紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。


43話 先生が教えられる物語

「い、忌み子こだわ・・あの娘前からおかしいと思ってたのよ。やっぱり、妖怪と繋がってたんだわ」

 

「あぁ・・それに例の化け物まで一緒だ・・噂によると妙な妖術を使うそうだ・・」

 

「それ聞いたわ・・里の皆を離れていても引き寄せて自分の穴蔵に持ち帰ってから・・喰うらしいわよ・・」

 

「なんて恐ろしい・・」

 

 

「・・・・ちっ。見せ物じゃねぇぞこん畜生‼︎‼︎喰うぞ‼︎」

 

『ヒッ!』

 

「何やってんだよ兄さん‼︎」

 

「あふっ‼︎」

 

案山子の肘打ちを 横っ腹に受ける。

むぅ。いや、言いたいことは分かるよ?

折角、里に入れる様にハクタクにはからって貰ったんだ。ここは、ハクタクの顔を立てるのが道理ってもんだ。

でも、でもさー・・流石に身内が悪く言われんのは我慢ならん。少し前まで助けて貰ってた癖に忌み子とか・・

正直、これでもかなり我慢してる!成長だよ。これは、褒められて然るべきだと思う。

 

「開きなおるな」

 

「なん・・だと」

 

「そんな顔してた」

 

やはり、幻想郷の人間、妖怪、神、月人は心を読んでくるのが常らしい。

ハァと溜息をつきヤレヤレと案山子。迷惑かけますな・・妹よ・・。最近こんな案山子をよく見る・・

 

「少しは私の兄としての威厳をまとって欲しい所だな〜」

 

冗談交じりにヒューヒューと口笛を吹きながら言う。

くっ、冗談でも心に刺さる・・!

 

「むー、俺だって〜がんb

 

「全くだ。少しはその娘を見習ってくれ」

 

背後から俺の言い訳を遮り若干バカにする様な口調で話しかけるのはハクタク。慧音だ。

振り向き苦い顔をする。

 

「お前に言われると耳が痛いな。今、暇か?」

 

「なんだ?私に用か?」

 

「ああ、ちょいと聞きたいことがある」

 

「そうか、丁度いい。私もお前達にも用があったんだ。飯はまだか?」

 

「あー、そういやまだだな」

 

「なら、今からどうだ?いい店を知ってる。奢るぞ?」

 

お?こりゃ、ありがたい。朝から神様方がいなくて飯食ってないんだよな。

案山子とアイコンタクトをとり良いか確かめる。どうやら、okらしい。

 

「頼む」

 

 

 

 

 

 

 

「里最高(自称)かけそば3つ頼む」

 

「あいよぉ!オーダー入りましたぁ‼︎里そば三丁‼︎」

 

『あぁい‼︎‼︎』

 

何だこれ。

いや、本当に何だこれ。凄い外っぽい。何処のチェーン店ですか?ってなる位外っぽい。

店の奥のほうからカチャカチャと鍋を揺する音が絶え間無く聞こえ、メニューを聞く男の大きな声が常に店に響いている。

 

「な、中々賑やかな所だな」

 

「ふふ、そうだろ?外来人が経営してるんだ。自称ではなく里最高の店だ」

 

ふむ。それは、さて置き不思議な店だ。俺達の事を知っているだろうに疑問を抱く位皆笑ってる。

俺達の事を気味悪がらないのはハクタクの前だからか?

 

「安心しろ。ここにお前達を蔑視する者はいない。ここの皆は変わっていてな。外来人の影響だろうが、それも里最高の理由だ」

 

俺の顔を見て察したハクタクがそう言う。

ほほお。ここの連中とは仲良くやってけそうな気がする。この雰囲気嫌いでも無いしな。

案山子もまんざらでもなさそうだし。

 

「で?先にお前達の話を聞こうか」

 

「単刀直入に聞こう。もんぺに白髪の

 

「妹紅だ」

 

「話が早くて助かる。その妹紅と昨日対峙した。奴が俺を憎む理由を知りたい」

 

そう言うと目を丸くするハクタク。

おっと、何か不味いこと言ったか?

