紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす


29話 増す悲しみ、そして支え物語

ふぅ、久し振りにこんな泣いたかな。たく、情けないったらありゃしない。

 

「・・・・」

 

取り敢えず起きることにしよう。皆に心配かけただろうし。今は、大体朝食でも食ってんのかな?

ぐっと、上体を起こし近くの柱に手を伸ば

 

「あっと、無いんだった・・」

 

・・・・ハァ、ここまでネガティブになるといっそ清々しいな。

取り敢えず腕の代わりに、糸を使うか。自分の糸が無いため、ベッドのシーツに軽くおでこを当て霊力で操り、ほどく。そして、その糸を腕の形にして肩にはめる。

 

「むう、常に糸に霊力を纏う必要があるから中々神経削るな」

 

だが、それと痛覚が無いというのを除けばなんら今までと変わらない。

多分、腕という明確なイメージがあるからだろう。その分、操作も楽だ。

早速、糸で作った手で柱につかまり立ち上がる。

 

「おっとと」

 

腕を失ったからかバランスが取りずらいな。

慣れるまで時間かかりそうだ・・。

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

取り敢えず誰か居るだろうと思い昨日、輝夜に案内された部屋まで来た。

 

だが、なんだこの空気。

 

紅魔組以外、全員揃っているようで霊夢もその中に居た。本来なら霊夢が起きた、ということで謝罪の一言二言かけたい所なのだがどうもそんな空気じゃ無いらしい。

というのも、霊夢vsその他という感じに対極に机を挟み睨み合っているのだ。しかも、この空気は怒りやら殺気という血のかようものではなく。

明らかに、互いを果てし無く軽蔑する空気。いや、そんなものでは無いかもしれない。到底言葉に出来ない程の凍てついた空気。

ちらりと俺を横目で見てから口を開く永琳。

 

「つまり、こういうこと?幻想郷の均衡と安泰を崩しかねない氷坂を生かしておくわけにはいかないという事かしら?」

 

「⁈」

 

・・・・は?

 

「概ねその通りよ。唯、あんた達が邪魔をするというのなら今事を構えるつもりは無いわ」

 

・・・・どういう

 

「それ相応の準備を整えてから退治する事にするわ。ま、その時は勿論あんたらもね」

 

「・・・・正気?」

 

「私は、至って正気よ。此処まで危険な力を持っていながら制御出来ていないのはそれだけで十分退治の理由に値するわ。大体、終わりの妖怪本人だなんて尚の事生かしておく訳にはいかないわ」

 

俺を・・・・退治?

 

「な・・‼︎貴女何言ってるか分かってるの⁈氷坂の事が好きだったんじゃ無いの⁈それなのに退治って、どうかしてるわよ‼︎」

 

霊夢に対しらしくもない怒鳴り声をあげるアリス

 

「私は、博麗霊夢である前に博麗の巫女よ。何を優先するべきかわきまえているつもりよ」

 

「だからといって

 

「こんな話をするためにこの場を拵えたんじゃ無いのよ。邪魔するつもりが有るの、無いのどっちなの?」

 

霊夢が、俺を・・?

な、なんだよ俺は霊夢にすら、霊夢にさえも必要とされてないのか?それどころか、退治?何故?どうして?

それは、俺がこんな危険な力を持っているから?数え切れない程の命を意味もなく奪ったから?幻想郷を崩壊させかねないから?

 

存在そのものが許されないから?

そう考えると、恐怖、不安、悲しみから足がガクガクと震え集中力の途切れた糸で出来た腕は無様に崩れていく。

なら、なら、俺は、俺は、なんのために

 

「氷坂を退治なんて絶対させ無いわ。もし、本気で氷坂を殺そうとするのなら」

 

・・・・アリス?

