紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。
霊墜の、外見は穿龍棍のトラグ・イザームと考えていただければ幸いです。(モンスターハンターフロンティア)


25話 霊墜 物語

「あはははっ‼︎空飛べるっていいもんだなー‼︎」

 

「はしゃぎすぎると危ないわよー?」

 

今、香霖堂とやらに向かっている最中な訳だが空を飛ぶ事が楽しくて空を駆け回っている。かなりの高度を飛んでいるのだが内蔵が浮く様な不快感が無い上に不思議と恐怖も無い。きっと、天狗の力とタフな精神による物だろう。まあ、何にせよ人間の体であった時には味わえなかった感じだ。

 

「しかし、なんだろうなぁ・・」

 

空中でピタッと止まり自分の体に目を向ける。

 

「どうしたの?氷坂」

 

「あーいやな?暴走した時とかフランと戦った時みたいに傷が完治しないからどうして何だろうと思ったんよ」

 

「うーん・・多分だけど、氷坂が暴走して霊夢に負けた時にある程度力を封印したって言ってたじゃない?その時に治癒力もある程度封印されたんじゃないかしら」

 

「あー成る程・・まあ、仕方ないわな・・」

 

あの時の映像が脳裏にフラッシュバックする。ズキンと心が痛む。呼吸が苦しくなる。

仕方ない?そんな訳がない。これは、報い。重ねた罪への当然の報い。自分が無差別に奪った命に比べればまるで足りない。

 

「・・・・」

 

「・・アリス?」

 

アリスが無言で俺の背中に抱き着く。

 

「氷坂には、氷坂には、私がずーっと一緒にいるから。どんな事があっても氷坂と一緒だからね・・」

 

涙で視界が歪む。だが、ここで涙を流しては男じゃない。堪えろ氷坂!堪えるんだ!

 

「私の前なら泣いてもいいよ」

 

トドメの一発

 

「うわぁぁぁぁぁ‼︎アリスぅぅぅぅぅぅ‼︎」

 

ガバッとアリスに思いっきり抱き着き泣きじゃく

 

「白昼堂々、空中でなにやってるんですか?お 兄 さ ん?」

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

 

「なぜ、魔法の森の人形使いの魔女っころと抱き合ってるんですか?お 兄 さ ん?」

 

ひいいぃぃ‼︎この声は、文⁈てか、これって殺気⁈てか、魔女っころ⁈いつものテンションは、何処へ行った⁈

震える体を懸命に振り向かせる。そこには、文がいた。ブチ切れの

 

「ひいいぃぃ‼︎‼︎こ、ここここ、こ、殺されるぅ‼︎殺されるぅ‼︎殺されるよアリスぅ‼︎‼︎」

 

アリスの後ろに隠れる俺。

 

「あ゛あ゛?」

 

いやぁぁぁ‼︎火に油ぶっかけちゃったああ‼︎‼︎もう、乙女にあるまじき顔になってるよ文!

 

「ちょっと?氷坂が怖がってるんだけど?邪魔だから消えてくれないかしらねぇ?この、鳥っころ」

 

ぁぁぁぁぁ、アリスもガチだぁぁぁ。

 

「ほぉ、やる気ですかそうですか。久し振りに、本気の殺し合いっていうのも良さそうですねぇ。魔女っころ?」

 

「そうねぇ、私も貴方の血が見たい気分だわ。泣かないようにね?鳥っころ?」

 

キャラがぁ・・キャラが歪んでるよぉ・・

 

「ふ、二人ともぉ・・少し落ち着いてぇ・・」

 

『氷坂(お兄さん)は、黙ってて』

 

「ひいいぃぃ‼︎‼︎」

 

怖っ‼︎‼︎こっわ‼︎‼︎つか、何今のシンクロ‼︎でも止めないと、この地に血の雨が降り注ぐことになってしまうう‼︎何としても阻止せねば‼︎

既に、アリスは人形、文は扇を構えやる気満々である。

どうすればいい・・‼︎‼︎一刻を争うぞ‼︎‼︎一体どうすれば・・‼︎

 