 

「一つ聞いていいか?襲われたよな?」

 

「まあ、襲われたけど」

 

「最近機嫌が悪かったからな・・大変だったろう・・?」

 

可哀想にとスッと手を出すハクタク。

握手を求めて来ているものだと思い、ガシッとハクタクの手を掴む。

 

「ッッッ‼︎‼︎」

 

手元にあった木の箸を片手で折り、鋭く尖った断面を俺の手に突き刺す。更に、周りの景色が更地に変わる。

 

「とでも言うと思ったか?貴様、妹紅に何をした」

 

手に刺さった箸を抜く。すると、血がブシュと吹き出す。

即、天狗になり治癒させる。

あー、ビックリしたぁ。そういや、記憶が無いとかは話してなかったっけ。

 

「そう、殺気立つな。先ずは、話を

 

「質問に答えろ」

 

怒りゲージ MIN ■□□□□□□□□□

仕方ないよ。結構大切な友人らしいからね。そうなるのも、必然だよ。俺だってそうなるもん。

 

「別に反撃とかはしたりしないからさ。落ち着いて

 

「答えろ」

 

怒りゲージ MIN ■■■□□□□□□□ MAX

まあ、結構怒ってるみたいだし?

ここは、ゆっくり語り掛けて平和的にね。

 

「落ち着こう。な?落ち着いて話せばなん

 

「答えろと言っている!」

 

怒りゲージ MIN ■■■■■■■□□□ MAX

ま、まあ俺大人だし。これ位我慢出来るし。ここは、平和的に解決するんだし。

 

「実は、き

 

「答えろ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

怒りゲージ MIN ■■■■■■■■■■ MAX ピーン

 

「うるせえぁあえぇぁぁ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

霊墜を瞬時脚にはめ、ハクタクを押し倒し頭の真横に全力で打ち込む。

爆音とともに巨大なクレーターが出来る。時間差で爆風が吹き荒れる。

 

「次喋ったら喉を潰す!いいな」

 

ハクタクの片腕を脚で踏みつけ左手糸でハクタクの左腕を掴む。右手は、ハクタクの首を掴んでいる。

 

「俺には、ここ二十年以外の記憶が無い。何が言いたいかわかるか?」

 

ハッとしたような顔をすると脱力するハクタク。

すると、景色が元に戻る。

 

「うわっ、ビックリしたぁ!兄さんに何をした‼︎けい何とか‼︎」

 

案山子がハクタクに机ごしに掴みかかる。けい何とかって何だよ。つか、無視されてんじゃんお前。

あーこらこら、お蕎麦零れちゃう。

 

「取り乱してすまない・・。だが、記憶が無いとはどういうことだ?」

 

「どうもこうも無いだろ。そのままの意味だよ。大体記憶が無いからわざわざお前に妹紅と俺の間で何があったか聞きに来たんだろ」

 

「む、そ、そうか」

 

頭を垂れるハクタク。

案山子を宥め、案山子の口に蕎麦を突っ込む。貴女は、これでも食ってなさい。

 

「しかし、その様子じゃあ知らないみたいだな。とんだ無駄足だ」

 

あー残念残念と言うふうに嫌味ったらしく首を横に振る。

その様子を見てすまない・・と言うハクタク。む・・そんなに素直に謝られると罪悪感が・・

 

「ハァ、で?お前の話は何なんだよ。俺達に用があったんだろ?」

 

「あ、ああ。さっきの手前言いにくいんだが・・」

 

頼み事か?確かに箸ぶっ刺した直後に頼み事なんて、常人ならしづらいわな。

 

「お前、寺子屋で働いでみないか?そうすれば、私もお前達の事を毎日監視出来る。もちろん、それに見合った金銭も支払う」

 

「・・・・?何故俺が?俺なんぞ雇ってもお前が損をするだけだろ」

 

「当然の疑問だ。理由は、三つある」

 

そう言うと指を三本立てて俺の目の前に突き出すハクタク。

手元にあるお冷を少し啜って喉を潤す。

 

「まず、一つはさっき言った通りお前達の監視。私にも此処での生活がある。毎日妖怪の山を登り下りするわけにもいかないからな。二つ目は、生徒達にある」

 

「生徒?」

 

「ああ、そうだ。最近生徒が増えて私だけでは流石に手に余る。かと言って里にはまともに読み書きが出来る人間すら居なくてな」

 

