ツイテル話 作:笹鉄砲
橋に到着すると人が倒れていた。そして辺りを警戒しているとまた霧が出てきた。
またあいつだよ。なんだろ、あの変態はこの登場の仕方にこだわりでもあるのだろうか?
「サスケ、サクラ、ウツロ来るぞ」
カカシ先生に言われタズナさんを囲む形で身構える。そしたら変態の声が聞こえてきた。さらに変態の水分身に囲まれるがサスケが簡単に倒した。
「あのガキ結構成長したな、ライバル出現ってところか白」
「そうみたいですね」
前を見るとこの前の仮面と変態が並んでいる。略して変態仮面と呼ぼう。
「あーらら、やっぱりあの仮面は再不斬の仲間だったんだな。やだねあんなすかしたガキは」
「カカシ先生よりマシでしょう」
「そう?」
「あいつは俺がやる。下手な芝居しやがって、俺はああいうすかしたガキが一番嫌いだ」
「かっこいいサスケ君」
同族嫌悪しすぎだろこいつら。そして変態仮面が前でなんか話しているので挑発してみよう。あいつらはすぐに怒りそうだし。
「そういえばお二人さん、あの剣は見つかりましたか?」
「再不斬さん、あいつは僕が殺します」
「いや、あのガキを殺すのは俺だ!!」
さすがにいきなり二人から殺人宣告を食らうとは思ってなかった。
「あれ、もしかして見つからなかったんですか? 残念だなー、見つけたらあげようと思ったのに。あははははは、あんなの子供でも見つけられるのに頭大丈夫ー? あっ、そっか服を着ることも忘れるぐらい馬鹿だし仕方ないよねー」
「再不斬さん、やっぱり僕に任せてください」
「断る!! あのガキは俺の人生で殺したい奴№1だからな」
見るからに彼らがキレているのが分かる。なんかチャクラが荒ぶっている。
「なんであいつらを怒らすの?そしてなんでそんなに嫌われてるの?」
「敵は怒らしといた方が楽でしょ、特にああいうタイプの人は。それに俺はいつでも消えることが出来ますから。嫌われる理由はありすぎて検討がつきません」
「全て丸投げなんて酷い奴だよ」
「頑張ってください!!」
そんな会話をしていると仮面が凄く回りながら襲いかかってきたが、サスケが攻撃を受け止めた。
「頑張れよ、サスケ。お前がやられたら次は100%俺が襲われる」
「ああ、お前は黙って見てろよ」
「了解」
橋の上で戦いが始まった。今回、影分身の俺は休みかな。
イナリ視点
あのうるさい馬鹿が出て行ってからすぐ、トイレに行き手を洗っていると物音と共に母ちゃんの悲鳴が聞こえた。そして台所に行くとガラの悪いおじさんが二人いた。
「母ちゃん!!」
「出てきちゃ駄目、早く出ていきなさい!!」
「なんだガキ?こいつも連れて行くか」
「人質は一人いればいい」
「じゃあ、殺すか」
「待ちなさい!! その子に手を出したら舌を噛み切って死にます。人質が欲しいのでしょう!!」
「ふん、母ちゃんに感謝するんだな。坊主」
母ちゃんが連れて行かれる中、僕は恐さで涙を流しながら動けなかった。
ごめん母ちゃん。ごめんよ。死にたくないと思うと体が動かないんだ。そんな時、昨日の会話を思い出した。金髪に言われたこと、そしてあいつらの先生に言われたこと、最後に昨日父ちゃんと約束したこと。
『例えどんなことがあろうと負けるなよイナリ。大丈夫、なんたってお前は父ちゃんの息子だ。母ちゃんを任せたぞ』
頑張るよ父ちゃん、俺は強くなるよ。だって俺は父ちゃんの息子だから。僕はあいつらを追いかけて外に飛び出した。
「待て―!!」
「イナリ!!」
「なんださっきのガキじゃねえか」
「母ちゃんから離れろ―!!」
恐い、でも母ちゃんを助けるんだ。
僕はあいつらに向かって走り出した。目の前で母ちゃんが気絶させられ、おじさん二人が僕に斬りかかってきた所で目をつぶった。
ガキンッ
目をつぶっていても衝撃が来ず、目を開けてみると母ちゃんが腕で刀を受け止めていた。そして刀の方が折れた
「母ちゃん!!」
「立派になったな我が息子よ。さすがは我と彼の息子だ」
「え!?」
母ちゃんがまるで別人みたいな話し方をしている。そしてその変化におじさんたちが唖然として見ている。
「黙ってついていって貴様らの本拠地を破壊しようと思っていたが、子供に手を出すとは許せん、貴様ら覚悟は出来ているんだろうなああああああああああああああ!!」
母ちゃんが叫んだ。
「あああああああああああああああああああああああああああ!!」
母ちゃんの服が気合いみたいなもので破けて上半身が裸になる。母ちゃんはとてもマッスルだった。腹筋は割れて、胸は筋肉で盛り上がっている。しかも顔はなんかすごく濃い顔になった。
え?僕の母ちゃんって、え?
「ふふふ、この体に戻るのは何年振りだろうな。滾る、実に滾るぞ!! ふんっ!! はっ!!」
母ちゃんが海に向かってパンチをしたら海が爆発した。そして海に蹴りをしても海が爆発した。
もう何も分からない、信じていいものが分からない。
「う、うわあああああああああああ!!」
おじさんの一人が叫びながら逃げる。
「逃げられると思うなよ小僧、ふんっ!!」
母ちゃんがおじさんに向かって素振りすると逃げたおじさんが吹っ飛んで海の上で何回もバウンドしてから浮いてきた。
「さて、残りは貴様だけだな小僧」
「あ、あ、あ」
「だが、我は優しいのでな許してやらんこともない」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、なんて言うと思ったか下郎が!!」
母ちゃんの蹴りを顔に食らい飛んでいくもう一人のおじさん。
僕の知ってる母ちゃんはもういないんだね。
僕がぼーっとしていると知っている母ちゃんが来た。あり得ない光景を不思議に思っていると筋肉がヤバい方の母ちゃんがボフンと音を立てて知ってる忍者の人になった。
「いやー隠れてもらっててありがとうございました。おかげで上手くいきましたよ」
「それは別にいいんだけど。わざわざ私に変化する理由はあったんですか?」
違うよ、母ちゃん。あれは母ちゃんじゃないよ。
「はい、俺たちが任務を終えて来なくなってからあいつらがまた来たら困るでしょ? なので、俺たち以外にもヤバい奴がいることをアピールしなければならなかったんですよ。それで今回はちょうどタイミング的にも良かったのでやらしてもらいました。おそらくあいつらはもうあなたを恐れて来なくなると思いますよ」
誰でもあんなの体験したら来なくなるよ。
「あいつら死んだんじゃないんですか?」
「まさか、ちゃんと死なないように調節してますよ。ちゃんと生きててもらわないとガト―に伝わらないでしょ?」
この人がとてもヤバい人だと分かった。そうしていると本物の母ちゃんが僕を抱きしめた
「イナリ、ありがとう。ちゃんと見てたよ。立派になったね」
「母ちゃん」
「さすが自慢の息子だよ」
「うん、うん」
僕は母ちゃんに抱きついた。安心したからか涙が止まらない。うん、これが本物の母ちゃんだ。