紐野郎と人形使いの百物語   作:刹那 久賀

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投稿づす。

*オリキャラ多数死亡注意


50話 極限物語

「奴に、復活の隙を与えるな!復活されたら犠牲者がでかね無い!復活と同時に殺すんだ!抵抗の隙を与えるな!」

 

そう、全員に聞こえる様指示する神奈子。

すると、氷坂の死体を取り巻くように並びそれぞれ武器を構える一同。

 

紫色の霧が発生し視界を塞いでゆく。

 

「来るぞ・・!」

 

全てを霧が覆い、その霧が割れ氷坂が姿を表す。

 

「今だ‼︎」

 

全員が渾身の一撃を氷坂の頭部に命中させる。それと同時に、氷坂の頭部は四散。身体が力なく地面に倒れる。

 

「また、来るぞ!準備しろ!」

 

再び構える一同。

氷坂の四散した肉体や血が氷坂の身体に吸い寄せられて行く。

瞬間、一気に再構築が終わり咆哮を

 

「撃て!」

 

せずにまた力無く地面に倒れ、肉片が四散する。

再び再生に合わせ構えを取る。

 

「撃て!」

 

また、倒れる氷坂。今回は、思った以上に血が飛び散り天満や神、霊夢達に降りかかる。

それを全く気にせず次に備える神奈子達。

 

「・・・・?」

 

違和感。再生が遅い。

もう、弱ってきた?あの、化け物が?そんな、バカな。神奈子達を相手に赤子扱いが出来るほど強い奴だ。そんな、わけが無い。なら、何故?

 

「・・・・」

 

理由を探すべく周りを見渡す。

すると、氷坂の血が段々と凍ってきていることに気付く。

まるで、刃のように。

 

「‼︎霊夢‼︎今直ぐ全員分の防御結界を張りな!」

 

「は?それは、万が一の時じゃ

 

「急いで‼︎」

 

神奈子の剣幕に押され渋々結界を張る霊夢。

 

「⁈」

 

結界を張った直後に氷坂の血がまるで意志を持つかのようにそれぞれの頭目掛けて飛び、結界を砕く。

まるで、何が起こったか把握出来ない数人を他所に神奈子と霊夢は冷静だった。

 

「もう、今までの作戦は通用しないよ。霊夢」

 

「分かってるわ」

 

再び防御結界を張る霊夢。瞬間爆音、いや衝撃波が全員を襲う。

 

「ウゥギャァァァァァ‼︎‼︎‼︎」

 

氷坂の咆哮が妖怪の山を削り取って行き、霊夢らの結界を砕く。

氷坂の姿は、先程と異なっており腕や脚の筋肉が肥大化し血管が浮き出ているかのように身体に赤い筋が走り光っている。

 

「力型か!ここは、私と諏訪子が前衛に出る!他は、後方支援だ!」

 

神奈子が御柱を構え横に大きく振る。御柱は、木などを物ともせず薙ぎ倒し氷坂へと殴りかかる。

 

鈍い音が響き止まる御柱。

 

「・・・・くっ!馬鹿力が・・!」

 

御柱を片手で受け止める氷坂。まるで震える様子も無く完全に止まっている御柱。

氷坂が触れている部分から段々と御柱が凍っていく。

 

「そのまま持っとけ神奈子!」

 

御柱の上を走り氷坂に向かっていく諏訪子。御柱を一蹴りし跳躍すると、鉄の輪で氷坂の首を斬りつける。

 

「ひゅう♪筋肉で止めたよこいつ」

 

首に刺さるが深くまで刺さらずに止まってしまう。刺さったままの鉄の輪を手放し距離を取る諏訪子。

みるみるうちに鉄の輪も御柱も壊氷に包まれ砕ける。

 

それをまるで気にも留めず片腕を大きく振り上げる氷坂。

 

「来るぞ!」

 

真下に張った巨大な壊氷を穿つ。すると、土が地面がいや、妖怪の山が歪み地震を思わせる程の揺れをもたらす。

 

「くそッ!能力が使えれば・・!」

 

諏訪子が地面に手を着き歯を噛みしめる。

空間が歪むためバランスも何も無く転げ回る神奈子達。

 

「ウウゥゥあああァぁァぁ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

神奈子に走って向かう氷坂。身体が重いのか足が踏み込むたびに地面にめり込んでおり、スピードも人間の走りとさほど変わらない。

 

「神奈子‼︎」

 

「ダメだ・・!動けない!」

 

迫り来る氷坂から、必死に逃れようとするが身体がまるで自分の意思で動かない。

 