ヤレヤレと困ったような顔をするハクタク。まあ、外と違って余裕が持てない生活だから仕方が無い。それに加えて妖怪だっているんだ。勉学になんぞ勤しんでいる暇なんて無いって感じだろう。

 

「そこで、外から来た俺ならある程度の教養があるだろうとふんだわけだ」

 

「その通り。間違いでは無いだろう?」

 

「まあ・・そうだけど外来人って他にもいるんじゃ無いのか?」

 

「居ないことも無いが、頼んでも引き受けてくれ無いだろうからな」

 

既に仕事持ちか。

悪かったね。俺、暇人なんだよ。なんせ紐だからね。居候だからね。本当悪かったね。

 

「で?三つ目は?」

 

「三つ目は力だ」

 

あー、大体分かった。

生徒に案山子みたいなイレギュラーな奴がわんさかいるんだな?それで、ハクタクにも何かあった時に抑え込める自信が無いと。

 

「成る程な」

 

説明させるのも面倒だから分かったアピール。

俺自信に教えた経験があるかと言われると困る所だが少し興味がある。あまりに、素行不良な生徒ばかりで無ければ引き受けるのもいいだろう。

 

「まあ、一度様子を見てからだな」

 

かくして、寺子屋の授業参観をすることになった。

勿論、そばは美味しく頂きました。スタッフではありません。

 

 

 

 

 

 

「さあ、皆静かにしてくれ!授業を始める」

 

ハクタクの一喝で静かになる一同。

何だこれ。・・・・いや、本当に何だこれ。なんか、妖怪とかようせあとかいないか?

しかも、多い。狭い部屋にギッシリと・・。

 

そして、最後に。女の子多い‼︎男の子がパッと見二人‼︎どゆこと?幻想郷って女の子しか生んじゃダメとかあるの?疑問しか残らん・・

 

「宿題は、しっかりやって来たか?」

 

俺と案山子は、部屋の隅で授業風景を見ている。出来るだけ自然体が見たいから子供達の視界には入らない様にしている。

ふむ、見た限り十代手前ぐらいの子が多い。妖怪が混じってるけどややこしくなるから考えない。宿題をちょいと千里眼で拝見。

 

「・・・・」

 

ふむ。少し難しめに作ってるのかな?俺が見ている宿題の持ち主の子は、よく出来ているから問題は無いか。

 

「なぁ、案山子。お前、勉強したことあるか?」

 

「む、馬鹿にするな。年相応の学力は身につけているつもりだ」

 

年相応の学力というのがどれほどの物なのか全く分からないけど、思えばこいつ、読み書きが出来るしな。独り身だったのに、全く凄い奴だ。

 

「よし、じゃあ前に集めて来てくれ」

 

男の子二人がスクッと立ち上がり机の上に置かれた宿題を集めていく。

集めた宿題をハクタクに渡すとソソクサと自分の席に戻る。

 

「では、リグル。昨日やった内容を言ってみろ!」

 

先程の男の子を指名するハクタク。ほほぉ、あの子リグルっていうのか。蟲の妖怪なのかな?頭に触覚のようなものがついている。

 

「はい!昨日は〜〜〜〜〜〜をやりました‼︎」

 

「うむ、そうだな。〜〜〜〜を〜〜でやったんだったな。今日は、軽く復習してから応用に入ろう」

 

黒板にスラスラと昨日やったであろう事を書いていくハクタク。

若干数名やる気なさそうな奴がいるけど、そいつを除けば割と皆真面目だな。

 

〜十分後〜

 

「案山子、お前これわかるか?」

 

「これ位分かるわ!でも、この年の子には難しいんじゃ無いのか?私は、分かるけどな」

 

うん、分かった。分かったから強調しなくていいよ。

ふむ、確かに難しいと思う。まあ、でも若干数名を除けばしっかり出来てるようだから大丈夫だとは思うが。思うが・・言っちゃ悪いがつまらん・・。ハクタク自体、お堅い性格だからこういうところにも出ちゃうのかな?

