「これは、妖力⁈どういうことだ⁈さっきまで霊力を使って・・」
俺の様子を見てかなり驚いている様子の案山子。そして、はっとしたような顔をする。
「今までにも見たことがある・・。妖怪と人間との混血か・!」
そうかぁ、あまり指摘されなかったから気にして無かったが混血ってだけでも中々イレギュラーなんだよなー。
「(いや、実際そんなことどうでもいい。一番気にするべきは見てわかる程の異常な妖力量・・!今まで戦った中で一番強い敵・・!)」
「ん?」
目つきが変わり、構える案山子。
「本気で行く・・‼︎」
先程と打って変わり、目から慢心が消えている。どうやら、マジなようだ。
「ふっ‼︎」
勢い良く跳躍し、俺との距離を一瞬で詰める案山子。
「(⁈空中じゃ、逃げはが無いのに・・)」
顔前まできた蹴りをギリギリで回避。先程とは違い俺は天狗。その程度のスピードなら余裕で躱せる。
避けたところで、空中で無防備になっている案山子の顔面目掛けて蹴りを入れ
「な⁈」
完全にとらえた筈の案山子の顔面がそこにはなく思い切り空振る。
焦って案山子を探し視線を向ける。が、もう遅く胸の中央に深く拳がめり込む。
「グッ‼︎」
真下に、飛ばされ地面に激突。
「アッ‼︎ガッ、ガハッ‼︎」
血が口から吹き出す。呼吸が出来ない。
だが、それも一瞬。折れた肋骨がバキバキといいながら修復されていく。
「(随分と、深く入った・・。肋骨だけじゃなく心臓も破壊されていただろう・・。なんて、威力だよ)」
「ふぅ、心臓を破壊しても再生するなんてね・・。まあ、いいや。なら、頭を破壊もしくは再生出来なくなるまで破壊する」
身体の修復が終わったところで案山子を見る。そして、目を剥く。
「俺の結界の糸が見えるのか⁈」
俺が仕掛けた結界の糸の上に乗り俺を上から見下している。
そうか・・!さっき、空中で蹴りを躱されたのは、結界の糸を足場にして回避したのか!
「あ、言っとくけど今は見えてないよ。さっき、あんたが糸を操っている時糸を操る霊力がチラッと見えたぐらいだね」
は・・?おいおいおい、まさか俺が霊力で糸を操っていた時に何百、何千という糸の場所を記憶したのか⁈
正に、神業だな。
しかし、困った。案山子にとって脅威となり、ある程度行動を制限させることが出来ると思って敢えて放置した結界がここで仇になるなんて。
しかも、俺は今天狗だ。妖力の使い方なんぞまるで分からん。空を飛ぶとかは感覚で出来たが糸を操るなんて芸当慣らさないと到底無理だ。
だからと言って人間に戻れば案山子に勘付かれて全力攻撃を食らうのが関の山だ。
「(・・ピンチ・・)」
「そっちが、動かないんだったらこっちから行く、よ‼︎」
俺の方へ勢いよく降り、着地すると同時に足払いをする。それを、軽く飛び回避する。そこに、俺の頭目掛けて拳がくる。それを、飛んで回避しようとするが体が糸につっかかり動けない。頭だけを動かし回避する。一瞬間に合わず、頬骨から耳にかけて削りとられる。
「ッッッッッ‼︎」
そして、間髪入れずに俺の腹に蹴りが入る。
バキボキボキッ
「ガハッ‼︎」
真横に蹴り飛ばされ木を数本薙ぎ倒したところで岩にぶつかる。
このままだと、ジリ貧で確実に負ける・・。
傷の回復が終わったところで立ち上がる。
「ん?」
後ろでガシャンと何かが落ちた音がする。振り返ると、腰に掛けていた霊墜が落ちていた。
「死ぬよかマジだよな・・」
それを脚で拾い上げ器用に脚に装着する。
「何処見てるんだ⁈」
頭目掛けて飛んで来る回し蹴りを屈んで避け、足払いをする。
「うわっ‼︎」
バランスを崩し倒れる案山子の腹を蹴り飛ばす。
「うぐっ!」
10メートルほど吹っ飛んだ所で結界の糸にぶつかる案山子。
「(よし、今だ!)」
身体を人間に戻し、両脚に装着した霊墜に霊力を込める。
「くっそ‼︎」
案山子は、あともう一押しの所で殺せないのがもどかしくてしょうがないのか青筋を立てている。
すると、急に案山子が消える。
「(くそッ‼︎速い‼︎)」
さっきは、天狗だったため動体視力がずば抜けて高くなっていたが今は人間。
「(全く見えない・・!)」
後ろで物音がしたと思うと右胸に拳が入る。
ベキバキバキッ
「グッ!ガッ・・‼︎」
そのまま吹っ飛ばされ地面を転がる。
「グッ!ゲボッ‼︎フ、ガハッ‼︎」
口から大量の血を吐き出す。どうやら、肺も破壊されているようだ。呼吸をしようとすると激痛とともに口から血が吹き出す。
「なんでわざわざ人間の身体に戻ったのかわかんないけどバカだね、あんた」
スタスタとゆっくり俺に近づいてくる案山子。俺のもとまで来ると脚を振り上げる。
「詰みだよ。バイバイ」
「ハ、ハハゲボッ‼︎づ、詰みはお゛前だぁ・・‼︎」
