紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。


28話 独り物語

「全く、酷い目にあった・・。限度ってものを考えようよ・・」

 

「自業自得じゃない?」

 

診察室を出て、適当に永遠亭内をぶらぶらと歩きながら不満を零す。

このままだと、体中蜂の巣にされるのも遠くないんじゃないか?全くこちとら健全な男子だっていうのに。

 

「そういや、霊夢ってまだ眠ったままなのか?」

 

空気を変えようと思い、他の話題をアリスに投げかける。すると、じとっと此方を見てプイッと顔をそむけてしまった。

 

「そうね、まだ目覚めないみたいね」

 

「じゃあ、霊夢の所行っ

 

「え?今なんて言ったのかしら?」

 

「・・・・取り敢えず外散歩しようか」

 

「そうね♪」

 

そう言うと、俺の腕を抱きしめ俺と並んで歩く。なんだ、なんだ、なんなんだ?今日随分と厳しくない?まあ、確かに今日一日アリスの言うことをきくって言ったのは俺だけど、少しくらいいいじゃない。

アリスの要望通り、永遠亭の庭を軽く散歩する。永遠亭の外に出ると、妖怪がいるしもう日が沈みかけているから此処で我慢。と言っても、ここはもんの凄く広いからあんまり変わらない様な気もする。

 

「ねぇ、氷坂。それ、買ったはいいけどどうするの?」

 

アリスが俺の背中にかけてある、霊墜を見て言う。

 

「ああ、すっかり忘れてた」

 

これ結構重いんだけど、何だろうな。これがあると、妙な安心感がある。身体の一部の様な感覚さえ覚える。

 

「これ武器らしいんだけど、どうしたもんかな」

 

「武器?氷坂が?」

 

驚き顔で俺を見るアリス。そんなに驚かなくてもいいじゃない。

 

「えー、そんなにおかしいか?」

 

「別におかしいってわけじゃ無いけど、氷坂には糸と機械があるじゃない」

 

「あー」

 

確かに、そこらへん全く考えてなかったな。

 

「割と、衝動買いみたいなもんだったからなぁ。どう使うかとかは、全く決めてないんだよなぁ」

 

霊墜を腕に装着する。

 

「どういう風に使う武器なの?」

 

「霊力、妖力なんでもいいんだけど、これに籠めて打つと爆発を起こす。らしい」

 

「爆発?」

 

「うん。原理は、分からないんだけどな」

 

腕につけたまま、ガチャガチャと霊墜をいじる。どうやら、リーチを変えられるようで長くした状態と短くした状態に出来る。

 

「んー、よく分からんな取り敢えず打ってみようかな」

 

「怪我は、大丈夫なの?」

 

俺の体を心配したのか、心配そうな顔をしている。

 

「まあ、試し打ちだ。んな、本気で打ったりしないよ」

 

「気をつけてよ?」

 

「ああ」

 

そう言うと、人間の身体のまま霊墜に霊力を籠める。アリスは、俺から距離をとっている。

霊力のコントロールは、霊夢に教わってるからあまり難しくはない。そして、適当な所で止め地面に向かって打つ。

 

「せいっ‼︎‼︎」

 

すると、あり得ないほどの大爆発。粉塵を撒き散らし地面に大穴を開ける。

 

side アリス

 

「なんて、威力なの・・‼︎」

 

爆発によって起きた爆風に当てられ防御姿勢をとるアリス。

 

ボトッ

 

目の前に何かが落ちた音がする。

 

「(?何?今の音)」

 

砂埃が舞い視界が悪い中、音がした方向に目を凝らす。

 

「⁈⁈」

 

それを見て、目を剥く。それもそのはず、それは霊墜が装備されたままの

 

腕だったのだから。

 

「氷坂⁈氷坂‼︎‼︎‼︎」

 

視界が悪く足下もおぼつかないまま、氷坂が居る所へ必死に向かう。

 

「氷坂‼︎‼︎‼︎氷坂ぁ‼︎‼︎‼︎だから・・‼︎だから、気をつけてって言ったのに・・‼︎」

 

目から涙を流し、必死に走る。氷坂らしき、人影がみえる。

 

side 氷坂

 

「あ・・‼︎あああ‼︎‼︎あああぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎腕がぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎腕がぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

両腕を失い痛みに悶える。両腕の切断面には、乱暴に引き千切られた血管や筋肉が垂れ下がっている。

 

「氷坂‼︎‼︎‼︎」

 

アリスが俺に駆け寄る。

 

「あああぁ‼︎‼︎‼︎‼︎ハァハァ・・あああぁ‼︎‼︎‼︎‼︎うぁぁぁあぁ‼︎‼︎‼︎」

 

