紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。


12話 過去物語

「お前さんは、この幻想郷で天狗と人間との間に生まれた。天狗の方が母親で人間の方が父親だ。どっちも強かったがいいやつらだった。あいつらとは、よくやりあったもんだ。お前さんは、その力を引継いだおかげで子供の頃から強かった。けどな、お前さんには性格というものが破綻していてな理由はまだわからない。お前さんはある程度成長するとありとあらゆるものを破壊し続けた。そこらの妖怪程度なら無視出来たんだがお前さんは強過ぎた。一瞬で辺りを荒野に変えちまったのさ。お前さんの両親も止めようと必死だったが止めようとするたびボロボロになって帰ってきた。そこで、鬼、妖怪、人間がお前さんを退治する他なくなった。その中には、勿論私もいた。だが、それでもお前さんにはかなわなくてな。結局、人間、妖怪、鬼が沢山命を落としとお前さんの両親が命を代償にお前さんの力を封じ込めることに成功した。その後のお前さんは、私達鬼が預かり育てた。まだその時お前さんは、産まれてから10年も経ってなかったからな。最初こそは、歓迎されずお前さんも無愛想で酷い性格をしていたが時が経ち私達の温かみに触れて行くにつれお前さんはお前さんの両親に似ていいやつになっていった。それと、同時にお前さん自身がやった事への罪償いと言いどんな事でも率先して私達の役に立とうとしていた。時には、妖怪を救い、鬼を救い、人里を救った。それでもお前さんは、俺のやった事は、許されない事だからと言って何処かに行ってはボロボロになって帰ってきた。その時の姿は、お前さんの両親にそっくりだったな。そんな事を繰り返して、ある程度経つとお前さんは、私達に黙って何処か遠くへ旅立ってしまった。その後は、連絡一つ無く今に至る。

これが私の知るお前さんの過去さね。」

 

「そんな事があったのか・・。」

 

実感の湧かない、到底自分の過去とは思えない壮大なエピソードに驚きが隠せない。

 

「お前さんが記憶を無くしてしまったのは、罪の意識からなのかもしれないな。お前さんは、許されない罪と言っていたが正直お前さんは罪を償い過ぎた。見てて痛々しかったよ。だから、お前さんは記憶を取り戻さない方がいい。罪を償ったんだ、罪の意識から逃げてもお天道様はお怒りにならないだろうよ。」

 

そう、悲しい顔も怒りの顔も浮かべるわけでもなく真剣に言う。だが、ふと疑問が浮かぶ

 

「質問なんだが俺が暴走してた時八雲紫もいたか?」

 

「ああ、私達と一緒に最前線で戦ってたぞ。因みにお前より年下だぞ。」

 

「俺がここに来たのは、あいつが能力でこっちに俺を来させたからなんだ。わざわざそんな事をする必要ってあるのか?」

 

「ほぉ、そうなのか。元々胡散臭い奴ださらな、よく分からないが幻想郷を何より愛しているのはあいつだからな。もしかすると異変でも起こるのかもしれん。一応気をつけておけ。」

 

「ああ、有難う。最後の質問なんだが俺の両親の能力と俺の能力を教えてほしい。」

 

「お前さんの母親が衝撃を操る程度の能力、父親が空間を割る程度の能力だ。そんでお前さんが壊氷を操る程度の能力だ。まあ、天魔クラスの天狗が母親だからまだ色々と能力を引き継いでるけどな。千里眼だとか風を操るとかな。」

 

ん?壊氷?空間を割るは、なんか想像つくけど壊氷ってなんだ?

 

「壊氷ってどういうものなんだ?」

 

「壊氷っていうのは、空間に干渉できる氷で、凍りつかせる、わる、切る、砕くをして空間を間接的に操作することが出来る、その上壊氷には毒があって微量でもそれが体内に入ると即死する。この毒は、どの生物にも即効だからな。お前さんが能力を使った後は近辺の生物はが死に絶えちまう。」

 

わぁお、そんな化け物相手によく封印出来たな。

 

「そんな化け物だったのか・・。まあ、今となっては別にどうでもいい事なんだけど。」

 

「どうでもいい事は無い。お前さんが死んだら強制的に力が解放される。」

 

「え?」

 

死んだら解放っておかしくないか?

 

「お前さんの心臓の鼓動が止まると封印が一時的に解けるから少しの間、力が解放される。多分お前さんは、成長したからあの時とは比べ物にならないくらい強いだろう。封印は、心臓の鼓動が始まってから数分で戻るが、お前さんの力が解放されようものなら幻想郷は偉いことだな。」

 

いやいや、そこじゃなくて

 

「いやいや、死んだら封印もクソも無いでしょ。」

 

「今のお前さんは、人間並みの力と治癒力しか持っていないがお前さんの本来の力が強大なだけに封印が解けた時の治癒力もなみじゃないんだ。お前さんの本来の治癒力だと頭を潰されても復活するだろう。」

 

そんなに⁈頭潰されても復活とか魔人○ウかよ!