両脚を全霊力で強化し、案山子の振り下ろした脚を片脚ではじき案山子の腹に片脚を当てる。
「じゃあな」
すると、霊墜がガゴンと音を立て目の前の景色が爆ぜる。
俺も反動で大きく吹っ飛ぶ。片脚が複雑に折れ曲がっている。
「(霊力で本気で強化したのにこれか・・・・)」
身体を天狗に変える。
すると、途端に傷口が塞がり呼吸が楽になる。
「ふぅ、便利だなやっぱ」
案山子の方に目を向ける。
「流石、反動で俺の腕をもぎ取っただけあるな・・」
案山子の腹に大穴を開けた上でその後ろ10メートル程、木々や地面が抉られている。
あれだけ霊力の使い方を熟知している案山子の腹に大穴をを開けている時点で莫大な火力を放ったということが分かる。
案山子は、完全に意識を失い回りに血だまりが出来ている。
「終わったようね」
スッと後ろから出てくる輝夜。
「ああ」
その場にペタンと腰を落とし軽くくつろぐ。
「なぁ、これって意味あるのか?大してこれに意味があったようには思えないんだが」
「そうね。この娘じゃダメみたいね」
「っ、おい!じゃあ、やりあった意味が無いじゃないかよ」
「そう?今のひーくんが強くなるための課題はある程度見えたんじゃないかしら?」
「・・・・まあ、いいか」
「疲れたでしょう?中に入って休んでさない」
「ん、そうする」
スクっと、立ち上がり糸を回収して永遠亭内に向かう。
「あ、そうだ。そいつって治る?」
案山子を指差し、輝夜にきく
「月の頭脳を舐めるんじゃないわよ。治したいんだったら連れて行けばいいわ」
なんで、お前が偉そうにするかな。
案山子の身体を背中にのせ永遠亭に向かう。
「どうしてまた、そんな事をしようと思ったの?」
「ん?ああ、なんていうのかな〜。まあ、勿体無い、かな。こいつ、思った以上に天才だし殺すのが惜しいって思ったんだよ」
そう言うと、輝夜が目を細める。
「本音は?」
「うっ・・・・」
少し顔が引きつるのがわかった。
「分かるもん?」
「貴方はね」
自慢気だなぁ。んな、胸はれるもんじゃ無いだろ。
「言うに恥だからあまりいいたく無いんだが、簡単に言うと同情だ。あの時の事は、まだ許してないけどこいつも周りの馬鹿にそそのかされた被害者だ」
「・・・・」
「まあ、なんていうか。前の俺と似てるなーって思ってさ」
「・・そう」
「ああ、じゃ行くわ」
輝夜を背に走り出す。案山子の出血は、止まる様子も無くダバダバと流れている
「(これ本当に助かんのか?)」
「本当に凄いな・・。半分信じてなかったけど本当に治すとは・・。悪いな、ほんとうに何度も何度も」
「いいわよ、慣れてるわ。何度、貴方の面倒を見てきたと思ってるの」
はぁ、と一つ溜息をつくと苦笑いを浮かべる永琳
「いやぁ、頭が上がりませぬ。なんか、お礼をしたいんだが」
「・・・・」
「おい、今更?みたいな顔すんなよ。今までしよう、しようおもってたんだけど出来なかったんだよ!ゴメンね‼︎」
「なんで最後の方話し方が幼児退行してるのよ。じゃあ、甘えて今度何か頼んじゃおうかしら」
「おう!」
片手をヒラヒラして、部屋から出て行く。
あの後、永琳に案山子を預け治療してもらい今に至る。案山子の様子を見てから露骨に嫌な顔をされたのが中々傷ついた。
今、俺はというと治療が終わり眠っている案山子の隣で椅子に座っている。
「あ、そういや輝夜に腕の事きくの忘れてた」
まあ、いいか。
そういえば、アリス・・・・。何やってるかなぁ・・。
「はぁぁぁ」
つい、大きな溜息が出てしまう。
「悩みですか?」
「うぇ⁈バッバッ」
隣に突然現れた咲夜に驚き、椅子ごとひっくり返る。
「キャ!だ、大丈夫ですか?」
ひっくり返った、俺の身体を起こしてくれる
「ああ、いや大丈夫だけど突然現れんのやめてな?」
「すみません。此れで、慣れてしまって居るもので」
俺を起こすと、深々と頭を下げる咲夜
「いや、いいよ。こんな感じのやり取り良くあるし。それより、なんだ?」
「妹様の件でお礼をしに参りました」
「ああ、そういや。暴れてたんだっけか。皆、無事だったか?」
「お陰様でレミリア様と門番が軽症程度で済みました」
うーん、この人の軽症の度合いが分かんないからどう返せばいいか分からん・・。まあ、生きてるってことならいいか。
「そっか、それなら良かった」
そう言うと、咲夜が不思議そうな顔をする
「なんだ?変なもんでもついてるか?」
「いえ。私達は、貴方を殺そうとした身です。そこまで、してもらえる義理がありません・・」
「ああ、成る程。なんていうか、慣れたっていうのかなぁ。何度も殺されかけたし、俺死なないしね」
「そういうものですか?」
怪訝そうな顔で俺を見る咲夜。あれ?今ので納得いかない?
