紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。


23話 支え支えられる物語

「あれだけの大技を連続して使ったんだから当然ね。永琳、先に霊夢を連れて戻っていてくれるかしら。あ、あとそこの天狗もね」

 

「え?私もですか?」

 

「まだ、前の傷も完治してないんでしょ?永琳に手当てしてもらいなさい」

 

「・・・・‼︎随分お優しいですねぇ。どういう、風の吹き回しでしょう・・?」

 

「ハァ、ひーくんに当てられたのね」

 

「あはは、納得です」

 

「じゃあ、頼むわ永琳」

 

「分かりました姫様」

 

永琳が文と霊夢を抱え飛び去る。

 

「貴方達も、永遠亭に来るといいわ」

 

日差しを避け木陰に身を隠しているレミリア達。

 

「貴方達・・・・一体何者・・?」

 

輝夜を睨み、含みのある言い方で輝夜に問い掛けるレミリア。

 

「永遠亭の主よ」

 

レミリアが殺気のこもった眼で更に強く輝夜を睨みつける。

 

「馬鹿にしているのかしら?いいわ、聞いてあげる。何故貴方達の運命は、見えないのかしら?」

 

「答える義務が私にあるかしら?」

 

「・・・・」

 

レミリアの拳に強く力が入る。

 

「あらあら、私は貴方達に寝床を提供しようって言っているのよ?」

 

「言わせておけば・・‼︎‼︎」

 

「レミィ、落ち着いて。今は、冷静に状況を判断するべきよ」

 

「・・・・‼︎分かってるわ、パチェ。少しの間お世話になるわ」

 

「賢明ね」

 

「おいおい、寝床の話もいいがあまり油断するなよ?まだ、封印が再起したわけじゃ無いんだ。いつ、また襲いかかって来るか分かったもんじゃ無い」

 

「それについては、霊夢が攻撃をした時に封印の再起を手助けしたみたいだから、心配無いわ。既に、封印は再起している」

 

「む?となると、霊夢は氷坂の正体に気付いた訳か。起きたら説明してやんないとなー」

 

面倒だと言わんばかりに頭をぽりぽりとかく勇儀。

 

「貴方も来る?」

 

「いや、私は死んだ奴らを弔ってやんないといけないからな」

 

「・・そう」

 

「弱肉強食のこの世界だ。こいつらが死んだのは当然の事。だが、こいつらの死を憂い悲しむこともまた、当然の事だ」

 

「前の私ならくだらない、とでも言っていたのかしら」

 

「ハハ、そうかもな。やっぱ、氷坂の影響か?」

 

「ふふ、そうね」

 

 

 

 

 

「うぅ・・」

 

「お、起きたみたいだな」

 

「勇儀・・?痛ッッ‼︎‼︎」

 

起きようとすると身体の至る所から焼ける様な激痛が走る。

痛みで起きることが出来ないので寝たまま辺りを見渡す。

 

「この惨状・・俺が・・」

 

「ああ・・」

 

辺りには、倒壊した建物、まるで地震が起きたかの様に歪んだ地面、鼻に障る血の匂い、そして、地に転がる肉塊。

 

「あぁぁ・・ああ・・また、俺は繰り返したのか・・また、俺は・・」

 

また、俺は償えない罪を作ってしまったのか・・・・

悲鳴をあげそうになるほどの激痛を堪え近くの天狗や鬼だったものに這い寄る

 

「すまない・・すまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまない・・・・」

 

肉塊に顔をうずめ、ただただ謝り続ける。

途轍もない後悔と、罪悪感から涙がとどまる事を知らない。

 

「ひーくん・・」

 

「・・ここにいても仕方が無い・・輝夜、氷坂を連れて行ってやってくれ。後は、私がやっておく」

 

「ええ・・、貴方達も着いて来なさい」

 

紅魔館一行に呼び掛けながら、輝夜が後ろから俺を抱きかかえる様に持ち上げる。

 

「すまない・・すまない・・」

 

「・・・・」

 

地面から体が浮き、離れていく。

 

 

「・・・・」

 

「・・・・ねえ、ひーくん?」

 

永遠亭に向かう途中、輝夜が沈黙の中口を開く。

 

「・・・・」

 

だが、今話しかけられても最早それに応対出来るような精神状態ではなく涙だけが流れていた。

 

「ひーくんは・・悪く無いわ・・悪く無い・・悪く無いのよ・・」

 

トーンの下がった声で言い聞かせる様に語り掛ける輝夜。

輝夜の言っていることは、理解出来なかった。

だが、その言葉が崩れそうだった心を支えてくれた。唯、その言葉が嬉しかった。

 

「ありがとう・・ありがとう・・ありがとう・・ありがとう」

 

自分の身体を持ち上げる輝夜の腕をギュッと抱きしめる。

 

「ありがとう・・ありがとう・・ありがとう・・ありがとう・・」

 

途端、強烈な睡魔が襲いそのまま寝てしまった。

 

 

「・・・・あら?寝ちゃったのかしら?まあ、当然よね。どれだけ強かれどあれだけの力を使った後だもの」

 

若干震え気味の寝息を立てているひーくんを強く抱き締め

 

「こんな、不幸の連鎖がいつか終わるといいわね・・ひーくん」

 

 

そんな、輝夜を紅魔館の主、レミリアは凝視していた。

 

 

 

 

 

 

再び目覚めたのは、永遠亭。

ここの天井を拝むのは2度目、こうやって大怪我をしてから天井を見上げるのは何度目だろう。

まあ、いいや。取り敢えず起きよう。

 

「・・・・」

 

上体だけを起こす。激しく腹部が痛むがもう慣れたものだ。

大体今は、お昼時か・・。皆何をしているだろう。こうも、静かだと寂しさが否めないな・・。

ふと、昨日の出来事がフラッシュバックする。

 

「うぅ・・ああああああ・・‼︎‼︎」

 

咄嗟に頭を抱える。ああ、心が潰れそうだ・・。何故だ・・‼︎何故あの時俺は・・‼︎

後悔と、罪悪感が心を潰す。こんなに、こんなにも苦しいなんて。この苦しみから逃れられる術は無いのだろう。いくら、償っても償いきれない、苦しさから逃げて死ぬことも出来ない。

 

 

いや、後悔しても何も起こらない。

 

「取り敢えず、皆と合流しようかな・・」

 

このままだと、孤独死しそうだ。

激痛に堪えベッドから出ようとすると違和感。

 

「ん?脚が異常に重い・・」

 

ばっと布団を捲るとアリスと輝夜が脚にぴったりとくっ付いて寝ている。

 

「んうぅ・・氷坂の・・ばかぁどうして一人で行っちゃうのよぉ・・」

 

「・・・・寝言か。ホント俺は、バカだよ」

 

アリスと、輝夜の頭にそっと手を置き優しく撫でる。

 

「ふふ、ホントに・・なんで、こんな優しい顔して寝てるかなぁ・・」

 

だめだ・・涙が止まらないよ。なんで、こんな安心出来るかなぁ・・。

 

「ありがとな・・本当に」




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