「クソ‼︎‼︎能力の一つ・・くれてやる‼︎‼︎」

 

諏訪子がそう叫ぶと途端に地の揺れが収まり、地面の土が生き物のように動き氷坂の脚を掴む。

 

「おりゃぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

そのまま、氷坂を物凄い勢いで引き寄せ鉄の輪を構えすれ違いざまに

氷坂の首を切り落とす。

切られた後の首は、遠くに飛ばされてゆき胴体は自重で地を抉りめり込み止まる。

 

「空間の歪みが収まった・・?」

 

揺れが収まり、立ち上がる一同。

その中で神奈子も諏訪子を心配するがそんな暇も無く次の為に指示を出す。

 

「次が来る前に体制を立て直せ!次は、天魔が前衛だよ!」

 

それを言い終えると同時に、妖怪の山に咆哮が響き渡る。

再び姿を変える氷坂。今度は、純白の翼が背中から生え腕や脚の後ろ側にに壊氷のブレードのようなものがついている。

 

「さて、神奈子殿が言っていた速型。どれ程のものなのか・・」

 

構える天魔四人。氷坂の標的も天魔に切り替わる。

 

パァン

 

「何⁈⁈」

 

何に気付くことも無く、気付けば氷坂が消え天魔のうち一人が消えていた。それに、慌てて振り向く他三人。

 

「うググががかぎガハッ‼︎‼︎」

 

「あひゃひゃひゃひははは‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

消えた天魔の一人が、首を掴まれ超高速で地面に叩きつけられ引きずられている。

他の天魔が近づいている事を察知し掴んでいた天魔をもう一人の天魔に投げつけ別方向に飛ぶ氷坂、

 

「ッッッ⁈」

 

飛んできた天魔に対応出来ず呆気なく飛ばされていく。

 

「何故だ!何故あんなに速く飛べる⁈」

 

よく見ると氷坂の飛んでいった場所は衝撃波と風圧で地面がめくれあがっている。遮蔽物を気にせず岩だろうが山だろうが関係無く突っ切っている。

 

「ッッッブッ‼︎」

 

氷坂を目で捉えようと必死の天魔達に 容赦無く顔面に攻撃が繰り出される。

吹き飛んだ天魔に追い打ちをかける様に腕のブレードで斬撃を飛ばす氷坂。

 

「・・・・?」

 

しかし、その斬撃は天魔に届くこと無く消滅する。その原因を探る用に周りを見渡すが分からない様子の氷坂。

 

「オラァ‼︎‼︎」

 

「・・・・」

 

氷坂の隙をつき先程飛ばされた天魔が攻撃を仕掛ける。

見事、蹴りが氷坂の頭に直撃したように思えたが

 

「⁈」

 

両腕のブレードで防御する氷坂。

氷坂が天魔の脚を掴み地面に叩きつけ

 

「ッッッ⁈」

 

ようとした腕が切断される。と、同時に天魔の一人が隣を高速で通り過ぎる。

脚を掴まれていた天魔は、怯んだ氷坂にカマイタチを纏った蹴りで首を切り落とす。

 

「距離を取って各々防御体制を取りな‼︎」

 

氷坂の速型の絶命を確認した神奈子が再び指示を出す。

その指示を聞いてそれぞれ氷坂の死体から距離を取る。

 

段々と、氷坂の死体が壊氷に包まれていく。

 

「・・・・化物か・・」

 

妖怪の山全体に影が落ちていることに気付き空を見上げた天魔がそう声を漏らす。

 

上空には、まるで星を思わせるかのような巨大な壊氷の塊。それが、一直線に氷坂の死体目掛けて降って行く。

 

「来るぞ・・‼︎」

 

地面に衝突すると同時に、妖怪の山が丸ごと弾け衝撃波のみが神奈子達を包む。

 

「(流石に霊夢の防御結界でも衝撃波を全て受け流すのは無理か・・‼︎)」

 

衝撃波に当てられ目や鼻や耳、口から血を流す一同。

 

 

「フシィィゥゥゥゥ・・・・‼︎‼︎」

 

衝撃波の渦が止み、景色が一変し荒野に成り果てた妖怪の山の中心から氷坂が姿を現す。

その姿はもう、人間のそれでは無くその姿から連想出来るのは化け物という言葉のみ。

口はまるで狼のように突き出て牙は剥き出し頬は無く、目は固く閉ざされ壊氷に覆われている。腕や脚は、獣のような手足の上から壊氷でコーティングされている。翼や尻尾も生えており強い壊氷の毒に当てられたような悍ましい色をしている。