「つか、お前のとこのえーと、レミリアだっけ?も、水に流そうって言ってたじゃん」
「そうですが・・」
「まだ、納得いかないか〜。あっ、そうだな。もう一つ理由がある」
「それは一体・・」
なんで、そんな真剣な顔するかな。まあ、でも油断が死に直結するような世界だから、そこら辺もはっきりさせておきたいのだろう。
「あれだよ、その〜言いにくいんだけど。皆可愛いじゃん」
「はい?」
ポカンとした顔で凍ったように動かない咲夜
「男の弱みだなぁ」
「え、本気ですか?」
「うーん、本気かって聞かれたら考えるけど一つの理由ではある」
「すみません。一言いいですか?」
「ん?何だよ」
ごほん、と咳払いをして顔をキリッとさせる咲夜
「バカですか?」
「おうともよ」
「肯定しちゃうんですか⁈」
「おおっとと、大声だしてた俺が言うのも何だけど見ての通り寝てる奴いるからもう少し小声でな」
口元に人差し指を当てしーっ、と言う。すると、咲夜も口に手を当てすみません。と言う風に頭を下げる。
「はは、男なんて皆こんなもんだよ」
「貴方みたいな人は居ませんよ。少なくとも私が居たところには」
そう言うと俯く咲夜。こいつ、いつまで立ってんだろうとか思って見てたがこいつ言われないと座らないな。
「俺だけ座ってんのもなんだから、お前も座れよ」
「え?私は、いいですよ」
「いいからいいから」
立ち上がって近くにある椅子を糸で持ち上げ咲夜のところまで持っていく。
「で、では遠慮なく」
なんで、そんなぎこちないんだ?メイドだから、あんまりこういうこと慣れてないのかな?
「そういや、レミリアは今何やってんだ?」
「寝ていらっしゃいます。そろそろ、起床のお時間だと思いますが」
ああそっかあいつ等、吸血鬼だったな。てか、そろそろ起床のお時間ってもうそんな時間か。暗いなぁとか思ってたけど、そっかもうこんな時間か。
「紅茶、入れますね」
そう言うと部屋から出て行く咲夜。やはり、メイドという職についているだけあって尽くしてないといれないのだろうか。もうちょい、じっとして話をしたいところだが。
お盆に、紅茶をのせ戻ってくる咲夜。お盆に乗っている紅茶がちっとも揺れていないところ、長い間メイドをやって来たのだと分かる。
「はい」
「おう、あんがと」
俺に紅茶を手渡すと席に座る咲夜。
「ん?お前の分は?」
「え?私は、気にしないでいいですよ」
「いやいや、これから二人で話そうって時に俺だけ紅茶啜ってられるか」
「あ、じゃあ失礼してついできま
「いや、俺がつごう。何気に自信がある。君は、ここで待って居たまえ」
「あ、ありがとうございます」
キリッとした顔で咲夜にそう告げると、台所まで歩いていく。先程自信があるとかぬかしたが、その自信に根拠は無い。紅茶をついだことなどあっても数回程だ。まあ、やり方が分かるし余裕っしょ。的なのりだ。
「・・・・」
まあ、こんなもんでいいか。台所で紅茶をつぎ先程の部屋へ戻る。
「時間かかって悪いな。ん」
ついで来た紅茶を咲夜に手渡す。
紅茶を渡したところで椅子に座り咲夜の紅茶を啜る。
「な・・!うまっ・・!」
なんだこの紅茶・・!これが、プロの味・・!
