忘れている方は初めまして。
活動再開しました。
いつ投稿するかは自分の気分次第になりそうですけどね。
気が付くと真っ暗だった。
目を開けて、閉じて……
やっぱり目を閉じたままだったってこともないか。
えーと、取り敢えず今どうなっているか確認してみよう。
俺は体育座りをして、頭を下げてる感じの体勢だな。
試しに頭を上げようとすると天井ににぶつかって上げれない。
手を解いて周りを探……ろうとしたけど肘が当たって手が伸ばせない。
せっまいなー……
なんとなく犬小屋に入った時を思い出す。
うん?犬小屋?
少しずつ手を解いて、壁を触ってみると、木の少しザラザラした感じがする。
鉄だろうと木だろうと出られないから関係ないけどな。
そのままペタペタと色んなところを触ってみたら、小さい箱の中にいるって分かった。
ふいにガタンと外で大きな音が聞こえて、ぐらっと地面が揺れた。
「地震!?机の下に入って頭を守らないと!」
急いで周りを見てみるけど何もない。
というか何も見えない。
どうしよう……机がないっ!?
今はまだ細かく揺れてるだけだけど今度大きく揺れたら生き埋めになっちゃうかもしれない!
どうしたら生き残れるんだ……
考えろ、考えるんだ……
俺はここで終わるわけには行かない。
ドッグトレーナーに成るまで死ぬわけにはいかないんだ!
何か、何か方法は……
知恵熱で耳が熱く感じ始めた頃、俺はついに閃いた。
箱の中にいるからとりあえず安全じゃね?と。
「なんだ……驚かせやがって……」
ふーっと息を吐く。
ついでに、でこの汗を拭おうとしたら手が箱にぶつかって動かせない。
本当に窮屈だな……この箱。
もっと人が中に入ることを考えて作るべきだろ。
取り敢えずせめて手足を伸ばせるだけの広さ、ソファ、テレビは絶対に入れといた方がいいと思う。
そんな画期的なアイデアを考えてたらまたゴトンという音がして大きく揺れた。
「また地震!?やけに地震が多いな」
もしかして……犬神を怒らせちゃってたのか?
確認もせずに撫でたのがそんなに嫌だったか……
だから、地震が多い危ない地域に転生させようってなったのか?
そこまで考えて
なんてことだ……ワンコに嫌がられるようなことをするなんて……
落ち込んでいたら真っ暗だった箱の中に突然光が差し込んで来た。
光が眩しくて目を細めながらもその光の方をみると、そこには何かがいた。
これは……もしかして愚かにもワンコに嫌がらせのようなことをしてしまった俺を救う為に現れた天使じゃないか!?
その姿を垣間見ようと光に向かって一生懸命目を凝らした。
小さな顔!つぶらな瞳!
明るい茶色の短い毛に覆われている顔……?
頭の上でピンと突き立つ三角の耳…………?
えーと……ち、違うよね……?
気のせいかと思って何回か目を擦ってみてもそこにいるものは変わらない。
………………………………間違いない猫だ。
「はぁ〜〜〜〜〜……」
「にゃっ!?いきなりため息!?」
猫派に乗り換えろってことか……
そんなに嫌われてたのか……
そのあまりにも残酷な判決に根っからの犬派の僕が海よりも深い溜息を吐いたのは仕方がないと思う。
そのままうつむいて膝に頭を乗っける。
「えーと……だ、大丈夫かにゃ?」
……いや、待てよ?
ドッグトレーナーにしてみれば少しヤンチャなワンコや嫌われているワンコをしつけるのは当然のこと。
これはドッグトレーナーとなる俺への試練なのか……!?
「よしっ!そういうことならやってやろうじゃないか!」
「にゃっ!?今度はなんにゃ!?」
こんなことしちゃいられない。今すぐ犬神のところへ行こう!
でもどうやったら会えるんだろ?神社とかに行けば何とかなるか?
神社かぁ……
ここら辺にあるのかな?そもそもここってどこだったっけ?