 

「此処からは、霊夢と早苗だ!私達は、護りに徹する!頼んだよ」

 

「ええ・・・・」

 

 

そう、一つ答え前に出て行く霊夢。

霊夢は、ただ真っ直ぐに氷坂を見つめる。

 

 

「哀れな姿ね・・」

 

 

氷坂は、大きく息を吸い込み手足を地面に突き刺し翼を広げ身体を固定する。

口から極大のブレスを吐き出す。

 

しかし、それが一枚のお札に吸収されていく。

 

「本来こういう使い方はしないんですけどねぇ・・」

 

「いいから、黙ってやれ」

 

「ハハッ、怖い」

 

問答無用にブレスを吐き続ける氷坂に突然鈍い痛みが襲う。

 

「・・・・?」

 

気付くと身体に大穴が空いている。

一体誰が?一体どこから?

そんな疑問を気にも留めず再び攻撃体制に入る氷坂。

 

「知能は、猿以下ですねぇ。まあ、知った所でどうしようも無いんですけど」

 

「・・・・グフっ‼︎ガッ‼︎ゴッ‼︎」

 

次々に氷坂の身体を何かが貫いていく。氷坂の回復が間に合わずその場に脚から崩れる。

 

「狙撃。河童もあんたもせこいこと考えるわねぇ」

 

霊夢が話すその相手は、博麗神社で大きな狙撃銃のような物を構える早苗。

口元には、陰陽玉のような通信機。

 

「超長距離狙撃用霊力変換エネルギー伝達機。私と霊夢さんと河童の総合芸術です。せこくてもあんな危険因子を消せるなら何でもやりますよ」

 

「はいはい。ご説明有難う。また、そっちに送るわよ」

 

再び来る氷坂の攻撃が札に吸収される。

早苗の狙撃銃にそのエネルギーが送られる。

 

「私の能力でエネルギーの伝達を可能にし霊夢さんが妖怪の山の防御結界に穴を開ける。そして、何より氷坂さんが動かず防御が手薄な時にしか効果なし。高コストの割りにあいませんねぇ」

 

「あの化け物を相手に安全圏から攻撃してる奴のセリフじゃ無いわね・・・・」

 

照準を合わせ次々に引き金を引く早苗。頭を狙わず身体を打っているのは下手に次の形態に移行させず体力を削り切る為。

 

だが、そんな上手くいくはずなく。

 

「⁈」

 

「自ら頭を⁈」

 

目に張り付いた壊氷が割れ頭ごと爆ぜて無くなる。

その行動に驚きを隠せない早苗と霊夢。

 

「此処からは、全く分からない・・。多分最終の形態だろうが・・」

 

「此処からは、誰が死んでもおかしく無いわ」

 

氷坂が倒れたことを確認し神奈子の隣まで後退する霊夢。

 

数秒沈黙が流れ、景色が一変。どぎつい紫色と氷が混ざった液体が柱のように空から流れてくる。

その奥では、既に再生した氷坂。姿も一変しており身体中から色素が抜け落ちた様に白くなっている。

 

 

「・・・・みんな地獄に・・・・」

 

 

 

side ⁇⁇

 

「決死の覚悟も結果を知っていると哀れな物だなぁ」

 

「・・・・」

 

「彼の本質は憎しみの吸収と発散。抑制されていた、彼が溜め込み続けた憎しみは、彼の最終覚醒と共に幻想郷に解き放たれる」

 

「・・・・」

 

「憎しみを絶つ。それは、合ってる。憎しみは、憎しみしか産めないから。でも、彼女らじゃ絶てない」

 

 

「憎しみを絶つにはそれを上回る憎しみでないと。彼女らの望むことと臨む事は矛盾する。故に彼は最凶として君臨する」

 

「・・・・」

 

「不思議そうな顔だね〜魔女さん♪それもそうだよ。貴方は、この狂った世界の歯車ですらない。彼の眼中にもう貴女はいないから。彼が全てを捧げているのは『貴女を守る事』」

 

 

「最早、それに愛も憎悪もない。唯の執着心だけ」

 

 

 

妖怪の山

 

「神奈子殿!我々が

 

「⁈」

 

天魔が神奈子に叫ぶ途中、天魔の顔が切れる。

いや、木々まで、いやそれも違う。

氷坂が斬撃を飛ばした進行方向全ての物が切れていく。

 

「何故⁈防御結界が機能してない⁈馬鹿な!」

 