「・・行きますよ」

 

「ええ、いつでも来るといいわ」

 

そうだ‼︎今の俺は天狗‼︎本気でスピードを出してアリスを連れ去れば文から逃げられるかもしれない‼︎

そうと決まったらやるしかねぇ‼︎

 

「うおおおおお‼︎‼︎」

 

今出しうる全力のスピードでアリスに突っ込む。

 

「え⁈何⁈」

 

「お兄さん⁈」

 

目にも止まらぬ速さでアリスを連れ去る。

 

「このまま、逃げおおせるぜ‼︎‼︎」

 

全力で魔法の森の入り口へ向かう。

 

「ぬおおおお‼︎‼︎」

 

ぐんぐんとスピードを上げあっという間に魔法の森の入り口にまで来る。

 

「ふい〜巻けたかな?文は」

 

後ろを振り返るが、どうやら追って来てはないようだ。文のスピードなら普通に追ってこれたとおもうんだが・・。単に油断してただけか?

 

「ちょっと氷坂!私達の聖戦に首を突っ込まないでくれる⁈これは、氷坂をかけた戦いなのよ⁈」

 

おいおーい、キャラがー、キャラが変わっとるがなー

 

「嫉妬と欲にまみれた聖戦があるかよ。取り敢えず着いたんだから行こう」

 

後ろ手にひらひらと手を振りながらアリスの前を歩く。

 

「むー」

 

ほっぺをぷくーっと膨らませるアリス。くそッ可愛いなぁ・・

・・え?なんでアリスの方を向いてないのにアリスの顔が見えるかって?そりゃあ、千里眼よ千里眼。天狗さまの力。千里先まで見通す力よ。

・・・・・・・・・・・・・・

あれ?これって覗きとかに使えるんじゃ・・

 

「あいたっ!!」

 

アリスが半目でまち針を俺の頬にぶっさす。

 

「今やらしい事考えてたでしょ。顔にやけてたもん」

 

「ギクッ」

 

なんて、勘のいい子なの⁈ていうか、まち針!危ない!

 

「声に出してギクッて言う?普通」

 

半分呆れ顔になっている。

 

「私以外の子の前でそんな顔しちゃダメだからね?」

 

「あったりめーよ」

 

 

一方、文

 

「あ〜〜〜」

 

氷坂達が行った先を

 

「く〜〜〜っ、油断しましたね〜。あそこまで、力を使える様になっていたとは〜」

 

空中で地団駄の仕草をする文。

 

「あ、そういえば大切な事を伝えるの忘れてましたねぇ。つい頭に血が上って忘れてしまいました。まあ、次あった時でいいでしょう」

 

カメラを腰から取り出し履歴を確認してニヤつく文。

 

「まあ、いい写真が撮れましたしこれを使ってお兄さんには願い事の一つや二つきいて貰いましょうかねぇ。フフフフフ」

 

その写真には、アリスに抱き着き泣きじゃくる氷坂が写っていた。

 

side 氷坂

 

「ぶぇっくしょい‼︎‼︎なんだ今の寒気は・・?」

 

身体をぶるっと震わせ周りを見渡す。

 

「どうしたの?氷坂」

 

「いや、なんだろうな。悪い噂でもされてんのかもな・・」

 

「ふーん。あ、見えたわよ。香霖堂」

 

「お?」

 

見えたのは、瓦屋根の一軒家。隣に、大きな倉がある。

 

「ほぉ〜、此処がねぇ」

 

扉に「open」というプレートが下げられている。つか、建物が和風なのに扉がドアっていう。なんか、不釣り合いというかミスマッチというか・・・・

コンコンとドアを2回ほどノックする。

 

「たーのも〜」

 