「あ、ちょっと待て。やっぱ、飲むな」
「え?どうしてですか?」
俺が糸で出来た腕で咲夜の持つ紅茶をとろうとする。だが、紅茶を持つ手を引っ込められ取ることが出来ない。
「こんな、美味いもん作れるような奴に飲ませられるか!」
「そう言われると、気になりますね」
もう一度咲夜に手を伸ばした所で咲夜が消える。
「あれ?どこ行った?」
「不味くは、無いじゃ無いですか」
後ろから声がし、振り返ると既に紅茶を飲んでいた。
ああ・・美味しくも無いんですね、はい。
「くそー・・あんな自信ありげに言った手前、こんな事になってしまうとは・・お恥ずかしい・・」
「そんな絶望したようにしなくていいじゃないですか」
「・・・・」
うーん、なんかなぁ・・・・
「・・なあ、敬語と気使わなくていいぞ。やっぱどうも、不自然でしょうがない」
そう言うと驚いたようで一歩後ずさる咲夜
「いや、不自然というかしっくりこないんだな」
「・・・・」
少しの沈黙をおくと咲夜が口を開く。
「そうね。一度素を見せた相手に敬語を使うとやっぱり不自然になるわね。お言葉に甘えさせてもらうわ」
おお、やっぱこっちの方がしっくりくるな。しかし、どうしてこっちの方がしっくりくるんだろうな・・
「けれど、こっちの方がしっくりくるだなんて貴方やっぱり変わってるわ」
「む?そうか?」
普通だと思うんだけどなぁ。そこらへん、よく分からんなぁ。
「あ、いけない。もう、こんな時間だわ」
すげぇ、このセリフ本当に言うやついるんだな。なんか、新鮮
時計を見ると咲夜
「お礼をする、というより雑談になっちゃったわね」
「いやいや、そっちの方がいい」
ぶんぶんと手を横に振り否定すると、ふふっと口に手を当て笑う咲夜。
「そういえば、貴方の名前まだ聞いてなかったわ」
「ああ、そういやまだ言ってなかったな。俺は、夜麻鳥 氷坂だよ。よろしくな、咲夜」
「ええ、よろしく。仲良くやりましょうお互いに」
それを最後に消える咲夜。また、静かな空間が残る。なんか、最後のセリフ意味深だなぁ。嫌な予感がする・・。あ、フラグ建てちゃった。
「ま、いっか」
いろいろ話してるうちに大分暗くなった。つか、またまたもに飯食ってないな。なのに、大して昼から腹が減らないのは度々天狗になってるからなのかな。でも、天狗って飯食わないのか?よく分かんないな。
まあ、分かんないこと考えても仕方ないわな。
椅子に座り直し案山子の寝るベッドに寄りかかる。
「少し寝よ」
「おい、起きろ。おーい、起きろ」
「うーん、アグばっ‼︎」
体に強い衝撃が走り跳ね起きると床の上に寝転がって居た。どうやら、椅子の上から落ちたようだ。
「やっと、起きたか。邪魔だからどいてくれ」
「うぁ?あ?あ、うん。うぇ?」
寝ぼけているため全く頭が回らず、床に座ったままボーッとしてしまう。
数分たって、頭が正常に戻る。
「あ、あれ?案山子起きたのか?」
今更立ち上がって部屋から出るが、案山子は見つからずその場に立ち尽くす。
「こんな所に居たんですか?」
後ろから声がし、振り返ると鈴仙がいた。
「ああ、鈴仙おはよう」
「おはようございます。昨日帰って来て氷坂さんいないから驚きましたよお。輝夜様が心配しなくていいと言うから探さなかったのですが。心配しましたよ?」
両方の人差し指をツンツンと合わせ上目遣いで此方を見る鈴仙。なんだこの可愛いウサギ。持って帰ってやろうか
「ああ、わり。飯か?」
「はい。なんだかんだ言って氷坂さん全く食事をしてないと思うので今日は多めです」
「ありがとう」
「あ、あとご飯食べたらお風呂に入ってください。あの・・」
言いにくそうな顔をして、振り返ると
「少し・・匂いますよ」
ゴロゴロピシャーン
「・・・・」
「ど、どうしました?」
プルプルプルプル
「・・・・る」
「え?」
「今、入る‼︎」
「うぇ⁈え、ちょ今は、って速!」
そうだ・・最近色々ありすぎてすっかり忘れていた。俺、最近風呂入ってねぇ‼︎
これは、どんな問題より優先すべき問題だ‼︎
そうだ‼︎俺は‼︎今日‼︎風呂に‼︎
「入る‼︎」
天狗になり全力で風呂場へ向かう。
風呂場へつくやいなや、全裸になり身体を
「身体を・・」
「は・・?え・・?」
「洗いたいなぁ・・」
ああ、こういうイベントはやめて欲しかったなぁ・・
よーし、今回こそは長く書くぞ〜って、なんだこれ。
なんか、ぐだぐだして変なんなってるな・・
さて、風呂に入った先は誰なんでしょうね。
誤字、脱字、感想、コメントあればお願いします。