紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。なんか地霊殿のところもう少し内容増やしたかったんだけど無理でした....。


11話 己物語

地底って言うからには、なんか監獄的なイメージがあったんだがそんなことはなくかなり活気づいている。

 

「結構賑やかなもんなんだな〜」

 

「・・・・」

 

「なんで黙ってるんだ?」

 

「・・誰かが私達を尾行してるんだけどどういうこと?」

 

「あ、やっぱり?ハァ、なんでこんな事になっちゃったのかなー。」

 

「尾行するやつがいるなんて妬ましいわね。」

 

うーん何が妬ましいのか全然ワカラナイナー。多分尾けて来てるのは白狼天狗、俺が殺した天狗の仲間だろう。俺だって好きで殺したわけじゃないのになー。

 

「まあ、気にしなくていいよ。」

 

「そう。ここよ。」

 

「む?ってでけぇなーーー!」

 

地霊殿とか書かれている看板に大きな館が目の前にあった。

 

「じゃあ私は戻るわ。後は、自分でなんとかしなさい。」

 

「おう!パルスィいつもあそこにいるのか?」

 

「そうよ。」

 

「そっか、じゃあまた会いに行くな。」

 

「来なくていいわよ。妬ましいわね。」

 

「だから鬱陶しい、だろ。」

 

パルスィの後ろ姿に手を振り見送る。

さて、じゃあ行くか。ガラガラと戸を引き入る。地霊殿とか言うからにはなんか大きな宿泊施設かなんかなんだろう。

 

「たのも〜。たのも〜。」

 

少し古風にドアをドントンと叩きながらそう言う。

 

「はいはい」

 

ん?今の声、子供かな?看板娘的な?そう考えているとピンク色の髪の毛をしている可愛らしい女の子が現れた。少女の傍にうっすら瞼があいた目ん玉が浮いている。

 

「ここにいるであろうこいしって人に用があるんだけど会えないかな?」

 

「私は、ここの主人です。看板娘ではありません。こいしは、残念ながら外出中です。こいしに何か御用ですか?」

 

むむ?読心術かなんかか?心を読まれた。正直驚いたけどまあこんな能力を持ったやつもいるでしょ。まあ、一番驚いたのは主人って事なんだけど、あれか清涼みたいに不老だったりするのかな?。しかし、心を読むときたか。なんか闘争心が湧いてきちゃうね。いかに心を読まれずに会話するか、みたいなね。

 

「いろいろ思うところがあるのは結構何ですが、それは無理ですよ。何も考えずにどうやって会話するんですか。」

 

スゥーと息を吸い

 

「そんなの簡単さ。」

 

あばばばばばばばばばばばばばばば

 

「心であばばばいいながら会話している⁈どうやって⁈」

 

あばばばばばばばばばばばばばばば

 

「本能に身を任せて喋あばばばばばばばばばばばばばばばばば」

 

「もう会話出来てないじゃないですか。」

 

「はっ!やっぱ難しいな・・。んでこいしさんは、いないのか。どれぐらいで戻るかわかる?」

 

さっきまでふざけていた表情を切り替え真面目に話し始める。

 

「放浪癖のある子なので分からないですが、今日の晩御飯には帰って来るんじゃないでしょうか?」

 

「ふーむ。そうか、悪いけど帰ってくるまでここで待ってていいか?他にあてが無いんだ。」

 

「別にいいですよ。特に用事もある訳では無いので」

 

「おお、恩に着るよ。」

 

そう言われると奥の部屋に案内された。

 

「適当に座っていてください。」

 

「ああ。」

 

机に並べられた椅子に座る。しかし、読心術かー。中々便利そうな能力ではあるが本人の様子を見る限りそこまで都合のいい代物ではないんだろうな。きっと罵詈雑言から憎しみの心の声まで聞きたくないものが見えてしまうのだろう。。おまけに心を読まれたくない奴なんかから迫害を受けたりしたのかもしれないな。まあ、能力にはリスクがつきものだからな。当たり前と言っちゃ当たり前なのかもしれないな。

 

「それでこいしに何の御用ですか?」

 

お茶を机の上に置きながらそう言う。

 