「おぉ、いらっしゃい」

 

店の奥の方から男性と思しき声がする。男なんて、里降りて以来じゃないか?周り女ばっかだしなー

中に入ると閉め切っているためか薄暗く埃っぽい。

 

「僕の店に魔理沙と霊夢以外の客が来るなんて珍しいなぁ。一体どういう用件だい?」

 

店の奥から出て来た男性は、白髪の若い男性。服装は、和服なのだろうがごちゃごちゃしててよく分からん。

 

「外の物を売ってるときいて来たんだが此処であってるかな?」

 

「うん、此処で間違いないね。買い物かな?」

 

「ああ、少し店内を見て回っていいかな」

 

「もちろん。少し埃っぽいが好きなだけ見て行ってくれ」

 

ニコニコしながら、心良く了承してくれた。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて・・」

 

スタスタと、商品棚の方へ歩いて行き商品を片っ端から見て行く。

実を言うとちょっと楽しみだったんだ〜

そんな、俺を他所にアリスと先程の男性が話をしている。

 

「霖之助さん、お久しぶりね」

 

「アリスさんか、ご無沙汰だね。君がこんなところに来るなんて珍しいね」

 

「ええ、そこの彼の付き添いで来ただけよ」

 

「そうかい。でも少しくらいうちの商品、見て行ってくれよ?」

 

「善処するわ」

 

横目でアリス達の様子をうかがいながら置いてある商品を見て行く。こうやってアリスを端から見てると高貴な貴族の娘を見ている様だ。身体から滲み出る気品、誰もが見惚れる程の可愛さが相まって、それは女神をも連想させる。俺といる時はかなり砕けるから割と貴重な一面だな。おっと、ちょいとベタ褒めが過ぎたかな。まあ、ホントに可愛いからシカタナイネ。

まあ、そっちの話は置いといて。商品の方なんだが外の物が置いてあるって聞いたもんだから外の物のみを置いているのだとばかり思ってたな。どうやら、幻想郷の物も少なからず置いているみたいだ。

見ていた限り、霊夢が持ってたお祓い棒やら魔理沙が持っていた八卦炉とかがあったが。それ以外は、言っちゃ悪いがガラクタ・・。売り物になるのか疑問で仕方ない

 

「ん?」

 

ある商品が目に止まる。取っ手がついた丸い筒の様な物が二つ。多分だが、両腕に装着するのだろう。外装には、派手な装飾がされている。

 

「すみませーん。これって、どういう物なのかな?」

 

奥でアリスと話している霖之助さんという男性を呼ぶ。

 

「はいはい、何かな?」

 

小走りで此方に来て俺の顔を覗く。

 

「これなんだが」

 

スッと筒の様な物を霖之助さんに見せる様に手に取る。む、中々重いな

 

「ああ、それはね『霊墜』という棍だよ。武器だね」

 

「武器?」

 

「うん、そうだよ。中々特殊な物なんだけどね。霊力若しくは妖力まあ、なんでもいいんだけどそれらの力をこの武器に込めて対象物に打ち込み爆散させるんだ」

 

「特殊っていうのは、どういうことなんだ?」

 

「人でも物でもいいんだけど力を送り込んだ所で強化だとか操るとかはできても爆発なんて起こるわけが無いんだよ。原理は僕にも分からないんだけど」

 

「へぇ〜」

 

「なんだい?欲しいのかい?」

 

「うーん。まあ、そうかな。言い表しにくいんだけど俺にあいそうな気がする」

 

何だろう・・こう、凄い愛着があるような・・

 

「そうかい、ならそうなんだろう。買うかい?」

 

「ああ、ちょっと待ってくれ」

 

先程の霊墜という武器を適当に置き財布をポケットから出す。

 

「そういえば君、元外の人かい?」

 

「うーん、まあそうかな」

 

財布の中を覗きながら答える。

 

「おお、やっぱりだ!君此処で働いて見る気はないかい⁈」

 

「・・・・なんでそうなる」

 

急な、話の展開についてけない。普通初対面の男をスカウトするか?

