天帝の神殺し 改訂版   作:コード・アンノウン

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 それではどうぞ!


2話 草薙護堂の今

     2話    草薙護堂の今

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、新たなカンピオーネである草薙護堂もイタリアにいた。 正確にば呼び出されだというのが正しい。 

 

 ニワトリも眠る早朝に起こされ、ご丁寧に用意されていたチケットを使い、眠たい目を気合いでこじ開けながらそれに応じたのだ。  もちろんあの女の言うことは無視しても,たいした問題にならないだろうと判断。 おとなしく学校に行こうと思ったのだが、

 

 

「もし来なかったら、わたしの愛しの彼に引きずってでも連れてきてもらうけれど」

 

 

 という一言でそんな気は瞬く間に消えていった。 以前の話によれば、その一撃は天を裂き、歩くだけで山を割ると言われるカンピオーネが彼女の言う『愛しの彼』らしい。 それを聞いたときに「歩く災害だな」と言ったのを思い出してしまい、ブルリと体が震えるのを感じつつも、はあぁと何度目になるかもわからないため息をつく。

 

 あの奇人変人がそろうことで有名な神殺しの位のその最上位とうまく付き合えているのか? と疑問を呈したが、その時の一言。

 

 

「基本的にはかなり紳士よ。 よっぽどのことをしなければね」

 

 

 どうでもいいが、このときの声は、少しばかり乙女であったと追記しておく。

 

 ここに来ることになった原因を思い出しまた、ため息をもらす。 最近はため息の回数もうなぎのぼりで「俺って苦労人だ」と感じるようになったのは錯覚だと信じたい。

 

 

「で、俺をわざわざ日本から呼び戻した理由はなんだったのでしょうか」

 

「なによ、呼出しくらいで。 こんなときはどんな状況であっても駆けつけて、なにも口に出さないのがいい男よ、護堂」

 

「ならおまえの愛人はそうなんだろうな」

 

「当り前よ。 彼なら、周ならたとえ10億人の命を見捨ててでもわたしを助けに来るわ」

 

「おい」

 

 

 互いに軽口をたたき合った後、改めて呼出しの目的を問おうと思った直後に見ず知らずの老人たちがすぐ近くに現れた。 比喩ではない。文字通りそこに魔術で現れたのだから。

 

 

「相変わらずファンタジーだな」

 

「何を言ってるの? 神殺したるカンピオーネのほうがよっぽどファンタジーよ」

 

 

 普通に人間だ! と叫ぼうとしたが同僚のカンピオーネ達のすがたが頭をよぎり、そうとも言えなくもないことに気付き、口をもごもごと動かすだけに終わってしまう。 なまじ言い返せないところがつらいものだが、その姿を見たエリカは勝ち誇った表情を浮かべる。 

 

 ムカツク

 

 とそんな二人の様子を見ていた老人たちがようやく口を開いた。

 

「お初にお目にかかります、我らが王よ。 このたびはご足労いただき感謝します」

 

「は、はあ どうも、草薙護堂です」

 

 

 あまりに丁寧な口調に内心驚き、日本人の性でついお辞儀をする。 カンピオーネは王だということなので尊大な態度のほうがいいのかなと思ったが、結果は

 

 

「此度の王は礼儀正しいのですな」「いやまったくだ」「実にうれしきことです」

 

 

 べた褒めだった。 挨拶するだけでここまで持ち上げられると思ってもみなかっただけに驚いてしまう。

 

 

「え? いやいや自分は別にそんな大したものでは――」

 

「いえいえ、何をおっしゃる。 あなたが今はなしているイタリア語。 学んで身に着けたものではないのでしょう?」

 

「え? は、はい、なんかいつの間にかわかるようになったというかなんというか」

 

「それは『千の言語』と呼ばれる、本来魔術を極めたものにしか使えぬ御業。 それをもう使いこなしている。 いやはや、さすがと言わざる負えませんな」

 

 

 

 期待されるのが嫌だったのでとりあえずごまかそうとしたら逆に墓穴を堀ってしまったらしい。 というか、この人たちはどうやっても長所を無理やり探し出しそうだ。

 

 

「結局何のためにここにきたんだ? 俺は」

 

 

 余計な詮索がめんどくさくなったため、本題を切り出す。

 

 

「で、俺がここまで呼び出された理由は?」

 

「簡単に言えば実力試験のようなものね。 サルバトーレ卿との戦いで証明されているのだけれど、信じない馬鹿どもがいるの」

 

「そいつらを黙らせるため……か?」

 

「頭の回転が速いのは美点ね」

 

「どーも」

 

 

 護堂としては呼出しをくらった時点で嫌な予感はしていたため、癖になりつつあるため息を一つつく。

 

 

「はぁ、それで? 俺は誰と戦えばいいんだ?」

 

 

 「戦い嫌い、ビバ平穏」を建て前にして何かと争いを避けようとする護堂からすれば珍しく好戦的だ。 てっきりごねてくると決めつけていた

エリカは不審に思い、どうしたのか尋ねる。

 

 

「あら? 今日はいやに好戦的ね。 なにかあったの?」

 

「別に。 早いとこ終わらせて帰りたいだけだ」

 

 

 本人も気づいていないが、護堂はいらだっていた。 急な呼出しでイタリアまで来てやったというのに、要件はただの実力試験。 そのかすかな怒りが彼を強気にしていた。

 

 

「ふーん。 ま、いいわ。 護堂の相手はこのわたし……と言いたいところだけど、違うわ」

 

「? 違うのか?」

 

 

 てっきりエリカとの模擬戦かと思っていた護堂にその爆弾は投げつけられた。 核なんて目じゃない爆弾が。

 

 

 

 

 

 

「護堂が戦うのは私の彼、つまり同じカンピオーネよ」

 

 

 

 

 

 左手の薬指にはまる、シルバーに輝くエンゲージリングを愛おしそうに撫でながら語られた事実。 護堂は目を皿にした後、白い灰となった。

 

 エリカの惚気話に出てきた周の起こした天変地異とも呼べる出来事を思い出したらしい。 もっともエリカの話したものは乙女フィルターを通しているため大げさに語られ、もはや別のものと化しているが。

 

 

※乙女フィルター

 エリカが周の自慢をするときに発動するもの。 周の活躍をよりかっこよく、より勇ましく変換する。 周命名。

 

 

 サラサラと溶けていきそうなほど落ち込み、四つん這いになっている護堂を見かねたエリカは、目の前の王を励まそうと言葉を探す。 ドタキャンは困るのだ。 世間体的に。

 

 

「大丈夫よ。 よっぽどのことをしないない限りあなたを殺そうとはしないはずよ」

 

 

 そうだよな。 試験官的な立ち位置に来る人がそんな狂った人であるはずがない。 と自分を納得させかけたところで気が付いた。 いや、気が付いてしまったというべきか。

 

 

 

 

 

 俺ってこの人(エリカ)を危険にさらしてね?

 

 

 

 

 

 

 思い当たるのは護堂がウルスラグナを倒した時のこと。 どうして一緒じゃなかったのかは知らないが久利宮さんはいなかったし、あの時一歩間違えばどっちも死ねた。

 

 聞けばそのカンピオーネは、この女を自分より、というよりこの世の名により大切にしているらしい。

 

 

 

 

 その日、イタリアに悲痛な日本人の叫びがこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 あおがき……訂正、あとがき

 2話め投稿デス。 もともとあるのをベースにしているので書くのが楽ちん。 うれしいなー
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