リハビリ代わりに書いてみました。
+の方も掲載する予定なのでよかった見ていってください。
Said(善助)
桜が舞い散る様子を見ながら俺は溜息を吐いた。
季節は春、気温は暖かく、天気は快晴、暇があれば花見でもしたくなる環境だが、生憎俺の気分は最悪である。
廊下を歩き目的地の扉を開ける。
一斉に集まる視線、その中で一際目立つ三つの視線、二つは驚愕で、一つは嫌悪と憤怒を混ぜたような視線だ。
この世界にはISと言う兵器がある。
数年前に現れたその兵器は、戦車以上の火力と装甲、戦闘機以上の機動性を両立し瞬く間に兵器の頂点に立った。
ただし、致命的な欠点が二つあった。
一つはコアの数、ISはこのコアがないと動かないのだが、その数は500に満たない。
そしてもう一つが、俺にとってとても重要な事なのだがISのコアは女性にしか反応しないのである。
理屈は不明だがとりあえず使えるのは女性だけと言う使用だ。
そして、俺が居るのはそのIS操縦者を育成する世界で唯一の教育機関IS学園である。
ここまで言ってから断っておくが、俺は男だ。
一人称が『俺』の女の子とかそう言うオチではない。
更に言えば、ここで働いている訳でも、姉とか妹に忘れ物を届けに来たとかそう言う訳でもない。
なら俺がどうしてここにいるかというと、一人の馬鹿のせいである。
その馬鹿は今年高校を受験したのだが、試験会場で迷い藍蘭学園を受験するはずがIS学園を受験してしまい見事合格してしまったのだ。
それだけなら、凄く運が良い馬鹿で済むのだがよりによってそいつは女性ではなく俺と同じ男だったのだ。
当然大騒ぎになった。
世界中のマスコミ、研究機関、国家が大騒ぎをしたのだ。
結果、保護という名目でこのIS学園に強制入学になった訳である。
それだけなら俺には関係ないことだ。
その馬鹿と俺が赤の他人なら、無論赤の他人なのだが、致命的な事に俺とその馬鹿は同じ遺伝子を持っていた。
「………………ハル」
俺と同じ遺伝子を持っている、馬鹿、織斑 一夏が数年ぶりに聞く呼び名を呟くが俺は無視した。
俺のかけている眼鏡がなければ他人には見分けがつかないほど同じ姿だが、鏡を見ているようで気分が悪い。
視線も無視して俺は空いていた席に着く、他は全部埋まっていたので必然的に教室の一番奥窓際の最後尾となった。
「あ、あのすいません。ど、どなたですか」
どこかおどおどした様子で俺に話しかけてくる女性、多分教師だろう。
童顔の上、小柄なので生徒と間違えそうだが、私服を着ているのでおそらく教師だろう。
とりあえず、感想、胸だけは立派なロリ巨乳である。
+眼鏡属性もついているな。
「あー、人吉 善助って言います。今日から一応ここの生徒なんでよろしくお願いしますね。夢は宇宙一の主夫になる事、そして、愛読書は週刊少年ジャンプ、以上」
普段ならもう少し丁寧に余裕を持って応対するのだが、今はそんな元気はない。
「ハル!? お前今までどこに言っていたんだよ!!」
「誰ですかそれ、ボクチンが人吉 善助ですよん。そんな人知りませんよ」
「ふざけるなっ!!」
馬鹿に襟首を掴まれ、顔を寄せられる。
オイ、気持ち悪いから離せ、愛しの弟以外とこんな至近距離で男と見つめ合う趣味はない。
「俺達がどれだけ心配したと思って居るんだよ!!」
それは違うな。
お前は俺の事を心配していただろうけど、お前の姉は心配なんぞしていないぞ。
「落ち着けよ、後で説明してやるから」
いい加減本気で嫌になってきた。
お母さんの言いつけじゃなけりゃあ、とっとと帰って居るところだ。
ガン
頭に来る衝撃は予想通りだったが、それによるダメージは予想を超えていた。
見れば馬鹿は頭を抱えてうずくまっている、俺の方も同じだがもしも俺の方のを馬鹿が受けていたら頭が無くなっていただろう。
「二人とも授業中だ」
そこにいるのは非常に不本意ながら、俺の元姉、織斑 千冬だった。
「だけど、千冬姉!!」
「……………良いから黙れよ。俺はこれ以上殴られたくない」
本当に厄日だ。