 

〜それまた数十分後〜

 

「次回は、今回の範囲の試験を行う。しっかり、勉強しておくように」

 

『は〜い・・』

 

大分皆さんお疲れの様子。若干数名を除いて。若干数名は、残され皆ぞろぞろと帰っていく。

この年頃にはこれだけの時間でもきついものだろう。やる内容がやる内容だしね・・。

つか、さっきっから若干数名なんなの⁈お前ら、やる気あるの⁈ほら、そこのそーなのかーとか言ってるやつとあたいったら最強ねっとか言ってるやつ!

あ、ハクタクに頭突かれてる。うわっ、痛そう・・。容赦無いな・・。

 

「毎回、毎回!何度言わせるんだお前達は!」

 

ガミガミガミガミガミ

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

あ、終わった。毎回毎回って、あいつらこんな長い説教を毎回食らってるのか。ぱないの!

 

「全くあいつら、いつになったら授業を真面目に受けるんだ!」

 

「ご愁傷さま」

 

ハクタクがいるところまで案山子と歩いて行き声を掛ける。

俺達を見てどうだった?と言うハクタク。人に見せるということがあまりなかったのか少し恥ずかしそうだ

 

「うん。悪くない。というか、是非やらせてくれ。中々面白そうだ」

 

「そ、そうか。良かった。胸のつかえがとれたよ。では、早速明日やってもらっていいか?」

 

ふぅ、と安堵のため息をつくハクタク。

まあ、小さい子は割と好きだし役得だな。ん?ロリコンじゃ無いぞ?ロリコンじゃ無いぞ?大事な事なので二回言いました。はい。

 

「案山子、明日なんかあったか?」

 

「いや、特に無いぞ」

 

「そうか。なら、明日からやらせてもらおう」

 

「ああ、頼む」

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

「案山子〜、来るか〜」

 

「行く〜、ちょっと待って〜」

 

待つもなにも用意も何も起きたばかりだから。

さて、イメージは最初が肝心だ。ビシッと決めていくぜ?

 

「あれ?今日もあいつら居ないのか?」

 

「ん?ああ、そうみたいだな。何をしてるんだか知らないが神様もそれに仕える者も居ないんじゃ信仰も集まらないだろうに」

 

「うーん、じゃあ飯はあっちで食うか。いいよな?」

 

「うん」

 

全く金使う機会無かったしこういう所でしか使えないからバンバン使ってまおう。

 

「案山子〜、準備終わったか〜」

 

 

「毎度言うようですが人里に私は入れないので十分に気を付けて下さい」

 

「ああ、人里に限って兄さんが死ぬような事は無いだろう」

 

 

「ん?誰と話してるんだ?」

 

「え⁈ああ、いやなんでも無い。もう、行くのか?」

 

「?ああ」

 

何、慌ててんだ?別に誰がいるわけでもあるわけでも無い。頭でも打ったか⁈

 

「打ってない」

 

「くそッ!」

 

何故だ・・!何故俺の心は読まれてしまうんだ・・俺はそんなにも分かりやすいというのか・・!

悔しがる俺を他所にとっとと外に出て行ってしまう。

 

「待って〜案山子ぃ〜〜ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、昨日慧音さんと来たお客さん。この店、気に入りました?」

 

「え?ああ、なんつーか懐かしい味が楽しめるから好きだよ。里最高蕎麦二つ頼む」

 

「有難うございます。オーダー入りましたぁ‼︎里そば二丁‼︎あ、でも自称を忘れないで下さいね?でないと色々と面倒なので。里一番だと自負してますけどね。あはは」

 

そう、一口で言い終えると他の客の注文を取りに行ってしまう。

外来人ねぇ・・あんな男がどうしてここに残ったのか、中々気になるな。

 

「なんだ?それ」

 

「いやな、今日の授業なんだけどどんな事するかまとめといたんだよ」

 

ノートを案山子の前で広げる。そこには、びっしりと文字が書かれている。昨日暇だったし、めっちゃ考えました。因みにこのノートは早苗の私物からパクりました。後で謝ります。

 

「なぁ、この度々書いてあるリグル君に助けてもらうって何?」

 

「え、そのままの意味だけど」

 

「え、何?何でこの子だけなの?そういう趣味?」

 

「違うわ!あの中の二人の男の子の中で名前を知ってる子だからさ」

 

「ふーん」

 

もう一人は、一回も名前呼ばれなかったから分からない・・非常に残念だ。だが、今日仲良くなろう全力で。何度も、言うけどロリでもショタでも無いからね?

