「あぁ・・うぅ・・頭痛い・・」
頭に痛みをおぼえながら真夜中に目を覚ます。あの後、直ぐに鬼につかまって飲みくらべさせられたせいで完全に二日酔いだ。
「あぁ・・水・・水が飲みたい」
今いるのは、博麗神社の庭。全員酔いつぶれて寝てやがる。美女、美少女どもが、多勢でだらしなく寝てるのを見てるとこう、イタズラしたくなっちゃうね・・フフフフ。おおっと、いかんいかん。これじゃあ、完全に変態だ。え?もう立派に変態だ?るっせ。
つか、水だ、水。痛む頭を抑えながら神社の裏手の井戸へ向かう。井戸の水を桶にくみあげ乱暴に口の中へ注ぐ。
「ゴクッゴクッ、ぶはぁ。うぃ〜」
口から零れた水を腕で拭い、まだ水の入っている桶をカンッと叩きつける。完全におっさんやな。
「うぅ〜、さむっ」
冷たい夜風に体を震わせる。そういえば、そろそろ冬か。こっちに来たのが秋の、えーっと、前半くらいだっけか?んで、こっちに来てから、うーーん、一ヶ月まだ経ってないぐらいか?こっちに来てから日付を全く気にしなくてよくなったからな〜。完全にニートやな。ていうか、あれだ。そろそろ、仕事探した方がいいのかな。いつまでも、アリスの世話になるわけにもいかんし。
「ふーーむ。どうしたもんかな〜。」
顎に手を当て考える。すると、違和感に気づく。
「ん?あれ?水、赤くね?」
飲み残しの水が赤く染まっている。いや、紅いものを反射していた。
「紅い・・霧⁇」
上を見上げると紅い霧が夜空一面を覆っていた。あぁ、あれか紅葉と同じような感覚できっと幻想郷には紅い霧が発生する季節があるんだな?ふふーん、俺ってば天才ね!え?チルノ?何それ美味いん?というより、紅い霧ねぇ。何処かで・・。ま、気のせいじゃろ。皆がいる場所に戻ると霊夢が目を覚ましていた。アリスは、まだ寝てるみたいだ。
「まだ早いけど、おはよう。」
「ええ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
数秒の沈黙。霊夢が沈黙にしびれを切らし口を開ける。
「・・これがなんだか聞かないの?」
「あれだろ?幻想郷の季節か天候みたいなもんだろ?」
「本当にそう思ってるの?」
「・・・・急に真面目決め込むなよ。調子が狂う。じゃあ、なんだよこれ」
「さあね」
「っ、おいおい」
「ただこの霧、妖気を帯びてるわ」
「ほお、妖気を帯びてるとなんなんだ?」
「並の人間や、妖怪じゃ妖気にあてられて体調を崩すか最悪の場合死ぬわ」
わぁお、意外と深刻な問題だな。
「つまり、異変ってことか?」
「そうね、夜明けに出発するわ。氷坂は行く?」
「・・・・」
「じゃあ、私は準備するわ」
「・・・・何処から出てるって推測してんだ?」
「霧の湖。アリスの家のすぐ近くよ。」
「・・・・⁈」
「どうするの?」
「・・ハァ、まあ、あれだ俺も無視できる問題じゃないし女の子に危ないとこ行かせるわけにも行かないでしょ」
「なんでこういう時に素直じゃないのよ。普通に行きたいって言えば?大体、私の方が強いし」
「バカ言え。行きたい訳あるか。ただ・・ただ、俺が行かないとダメな気がする。」
そう、前にもこんな事があったような気がしてならない。
「そう、じゃあ私と行く?運ぶわよ?」
「いや、俺はぼちぼち前に進むよ」
「・・・・そう」
「んじゃあ、行くとすっかね」
「・・・・」
「?」
暗い顔をして俯いた霊夢が、俺の袖をつかんでくる。
「・・・・死なないでよ?」
「あぁ、死なないし、死ねねぇよ」
幻想郷のためにも、アリスのためにも。
「んじゃあ、今度こそ行ってくるな」
「・・うん」
霧の湖か・・。前、アリスと行った事があるな。ここから、一直線に魔法の森を抜ければいけるかな。
「よっと」
糸を一本遠くの木に向けて飛ばし結びつけ、一気に糸を手繰り寄せて加速する。着地する前にまた、糸を飛ばし結びつけ一気に手繰り寄せて加速する。
「お、案外スピード出るな。これなら数十分でつけそうだ。」
途中で妖怪に襲われなければ、なんだけど。ていうか、思いつきでやってみたけど凄い便利だな、この移動手段。今度からアリスに運んでもらわなくても人里に行けそうだな。
「んお?人里か?」
木が途絶えたため仕方なく地に降りる。
「うわ〜、霧も出たばっかだっつうのに人っ子一人いないな。ん?待てよ、今真夜中だから仕方ないのか?」
まあ、いいや行こ。人里を抜け、また木に向けて糸を飛ばし結びつけ飛ぶ。お、そろそろ魔法の森か。また、変な植物に襲われても堪らんしもう少し上を飛ぶか。魔法の森に入って数分飛んでいると湖が見えてきた。
