた。もう満足だ。ありがとうな』

 

「いえ、きっとこれも俺の役割でしょうから」

 

『そうか、じゃあ俺は行くわ』

 

「はい、死んだら会いましょう」

 

『若いんだからしばらくは来るなよ!!』

 

「もちろんですよ。俺はしつこく生き残るつもりですから」

 

 俺が笑いながら言うとイナリ君のお父さんも笑いながら消えた。

 

 きっとこれが成仏と言うものなのだろう。人は死んでも未練を残し死ぬことができない。本当に嫌な世の中だよ。  

 

 俺は愚痴りながら影分身を消した。本物にも伝わるだろう。

 

 

 どうやら影分身は役割を果たしたようだ。なので適当に理由をつけて今日の修行を無理やり終わらせ無事に帰宅した。

 

 

 次の日、ナルトは修行で疲れたのか爆睡している。

 

「カカシ先生、この家が襲われてもまずいので俺は家で待機ですよね?」

 

「ああ、イナリ君たちをよろしく頼む」

 

「任せてください。それと俺の影分身を連れて行って下さい。連絡用に使えますから」

 

「ああ、じゃあ今日も任務頑張りますか」

 

 言ってカカシ先生達はタズナさんとともに橋に向かった。そして俺は今日はゆっくりと一日を過ごそうと床の上で寝るのだった。

 

 


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