 

「あい、里そば二丁おまちぃ!」

 

「はい、どうもぉ」

 

目の前にかけそばがゴトゴトと置かれる。

割り箸を割り、蕎麦を口に運ぶ。うん、上手い。

 

「そういや、お前は先生として誘われなかったけどお前も来るよな?そばに居てくれないと困る」

 

「まあ、別にいいけど」

 

顔を赤くして顔を背ける案山子は可愛かった。うん、可愛い。

 

 

 

 

 

 

「おお⁈何だこれ⁈」

 

寺子屋前まで来たのだが、どうやら喧嘩?喧嘩にしては物凄い絵面だが。片方の娘は、身の丈の倍はある渦渦しい大剣を振り回し片方の子は、・・・・水銀?流体の金属を操り金属音をかき鳴らしている。

両方寺子屋で見た顔だな・・・。男の子の方は、リグル君じゃない方か。

てゆか、危ない!そんなデカイもん振り回すんじゃ無い!

 

「止めれば?先生」

 

「からかうんじゃ無い。まーでも止めた方がいいか・・」

 

糸で抑えつけても下手すりゃ切られるからなぁ・・。うーん、片方は気絶させて片方は説得しよう。そうしよう。

 

「案山子これ持っといて」

 

ノートと、機械を渡す。切られたら流石に俺があの喧嘩に参戦することになるからな!

天狗に体を変化させる。子供だから軽くだぞ・・軽く軽く。

 

「よっ」

 

高速移動で、振り回される大剣と流体金属を避け少年の頭をガッシリと掴む。

 

「キミは、お寝んねだよ!」

 

そのまま、地面に叩きつける。・・うん、血出てないから大丈夫!

少年目掛けて振り下ろされる大剣を片腕で受け止め

 

「な⁈切れた⁈」

 

られなかったから反射的に真横に蹴っ飛ばした。糸で作った腕が真っ二つ・・。強化してたんだが、おっそろしい切れ味だな。

 

「うわっ!誰⁈」

 

大剣の制御を一瞬失った女の子の腕を掴む。少しだけ強く力を入れ大剣を手放させる。

 

「イタッ!」

 

「どうして、君達喧嘩してんの?危ないでしょ?他の人に迷惑かかってるよ?」

 

「離して!あいつ、私の家族を殺したんだもん!」

 

「よし、殺せ」

 

「アホか‼︎」

 

「イタッ」

 

べしっと、俺と女の子の頭をはたく案山子。俺の予想外の行動に焦ったらしい。ちょっと、怒ってる。

 

「子供殺しを許可する奴があるか‼︎」

 

「だってあいつが殺したって・・」

 

少し涙目で案山子に訴える。案山子は、少し顔を赤くし狼狽えるが直ぐに元に戻る。効果は今一つのようだ・・

 

「ガキか!ちょっと黙ってろ。で?君は、家族を殺されたってどういうこと?」

 

地面に膝をつき女の子の身長に合わせると、優しい声で語りかける。

うわっ、何この対応の違い!差別だ‼︎差別だ‼︎

 

「あいつが、私が飼ってたネズミを殺したの・・汚ないって言って」

 

「やっぱ、あいつ殺そ

 

「殺すぞ」

 

「ヒィ!」

 

やばい、案山子がキレてる!

怖いというより、案山子にキレられた事による精神的ショックがデカすぎる・・!目から汗が!

 

「兄さんは、あの男の子を起こしてこい。後は私がやるから」

 

「はい・・」

 

男の子の所まで歩いて行く。

男の子の頬に往復ビンタを浴びせる。おら、起きろ!とっとと、起きろ!案山子様がお怒りだ!

 

「ん・・イタッ!何?」

 

「おらぁ、とっとと起きて案山子様の所に行けクソガキィ!あぁん⁈」

 

「ヒッ」

 

「兄さん‼︎」

 

「はい!すいません!おらとっとと行け」

 

小声で男の子に言い放ち尻を蹴り上げる。また、怒られちゃったじゃん!いい加減キレるぞこん畜生!

