天帝の神殺し 改訂版   作:コード・アンノウン

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今回ちょっとみぢかめ……なのかな?
 それではどうぞ(゜.゜)


3話 天帝との邂逅

  

 

 

 

 

 

 

 

               3話  天帝との邂逅

 

 

 

 

 

 

 

 

 草薙護堂との全力の闘争に心躍らせていた周に水を差す出来事が起こった。

 

 渋滞である。

 

 イライライライライライライライライライライライライライライライラ

 

 運転手からしてみれば、fire in導火線のダイナマイトを運送しているようなこの状況は落ち着かないどころか寿命を削っていた。 素人でもわかる怒気が車内に充満している。 この状況が続けば極端な話、前を走っている車を吹き飛ばしながら進ませるかもしれないのだ。

 

 口元を引き締め、覚悟を決めた運転手は勇気を振り絞り、目の前のモニターをワンセグから後部座席の映像に切り替える。 振り向く勇気はなかった。 

 

 へたれである。

 

 映された映像にいる周はいつもと変わらないように見えるが、その顔は実にすがすがしい表情を形作っている。 笑顔だからいいんじゃない? とおもうなかれ。 この男は切れれば切れるほどにやけるタイプだ。 俗に言う『笑ってるのに目が笑ってない。 あれおかしいな悪寒がするぞ』状態である。

 

 

「あと、何分だい?」

 

 

 怒れる雰囲気とは裏腹の言うも通りの優しげな声が空気を揺らす。 威圧を抑え込んで脅かさないようにしているのはわかるのだが、それが嵐の前の静けさに思えてしまう。 心の中で八人目の無事を祈ると同時に、悪いのは道路です僕違うと弁明する。

 

 

(あぁ、強く生きてください。 八人目の王よ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数分後、それは起こった。 今までじっと渋滞に耐えていた男が動いた。 言わずもがな、久利宮である。 本来短気な彼にしてみればよく耐えた方だがさすがに限界を迎えたらしい。

 

 比較的広い車内で中腰で立ち上がり、窓を開け脱出をはかる久利宮に慌てて声をかけるのは運転手。 この時すでに彼は未来を悟っていた。

 

 

『止められないんだろうなー』と。

 

 

「く、久利宮卿? どちらへ行かれるのですか?」

 

「? どこって、コロッセオだけど」

 

 

 久利宮は、お前何当り前のこと聞いてるの? と言いたげな視線を投げかけ、またそれでもなお外に出ようとしておりもう片足は窓のふちを踏んでいる。

 

 

「……まだ三キロほど距離がありますが」

 

「かんけーないよ」

 

「……久利宮卿。 もしや跳躍を使うおつもりですか?」

 

「そうだけど?」

 

「なっ、ここがどこだかお分かりですか? イタリアのそれも市街地ですよ? それにセルビアでの事件を忘れたとは言わせませんっ」

 

「だいじょぶだいじょぶ。 今度はちゃんと減速術式組むからさ」

 

 

 この男、十キロ以内ならばカンピオーネの魔力でゴリ押しした跳躍の術式で移動する。 飛翔ではないゆえに着地の際、少なくない被害を残す。

 

 

「じゃ、そういうことでバイバーイ」

 

「ちょま――」

 

 

 足元に魔法陣を描き、高速で飛んで行った神殺しを見送って運転手は願った。

 

 

 

 

 頼むから始末書を書かされるようなことはしないでくれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 久利宮が高跳び選手どころか棒高跳びも真っ青な超超高度を跳んでいるとき、草薙護堂は頭を抱えていた。 草薙一族譲りの端正な顔をゆがませ、皺のよった眉間をもむ。 原因はもちろんこれから来るであろうカンピオーネのことである。

 

 平和主義を掲げる彼にとって、何とも言えない暗雲が立ち込めているように思えてきていた。 戦うのは別にかなわない。 先ほど試験と言われたときに覚悟を決めた。 しかしそれが死闘となればそれは変わってくる。 互いの命を懸ける争いに発展すればこの辺一帯もどうなるのか予想もつかない。 ……ああ、いや焼け野原になるな。

 

 一度ネガティブな方向に考えてしまうと、どうしても悪循環に陥りやすい。 いまの護堂がまさにそうであった。 エリカがいくら大丈夫だといっても悪い方向に考えてしまう。  もう逃げようかな、めんどくさいことなりそうだし。 とそこまで思考が至った時だった。

 