 

「要するにお前さんの一時的な死は、幻想郷の死を意味する。くれぐれも気をつける事だな。」

 

「あ、ああ。そう言えば、たまに物凄い力が出たり傷が一瞬で治ったりするがこれはどうしてなんだ?」

 

「ああ、それはお前さんが特定の感情を抱くと母親から受け継いだ天狗としての力のみが解放されるんだ。」

 

少し間が空き、何かを思い出したように女性は、

 

「さて!私は、パルスィに用があったんだよ。パルスィ、飲みにいかないか?」

 

手で酒を飲む仕草をしながらそう言う。

 

「別にいいわよ。ずっと洞窟見てるの退屈だしね。」

 

「それ毎回誘う度に言ってるじゃないか。」

 

「細かい事気にするんじゃないわよ妬ましいわね。」

 

「よし、氷坂はどうするよ。一緒に飲むか?」

 

「いや、俺はやめとくよ。そろそろ帰ろうと思ってたところだしな。そういや、あんた名前は?」

 

「ああ、そういや覚えてないんだったな。私は、勇儀。星熊 勇儀だ。よろしくな氷坂。」

 

「おう、よろしく勇儀。」

 

そう言うと満足そうな顔をして出て行ってしまった。

さて、俺は一旦清涼んとこに行くか。そういや、アリス達なにやってるかな。宴会で3日も戻って来ないとなると心配してるかな。まあ、また妖怪の山に戻らないとな。

 

 

「よっこいしょっと。」

 

大穴を抜けて地上に出たわけだけど超怖かったわ。また、天狗にやられたらとか思うと超怖かったわ。これがトラウマってやつなんだね。

さて、ここから妖怪の山に行かなきゃいけないわけだけど。シンドイわ〜。ていうか面倒だわー。

 

「頑張ろう・・。」

 

 

 

 

 

 

「あーー、シンド。やっと山の麓だよ。」

 

運動って重要だね!行く時は、下り坂が多かったしあまり気にしなかったが上り坂になった途端ここまで道が長くかんじるとは。ていうか、山の麓ってことは絶対ここら辺を周回している天狗がいるわけで

 

「そこの者何をしている!」

 

ほら来た。頭上から声がし、ふと見上げると上空に天狗と思しき少女がいた。髪は、セミロングで頭には赤い山伏風の帽子をかぶっている。黒いフリルの付いたミニスカートと白いフォーマルな半袖シャツが底しれず可愛らしい。あ、パンツ見えた。

 

「ここの清涼という大天狗に宴会で呼ばれていた者だ‼︎今は、訳あって地底に行っていた!」

 

少女に聞こえるよう大きな声をあげそう言う。と、同時に結界を張る。前みたいに襲われたくないからね。

 

「ん?この声何処か・・で・・って氷坂兄さん⁈」

 

「うおい⁈」

 

頭上にいたはずの少女が目の前におり、驚いてしまう。てか、ここに来たって事は結界の糸が

 

「やっぱり氷坂兄さんでぇあ⁈」

 

あ、やっぱり。今更になって張っていた糸を体全身で手繰り寄せた反動が少女を容赦無く縛く。これだけの糸に引っ張られれば人間ならバラバラなんだけど流石天狗ってところだな。少女の身体中が糸でしばられているため体のラインがはっきりとしているうえ、もんのすごい格好をしているのもあり、非常にエロい。

 

「い、いだだだだだ!痛い!痛いです!」

 

エロいけど、痛そうだな。

 

「解く前に質問なんだが何で俺の事知ってるんだ?ていうかお兄さん?」

 

「いだだだだだ、私ですよ!文ですよ!だから、これ解いてくださぃぃ!」

 

あー、この口振りからすると記憶を失う前の俺との知り合いか。どうしたものか。

 

「残念だけど、俺はお前の事を知らん。と言うわけで大天狗の清涼って奴の所まで届けてくれないか?」

 

ん?何がと言うわけなんだ?まぁ、いいか。

 

「分かりました!分かりましたから!これ解いてくださぃぃ!」

 

と言うことなので解いてあげ、ようと思ったけどちょっとこういうの見てると無いはずのドS魂が擽られるね。こう、もうちょっとキツく縛って見たりして・・

 

ギギギギ

 

「あがぁ!い、だ、ああ・・」

 

あ、流石にやり過ぎた。糸に沿って服が血で滲んでいる。なんかごめんね。結界の糸を解き手早く回収する。すると、ボトッとその文という少女が落ち

 