 

「兄さんは、中に入ってろ。邪魔だ」

 

「ガハッ」

 

く、口からケチャップが・・!ショックがデカすぎる‼︎ああー、もう世界なんてどうでもいいやぁ。僕には、世界が白黒に見えるよ・・。

トボトボと、寺子屋の中に足を踏み入れる。

 

「おお、よく来てくれたな。って、どうしたんだ?」

 

「この世は・・残酷なんだ・・!」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

「よし、皆静かにしてくれ!」

 

恒例のハクタクの一喝。シンと部屋が静まり返る。視線が一気に前に立つ俺とハクタクと案山子に集まる。

やばい、急に緊張してきた。

先程の子二人は、案山子の説得により仲直りしたようで仲良くペアで席に座っている。凄いな。

 

「今日は新しい先生を紹介する」

 

ハクタクがそう言うとガヤガヤとし始める。所々から、昨日来てた人だ!とかわぁ、男の先生だ!とか気持ち悪いとk、おい今気持ち悪いっつったの誰だ。

例の子二人は、何やら尊敬の眼差しを此方に向けてるんだが案山子・・一体何を吹き込んだ・・。

 

「自己紹介よろしく」

 

「あ、ああ。夜麻鳥 氷坂だ」

 

チョークを手に取り黒板に書く。

しっかり、振り仮名もふる。ふ、我ながら字が上手くて惚れそう。

 

「これから、お前r・・君達を教える!よろしく頼む!」

 

案山子に目で次に自己紹介をするように促し案山子にチョークを手渡す。

 

「私は、案山子と言います。氷坂先生の助手を勤めます。これから、皆さんと仲良く出来るよう頑張っていきたいと思います」

 

「・・・・⁈」

 

おい、そんな顔見たことねーぞ!なんだ、その笑顔⁈しかも、その声‼︎そんなキュートボイスも聞いたことねーぞ‼︎

それは、確かにジェラシーだった。

 

「では、頼むぞ。私は、後ろで見ているからな」

 

「あいよ」

 

俺にそう言うと生徒に混じって一番後ろの席に座るハクタク。くっ、昨日の復習のつもりかあの野郎・・!(*慧音にそのつもりは微塵もありません)

 

「ではやっていこうと思う!と、思ったけど俺達に質問はあるかな?」

 

「はい!はい!はーい!」

 

元気良く手を挙げる男の子。さっきの子か。変な質問したら八つ裂k・・懲らしめたる。

 

「はい、君」

 

「氷坂先生は、案山子先生と恋仲だと伺ったのですが慧音先生の事はどう思ってるますか?」

 

「ッッッ⁈」

 

真っ先に反応したのは案山子だった。手に持っていたチョークは、握り潰され手がワナワナと震えている

成る程さっきふきこんだのはこれか

 

「馬鹿者!」

 

ん?この声は、ハクタク?

 

「私は、既婚だ‼︎前にも言っただろうが!」

 

「ゑ?」

 

「ゑ?」

 

『ゑ?』

 

皆、目が点になってるけど、多分聞き間違えだぞ。安心しろ。あんな、堅物が結婚してるわけねぇよwww

 

「まあ、今のは聞かなかった事にして俺と案山子は恋仲d

 

「氷坂先生‼︎」

 

「ひゃい‼︎」

 

「少し黙ってて下さい」

 

「わ、わ、分かりまっした」

 

な、なんだこいつ・・!顔は、物凄い優しい顔してるのに・・なんだ、この頭の奥から響く警告音は!

 

「君?授業が終わったら私の所へ来て下さい。お話があります」

 

「は、はい・・!」

 

この時、生徒は知った・・。案山子『先生』だけは敵にしてはいけないと。

 

「し、質問は後にしよっか。あははき、気を取り直して授業を始めよう・・」

 

 

〜〜〜

 

「はい!じゃあ、こんな所かな。これ解けた奴は俺の所に来てくれ。正解貰った奴から帰ってよし!あ、それとリグル君は残ってくれ」

 

「え、君?え?」

 

クスクスクス

 

ん?俺何か変な事言ったか?なんでみんな笑ってるんだ?この年頃の子は、分からん・・。

 