 

 

 

 

 

 体中に力がみなぎって来たのは。

 

 

 

 

 

 

 腰を下ろしていたベンチから飛び跳ねるように立ち上がり、あたりを見回す。 およそ目視できるようなところに脅威はない。

 

 カンピオーネの体は強敵が現れるとその力を爆発的に発現させる。 これは意識的にやっていることではないため神殺し達が無意識下で行う習性や特性に近い。 つまりこれはコロッセオ付近にカンピオーネもしくはまつろわぬ神がいることを示している。                       

 

 

 ならばなぜこの体は反応したのか。 試験監督として来るカンピオーネの久利宮さんは、さっき渋滞につかまったと聞いたのでまだ時間がかかるはず。 ドニも今、療養という名のバカンスであったはずだ。 それならもう選択肢は一つ。 まつろわぬ神しかない。

 

 戦闘態勢に入った護堂は自然体で構えながらも探すがやはり見つからない。

 

 

 (くそっ、見つからねえ。 いったいどこにいるんだ!?)

 

 

 しきりに周りを気にする護堂の行動がよほど不自然だったのか、老人魔術師たちと何やら小難しい話をしていたエリカがこちらへ向かってきた。

 

 

「何をしているにかしら? 護堂」

 

「いや……」

 

「?」

 

 

 そわそわとしている護堂が臨戦態勢でありことを見破り、少し考えてから一番可能性の高いであろう選択肢を選ぶ。

 

 

「大丈夫よ護堂。 たぶん敵じゃないわ」

 

 

 たぶん待ちきれなくなったんじゃないかしら? と付け加え、エリカは青い空の広がる上方に顔を向ける。

 

 つられてそちらに目を向けると、カンピオーネとしての超人的な視力が小さな影をとらえた。 目視でおそらく数百メートルは飛び跳ねている何かを見つける。

 

 

「人……影か? なんかこっちに向かって来てる様な……」

 

 

 そのつぶやきを拾ったエリカがほほ笑みながら確信する。

 

 

「護堂。 彼が久利宮周。 六人目にして私の愛しい人よ」

 

 

 そういって手で指示した方向には、大跳躍をしたとは思えないほど静かな着地に成功した人影があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 賢人会議 久利宮周のレポートより抜粋

 

 帝釈天は護法十二天の一柱であり極東を守護する仏教の神ですが、もとはヒンドゥー教やバラモン教のインドラ神を起源とする雷雹の神であり、ゾロアスター教において災害をもたらす悪神として恐れられていました。

 

 この神は雷雹の名の示す通り、雷を象徴する神であり強大な力を誇ったとされます。 その証拠にマハーバーラタ等で表現されている英雄たちの超兵器の一つが「インドラの炎」「インドラの矢」という名で呼ばれている。 また太古のインドでインドラが、アスラ族またはラークシャサ(羅刹)の王ラーヴァナの大軍を一撃で死滅させたという逸話も残っています。

 

 上記のとおり炎や矢といった特性も備えているが、やはり特筆すべきは雷の権能でしょう。

 

 三つの形態を誇る、かの権能≪天空天罰(クライム・クライム・クライム)≫は雷を従え、地を焔で埋め尽くし、はむかう者たちを串刺しにする権能であり、まさに災禍の悪神と言えます。

 

 

 同じく護法十二天である日天は、もとはインド神話の太陽神であるスーリヤが仏門に下ったものであり、原初の巨人プルシャの目から生まれたとされます。 一般的に、金髪に三つの目、そして四本の腕を持つ姿で現され、7頭の馬が引く戦車に乗り、天を翔ると伝えられています。 またインドラと並ぶ実力を持つと言われていました。 かの神は常に体から高温を発し、恵みの光を、干ばつを引き起こす死の光を放つ豊穣と滅亡の神であります。 その権能は≪原初の焔火(オリジンフレア)≫は燃え盛る劫火と小さな太陽を生み出し、自らも炎化するという凶悪なものであることが確認されています。

 

 補足

 久利宮卿はヴォバン侯爵の七十年ほど後に生まれたカンピオーネだと推測されます。 最古参のうちの一人が六人目を名乗っているのは便宜的なものであり、カンピオーネとして確認された順番でつけられた物であり、誕生した順番ではありません。

 

 

 

 




はっきり言おう。

 自信なし。



 なんか急展開すぐる……


まあ次はエリカへの愛がわかる回だと思います(^_^)/
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