今まで落ち込んでいてそんな当然のことも忘れてたんだなぁ……
そんなことにも気づかないなんてそんなに焦ってたのか……
まぁ、ワンコのことだから仕方がない。
周りを見てみたところ、俺を挟むように家と飼育小屋みたいなのがたってて、家の方は社会の教科書にのってる昔の日本の家みたいな感じだ。飼育小屋の方にはでっかいカモみたいなやつが中にいる。あと、俺の近くには大きくて四角い箱とかがつんである荷車みたいのがあった。ここから見える範囲にはそれ以外にめぼしいものはなく、木が立ち並ぶばかり。
「……神社ないなぁ」
うーん……
せめて近くの村に続く道とかあればなぁ
どうしようか?とりあえずそこの家に入ってみようか?
なんとなく人間がしょげているみたいにしてて、赤いベストを着た虎柄の猫を見ながら考える。
「せめて話を聞いてほしいにゃ……」
最近の猫って凄いなぁ……こんなに人間っぽいなんて……
適当にそんなことを考えながら家の方……へっ?
あれ?なんか変じゃないか?
振り返って猫に声をかけてみる。
「えーっと……もう一回?」
「にゃ?せめて話を聞いてほしいって言ったのにゃ」
「…………ワンモア?」
「話を聞いてほしいって言ったんだにゃ。それとなんで英語なんだにゃ?」
何回目を擦っても目の前にいるものは変わらない。
もしかしてと思って探してみたけどスピーカーも見当たらない。
よく分からないからでこをつたう汗を手で拭って一度落ち着いてみた。
「なんだただ猫が立って喋っただけか……」
口にも出してそこまで大したことじゃないかのように自分に言い聞かせる。
別に猫が立ったくらいどうってことないよな。ネズミだってたって喋ることもあるんだから。映画の話だけど。
いったん目を閉じて深呼吸。
よし、大分落ち着いた。これならきっとだいじょ――
「落ち着いたかにゃ?」
「猫が喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「にゃぁっ!?」
こっちを覗き込んでいる茶色い顔が見えた瞬間余裕が吹き飛んだ。
犬神は違う世界とか言ってたけど、あんまり変わってないかと思ってた!
この世界ではこういう猫が当たり前なのか?
軽くパニックに陥っているとガラリと家の扉が開いて中から茶色い上着とズボンをはいたおっさんが出てきて、俺と猫を見て面白そうなものを見たかのようにニヤッと笑う。
うわー……なんか怪しい人が出てきた。
「なんかあったのかネコ助?」
「旦那さん、箱から人が出てきたにゃ!」
「俺たちは毎日のように色んな物運んできてんだ。たまには人間が紛れ込むことぐらいあるだろ」
「そんなことないにゃ!仮にあったとしても箱詰めされたりなんかしてないにゃ!」
「へぇ……?」
うっ……
おっさんはそれまでどおり笑顔ではあるが目は笑っていなくて、品定めするかのように全身をなめるようにジロジロとみられる。
一大事だとでも言わんばかりに猫が騒いでいるのには全然取り合わなかったくせになんでこんなことは気にするんだよ。
そもそも犬神はなんでこういう面倒くさい方法でこっちに送ってきたんだよ。
もっと自然な方法があっただろ!
妙にピリピリした空気の中どうしようもない俺は愛想笑いを浮かべながら頭の中で犬神に文句を言うことしかできなかった。
そんな中、急に男の雰囲気が変わったのに戸惑ったのか猫が不安そうな声を上げた。
「旦那さん?」
でも男は反応せず、じっとこっちを見続けている。
あのー……お宅の猫ちゃんが心細そうにしてるぞ?
相手してあげたらどうだ?俺なんか放っといて。
しばらく、妙な空気を醸し出した後男はおもむろに口を開いた。
「…………兄ちゃん、面白れぇな」
……………………は?
これって何者だって聞かれる奴じゃないのか?
