ツイテル話   作:笹鉄砲

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第三十三話

 音の里の彼との死闘(?)に無事勝利した俺は自分たちの班のところに戻ってきた。

 

「さすがウツロだってばよ!」

 

「ありがとう」

 

 ナルトと話す傍ら周りの人を見るとドン引きした目で俺を見ている。止めて、そんな目で俺を見ないで。

 

「それより、あの、デスビームってどうやったら打てるんだってばよ?」

 

「それはな……」

 

「それは」

 

「三回変身できるようになったら、自然とできるようになるさ」

 

 本当はチャクラを発射するだけです。

 

「へ? ウツロは三回も変身できるのか⁉」

 

「できる。余裕でな」

 

 俺の肉体はあいつらの修行で何回変身させられたのだろう。考えるだけで泣けてくる。

 

「それよりトイレ行ってくるわ」

 

 そう言って俺はナルトたちと別れた。

 

 

__________

 

 

 そして、トイレの中。俺は便器に座り考える。

 

 恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしいいいいいいい。何、確かにデスビーム打てたのは感動したよ。でも、あの口調に最後の音の里の人に人間を投げつけたのって明らかに変人じゃないか‼

 

 これから、どうやってあの里で過ごせばいいの? 確かに柱間とかが変なことやって軽く(たぶん)変人扱い受けてたけど、これで俺自身も変人ですってなったみたいじゃないですかぁ!

 

 でも、フリー〇様になれたのは嬉しかった。ゴールデンになり、敵キャラのラスボスみたいな立ち位置でありながら悟〇たちと共に大会に出るぐらいの重要キャラになったあのフリー〇様に。

 

 そんなこと考えていると柱間が話しかけてきた。

 

『いい感じだったぞ、ウツロ。あれだったら、他の木の葉の忍も勘づくだろう』

 

 お前には俺の今の気持ちに勘づいてほしい。

 

「そりゃどうも」

 

『ここから先は相手がどうやって動くかは分からん。だから、油断せぬように行くぞ』

 

「了解です」

 

 一先ず柱間との会話を終わらせ会場に戻るとナルトの試合が終わったところだった。

 

 嬉しそうに帰ってくるナルトを見ながらカカシ先生が話しかけてきた。

 

「やけに長いトイレだったな」

 

「人間にはそういうこともあるでしょ。カカシ先生もトイレで50分遅刻してきたことありましたし」

 

「……そうだな。人間、トイレに籠りたいときがあるよな」

 

「ええ、ありますとも」

 

「あんたら、なんて話しているのよ」

 

 サクラに呆れられながらも会話をしているとナルトが戻ってきた。

 

「へへ、見たか! 勝ったってばよ」

 

「ああ、成長したなナルト」

 

「俺も勝つと信じていたよ」

 

「トイレにずっといたくせに何を言ってるんだってばよ‼」

 

 トイレに籠ってただけで世間はこんなにも冷たくなるのか⁉

 

 ショックを受けながら次の試合を見る。

 

 この試合は日向ネジと日向ヒナタ。似てるから兄妹かな? てかネジって我が家の疫病幽霊の息子じゃね? あの優しくて優秀で、なんかいっぱい褒められてた人。

 

 そう思いながら試合を見てみる。

 

 ??……??…⁉

 

 なんか聞いてた人と違う。ポケ〇ン風に言うと‘行けピッピ!’て言ったからかわいいの出てくると思ったらニックネームがピッピのゴーリキーが出てきたぐらい話が違う。

 

 ヒザシさん、おたくの息子はかなりグレてますよ。ドン引きしていると、試合が終わり、ネジが勝った。

 

 感想を言わせてもらうと、あの目ってそんな能力があったんだなって思いました。

 

 つまらないことを思っていると次の試合、我が友、我愛羅と眉毛先輩の試合が始まった。

 

『我が息子に触れられると思うな‼』

 

 相変わらずあの母さん荒ぶっているなぁ。

 

 眉毛先輩は攻撃が全て防がれたことを気にせずに今まで付けていたらしい気、錘を外した。

 

 その錘を落とした瞬間地面が爆発した。みんなが驚く中、俺と柱間はおそらくこう思っただろう‘あの段階の重さ懐かしいなぁ’と。

 

 そうだよね、あの重さ、普通だったら驚くか引くレベルだよね。ハハッ、なんか泣けてくるぜ。

 

 そして錘を外した眉毛先輩は早かった。

 

『え⁉ ちょ… 早い、てか見えない。あっ、セーフ。何とか防げたぁ。オノレ~、ちょこまかと動き回りよって眉毛が‼ ああ⁉ てめぇ我愛羅に蹴りを入れやがったな。絶対に許さん‼』

 

 我愛羅ママが焦るぐらい早い。てか女性の幽霊って迫力あるなぁ。

 

 我愛羅ママの奮闘により攻撃を防ぎ切った我愛羅に対して、ついに眉毛先輩は奥の手を切った。

 

 それは八門遁甲といい、全部で八個のリミッターを外していき全て外せば絶大な力を手に入れる代わりに死ぬらしい。正しく決死の覚悟の術といえるだろう。

 

 そして最後までリミッターを外せば火影を超えることも可能らしい。

 

 命かけないと越えられないってあいつら化け物かよ(いまさら)

 

 最後の攻撃が始まる。

 

『かかって来いよ、眉毛。命なんか捨ててよぉ‼』

 

 我愛羅のやる気ではなく我愛羅ママのやる気に少し引いてしまう。

 

 そして始まる攻撃。

 

『嘘‼ 何も見えない⁉ 私はなんて無力なの⁉』

 

 我愛羅ママは敗れたようだ。

 

 しかし、本人たちの戦いは続き、最終的には我愛羅が勝った。

 

 しかし、眉毛先輩の根性には忍に命を懸ける意味を考えさせられた。

 

『ウツロにもあれを覚えさせるか』

 

 やめてください、命捨ててまでお前を超えたいなんて考えたくないです。

 

 その後、チョウジが音の包帯男と戦い、あっさり負け予選が終わった。

 

 

_____

 

 

 そして勝ち残ったのはナルト、ネジ、砂漠の三人、俺、シカマル、シノ(不戦勝、最後まで呼ばれずに悲しげだった)、音の包帯、サスケの10人である。

 

 次の試合はトーナメントによる勝ち残りらしく、試合の順番はくじ引きで決めるらしく俺は包帯男と戦うことになった。

 

 彼の方を見た瞬間体をビクッと震わせたのが印象的だった。

 

 そして三代目火影からの言葉で俺は絶望のどん底へと叩き落された。

 

「これより本戦までの間、1か月間の修業期間とする」

 

 後ろで喜ぶ柱間の前で涙を流した。

 


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