「今まで、ありがとな。世話になったよ」
守矢神社へ移るための支度を終え、たった今出発する時。永遠亭の永琳以外の全員が出迎えてくれている。
「今生の別れみたいになってるけど、どうせ大怪我してまた此処に担ぎこまれるんだから」
「まあ、そうだな」
言われてみれば、確かにそうだ。あんまり、あって欲しくないけど。
というわけだから、もっと明るくいこう。こういう時は、なんて言えばいいかな・・・・。
あ、そうだ。よし、これでいこう。
「んじゃあ、行ってきます!」
「ええ、行ってらっしゃい」
案山子を背中に乗せ守矢神社へと飛び立った。
「お、あれが守矢神社か。中々立派なもんだな」
「・・・・」
妖怪の山の上空から見渡すと前は何も無かったはずの場所に神社が建っている。
「?どうした、案山子?」
「・・・・大きな力が三つ。この神社は、神が三人もいるのか?」
「は⁈神⁈」
「ああ、この力は神力の類・・神だと考えて間違い無いだろう。一人微妙なのがいるが」
わお。神かー、なんかドキドキしてきた。どんな奴なのかなー?やっぱり、仏みたいな顔してんのかな?
「降りるぞ」
神社の真上に来た所で、ゆっくりと高度を下げ地面に降り立つ。
失礼の無いようちゃんと鳥居から入ろう。うん、そうしよう。
「・・・・!総出でお出迎えか」
案山子が何かを察知したのか何かぼやいている。
案山子を背中から降ろし、一緒に神社へと歩いて行く。
こういう時は〜手を繋いじゃったりして〜・・あ、弾かれた。いいじゃん別に手を繋ぐくらい。
「待ち侘びたよ!」
奥の方に見える、女性三人のうち注連縄を背中に輪の様につけた女性に声をかけられる。一人は・・うーんロリ?
こいつらが、案山子が言ってた神三人か。
「えーと、あんたらがここの住人だよな。住人ってか、神様か」
「ああ、そうだよ。いかにも私がここの神、八坂神奈子さ」
うん?何がいかにも?
なんだ、思ってたのと違うな。別に残念なわけじゃ無いけどちょっと拍子抜けだ。
「同じく、ここの神の洩矢諏訪子だよー。よろしくねー」
ギョロ目のついた帽子を被る、ロリっ子。
これまた、思ってたよりも軽い。神ってもっとこう・・高圧的なものだとばかり思ってたなぁ。
「私は、東風谷早苗です。宜しくお願いしますね!」
「ああ、よろしく。多分もう、知ってると思うけどこっちが案山子」
「よろしく」
俺が案山子を紹介すると案山子が、ぺこりと頭を下げる。
「俺が氷坂だ。これから、世話になるよ」
最後の娘も神なのか?世の中、分かったもんじゃないな。
俺の名前を言った時若干、ロリっ子と注連縄の顔つきが変わったがなんか変な事言ったかな?
「・・・・?そっちのもう一人は、誰だい?」
「はい?もう一人?」
「ああ、いや何でも無いよ」
何かわけの分からない事を言う神奈子という神様。
なに?幽霊でも着いてきてるの?
やめて!不気味なこと言わないで!
「お互い修行の身として、頑張りましょうね!」
すっと、手を出してくる早苗・・さん。ああ、えっと握手かな?
えっと、どうしようか。天子戦で糸を全部切らしちゃったから腕が作れないし。だからと言って、腕が無いって言って空気悪くしたくないし。
つか、糸が無いのに糸を扱う機械をぶら下げてるって間抜けだな。
「ああ、よろしく」
俺が困っているところを見て気遣ってくれたのか案山子が代わりに握手を済ませる。流石、俺の妹。
俺の妹がこんなに可愛いわけがピーーーーーーーーーーーーーーーー
なんでも無いです。
「はい!中へ上がって下さい!丁度いいですし、お昼ご飯にしましょう」
「ああ、ありがとう。えっと、早苗様?」
「そんな、様だなんて。私は、風祝ですから。早苗でいいですよ」
おお、中々フレンドリーな子だな。まあ、いいか。そっちの方がやりやすい。
風祝って、巫女みたいなもんなのかな?
・・・・ん?
「ん?風祝?神じゃ無いのか?」
「現人神だ。きっとそれなりに、偉業をこなして来たんだろう。その時に、信仰が集まって神になったんだろう」
ほお、中々凄い人なんだな。それなのに、謙虚ときた。感服、感服。
「さあ、此方です」
早苗に誘導され神社の中へと入っていきそれに連いて行く俺と案山子。早苗以外の神様は、入って来ない様だけどいいのかな。
「神奈子」
「ああ、何千年も前の事だからすっかり顔を忘れていたけどあの男・・・・あれは、終わりの妖怪・・」
「やっぱりかぁ。でも本人は私達のことを覚えて無いみたいだね」
「後でじっくり話し合おう。積もる話がある」
「でも、なんで腕無いのかな?確かあれくらいなら治せたよね?」
「それもきけばいい」
「なんだ?俺らが雑用をこなすって条件でここに住まわせてくれるんじゃないのか?」
「そんな、お客さんに雑用をさせる訳にはいかないですよ。氷坂さんと案山子さんはそこでゆっくりしていて下さい!」
ん⁇どゆこと?なんか、当たり前の様に早苗が料理をしてるけど。
輝夜がからかったのか?
