「(縫合・・‼︎接着・・‼︎縫合・・‼︎)」
集中力を極限まで高め文の傷を圧倒的な速度で糸を使い縫合、接着して行く。そして、その姿を見ていた椛はただ驚愕していた。
「(どうして・・⁈どうして傷口の中が分かるの⁈)」
本来、出血が酷すぎ見えないはずの内蔵、血管、骨折などの傷をまるで見えているかのように塗ってゆく。
答えは、簡単。文の体内に結界を張った。俺の結界の用途は、何も攻撃防御だけじゃない。糸を介して伝わってくる振動、引っ張り具合から状態を把握し第三の目としての役割もする。常人なら状態を把握するどころか結界の糸が手に絡まって何もできやしないだろう。
そう、常人程度の集中力なら。この場で高められた集中力は、異常なものだった。常人なら気にもとどめ無い、最早聞こえない相手の鼓動音を五月蝿く感じるほどに。
治療を始めて十分が経過した頃、既にほぼ全ての傷、骨を縫合、接着していた。後は、本人の再生力と精密治療のみだ。一応病院に運ぼう。
「大体の傷口は、塞いだ。これで死ぬことは無いだろう。だが、一応病院に運んでおこう。ここで治療が出来る施設とかはあるか?」
縫合する時だって酒を被って滅菌し簡易的なマスクをしていただけだ。万が一のこともある。
「こ、ここには、ありません。でも少し遠くに行けばいい病院があります。そこに行きましょう。」
「ああ、頼む。これでもう大・・じょ・・」
まだ、ダメージが残っていたのもあり気が抜けた途端に意識を失ってしまった。
目が覚めたのは、全く見覚えの無い場所だった。和風な部屋なのにベッドで寝かされているというのがミスマッチで違和感しかない。
推測するに、ここは病院だろう。心なしか薬品臭いしね。椛が連れて来てくれたのかな?後でお礼言わんと。むくっと体を起こすと鈍く腹が痛む。包帯が巻かれており治療してもらっていたみたいだ。
「んぅ・・。」
「ん?」
なにか可愛らしい声が聞こえ視線を自分の足元に向けると黒髪の女性がベッドにもたれかかるようにして寝ている。この人が治療してくれたのか?ていうか、なしてここで寝てるん?
「おい。おい、起きてくれ。」
女性の体を優しくゆすり、声を掛ける。
「ん、んぅ・・なぁに?・・あ、ひーくんおはよぅ・・」
眠りまなこをこすりむくっと体を起こしこちらの顔を覗き込んでくる。てか、ひーくんで誰やねん。
「悪いけどここが何処か教えてくれないか?」
そう質問するとあどけない表情からキリッと表情を変え淡々と喋り始めた。
「ここは永遠亭よ。というより、久し振りね。いろいろ聞きたいことがあるけれど、会いたかったわ。」
優しい妖艶な笑みを浮かべる、女性。成る程、またこういう展開か。そろそろ、説明するの面倒だな。
〜少年説明中〜
「そう・・、少し残念だけど私はそれで良かったと思うわ。貴方は、いつもいつも罪償いと言ってなんでも頼まれた事を引き受けてしまうお人好しさんだったから。私と初めて会った時もそう。私を口説きに来た理由が貴族に頼まれたからと来たもんだわ。ま、結局口説かれちゃったんだけど。」
ん?頼まれて口説きにいくって糞野郎の所業じゃないか?
「って、口説かれたんかい。」
「あら、他人事のように言ってるけど貴方のことなのよ?」
「記憶が無くなったんだ。もう、君が知る俺じゃないよ。」
「あら、私を一度惚れさせた張本人よ?記憶を忘れようが私を嫌いになろうが手放すつもりはないわ。フフフ」
「え、ちょ刺し殺すとかはやめてね?」
「そこいらのヤンデレと一緒にしないでくれる?貴方を傷つけるような真似はしないわ。でも貴方がどうしても私から離れて行こうとするなら傷つけはしないけど監禁くらいはさせてね?」
「もう、そこいらのヤンデレと言ってること変んねぇよ!って、え?ヤンデレって言葉なんで知って・・?お前、外の世界から来たのか?」
「そんな事は、どうでもいいのよ。ひーくんは、私の事どう思ってるの?」
「いやいや、どう思うって君の名前すら知らな
「私の名前は、蓬莱山 輝夜。私の名前まで忘れてしまうようなおバカなひーくんは、私がたっぷり調教してあげないとねぇフフフ」
光の無い目で此方を見つめすり寄ってくる女性。あ、これ完璧にスイッチ入ってる顔だ。
「そ、そうか輝夜。じゃあ、落ち着こう。な?落ちつ
「フフフ、久し振りにひーくんと会って気持ちの制御が効かないの。ハァもう、我慢できない。ハァハァねえ?もう、我慢しなくていいよね?ねえ?ハァハァ」
頬を朱に染め俺の胸元に指を這わせる。ひぃー、お助けー。
「コラお姫様。氷坂さん、困ってますよ。」
ポンと輝夜の頭を軽くごつく長身の女性。
「むー。いつもいいところで邪魔するー。」
頭を抑えむぅとむくれる輝夜。な、なんて破壊力だ・・!そんな可愛らしい輝夜に感激していると永琳という女性が此方を向き。
「ごめんなさいね。病人に詰め寄るような事して。」
「あ、ああ。」
「話は、聞かせて貰っていたわ。姫様を覚えていないということは、私の事も覚えていないんでしょう?」
「ああ。残念ながら。で、あんたが治療してくれたのか?もう一人治療を受けているはずなんだが。」
さっと話を逸らし文がどうなったかを間接的に尋ねてみる。
「ええ、随分と酷い怪我をしていたけれど傷は殆ど塞がれていたし無事よ。」
「そうか、良かった。ありがとう。本当にありがとう。」
文の無事を聞き、ホッと胸を撫で下ろし、永琳に深々と頭をさげる。
「そいつが、何処にいるか教えて貰っていいか?」
「そこの扉を出て右に曲がって突き当たりの部屋よ。」
「ああ、ありがとう。」
永琳に再度礼を言うと文の元へと向かった。
「力がまるで制御出来てないって感じね。」
「ええ、自分自身の力どころか天狗の力さえ使いこなせてませんね。記憶が無くなるとここまで弱くなるものなのかしら・・?というより、記憶を無くしたってそんな事ありますか?」
「間違い無く意図的に消されたわね。ひーくん自身が、そんな事しないもの。第三者の介入かもしくは・・」
「『終わり』、ですか・・。」
「意識のみの存在となっても怨み続けるというの・・。いえ、意識のみの存在になったが故、か。どうするのよ、ひーくん・・。」
投稿遅くなってすみません(>_<)しかも、短いって最低ですね。もう罵倒してください。なかなか描いてるとSTORYが頭の中で変わっていってしまってですね・・・。はい、言い訳です本当にすみません。
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