「ああ、ちょっと記憶を取り戻したくてな。こいしっていう人なら出来るって聞いてさ。」

 

「そうですか。何故記憶を取り戻したいと?」

 

「記憶がないって言われたら取り戻したいと思うのが普通だろ。」

 

「記憶がなくなるときのことを考えたことがありますか?」

 

「どういうことだ?」

 

「貴方が記憶をなくす時自分の意思で記憶を消したかもしれないということです。」

 

「ッッッ‼︎」

 

そんなこと考えたことも無かった。確かにそうだ。もしそんな事があったのなら過去に自分の記憶を消したいと思う程の辛い出来事があったのかもしれない。

 

「記憶を戻すのは、もう少し考えてからにしますか?」

 

「そうだな。そうする。急ぐ必要もないしな。」

 

「賢明です。どうしますか?帰りますか?貴方地上の人ですよね?」

 

「ああ、ここにいる理由もないからな。まあ、また世話になるかもしれないからその時はよろしく頼むよ。」

 

「そうですか。分かりました。」

 

「それであんた名前は?俺は、夜麻鳥氷坂だ。」

 

「私は、古明地さとりです。お気をつけて。」

 

というわけで地霊殿を出た。

 

 

 

 

 

 

「あ、本当にここにずっといるんだ。」

 

俺がここに来た時の大穴のところまで戻るとパルスィがいた。

 

「随分とお早い帰りなのね。妬ましい。」

 

なんでやねん。さて、じゃあ登るか。糸を上に飛ばし穴の壁にくっつけ、糸が壁にくっついた状態で糸にぶら下がり機械で巻くことにより登る。糸が壁にくっついた部分まで来たらまた上に糸を飛ばす。

 

キュルキュルキュルキュル

 

「ハァ、結構めんどうだな。登り負えんのに結構時間かかりそうでやだな。」

 

そこで、心の違和感に気付く。

 

「あれ?何か忘れてるよう

 

ドスッ

 

「や、やった‼︎や、やっとやっと殺せる‼︎アハ、アハハハハハハハ‼︎」

 

腹には、刀が突き刺さり背中から腹にかけて貫通していた。後ろには、歓喜にふるえる白狼天狗がいる。

 

「あ・・が・・・・」

 

「し、死ねぇ‼︎皆の仇だぁ‼︎ざまぁみろ‼︎」

 

糸にぶら下がった俺を容赦無く刀で何度も切り裂いてくる。背中は、最早見る影もなく何度も切り裂かれたことにより骨が見えている。

 

「アハハハハハハハ‼︎」

 

だが、この状況で頭にあったのは、死への恐怖では無く

 

「・・・・だよ。」

 

「へ?」

 

ただただこみ上げて来る、怒りだった。

 

「いってぇんだよ‼︎‼︎‼︎クソガァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

渾身の力を振り絞り天狗の頭を掴み、下に投げた。投げた数秒後、下の方で大穴に響き渡るほどの轟音がする。

 

「ハァハァ、ゲボッ。」

 

血を大量に吐き、そのまま気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

目を覚ましたのは、見知らぬ場所だった。少し古風な部屋で落ち着きのある場所だった。ていうか、この頃こういうのばっか。

 

「あら、お目覚めかしら。妬ましいわね。」

 

「何が⁈」

 

隣で座っている。パルスィがそう言う。起きて早々ツッコミをさせるとはひどいおかただ。

 

「パルスィか。ここは?」

 

「私の家よ。」

 

「ああ、そうか。そう言えば天狗に襲われてたんだっけ。なんで俺は、パルスィの家にいるんだ?」

 

「ハァ、穴の中から天狗が落ちて来て何事だと思って覗いて見ればボロボロのあんたがいたから仕方なく助けてあげたのよ。感謝しなさい?」

 

「その天狗は、どうなった?」

 

「天狗なら即死だったわよ。ほぼ木っ端微塵になってたからね。」

 

「そうか。助けてくれてありがとな。」

 

「どういたしまして。」

 

なんでそんな妬ましそうな顔して言うの?感謝いているのですよ?ワケガワカラナイヨ。

 

「ところで俺どんくらい寝てた?」

 

