ツイテル話 作:笹鉄砲
「いったん四人がバラバラになった場合、例えそれが仲間でも絶対に信頼するな。敵が変化している場合があるからな。だから、合言葉を決めよう。今から一度だけ言うぞ」
敵を倒してから数分、また敵に襲われた場合に備えるために今度は合言葉を決めようとサスケが提案して長ったらしい物を決めた。
ナルトが覚えられたのかが不安だが覚えてなければそれはそれでなんとでもなるだろう。それよりも後ろでひそかにいる敵が気になるが。サスケが何も言わないしおびき出す作戦なんだろう。
「お、俺、またトイレ」
「お前さっきから多いな」
「うるせー、行ってくるってばよ」
「待て、俺も行くわナルト。ちょうどしたかったし」
ちらっとサスケの方を見ると無言で頷いた。
「おっし、行くぞナルト」
「おい、先に行くなってばよ!」
『俺は着いて行かんぞ。お前の小便姿など見たくないからな』
俺もお前に見てほしいくないわ、ボケ!
少し離れた場所まで移動した俺とナルトは少し会話しながらトイレをしていた。
「いやー、なんか敵も多いし大変なことになってきたな」
「確かにそうだってばよ。俺もいきなり捕まってしまったし。もっと気合いを入れて行くってばよ!」
「どうにか平和に終わって欲しいもんだ」
「俺はどんな敵が来てもいいってばよ。絶対に……」
「ナルト!」
俺は後ろから来る気配に反応してナルトの服の襟を掴みジャンプして避ける。
「な、なんだ!?」
「でっかい蛇……か?」
現われたのは前世で見たアナコンダがかわいく見えるほどの巨大な蛇。全長が何メートルなのか分からない。この蛇を見て試験前に見た妖怪を何故か思い出した。
「ナルト! 嫌な予感がする、急いでサスケ達の所に戻るぞ!」
「けど! 蛇に囲まれちまったってばよ!」
周りを見るとおそらくだが三匹ほどの蛇がいる。
「そこらへんは俺に任せろ。ナルト後で追い付くからな」
「へ?」
俺は俺が行ったことに理解できず呆然としているナルトの服を掴むとサスケ達がいるであろう方角にぶん投げた。そしてそれと同時に避難用の飛雷神のクナイも数本投げる。
「うわあああああああああああああああああああああああああ!」
ぶん投げた時に出来た隙を狙ったのか蛇の一匹が尻尾を巻きつけてきた。そして俺の目の前で大きな口を開けている。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!なんでいきなり、なんでいきなりオマエ、アタマ、マルカジリしちゃうの!?」
焦って叫びながらクナイに逃げる。蛇は急にいなくなったのを不思議に思ったのかきょろきょろしている。
すると違う蛇が俺を見つけたのか頭から突っ込んでくる。
「襲ってくると分かっているといくらでも対処できるんだよ!」
印を結んで突っ込んできた蛇の頭を掴み一気に凍らす。そして凍らした頭を蹴り粉々に砕く。それを見た残り二匹の蛇がビビったのか少し様子を見ており襲ってこない。
「こいよ蛇ども! お前らはまともな死に方出来ないぞ!」
叫ぶと共に木遁を発動して蛇一匹を檻に閉じ込める。そしてそのまま上から木で出来た拳で叩き潰した。残り一匹はどこにいる?
辺りをキョロキョロしていると上の方でガサッという音が聞こえたので上を見ると蛇の顔が目の前まで迫っていた。俺はその場から再び違うクナイに飛び避ける。避ける前の場所に扉間おすすめの起爆札を設置して。
そして強烈な爆発音とともに蛇の体が飛び散るのが見えた。
「急いで戻るか!」
俺は急いで駆け出した。
俺が戻ってくると場は悲惨なことが起きていた。ナルトは樹に引っかかって動かず。サクラは動いていないサスケを抱きしめながら泣いている。かなりやばい状況であることはいつもあまり話さないサスケの父親が大声でサスケに呼びかけていることから分かる。それよりもナルトの両親がいないのはどういうことだ?
「サクラ! 何があった!?」
「ウツロ! サスケ君とナルトが!」
サスケの方を見ると首に変な痣があった。何だこの変な模様は?
「大蛇丸ってやつに何かされたらしくって動かないの。ナルトの方も!」
「落ち着けサクラ、落ち着け」
そう言いながらも混乱しているのは俺もだった。
何だこの状況は、最悪なことが一気に押し寄せてきた感じだ。混乱する頭で何とか考えようとするが考えがまとまらない。焦っていると、柱間が話しかけてきた。
『落ち着けウツロ! 焦っては何とか出来ることも出来なくなるぞ』
柱間に注意され少し冷静になる。そして一先ずナルトをこちら運んでくることに決めた。ナルトの方に移動した俺はナルトを担ぎながら柱間と話す。
『おそらくあの小僧がされたのは封印術ぞ』
「命の危険は?」
『大丈夫だ。普通に呼吸しているだろう』
「そうか」
ナルトが無事であることに安心していると柱間は衝撃的なことを言った。
『問題はうちはの小僧だ。あれは下手したら死ぬぞ』
「な…に」
驚いて声が出ない。
『俺にも何をしたのかは分からんが呼吸の粗さから見てもかなり危ういぞ』
「どうしたらいい?」
『だから言っただろう俺にも分からんと。分かるとしたらそれはあの術をした本人に聞くしか無いだろう』
つまり直接本人に聞くしかないということだ。サクラの話からかなりやばいやつであることが分かる。しかしやるしかない。
柱間の話を聞き、俺の中で覚悟が決まった。
「サクラ」
「ウツロ、ナルトは!?」
「命に別状はない。それよりもサスケの方だ」
「……うん」
「このままだったら死ぬかもしれん」
サクラが泣きそうな顔でこちらを見てくる。
「だから、俺が直接その大蛇丸とやらに術の解き方を聞いてくる。そして殺してくる」
「無茶よ! サスケ君とナルトでも勝てなかったのに!」
「例え無茶でもこのまま何もしなかったらサスケは死ぬかもしれなんだぞ!」
俺の言葉に数秒黙った後にサクラは意を決したようにこちらを見た。
「分かった。大蛇丸のことは頼んだわよ。サスケ君とナルトは私が絶対に守るから!」
「任せろ、サクラも二人を頼んだぞ! ちなみに俺が一日戻らなかった場合は最終日に塔で集合な。みんなに分かる姿に変化するから」
「分かった。ちゃんと無事に戻ってきてよ」
「もちろん! 行くぞ柱間!」
『おう‼︎』
俺は前半はサクラに聞こえるように返事して後半は近くにいる柱間にのみ聞こえるように言うと飛びだした。大蛇丸が向かったであろう方角は柱間に聞いているので柱間と共に大蛇丸がいる場所へ向かった。