ツイテル話   作:笹鉄砲

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第三十話

 

 

 大蛇丸との戦闘から少し時間が経った。おそらくそこまで寝過ごしていないから二日目の朝だろう。少し寝たおかげか、それとも日頃の特訓のおかげか体調は万全の状態に成っている。

 

 正直な話、戦闘中や危機的状況ではあまり憑依を使いたくないのである。何故なら俺の体が特殊なのかは分からないが誰かに憑依されることによりその憑依した人物の体質的な物を自分の身体に適応させるようなことが俺の体では発生する。それにより木遁とかが使えるようになったのだが、その憑依されている状態で憑依してきた人物の術やら、つまり元々俺の体に無かったものを使われるとそれに適応するために身体が作り変えられる。その間は身体が休みを欲しものすごく眠たくなるのである。しかも憑依は普通に疲れるので睡眠欲求は加速するのである。

 

 昨日は柱間がハッチャけたせいで予想通り眠たくなってしまった。本当に寝ている間に誰かに襲われなくて良かった。

 

『それでこれからはどうする?』

 

「みんなと合流するために先になるかは分からんが目的地に向かう。そして向かっている途中に敵がいたら巻物を奪う感じで」

 

『まあ、そんなところだろう』

 

 俺は一先ずの目的を定めると走り出した。

 

 

 俺が樹の上を走っていると下の方に三人ほど、そして茂みの中にまたまた三人の人物を発見した。下の三人の近くには原形を留めていないが死体らしきものが転がっている。

 

 ……巻物を奪うと言ったがあの人たちの相手はしたくないなぁ。

 

 そういうことで素通りしようとしたら下の方からお呼びがかかった。

 

「やっと見つけたぞ、お前だけは絶対に殺してやる」

 

 恐ろしい声にもう一度下を見ると砂の手の様なものが俺を捕まえようと迫ってきていた。

 

「もうやだ! なんで忍者の世界なのにスパ○ダーマンの敵みたいなことしてくるやついるの!」

 

 何度目か分からないこの世界に対しての文句を言いながら手を避け俺に攻撃してきたであろう奴らの前に立つ。

 

「いきなり攻撃されたら困る。もっと穏便にやろう」

 

「黙れ、お前だけは許さん。俺の眼球を握りつぶしたことを後悔させてやる。カンクロウ、テマリ、こいつは俺が殺す」

 

 いきなりとんでもないいちゃもんをつけられた。どうみてもお前の目はちゃんとあるだろう。しかしこの三人のうち黒装束を着た人はこの一日で何かあったのか松葉づえをついている。しかも何故か怯えたような顔でこっちを見てる。

 

「いきなり変な言いがかりをつけるのはやめろ。どうみてもお前の眼の中に眼球あるだろ?」

 

「うるさい、とっとと死ね」

 

 言い終わるやいなや砂が襲いかかってくる。

 

「お願いだから会話を成立させて!」

 

 避けながら手裏剣を投げるが砂にガードされる。

 

「無駄だ」

 

「そう、我愛羅には最強の砂の盾があるじゃんよ」

 

 いきなりどうしたお前? 疑問に思いながらも聞き返す。

 

「砂の盾?」

 

「我愛羅の盾は絶対防御であり、我愛羅の意思とは無関係で発動する」

 

「丁寧な説明ありがとう」

 

 なんというチートなやつだ。しかし言わせてくれそいつの意思とは無関係で攻撃から守ってくれているのだろうが俺からは全くそうは見えない。何故なら……

 

『私の愛しの息子よ、あなたは誰にも傷つけさせはしないわ!』

 

 たぶん母親なのだろうかがめっちゃ全力で守っているからだ。試しにクナイを投げると……

 

『遅い! そんなものが当たるだなんて思わないことね! あはははははははは!』

 

 この様にとても嬉しそうに攻撃を防いでくるのである。俺の記憶が正しければ少し頭がおかしい類の幽霊と関わるとえげつない目に合うのでさっさと逃げよう。

 

 そう決めて逃げる準備をしようとしたら……

 

『奥さん、あなたのその行為は息子さんの未来を奪うかもしれません』

 

 なんで、そこでお前が出てくるんだ柱間!? しかもいつもと違ってすっごいきりっとした顔で話しているのが腹立つ。

 

『そんなことないわ! あの子は父親にも愛されず里からもやっかいもの扱いでずっと孤独に生きてきたのよ。だったら私が守るしかないじゃない!』

 

 さっきまでのテンションから変わって急に真面目な顔をする幽霊。それは前世で見た母親が怒っている途中で電話がかかって来た時にいきなり声が変わった時の様だ。

 