ペットのにゃんこもわかりやすく目が点になってる。
全く予想外なことを言われて目を白黒させている間に、男は俺や猫の様子を気にせずつかつかとこっちに歩いてきて肩をバシバシ叩いてきた。
「わざわざ箱に入ってまで旅を使用だなんてそんなあほなこと思いついても普通やらねぇよ!なかなか肝の据わったやつだ、気に入った!」
「え?えーと?どうも」
「おう、兄ちゃん!こんなことするぐらいだから何処かに行きたいんだろ?せっかくだし荷物を運ぶついでに連れてってやるよ!」
「にゃっ!?旦那さん何言って「マジすか!?おっさん太っ腹!」
まずいことになるかと思ったけどそうでもなかった!
本当は自分で中に入ったわけじゃないんだけど結果オーライだよな!
なんだか猫がワタワタしてるけど別にいいか。
俺が言い返すとおっさんは腕を組み、大口を開けてに笑った。
「はっははは!威勢がいいな!それで、どこに行くんだ?」
「それじゃあ……」
そこまで言われたところで何も思い浮かばないことに気付いた。
あ……そういえばどこに行けばいいんだ?
よく考えてみたら俺って今親がいない上に無職なんじゃん!
どうやって生きていけばいいんだよ……
おっさんに頼むのも厚かましすぎるよな……
それにここがどんな世界なのかがわからなくてどうしたらいいのかもよく分からない。
おっさんの服とか家とか見る限り前の昔の日本みたいな感じだよな?
そんな風に考え込んでいるとちらっと視界の端に茶色いものがいるのに気づく。
……喋る猫がいるから元のところとは全然違うか。
だとしたらどんなところなんだろうな。
まぁワンコがいるなら俺はどんなとこでもいいんだけどな!
うーん……とりあえず分からないことだらけでどうすればいいかがさっぱりだ。
とりあえず情報だな。
食い物とかはとりあえず何かが分かってからだな。
よし、これで決まりだ。
不思議そうにこっちを見ながら返答を待ち続けるおっさんに声をかけた。
「ここから一番近くの村でお願いします!」
「おう、任された!すぐに支度するからちょっと待ってろ!」
「旦那さん!?ほんとに行くつもりなのかにゃ!?やめた方がいいにゃ!」
「馬鹿野郎!!一度行ったことを取り消すなんていた日にゃあ男が廃るってもんだ!さっさと準備しろネコ助!」
「そんにゃ~……」
威勢よく返事をしながらおっさんは家の中に入っていき、その背中を追って猫も家の中に入っていく。
なんだか猫の背中に哀愁が漂ってる……
迷惑かけてゴメン……
一人と一匹が見えなくなると敷居をまたいで箱から出る。
「そういやこの世界にきてからずっとここにいたんだな……」
なんとなく名残惜しさを感じながらも箱を持ち上げて、ちょうどいい場所がないか探す。
ここにあったら邪魔になりそうだし動かしておこう。
これから世話になるんだからすこしぐらい手伝いしないとな。
しばらく見回して家畜小屋の横に捨てるとガシャンと箱の中から何かがぶつかる音が聞こえた。
「あれ?まだ中に何かあったのか?」
覗いてみると、昔の人が頭につけてた傘みたいなのと長い刀みたいなのが入っていた。
刀の鞘にはべルトがついていて背負えるようになってるみたいな。
なんでこんなのがあるんだろ?
「まぁ、でもせっかくあるんだし着けてみるか!」
傘の方は難しそうだし棒の方からやろう。
箱の中から出して手に取ってみると棒には金具がついてる。
開けてみると鞘が開いて刀っぽい白い棒が出てきた。
「おー、かっけぇ!」
なんでこんなのがあるかは分からないけど犬神もいいサービスしてくれるな!
意気揚々と刀を背負い、傘を被って少し苦戦たけどなんとか紐を結ぶ。
鏡がないから分からないけどきっと旅人みたいな格好になってるんだろうな。
戻ってみると荷台には山というほど荷物が積んであって家畜小屋にいたでっかいカモみたいなのがつながれていた。
操縦席でカモにつながれた縄を握ってる猫のよこでこっちに気付いたおっさんがこっちを見てにやりと笑った。
「なかなか様になってるじゃねぇか。乗りな!今すぐ出発すっぞ!」
「分かった!よろしくなおっさん!」
俺が操縦席に飛び乗ると猫がカモたちに鞭を打って車を進めた。