アリスが、俺をかばう様に目の前に仁王立ちする。

 

「貴女を、殺すわ。私には、氷坂が必要だもの」

 

「全く同意見よ。分かったならさっさと消えなさい。もう、貴女に用は無いわ」

 

輝夜・・

 

「そう、ならもう話すことは無いわね」

 

スッと、立ち上がり部屋から出て行く霊夢。

すれ違いざまに顔が見える。

 

「・・・・」

 

その頬には、涙がつたっていた、ように見えた。

霊夢が消え、沈黙の残る空間。

俺は、その場に伏す事しか出来なかった。

何処かで、期待していた。霊夢がまた、いつも通り俺に優しくしてくれると、謝ったら快く許してくれるのではないかと。

でも、甘かった。許すどころか、退治するとまで言われた。

 

「・・氷坂?大丈夫、私は、私達は、氷坂の味方よ?だから、だから・・・・」

 

アリスと輝夜が、俺のそばに来て俺の背中をさする。

アリスが俺に声をかけるも途中で口をつぐんでしまう。

 

「ひーくんは、独りじゃないわ。だから、安心して」

 

頬に涙がつたう

 

「・・・・ぐる゛じい!」

 

必死に声を抑えようとするも声が漏れてしまう

 

「うぅあぁ・・・・胸が・・ぐる゛じい‼︎」

 

「大丈夫・・!大丈夫・・!」

 

必死に、俺に声をかけるアリス。

 

「こんなに・・!こんなにも・・、ぐる゛じいのに‼︎なんでかなぁ・・・・凄い、悔じい‼︎‼︎‼︎」

 

「・・・・ひーくん」

 

輝夜は、ただその光景を見つめることしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

『どう・・して?何で?』

 

 

 

『どうして、冷たいの?』

 

 

『なんで、父さんと母さんの身体が・・冷たいの?』

 

 

『父さん、母さん。起きて』

 

 

『起きてよ。ねえ、起きてよ』

 

 

『起きてよ、起きてよ、起きてよ、起きテよ、起き、テヨ、』

 

 

『オ、オオキキキキキオキ』

 

 

『オ、オキオ・・・・』

 

 

 

 

 

 

「オキ、・・・・ん?」

 

目を開けると、直ぐそこにアリスの顔がある。

 

「・・・・アリス?」

 

「凄いうなされてたけど、大丈夫?」

 

心配そうに顔を近づけてくるアリス。若干声のトーンが低い。機嫌が悪いのか?

 

「うなされてた?ああ・・少し変な夢をみてた」

 

一体どのくらい寝てたんだ?日の光が無い所から察するに半日は確実に寝たな・・

 

「そういや、みっともないとこ見せて悪かったな・・」

 

起きようとする素振りを見せると、気を使って俺の上体を起こしてくれる。

どうやら、また病室のベッドの上のようだ。

 

「・・・・そんな事言わないでよ。私達って、その程度の関係なの?」

 

少し、俯きやや震える声で言うアリス。

 

「いや、別にそういう訳じゃ・・」

 

「私ね、気づいたの。氷坂、大事な時に私を頼ってくれたことない・・」

 

「な、そんな事は

 

「ううん、一回もない!いっつも、大事な時は一人で抱え込んで・・。あの時氷坂は私に好きって言ってくれて、恋人になれて凄く嬉しかった・・。でも、あれは私の勘違い⁈」

 

目から涙を流し必死に叫ぶアリス。

 

「ち、違うそんな事ない!でも、もしアリスを巻き込んで死にでもしたら俺・・

 

「私は、氷坂のお荷物になるために恋人になったんじゃない‼︎」

 

・・・・!

 

「私だって、氷坂を守りたいよ・・」

 

そう言うと、泣きながら部屋から出て行ってしまう。

 

「アリス・・」

 

沈黙の残る部屋。追いかけることも出来ず、唇を噛みしめることしか出来ない。

 

「・・・・」

 

トントン

 

アリスが出て行った方からノックの音がする。

 

「入っていいかしら?」

 

そこには、壁から半分、顔を出し此方を見ている輝夜がいた。

 

「・・・・何か用か?」

 

先程の事もあり、弱々しい声が出てしまう。

 

「・・用と言えば用ね」

 

そう言うと、俺の隣まで歩み寄り近くの椅子に座る輝夜。

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

・・・・用があるならなんか喋って欲しいなぁ・・。気まずいんですけど。あー、俺から話さなきゃなんない?