防御結界が紙切れのように切れ、進行方向の全てが切り刻まれていく。

 

「違う!狙いは天魔じゃ無い!早苗だよ‼︎」

 

「⁈早苗!逃げて!そっちに斬撃がとんでいってる」

 

「へ?ーーーー?」

 

気付いた時にはもう肩から身体を真っ二つに切られている早苗。

まるで、何も把握出来ない早苗が地面に落ちていく。

 

「さな・・・・え・・」

 

急いで早苗の状況を確認する諏訪子。顔がその状況をあからさまに物語っていた。

 

「殺してやる・・・・殺してやる‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「駄目だ、諏訪子‼︎能力を使うな‼︎壊れかけている能力を使えばお前も巻き添えを食うぞ‼︎」

 

「知るか‼︎絶対殺す‼︎‼︎」

 

大地に亀裂を入れそこに氷坂を引きずりこむ諏訪子。氷坂が入るのを確認すると亀裂を閉じる。

 

「溶けてなくなれ‼︎‼︎」

 

閉じた亀裂から勢い良く溶岩が吹き出す。

しかし、それと同時に諏訪子の身体にも亀裂が入る。

 

「ガハッ‼︎‼︎」

 

「諏訪子‼︎‼︎」

 

その場に倒れる諏訪子に神奈子が駆け寄り抱き上げる。急いで治療をしようと試みるがまるで治る気配が無い。

 

「治れ!治ってくれ・・!」

 

既に諏訪子は息絶え絶えの様子で意識が虚ろになっている。

 

先程の亀裂が壊氷に包まれる。

瞬間、壊氷が割れ周りの大地が底から消えてなくなる。

 

「・・・・⁈」

 

出てきた氷坂を見て絶望する諏訪子。そして、諏訪子の身体から力が抜け神奈子の腕からずり落ちる。

 

「・・・・神の逆鱗をその身で味わえ・・‼︎‼︎」

 

そう神奈子が叫ぶと天から何処からともなく稲妻が氷坂に落ちる。

それを、諸に喰らう氷坂。

 

「ッッッ‼︎‼︎」

 

稲妻は、止まることなく氷坂に落ち続ける。

氷坂の身体の表面が段々と焼け焦げていく。

 

しかし、長くは続かない。

 

「吸収している・・⁈」

 

氷坂の周りに張られた壊氷の割れ目に稲妻が誘導されるように流れ込んでいく。

 

「お前も堕ちろ」

 

突然姿を消える氷坂。

 

「ッッッ⁈」

 

神奈子の目の前に突然現れ、神奈子の腹に氷坂の手が突き刺さる。

そして、先程の稲妻の電流が神奈子の体内に流し込まれる。

 

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎‼︎

 

一身に先程の電撃を身体に受け、倒れる神奈子。

 

「うぉぉぉぁぁ‼︎‼︎」

 

天魔の一人がカマイタチを身体に纏い氷坂に突進する。

しかし、それを全く意に介さず天魔の首を掴み握り潰す。

 

「こんな・・こんな化け物を相手に挑むなんて幻想を抱くべきじゃなかったのよ・・」

 

天魔が一人、もう一人とやられ霊夢だけが残る。その様を見て、膝をつき唯どうすることも出来ずに見ている。

 

「最後だ」

 

霊夢を殺そうと氷坂が霊夢の目の前にまで迫る。

 

 

「でも、タイムアップよ」

 

 

封印の発動と、同時に霊夢の目の前にまで迫った壊氷の刃が消え氷坂が元の天狗への姿へと変わる。

 

「・・・・」

 

意識が自分の物となった身体を見て、周りの景色を見て氷坂は立ち尽くした。呆然とした。

 

「嘘・・だろ・・」

 

もう、其処は妖怪の山では無い。地形を丸ごと変え幻想郷の中でも一、二を誇る神が倒れている。

それは、もう氷坂の心を揺るがすには充分だった。

 

自分は、存在していいのか?と

 

「は、ははははっ、ははははははははは・・・・そりゃ・・殺したくなる・・よな」

 

その場に膝をつく氷坂。もう、彼は後戻り出来ない。

 

「もう、後悔なんてしない・・」

 

 

 

『今度こそ殺≪すく≫ってやるから』

 

 

 

 

 

side 華扇

 

「・・・・」

 

彼が終わりの妖怪だろうと・・・・私が邪仙になろうと必ず、貴方を護りますから・・

 

「愛していますよ・・氷坂・・」




大丈夫です!彼女らに救いはあります!彼に救いはありません!
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