ろくでもない再会に、たった今殺されかけた。
馬鹿は何か言いたそうにしていたが、一応大人しく席に戻っていった。
「それと織斑先生、それはどこで手に入れたんですか?」
頭に来た衝撃は出席簿の物で当たる事は理解していたが、その威力は理解の外だった。
理解できなかったのではない、理解が誤魔化されたのだ。
この女は特別中の特別であったが、何もスキルは保持していないはずなのに。
「お前はには関係ない事だ」
まあ、当然言う訳はないな。
俺はそのまま大人しく席に着いた。
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「ハル、理由を話せ」
「話すから、授業中にこっちを見ようとするな」
お前の頭を叩かれる音で安眠できないだろう。
まあ、授業中に爆睡するつもりではあったが必死に俺を起こそうとする山田先生の挙動が面白かったので狸寝入りを決め込んでいたが、視線が鬱陶しいのは確かだ。
「それより、箒ちゃんも来るだろう」
チラチラと視線を送ってきている幼馴染みがびくっと反応する。
「あ、ああ、良いのか?」
「二度も同じ事を説明するのは面倒だからな。屋上に行くぞ」
そう言って俺はさっさと歩き出す。
この学園でたった二人の男を一目見ようと廊下に人が溢れかえっているが、俺達が移動するとすぐに道を空けた。
一夏は居心地が悪そうだが俺には関係ない。
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「ハル、今までどこに言っていたんだ?」
「話す前にまず条件がある」
いい加減苛ついていたので言っておく。
「今後一切、俺を『ハル』と呼ぶな。そして俺の家族面をするな」
「……………何を言っているっ!!」
一瞬何を言われたのか分からなかった様子の一夏だったが、次の瞬間、俺の襟首を掴みあげる。
「お前は織斑 春十(はると)で俺の弟だ」
「……………もし今度俺をその名前で呼んだら、俺はお前達の前に二度と姿を現さないぞ」
これは本気だ、もしもこいつがこれ以上その名を口にするなら、俺はあらゆる手段を講じてこの学校から居なくなるつもりだ。
「……………分かった」
俺の言葉にかなり迷ったようだが、一夏は結局了承した。
この様子じゃ、納得はしてないな。
「箒ちゃんもそれで良いよね」
「わ、私は別に構わないが――――」
まあ、一夏が了承したら箒ちゃんはそれに従うだろう事は分かっていた。
「さて、じゃあどこから話そうか、そうだまず箒ちゃんも居るから、第二回モンド・グロッソの時からね」
世間一般的にはそれは2連覇確実と言われた優勝候補、織斑 千冬が決勝戦をすっぽかしたと言う一大事件として記録されているが真実は違う。
「俺達はその時誘拐されたんだよ」
箒ちゃんが息を呑むのが分かる。
世界最強のIS操縦者の身内と言う事で、俺達は誘拐された。
誘拐犯の目的など今はどうでも良い。
「で、その時から俺と一夏達は別れた。一夏は救出されて俺は救出されなかった」
大事な事はそこで救出されたのは一夏だけだと言う事だった。
「その後、俺は世界を放浪してついこの間まで箱庭学園に居たんだ。ちなみに飛び級してもう卒業しているからな」
つまり今回のは2度目の高校生活だ。
まあ、ほとんど登校していなかったので2度目とは微妙だがな。
「…………………無事なら何で連絡一つ寄越さなかったんだよ」
「他人に何で連絡する必要がある?」
あの日あの場所で織斑家の織斑 春十は死んだのだ。
俺と織斑家とはもはや何の縁もない。
「お前が俺をどう思っているか知らないが、俺はお前の事なんか何とも思っていないぞ。血が繋がっているから家族じゃないんだ。絆が繋がっているから家族なんだ」
たかが遺伝子が繋がっているだけで家族というなど俺は認めない。
「俺の話はそれだけだ。ああ、初めに言っておくけど俺はお前の事が大嫌いだからな。話しかけるなよ」
それだけ言うと俺は二人を置いて屋上を後にした。
投稿期間は不定期ですががんばっていきたいと思います。