 

「ねぇ、ひーくん」

 

「うぁ?」

 

あれこれ考えているうちに、口を開く輝夜。不意をつかれたため間抜けな声が出てしまう。

 

「ひーくん、あの時悔しいって言ったじゃない?」

 

「う・・!」

 

「どうかしたの?」

 

「いや、何て言うかあらためて言われると結構恥ずかしいな・・」

 

顔が熱い。きっと、真っ赤に出来上がっていることだろう。腕が無いため顔を手で覆うこともできない。

 

「・・・・今更?」

 

「今更とか、ゆな‼︎俺、そんな恥ずかしいことしょっちゅうしてるか⁈」

 

「してるじゃない。うぎゃぁぁってのたうち回ったり、臓物持って泣き喚いたり」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ‼︎さらっと、黒歴史を掘り返すなあ!」

 

布団をかぶることすら満足に出来ないため、ベッドの上でうずくまる。

 

「ふふふ、どう?少しくらい気分は、よくなったかしら?」

 

「・・・・!全く、お前には敵わないなぁ」

 

「年季が違うもの」

 

ふふん、と得意げになる輝夜。む、なんか子供扱いされてるようで気に食わんなぁ。

 

「そっかぁ、やっぱおばさんには勝てイヒャイイヒャイイヒャイイヒャイ‼︎‼︎」

 

体をベッドに乗り出し俺の頬をつまみ引っ張る輝夜。

 

「な〜ん〜て、言ったのかしら⁈」

 

「ごめんらひゃいごめんらひゃいイヒャイイヒャイイヒャイイヒャイ‼︎」

 

「全く、私をおばさん扱いなんていい度胸してるわ」

 

俺の頬をつまむ手を離し、ドカッと椅子に座りなおすとぷいと顔を背けてしまった。

 

「それで、ふりだしに戻すわよ」

 

こほん、とひとつ咳払いをし話を戻す輝夜

 

「ひーくんがあういう思いをしないようにするための打開策を提案するわ」

 

「・・・・?」

 

「全ての元凶は、ひーくんが制御出来ないあの力。だから、暴走しないようにあの力を制御出来る様になればいいのよ」

 

真顔でさらっと、言ってのける輝夜

 

「んな、簡単なもんじゃ無いだろ」

 

「ええ、確かに簡単な問題じゃ無いわ。でも、これしかひーくんには無いんじゃないかしら?」

 

「まぁ、そうだけど・・」

 

「だったら、やるしか無いわ」

 

「だが、どうするんだ?今から修行でもするのか?」

 

「詳しいことは明日話すわ。今日は、もう遅いから寝なさい」

 

「そうだな。そうしよう、今日殆ど寝てたけど、どっと疲れた気分だ」

 

再びベッドに横たわると輝夜が気を使って布団をかけてくれる。

 

「ああ、ありがとう」

 

「いいのよ、これくらい。お休み、ひーくん」

 

「お休み、輝夜」

 

すると、俺のベッドの中に入ってくる輝夜。

 

「お休み、輝夜」

 

「ええ、お休み」

 

うーん、おかしいなぁ

 

「お休み、輝夜」

 

「もお、分かったわよ。そんなに、私の声を聞いていたいの?ひーくんたら、可愛いわね」

 

うーん、分かんないかなぁ

 

「自分の部屋でお休み、輝夜」

 

「・・・・?」

 

「どうして?みたいな顔すんな!お前には、自分の部屋があるだろが!」

 

「いいじゃない、今日ひーくん寝てばっかりで私のお願いごと一つも聞いてもらえなかったし。これくらい、許してもいいんじゃなくて?」

 

「ぐ・・!」

 

そういや、そうだったな・・。まあ、これくらいで済むなら許してやっても

 

「よぉ〜し、今夜は楽しむわよ〜」

 

「お休みって、言ったのお前じゃ無かった⁈」

 

「気が変わっちゃった☆」

 

「やっぱ、自分の部屋戻れ〜‼︎」




いや〜、遅れて申し訳ないです。頑張ってもペンと紙を取られては、書けるものも書けないのです。はい、何言ってるんでしょうこの人。すみません
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