『あなたの気持ち十分に分かります。でも、それでも孤独で生きるのは辛いのですよ! あなたも分かるでしょう?』

 

『なら、どうすればいいのよ。死んでしまった私にはこれくらいしかできないのよ』

 

 ちなみにもの凄くシリアスな会話をしている最中だが戦闘は普通に行われています。結構必死に砂攻撃を避けています。もう逃げていいかなぁ。

 

『あの若者に賭けてみませんか?』

 

『あの我愛羅と戦っている子供ですか?』

 

『そうです。あなたの里では友達ができないかもしれませんが違う里ならできるはずです』

 

『本当ですか!?』

 

 本当ですか!? あんなクマの凄い人と友達にならないといけないの俺!?

 

『もちろんです。知っていますか、戦った後の友情を?』

 

 眩しい笑顔だなおい!

 

『それは、まさか、お前やるじゃねぇか、ふっお前もなってやつですね!』

 

 なんかそれ違う。

 

『そうです!』

 

 そうなの!?

 

『それには彼が勝たなければいけません。どうかあなたの息子に人と触れる機会を与えるために砂の盾を止めてあげてください』

 

『……はい』

 

 どうやら話は終わりのようだ。ただし俺にとってはとても困る方向で。何、本当にあの人と俺は今から友達になるの? 何かテンションが上がって来たのか凄い怖い笑みを浮かべているよ。

 

 嫌だと言う意味を込めて柱間を睨みつける。

 

『後は信じましょう彼らの未来を』

 

『はい』

 

 俺の未来は真っ暗になったよ。嫌だけどこのまま逃げたらあの母親に呪われそうだから頑張ろう。

 

 俺は避けるのを止め未来の友達(仮)を見ながら宣言する。

 

「お前名前は?」

 

「……砂漠の我愛羅だ」

 

「そうか砂漠ノ我愛羅か。少し賭けをしないか?」

 

「……何だ?」

 

「俺がお前に勝てば俺の友達になってくれ!」

 

 断ってもいいよ。

 

『ほら、私たちの願いが届きました!』

 

『はい、はい』

 

 やかましいぞ、柱間。そして奥さんまだ泣かないで。我愛羅は少し考えると返答してきた。

 

「俺が勝てば何をくれるんだ?」

 

 どうしようあげるもの物なにもない。来る途中で見つけた毒キノコとか駄目だよな。なら俺が勝てるのを前提に命とでも言っておこう。

 

「俺の命だ」

 

 もし殺されたら柱間を殺す。

 

「いいだろう」

 

 そう言って我愛羅は嬉しそうに砂で攻撃してきた。殺せるのが嬉しいのか? こんな友達物騒すぎるぞ。

 

 しかし、残念ながら砂よりも速く動ける俺は我愛羅の攻撃を掻い潜り、砂が防御してくれると信じて全く防御の姿勢を取らない我愛羅の顔面を殴り飛ばした。

 

「我愛羅!」

 

 我愛羅の仲間の声が響いた。

 

 

 それから数分して気絶していた我愛羅が目を覚ました。

 

「よっ、気分はどうだ?」

 

「……俺は気絶したのか?」

 

「我愛羅! 大丈夫かい?」

 

 我愛羅の仲間のうち女の方が急いで駆け寄る。そして我愛羅の仲間の女の方が我愛羅の身体を起こした。

 

 警戒して動かない我愛羅の仲間の男の横を通り過ぎ我愛羅の仲間近くに立つ。

 

「大丈夫だ」

 

「さて、賭けは覚えているよな?」

 

「ああ、賭けはちゃんと守る」

 

「じゃあ、俺はウツロだ。これからよろしくな」

 

 友達になると言われてまだ自己紹介していないことに気付いた。そんな俺の自己紹介に少し戸惑っているのか遠慮がちに我愛羅が話しかけてきた。

 

「だが、ウツロ、友達とはどうやったら友達なんだ?」

 

「さあ? よく分からんが自己紹介して握手してこれからよろしくって言ったら友達になれるだろ」

 

「……そうか、友達になるって簡単なんだな」

 

 我愛羅は支えられながら立ち上がると手を出してきた。それに応えるように俺も手を出し握手する。

 

「自己紹介はしたから、これからよろしくな我愛羅」

 

「ああ、こちらこそよろしくウツロ」

 

 俺たちは笑顔で握手した。

 

『我愛羅よかったねー!』

 

 そして我愛羅の母は上で泣いていた。

 

『俺の作戦のおかげぞ』

 

 そして俺は何度目か分からない柱間を泣かせると心に誓った。 

 


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