「お、あれかな?犯人は」
湖にある紅い館。発生源は、あれで間違いないな。館の門前まで歩いて行くと門番と思しき中華風の女性が立っていた。真夜中だっていうのに御苦労なこって。
「こんばんは〜」
「こんばんは。紅魔館に何か御用でしょうか?」
ここ、紅魔館って言うのか。
「いや〜、ここから出てる霧を解いて欲しーーー⁈」
気付くと目の前にその女性がいた。
「はっ‼︎」
拳が腹に減り込む直前に糸でガード。しかし、反動で後ろに飛ぶ。話し合う余地無くぶっ殺そうってか⁈後ろに飛びながら結界を張る。
「せめて、最後まで言わせろよ。」
「それは、失礼しました。」
殺気を宿した目で此方をきっと睨んでくる。
「殺りあうために来たんじゃないんだけど?」
「邪魔は、させません。」
さいで。戦るしかないか・・。今の一手から予想するに近接戦闘型か。結界を張ってればまず攻撃が当たることはないな。でも、油断は禁物。どんな、事をしてくるか予想できたもんじゃない。だが
「先手必勝‼︎」
糸を数本、門番に向かって飛ばす。触れれば即切断だ。
「悪手ですね。ですが」
糸を難なくかわし一本掴む。
「な⁈何故きれない⁈」
「ふんっ‼︎」
瞬間、門番の足元の地面にヒビが入り糸を掴んでいる手が爆ぜたように振動する。
「な⁈遠当て⁈糸を介してここまで気を伝えて来るのか⁈」
糸だぞ⁈流石に無理があるだろ‼︎
「私の能力は、気を操る程度の能力。いくら、貴方が遠く離れようと死角から私を狙おうと無駄です。」
なるほど。拳法を極限まで極め能力の域にまで昇華させたのか。どれだけ、鍛錬積めばそんな風になるんだか。だが、これで糸で切れなかったのも納得がいく。気を手の表面に纏ったのか。しかし、どうする。あの門番に糸は効果薄。しかも、今の遠当てで右腕が痺れてて半分結界が役に立ってない。かといって、逃げることも無理だろう。やばい、詰みかも。
「そちらが、来ないなら私から行きますね。」
「うお⁈」
いつの間にか目前まで迫った門番が腰を落とし大きく息を吸い
「(まさか、この構え・・⁈)」
「せっ‼︎」
俺の腹を殴る。
「ガッッ‼︎」
大きく後ろに吹っ飛び自分の結界に突っ込む。やっぱりだ!霊力で腹を強化したのにクソ痛え‼︎内臓にパンチでも喰らったみたいだ‼︎これが、いわゆる浸透剄ってやつか。
「うぅ・・うー、痛ぇーゲホッ」
口から血を吐きその場に座り込む。
「今なら、見逃してあげます。立ち去って下さい。」
俺の結界の中から話しかけてくる門番。
「うぅー、お前強いな〜。でも、俺は先に進むことにするよ」
「そうですか、残念です。」
ダンッと踏み出したところで門番が違和感に気付く。
「あ、あれ?腕か⁈」
「ふぅ、殴られる瞬間にお前の腕と結界を結びつけておいた。文ほど、早くなかったから結びつけんのは楽だったぞ。お腹痛いけど」
糸でガードしなかったのは、このせいなんだよね。おー、痛い痛い。
「な⁈そんな・・・」
まだ、痛む腹を抑えながら門番の方に歩いて行く。
「あ・・あ・・‼︎」
ペタンと腰をつき涙目で此方を見てくる。よく見ると、この門番美人さんやな。豊満な胸にそそられるものが・・グフ、グフフフ。おおっといかんいかん。
「え?あー、そんなに怖がんないでよ。言ったでしょ?殺りあうために来たんじゃないんだ。だけど、一つだけ質問に答えてくんない?」
「え?」
「この霧って何のためにやってるの?この霧で苦しむ人が居るんだ。」
「・・・・」
「そっか」
こりゃあ、答えてくんなさそうだな。仕方ない。結界は、残したまま館へ歩き出す。
「あ、あの‼︎待ってください‼︎」
「ん?」
「こ、この結界はお嬢様と妹様が日を嫌い日中も外に出歩けるようにするためのものなんです。」
お、話してくれるのか。
「ふむふむ。じゃあそのお嬢様達は、ヴァンパイアかなんかなのか?」
「はい」
「そんで?」
「え?それだけですけど」
「ふーーん。日差しを浴びたら死んじゃうんだもんな。まあ、いいや。教えてくれてありがと」
「・・・・はい」
んじゃあ、館の中に入るとしますかね。門番こんな強いんじゃボス戦で殺されちゃいそうだな。あ、死なないんだっけ。門を飛び越え館の中に入る。
「いらっしゃいませ、紅魔館へ」
ハ、ハハ人里に降ろしてハクタクさんと対峙させようと思ってたのにこれだよ。紅魔館に行って何するのよ氷坂くん。( _д_)ムゥはい、人のせいにしてますすみませんでした。
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