「気が変わったのさ。あんたらは、ゆっくりしてな」
遅れてやってきた神様二人が卓袱台を挟んで俺の反対側に座る。
おおお、なんか神だけあってやっぱ威圧感があるな。
「え?そうなのか?じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおう。えっとあんたらはなんて呼べばいい?」
「神奈子でいい」
「私も諏訪子でいいよ〜」
ふむ。神様も、とてもフレンドリーで宜しい!っていってもなに考えてるか分からないから油断は禁物。
さて、具体的にこっちに来て何をするか決めていたわけでも言われた訳でも無いから暇だな。
なら、早苗を手伝えって話なんだけど腕無いし。腕を作るための糸も無いし。
あ、背中痒い。あ、あ、痒いぃ!かけない!手が無いからかけない。
「ん」
ぐねぐねと身体を回転させている様子で察したのか俺の背中を案山子がかいてくれる。
あ〜〜きもちーー。
「あざっす」
「ん」
うん、流石俺の妹。最高だね!
まあ、こんな感じのやり取りは俺が動けない時に散々してるから慣れたものだけど。
「よし!出来ましたよ!」
台所の方から出来た食事を持って来て卓袱台の上にぞろぞろと並べる早苗。
中々早いな。それに、美味しそう。
「じゃあ、作ってくれた早苗様に感謝を込めて・・いただきます」
「いただきます」
早苗に向かって深々と頭を下げ、それに合わせて案山子も手を合わせ頭を下げる。
「へ⁈や、やめてください大したことじゃ無いので!」
慌てて手を前にだしやめてやめて、とてを振る。
おっと、別にからかうつもりでやったわけじゃ無いんだけど。ここまで、反応されるとは。
「どうぞ召し上がって下さい!」
「じゃあ遠慮せずいただきます」
「いただきます」
両手を合わせて、とはいかないので頭をペコリと下げて言う。それに続けて案山子も一礼。
「じゃあ、頼むわ」
「ん、少し待ってろ」
一口食べると、俺の分の食事を箸でとって俺の口元まで運ぶ案山子。嫌な顔ひとつせずやってくれるから超ポイント高いね。
口元まで運ばれた、食事にありつく。
うん、美味しい。
「そういやあんたらって今まで何処にいたんだ?」
「そりゃあ、外さ。外の世界」
あー成る程。
概ね、外で信仰が得られなくなってここに来たってとこか。輝夜が信仰を集めるために妖怪退治をしてるって言ってたし。
科学技術やら、機械が闊歩するあの世界じゃ信仰どころか存在すらも忘れられていることだろうな。
「それで、話は変わるんだけど。氷坂、あんた私達のこと覚えてるかい?」
「・・・・ボケた?」
「うるさいね!ボケちゃいないよ!それで、覚えてるのかい、覚えて無いのかい⁈」
声を荒げて詰め寄る神奈子。それに、若干後ずさり。
えー、だってさっき初対面だって事を確認したばっかじゃん。
「あ、あれか?昔の俺と知り合いの人?だったら残念!綺麗サッパリ忘れてるんでね!」
詰め寄ってきた神奈子を押し戻して、言い切る。
この下り、いろいろ説明するの面倒なんだよね。
「どうして?」
「知らないよ。こちとら、自分が妖怪だって事も知らなかったんだから」
そう言うと深刻な顔になる神奈子と諏訪子。あ、ダメ、このままだと絶対にーーー
「知る限りの事を教えてくれるか?」
ほら、やっぱり〜〜〜‼︎
〜青年説明中(不本意)〜
「おい、そんな話聞いたことも無かったぞ」
「そりゃあ、お前に言ったこと無いもん」
そう言うと、ガーンとショックを受けた様子。頭をガクンと下げて何かブツブツ言っている。
「はは、そうか兄さんにとって私なんて・・・・ブツブツ」
「おい⁈そんな事言って無いだろ⁈」
「じゃあ、なんで話てくれ無かったんだよぉ・・」
涙目で迫る案山子。なんだ、この可愛い生き物。
こういう娘には、ちょっとしたイタズラ心が芽生えないでも無いな・・デュフデュフデュフフフフ・・
「え、だって、面倒だったんだもん」
「うわぁぁぁぁん‼︎」
可愛いからこのままほっとこう。
「えー、てことは学校にも行ってたりしますか⁈」
「・・・・っ。悪いが外の話はやめてくれ・・」
「ひっ!」
脳裏に走る光景に頭痛がする。目の前が真っ赤に染まる。
「おいおい、そんな攻撃的な殺気を早苗に向けるんじゃ無いよ。聞いただけだろ?」
「ああ、悪い・・・・」
早苗をかばう様に早苗の前に手を出す神奈子。
「でも、記憶が無いんじゃ仕方ないね〜。積もる話も覚えてないんじゃしようもない」
空気を変えようとしたのか話を戻す諏訪子。
取り敢えず乗らないと。
「俺とあんたらってどういう関係だったんだ?」
「そうだね〜〜、憎めない敵ってとこかな〜」
脚をぶらぶらしながら言う諏訪子。
「え?敵?」
「そうさ、あんたが散々うちらの国で暴れてくれたお陰で私らも死を覚悟したものさ」
懐かしいのか、遠い目をして話す神奈子。懐かしいの次元が中々遠いものだけど。
あちゃー、って多分それって俺が生まれたてホヤホヤの大分昔の事だよね。
この方達も大分お年をめしていらっしゃる。
「でもね、あんたが力を封じられた後は最初こそ毛嫌いしてたけど随分と仲良くなったもんさ」
何やら皆そんな感じの事を言うけどどんな善行を積んだのやら。大して興味も無いけど。
「さて、昔話も終わった事だし修行だな!氷坂の面倒は、私と諏訪子が見よう。案山子ちゃんは、早苗が見てやんな」
「痛い!」
ダッと立ち上がったかと思うと、俺の背中を強くバンと叩いてくる。
おい、冗談抜きで結構痛いぞ・・。
「さ、行くよ!」
投稿遅くなって申し訳無いです。
誤字、脱字、感想、コメントあればお願いします。