あの一件から色々とアリスが些細なことでも相談してくれるようになった。なかなかに喜ばしいことだ。
さて、それはそうと此方に来て必要な服などの日用品を編んでいたら糸、特に綿糸が無くなって来てしまった。チャチャっと買いに行きたいところだが外出する際は、アリスに運んで貰わないといけないからな〜。ていうかその前にこっちであっちの金使えんのか?最悪今持ってる金全部おじゃんだな。日本の一部らしいが隔離されてるわけだから通貨とか違うかもしれんな。そこらへん含めアリスに聞いて見るか。アリスは、今自分の部屋か。
コンコン
「入っていいか?」
「ええ。いいわよ。」
アリスの部屋に入ると人形が目に付く。部屋中とは言わないがかなりの量の人形が置いてある。全てアリスが作ったものだろう。ザ・女の子のお部屋って感じだな。
「なにやってんだ?」
「今度里の祭りで人形劇をやるからその人形を作っているのよ。」
里、ってことは人里か。
「ほぉ〜。人形劇か〜。案外そういうことやってんだな。」
「私は都会派だから☆」
此方に向き直り人形を編みながらウィンクしてそう言う。
「さいですか。ところで、聞きたいことがあるんだがこっちの物価だとか通貨だとかを一応把握しておきたいんだが。」
「通貨は、円よ。」
お?これは、期待していいんじゃないか?
「おお。はて現物を見せて貰っていいかね?」
「はい。」
「はて。これは、何円?」
「?一円札よ?」
「oh my god」
我ながら驚くほどの超ネイティブ発音だ。ってそんなのどうでもいいわ。
「マジか〜。じゃあ今俺が持ってる金全部おじゃんか〜。キッツイな〜。」
「そうでも無いわよ?紫に頼めばこっちの通貨と交換してもらえるわよ?」
「おやおや、新キャラですが紫さんとはどのようなお方で?」
「境界を操る程度の能力を持つ大妖怪。唯一外の世界と繋がりのある妖怪ね。」
「ほぉ〜。そないなやつがおんのか。」
「あら、案外驚かないのね。」
「まあ色々あったからな。今更驚かないよ。でその妖怪にはどうやったら会えるんだ?」
「うーん。能力が能力だけに、まさに神出鬼没なのよね。霊夢のところに行けばたまに会えるけど、基本的に私達から会うことは出来ないわね。」
「全ては運次第、か。うーん。里で色々と買い物したいと思ってたんだがこれじゃあ当分無理そうだな〜。」
「あら。そんなこと無いわよ?」
「うぇい⁈」
急に後ろから女の声がし、驚き振り向くとそこには、紫を基調とした道士服のような服を着た金髪の美女がいた。ん?この人どっかで見たことあるような。ていうか何処から入った?物音一つしなかったぞ。
「あら紫じゃない。珍しいわね。貴女がここにくるなんて。」
「霊夢から外来人がここに住んでるって聞いたから気になって来ちゃったわ。貴女が噂の外来人君かしら。」
「え?あ、ああ。外来人君の夜麻鳥 氷坂だ。」
「この人がさっき話してた八雲 紫よ。」
あ〜。なるへそ。合点がいったわ。境界を操る程度の能力らしいから境界を操ってここまでワープしたわけね。そりゃ物音一つせんわ。ていうかタイミング良すぎだろ。
「丁度良かったわ。氷坂のお金交換してあげて。」
「ふふ、お安い御用よ。お茶貰えるかしら?」
「人の家勝手にあがりこんで図々しいわね。別にいいけど。」
人形を編むのを中断しアリスが部屋から出て行く。
「さて、貴方此方に来た時あんなところから落とされてよく生きてたわね。」
「ん?なんでそんなこと知って・・あ。あんた、もしかしてあの時俺を湖に突き落としたひとだろ‼︎」
「大正解☆」
これで全ての合点がいった。あの時誰もいなかったはずなのに急に現れたことも幻想郷に飛ばされたことも。だが一つ不可解な点がある。何故そんなことをした?