「それと、君も残って下さいね」

 

「はいぃ・・」

 

あー、可哀想。一体どんなしばかれ方をするのか。俺に加え生徒一同の顔が青くなるのがよく分かる。空気も一瞬で凍☆結

 

 

「ふぅ、若干数名を覗いて皆優秀だな」

 

若干数名とリグル君を残し、皆が帰宅。例の男の子は、別室に案山子と行ったけど・・・・何されてるかはあんまり想像したく無い。若干数名は、後でまたハクタクにしばかれるんだろうな。

ハクタクは、どうやら宿題のチェックが終わらないらしく部屋の奥で没頭している。

 

「あのー、氷坂先生・・」

 

「おお、リグル君。じゃあ、早速m

 

「私、女です」

 

「っていう夢を見たの?」

 

「違います!私、女の子なんです‼︎」

 

「っていう夢を俺が見てるのか」

 

「・・・・グスン」

 

さて、何が起きてるかさっぱり分からない。あれか?俗に言う、同性愛者というやつか?オーケー、成る程。

今の俺は、先生だからな。そういう所のケアもしなきゃいけはいって訳だ。

 

「ごめんな。先生気づかなくて・・でも安心しろ。恥ずかしがる事じゃあ無い。人を愛すことは誇れることだ!」

 

「違うよぉ・・私女の子だよぉ・・ほらぁ」

 

突然ズボンを脱ぎ始めるリグル。

おっと?禁断の恋始まっちゃう?でも、大丈夫。俺には理性がある。というか、俺は同性愛者では無い。

「・・・・」

 

そうこうしているうちに露わになるリグルの下半身。

・・・・

俺は、見てしまった。その子の股に男のブツが無い事を。

 

「兄さん、そろそろ帰ろu」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あうち

 

「い、命だけは・・」

 

「・・・・ぶっ殺す」

 

「ヒィィィィィ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

「ま、誠に・・申し訳御座いませんでした・・」

 

ボコボコにされた挙句お札で天井に吊るし上げられての謝罪。

目の前には、仁王立ちの案山子とボロ泣きのリグル。

俺も反省はしているけとやり過ぎでしょこれ。一時去勢されそうになったよ?

しかし、何故俺はあの時ズボンを脱ぐ手を止めなかったのか・・。あ、ロリコンやらショタコンでは(ry

 

「さて、じゃあリグルちゃん。帰ろっか」

 

「うぅ・・グス・・はぃ」

 

「え、ちょ、まっ、これといて?お願い!これといて⁈」

 

え⁈無視⁈ちょ、え、えぇぇぇ・・見向きもしないし。

行ってしもた・・。明日の授業は、これでやれと?中々、面白い冗談だ。

 

「・・・・何やってるんだ?」

 

「聞かないで・・」

 

 

 

 

「そういやお前さ、既婚とか何だとか言ってなかったか?」

 

身体にひっついていたお札を剥がしてもらい降ろしてもらいながらそうきく。

ふと、今日の事を振り返ると思い出したため大して知りたかったわけでは無いが何と無く聞いて見た。

 

「ああ、言ったが。なんだ?知りたいか⁈」

 

「なんでお前ががっつくんだよ!いや、お前が誰と付き合ってんのか地味に気になるんだよ!」

 

「ふむ、そうかそうか!聞きたいか!なら、話してやろう」

 

顔をパッと明るくして身を乗り出すハクタク。

うわぁ・・めんどくさぁ・・何だこいつ。趣味があった時に話が弾んじゃう系女子かよ。

 

「お前に紹介した蕎麦屋あるだろ?実はな・・彼処の外来人の男・・私の夫なんだ」

 

「・・・・」

 

顔を赤くしてキャッと顔を手で隠すハクタク。

・・・・うぜぇ。多分俺の顔面は笑ってはいるが笑っている口はピクピクと動き目は引きつっている事だろう。

 

「あぁ・・そう。良かったね。うん、俺帰るわ」

 

キャピキャピするハクタクを他所に俺は出来るだけ早くその場を離れた

 




はい、長くて自分でもよう分からんことになってますね。はい。しかも、登場人物バカバカ増やしてまた登場させるのが面倒スタイルです。すみません。
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