「ふぅ、死ぬかと思いました・・」

 

「んじゃあ案な

 

「ひっさし振りですね‼︎」

 

瞬時に俺に抱き着き喜ぶ。さっきからなんだこいつの異常な移動速度は‼︎

ていうか胸の谷間に顔が挟まって息が・・‼︎なにこれデジャブ。

 

「だか、ら、知らないゆうて、んね。ていう、か離せ」

 

途切れ途切れに苦しさに堪えながら言う。

 

「ああん、もうちょっとこのままで居させてください♪」

 

ちょ、死ぬ‼︎窒息死する!ていうか、さっき俺を抱き締める腕の力が異常に強い!割れる!頭が割れる!

 

「じぬ・・じんでじまう・・‼︎」

 

「ハァ〜本当に久し振りですね‼︎」

 

満足したように俺から手を離す。ていうか、さっきからこいつ俺の話聞いてないな?

 

「おい、話を

 

「清涼様の所へですね‼︎お任せください‼︎風符『風神少女』‼︎」

 

「ちょ、え⁈ああああぁぁぁぁ

 

その場に悲鳴を置き去りに夜麻鳥氷坂は、少女に連れて行かれたとさチャンチャン。まだ、終わらないけどね。

 

「着きましたよ〜、って大丈夫ですか?」

 

一瞬で建物の前に連れて来てもらったは、いいがあまりのスピードに死ぬかと思った。口から内臓飛び出るかと思ったわ。

 

「し、し、」

 

体をプルプル震わせ大きく息を吸い

 

「し?」

 

「死ぬわ‼︎このアホンダラァ‼︎死んだらどうすんじゃゴラァ‼︎」

 

「死んでないからいいじゃないですか。」

 

「そういう問題じゃねーだろがぁ‼︎おし、久々にキレちまったよ表に出な。」

 

「ここは、表ですよ?」

 

なんの毒気も悪気も無い疑問符を浮かべた顔をこちらに向けてくる。だがそれだけに無性に腹が立つ。こんの、クソアマぁ・・‼︎拳を怒りに震わせなんとか我慢する。あー、あの時もっと強く縛っておけば良かった。む?まさか、これはあの時縛った腹いせなのか?だとしたら恐るべし天狗。ここまで澄ました顔でこんな酷いことが出来るなんて。恐ろしい子。

 

「ハァ、ここまで送ってくれたことだけ、感謝しとくから。帰んな。しっしっ。」

 

だけのところを異様なほど強調し嫌みたらしく言う。

 

「むー。まあ、帰りはしませんが仕事に戻る事にします。またくるので覚悟しててくださいねぇ?」

 

あ、これあかんやつや。

 

「二度と来んでいい」

 

「んもう、照れ屋さんなんですから」

 

そう言うと一瞬でめのまえから消えてしまった。本当に早いな。ていうか、照れてない。結局どういう関係だったのか聞けなかったな。けどまた来るとか言ってたし話す機会なんていくらでもあるしいいだろ。

スタスタと建物の中に入り一番最初に案内された清涼と宴会をした部屋に行く。

 

「おお、帰ったかぁ。どうじゃ記憶は、戻ったか?」

 

案の定清涼はおり、随分と仕事に追われているようだ。忙しなく筆を動かしている。

 

「いんや、記憶は戻らんが俺の過去にどういうことがあったのかは勇儀に聞いて来たぞ。」

 

「む?そうか。じゃが早めに記憶を取り戻しておいた方が良いぞ。」

 

仕事の手を止め真剣にこちらを見つめ言う。

 

「ん?どうしてだ?」

 

「最近、人間と妖怪との間で妙な動きがある。」

 

「それと記憶とどう関係があるんだ?」

 

「ん?この手の話は聞いとらんのか。記憶を無くす前のお主は、訓練に訓練を重ね暴走せずに本来の力を引き出すことができておったぞ?記憶が戻れば力も戻るじゃろ。」

 

わお、人間のレベルから化物のレベルになるとかどんな訓練の仕方したんだよ。

 

「でも、俺の力とその不穏な動きとやらとどう関係が?」

 

「これまでに無い程の異変になるかもしれぬ。もし、戦る事になったらお主にも戦線に参加して欲しいと思うとる。」

 

「・・・・‼︎」

 

「なに、無理強いはせん。大体これは、私の勘じゃ。あまり気にせんでいい。」

 

だが、ここまで真剣に言ってるとなるとその勘とやらも満更では無いようだ。俺が自身の過去と向き合わなきゃいけない時もそう遠くは無いようだ。




このまま記憶取り戻したらチートになっちゃうのかな・・・・。やだな・・・・。
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