「なあ、一つ質問なんだが何故そんなことを俺にしたんだ?」
「そのうち分かるわよ。」
「は?なんだよ教えてくんないのかよ。まあ、別にいいけど。」
「ふふ、賢明ね。私は、これでお暇するわね。」
アリスに茶つがせといて持って来る前に帰るとかタチ悪いな。まあ、俺と二人で話したかったからなんだろうが。スッと空間に裂け目のようなものが開く。中からは無数のギョロ目がのぞいている。そこに紫が入りスッと消える。なんていうか胡散臭い奴だったな。
「あれ?紫は?」
「お暇するとさ。」
「ハァ。全く勝手にあがりこんだ挙句お茶までつがせて帰るってなんなのよ。もう。」
深い溜め息をつきそう言う。もっともな言いぶんである。怒らないとこ流石アリスだと思うが今までに何回かやられてそうだな。
「気分転換とは、言わんが金も交換してもらった事だし里にいかないか?」
「そうね。そろそろ紅茶の茶葉も切れそうだし。丁度いいわね。」
「いやぁ〜、収穫、収穫。綿糸以外にも絹糸も買えたし、なんか見たことも無いような糸も買えたな。後でどんくらいの重量まで耐えられる試してみよ。」
日も暮れ里での買い物を終えアリス家に帰ってきたわけだが、人里っていうのは案外活気があって驚いた。てっきり妖怪とかに怯えながら生活してんのかと思ってた。やっぱり陰陽師とかいんのかな。悪霊退散‼︎的な。
「そういえば人間で能力を持っている奴ってどのくらいいるんだ?」
買ってきた物を既にしまい終えたのか椅子に座ってくつろいでいる。
「そうね〜。私が知る限りだと元人間をあわせて六人くらいかしら。一人、半人半霊がいるけど。」
「ほぉ〜。大して多く無いんだな。」
「そのうちの一人が霊夢。そして二人目がーー」
ドンドンドンドン
激しく扉を叩く音がする。そうノックでは無いのだ。もはやぶっ叩いてる音だ。人様の家を何だと思ってるんだよ。紫といい今回のやつといい。
「おーい。アリスぅ〜。いないのか〜。」
「あら、噂をすればなんとやらってやつね。」
アリスが扉の方へ歩いて行く。
「はいはい。久し振りね魔理沙。といっても一週間振りくらいだけど。さ、あがって。」
「チョット知らせなくちゃいけないことがあるから来たんだぜ。」
扉の方からボーイッシュな女の子の声が聞こえる。家に入り此方の部屋に来るのが足音でわかる。
「ん?男連れ込んでのか?アリス。お前も結構大胆な女に
「違うわよ‼︎魔理沙が思ってるような事は断じてないから‼︎」
そんなに顔真っ赤にしながら否定してもなぁ。まあ、可愛いからいいんだけど。アリスをからかっている少女は、金髪に先の尖ったコーンのようなリボンのついた三角帽子をかぶり、黒い服に白いエプロンを身につけている。いかにも魔法少女である。ボーイッシュな喋り方とは裏腹に超美少女なのが、ギャップ萌えでこちらのハートを鷲掴みにする。
「はいはい。分かった分かった。お前外来人か?私は、霧雨魔理沙だぜ。よろしくだぜ。」
「ここに居候させて貰ってる外来人こと夜麻鳥 氷坂だ。こちらこそよろしく。」
スッと立て膝をつき魔理沙という美少女の手を取りそう言う。ときにアリスさん?後ろでまち針スタンバイするのやめていただけませんかね?
「ハハ、面白いやつだな。それで、本題なんだが、色んなところで人間や妖怪が無差別に食い殺されてるんだぜ。それも、異変と呼べるほどになんだぜ。今までにかなりの量の人間や妖怪が食い殺されてて早く解決しないと幻想郷中の人間や妖怪がかなり減っちまうんだぜ。」
「ほぉ〜、これまた物騒なことが起きてんだな。」
「霊夢と一緒に解決するために何度か出向いたんだが逃げ足が早いんだかいつも見つからないんだぜ。」
「そう・・。私達も気をつけるわ。わざわざありがとう魔理沙。」
「これくらい、気にすんなぜ」
ふむ。今だ犯人は逃亡中のうえ犯行を繰り返しているときたか。俺らも襲われると危ないから緩めに糸を家の周りに張っとくか。張ることによって侵入者の存在ぐらいなら察知出来るからな。
「今日ももう暗いし今日は泊まって行くかしら?」
「いや、私はもう少し見回って見るぜ。」
「そう。気をつけてね魔理沙。」
「おう。」
そう言うとそのまま出て行ってしまった。じゃあ俺は糸を張ってくるかね。
「何処に行くの?」