「氷坂‼︎‼︎天狗になって‼︎‼︎‼︎じゃないと、死んじゃうよぉ‼︎‼︎」

 

「あああぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

この時、アリスは天狗の再生力があれば腕は再生出来ずとも糸を使える自分なら腕を元に戻すことが出来ると思っていた。

だが、二人とも尋常じゃないほどのパニックを起こしているため不可能であった。

 

「さっきっから、騒がしいわねぇ・・何なの?っっっ‼︎‼︎」

 

様子を見に来たであろう輝夜が目の前の尋常ではない状況に驚く。

既に、アリスと氷坂を中心に血だまりができている。

 

「何があったの⁈」

 

そんな事を聞こうと、返答は帰ってこない。

 

「氷坂ぁ‼︎‼︎氷坂ぁぁ‼︎」

 

「(・・・・‼︎天狗の力を使えてない・・‼︎このままだと、また暴走する‼︎)」

 

冷静に状況を判断する輝夜。

 

「永琳‼︎」

 

輝夜が大声で永琳を呼ぶ。すると、即座に駆けつける永琳。

 

「氷坂を治療して‼︎一刻を争うわ‼︎」

 

「・・・・‼︎分かりました」

 

状況を瞬時に理解し、俺の体を抱え永遠亭内に入ってく。

それを見送る輝夜とアリス。アリスは、その場で放心状態になっている。

 

「ぁ・・ぁぁ・・・・腕がう、うで」

 

パニックになっていたせいかわけの分からない事をブツブツと一人で喋っている。

 

「事情を聞こうにも今は聞けなさそうね・・全く」

 

溜息をつき周りを見渡す、輝夜。

 

「?」

 

霊墜がついたままの腕を見つけ拾う。

 

「成る程ねぇ。犯人は、これか。こんなものを人間の身体能力のまま打ったらこんな事にもなるわよ」

 

再び溜息をつくと、霊墜をその場に置き腕を大事そうに抱え永遠亭内に入っていく。

 

「フフ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・また、この天井か」

 

何度も繰り返す同じ光景と状況に溜息が出てしまう。

部屋の窓から陽の光がさしている。どうやら、日を跨いで眠っていたようだ。

 

「今回は・・誰も居ないんだな・・」

 

頭だけを起こし周りを見渡す。どうも、身体の調子がすぐれない。というより、バランス?がよくない。

取り敢えず起きることにしよう。手を支えに身体を

 

「あれ?」

 

手の感覚が無い。あーそうだった腕取れちゃったんだっけか・・

 

「・・・・」

 

心の底からくる喪失感と悲しみに涙が流れてしまう。

 

「なんか・・ホントこんなのばっかだよなぁ・・ひどいなぁ・・」

 

腕の傷口は、完全に塞がっている。天狗になって、繋げるのも無理そうだ。永琳が治療してくれたんだな・・。きっと、俺の死による暴走との瀬戸際だっただろう。

世話になりっぱなしな上に迷惑をかけっぱなしだ。今度、しっかりお礼しないと。金もろくに払ったことがないし。

 

「・・・・ダメだ」

 

違うことを考えようとしても考えてしまう。この気持ちを言葉にしたらきっと恨んでしまうだろう。この能力をくれた俺の本当の両親を。こんな害を与えるだけの能力を寄越した両親を。こんな、能力が無かったらこんなに皆に迷惑を分けることも傷つけることも無かった。

そんな事は考えてもどうしようも無いことは分かっている。

でも・・!でも・・‼︎

 

「人間に・・戻りたいよ・・!」

 

誰か・・誰か俺を・・してくれ・・‼︎

 

涙は、止まる事を知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「おお〜いいねいいね〜その調子だよ〜」

 

『お主、何者じゃ‼︎何故私の身体を使っておる‼︎』

 

「あはは、そんな事はどうでもいいんだよ。それより、見なよ。フフ。あれは、傑作だね〜」

 

『質問に答えんか!』

 

「質問に答えたって答えなくたって変わらないもん。君は、じきに消えるからね。いい身体の提供ご苦労様です」

 

『どういうことじゃ!何が目的じゃ!』

 

「そこまで答える義理はないね。あと、五月蝿いから黙って」

 

『おのれ・・‼︎』

 

「まだまだ、足りないな〜。絶望が。もっと、もっと苦しんでもらわないとぉ。フフ」

 

『・・・・』

 

「あんな人形使いを愛した君が悪いんだよ〜?氷坂さん」

 




く・・‼︎まだ、登場させるつもりは無かったのに・・我慢出来なかった‼︎
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