「丸一日よ。」

 

「そんだけ⁈普通に生死を彷徨うような大怪我だったはずだが・・。少なくとも昏睡状態にはなるだろ。」

 

「あんたを助けた時、出血のわりに全然怪我が見当たらなかったけど。」

 

ああ、なるほど。一瞬だけ物凄い力が出たから多分その時妖怪の山の時みたいに傷が修復されたんだろう。

そうこうしていると扉の奥から声が聞こえてきた。

 

「よぉ〜パルスィ〜いるかぁ〜」

 

陽気な女性の声が聞こえる。

 

「あら、勇儀じゃない。」

 

ガラッと戸を開け入って来たのは、額に角を備え体操服のような上着に、長いスカートを身に付け長い金髪を揺らす巨乳の大柄な女性だった。

 

「おお、これは艶かしい・・。」

 

服から一生懸命存在を主張するかのように出る胸がなんとも・・エロい。

 

「ん?パルスィ男を連れ込んでるの・・か・・って氷坂じゃないかよー‼︎」

 

「ん?は?ぶっ」

 

急に勢いよくその女性が俺に抱きついて来る。抱え込むように抱き付いて来たため顔が胸に埋れてしまう。実に嬉しい話しなんだけど窒息死するから離して欲しいな。あと、パルスィ、パルスィがぽつんとしてるから。

 

「し、死ぬ、から、離して。」

 

途切れ途切れにそう言う。

 

「む?あぁ、悪い悪い。久し振りだなぁ‼︎氷坂‼︎3百年振りぐらいじゃないか?いや〜もう二度と会えないと思ったぞ!」

 

「ん?は?誰?ボク、アナタ、ショタイメン。」

 

状況に頭が追いつかずついカタコトになってしまう。ふざけているわけではない。決してふざけているわけではない。てか、パルスィ、パルスィを放置するのやめたげて。

 

「おいおい、冗談はよせ!なんだ?私と会えたことへの照れ隠しか?本当昔からウブな奴だな〜。」

 

バシバシと俺の背中を叩きながら大笑いをしている。

 

「ボク、アナタ、シラナァイ。」

 

「・・・・アハ、アハハハハハハハなんだ〜?そろそろ冗談が過ぎるぞ。」

 

段々と女性の笑顔が引き攣ってくる。だからパルスィを放置しないで。気まずいから。すっごい妬ましそうな顔でこっち見てるから。

 

「ま、まさか本当に覚えてないのか?」

 

「お、おう。」

 

「そうなの、か・・」

 

いや、そんなに悲しそうな顔されてもなぁ。

 

「俺には、何かしら過去があるらしいが俺にある記憶は十年程度だ。悪いがそれ以前の記憶は、無い。」

 

「そうか・・。氷坂は、いやお前さんは自分の過去を知りたいか?」

 

「今は、知ろうか、知るまいか悩んでるところだ。こいしって人に頼んで記憶を取り戻そうとここに来たわけだからな。けど、さとりっていう子にさとされて思い留まってるところだ。」

 

さとりだけに、ね。

 

「成る程な。お前は、記憶を取り戻さない方がいいだろう。だが、お前はお前の過去を知る義務がある。だから、お前さんに私が知る限りのお前さんの過去を話そう。」

 

「そういうこ

 

「話し始めようとしてるとこ悪いけどここ私の家なんだけど。あんたら何様よ妬ましいわね。」

 

あーあ、放置されてたパルスィが限界になっちゃった。

 

「いいじゃないか少しくらいなぁ。」

 

俺に振るなよ。なぁ、とか言われても困るだけなんだけど。

 

「すまん、パルスィ。俺も知りたいんだ。お願いだ。」

 

真剣にパルスィの瞳を見つめ言う。

 

「ハァ、別に駄目とは言ってないでしょ。好きにしなさい。そのかわり私も聞いてるけどいいかしら?」

 

「ああ、ありがとうパルスィ。」

 

すると、ゴホンと咳払いをし女性は

 

「では、話そうお前さんの過去を」

 

語り始めた。




なんか展開が早いような早く無いような....。まあ、取り敢えず次話は、勇儀の語る過去です。
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