「ああ、家の周りに軽く糸を張っておこうと思ってな。寝込みを襲われてもたまったもんじゃないしな。」
「そう。気をつけてね。」
「おうよ。」
張る糸は、今日買った綿糸でいいかな。結構細いから目を凝らさないと見えないしね。
キリキリ
おし、これくらいでいいだろう。張った糸を引っ張り、具合を確かめる。夜になるとホント真っ暗だな。元いた世界と違って街灯がないからな。当たり前か。まあ、糸を張ったからこれで寝込みを襲われる心配もなくなった訳だ。アリスが心配するから早く戻ろう。グーと伸びをし家に戻る。
家に帰るとアリスが夕食を準備していてくれた。テーブルの上に様々な料理が並べられている。今日は、飯食って風呂入ってとっとと寝るかね。
「そいじゃあお休み〜。」
「ええ、お休み。」
大して疲れるような事をしたわけでも無いが今日も終わった〜と今日あった事を思い出しながら床に入る。あーだんだん眠くなってきた・・。
キュルキュルキュルキュル
「な‼︎‼︎」
張った糸が巻かれている‼︎誰かがこっちに来る‼︎しかも、かなり速い‼︎例の人や妖怪を喰うやつか⁈アリスの部屋に走って行きアリスを起こす。
「アリス。アリス‼︎」
「ん・・んぅ・・どうしたの?」
寝惚け眼を擦りながらアリスが起きる。
「1キロくらい先から何かが来る‼︎しかも、かなり速い‼︎」
「まさか、魔理沙が言っていたあの⁈」
「いや、分からない。けど、もう家の前まで来てる‼︎」
「私が外の様子を見てくるわ。貴方は、ここにいて。」
「いや。俺が糸で結界を張りながら、外の様子を見てくる。」
女の子に危ないことは、やらせらんないね。ま、結界って言っても糸を俺を中心に張り攻撃に使うか糸にかかった相手を捕まえるっていうやり方なんだけどね。魔法陣とか展開とかしないからね?外に出るために走って行く。
「ちょっと、待ちなさい‼︎あなた人間でしょ‼︎あ〜もう‼︎」
扉を開け糸を周りに飛ばし結界を作る。さて、一体こんな夜更けに誰かな?家の扉を前としたとき丁度裏手にそいつはいた。夜中で暗いと言うこともありよく見えない上に身体に黒い靄がかかっている。まさに、化物だな、
「氷坂‼︎避けて‼︎」
「ん?」
アリスの声に振り返ろうとした瞬間ボンという音と共に俺の右肩が弾け飛ぶ。一瞬の出来事に理解が追いつかず右肩を見て
「ああぁぁああ‼︎‼︎」
「氷坂‼︎」
俺の名前を呼びながら駆け寄ってきたアリスが傷口にハンカチを当てる。いきなり攻撃とか随分な挨拶じゃねぇか。頭に血がのぼっていくのが分かった。
「てんめぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎」
「氷坂⁈落ち着いて‼︎死ぬわよ⁈」
頭に血がのぼってしまいアリスの声が聞こえない。右手が使えないため左手で相手の周りに結界として張っていた糸を解き化物の首に巻き全力で締める。
ゴキゴキッ
首の骨が折れるのが糸を介して分かった。だがそれを意に介さず、さっき俺の肩を弾けさせたであろう光弾を複数手から飛ばしてくる。
「くっ‼︎‼︎」
自分の周りの結界の糸を手繰り寄せ盾にする。光弾が弾けた衝撃で糸が切れ後ろにふっ飛ぶ。
「大丈夫⁈」
吹っ飛んだ俺に、アリスが駆け寄る。
「あんまり大丈夫じゃない・・。首の骨を折っても攻撃してくるってどういうことだよ。」
だがこれで捕まえた。
「早く傷の手当てをしないと・・‼︎」
アリスが涙目になりながら俺にそう言う。
「落ち着けアリス。まずあいつを倒さないと手当ても何も無いだろ。」
首を締めている糸を必死にちぎろうとしている化物に視線を送り
「切れねぇだろ。その糸モンスターシルクっつってな。同じ太さの鋼鉄の5倍の強度があるんだ。いくら化物だろうとそんなもんが首に巻きついたら切ろうにも切れないもんなあ。」
結界に使っていた全ての糸を解き化物の身体中に巻きつける。そして、一言カッコ良く
「捕獲」
だがそれを言うと同時に意識が遠のいて行く。
バタッ
「氷坂⁈氷坂‼︎しっかりして‼︎氷坂‼︎」
うーん。主人公の戦闘シーンをぶっ込みたかったんですが、何でしょうこの無理矢理感‼︎まあ、自分なりにカッコ良くかけたかなと思います。
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