値札の丁度の金を出し、渡す。

 

「うん、実は僕、初めて見た物や道具でも名前と用途は分かるんだけど使用方法がわからないんだ」

 

「えっと、それと俺が働くこととなんの関係が・・?」

 

「いやぁ、見ての通り僕は外の物を扱うことが多いからさ。もし、君が居てくれれば外の物で僕が使用方法が分からなくても君なら分かるだろう?」

 

「ああ、成る程」

 

腕を組み少し考える。うーん、確かに働き口は探してたけど急なんだよなー

 

「なに、今結論を出さなくてもいい。じっくり考えてから決めてくれていいよ」

 

「そういうことなら、そうさせて貰うよ。お誘い感謝するよ」

 

「ははは、こちらこそね」

 

そんな事を話しているとアリスが入り口の方から歩いてくる。

 

「どう?あった?」

 

「んー、いや無いな。その変わりいいモン見つけたぞ」

 

「いいモン?って、それ?」

 

近くの棚に適当に置いた霊墜を見て尋ねるアリス

 

「ああ」

 

「そう、なら次行く?」

 

「そうだな」

 

これ以上此処に居ても何も無さそうだしな。

 

「なんだい?何か探してたのかい?」

 

アリスと話しているところにスッと身を乗り出す霖之助さん

ちょ、近い近い

 

「ああ、最近外の物なんだが壊しちゃってね。売ってないか見に来たんだ」

 

一歩下がり事情を説明する。

おっと、これは失敬と霖之助さんも一歩下がる。今度は、不自然に二人の距離があく。

 

「因みにそれはどういう物なんだい?」

 

「糸を巻き取ったり出したり出来る機械だな」

 

「うーん、残念だがうちには置いてないな」

 

「まあ、まだ当てがあるからいいさ」

 

「そうかい、そりゃ良かった」

 

「よし、んじゃあそろそろ行くか」

 

霊墜を持ち出口の方へ向かう。どうやら、アリスは俺と霖之助さんが再び話し込んだ時に先に外に出ていたようだ。

うーん、ていうかこの霊墜どうやって持つか。手に持つには中々邪魔だな・・。取り敢えず適当に紐で縛って肩から背中にかける。

ドアを開け外に出て行く俺を見送りながら手をひらひらと降っている。

 

「あ、そうだ!霊墜を使うときは気をつけてね」

 

「ん?ああ」

 

ドアを閉め入り口で待っていたアリスの手を取る。

 

「よし、じゃあ行こうか」

 

「お話は楽しかった?」

 

霖之助さんとばかり話して居たからか不満気な顔をしている。

 

「ごめんごめん」

 

仕方ないなぁ・・

手を繋いだままアリスの前で片膝をつく

 

「姫よ、今日どんな言うことでも聞く、という約束の上私めは姫のいいなりでございます。なんなりとお申し付け下さいませ」

 

ツーンとした顔のまま此方を横目でちらりと見てニヤリとするアリス

 

「あら、貴方に私の言うこと全てに従順に従うことが出来るのかしら?」

 

「今日、私めは姫の従順なしもべ。必ずや、姫の全ての命令を成し遂げてみせましょう。さあ、なんなりと」

 

すると、俺の方に向き直り満面の笑顔を見せ

 

「じゃあ、先ずは妖怪の山まで運んでもらおうかしら♪」

 

「お安い御用ですよ。お姫様‼︎」

 

手にとっていたアリスの手を引き寄せお姫様抱っこをしそのまま、天狗の力を使い飛び立つ。

 

「飛ばすぜ〜」

 

「行け行け〜♪ふふ」




今更なんですけど、氷坂君が持っている糸の機械はアカメが斬るのクローステールをイメージしてます。
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