目指せポケモンマスター   作:てんぞー

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コガネスタジアム

『此方コガネスタジァーム! 本日開催されるコガネ百貨店主催”コガネオープニング”は毎年ポケモンリーグのシーズンが近づくと開催される、新人と有望株を発掘する為の大会だ! ポケモンリーグ開催まであと数か月! だが僅か数か月とも取れる! ポケモンジムは既にポケモンリーグに向けて稼働中だ! 果たしてこの中から未来のチャンピオンは生まれるのか? 要注目だぁ! 解説は私、この仮面のジャッジマン!』

 

『実況はコガネラジオ所属、DJクルミで行います。今日は宜しくお願いしますジャッジマン』

 

『聞きましたか皆さん! マントに仮面という姿なのにこの子ちゃんと頭を下げて宜しくお願いって言いましたよ! 良い子だ……!』

 

『あの……基本的な社交辞令ですよ……?』

 

 実況席には仮面にマントの怪盗の様な恰好のジャッジマンと言う男と、そしてコガネラジオでは有名なDJ、クルミの姿が見える。そういえばクルミはプライベートではアカネと仲が良いらしいし、まぁ、こういう大会の実況とかに出てきてもおかしくはないだろう。結構力入れてるなぁ、と思いつつ自分に渡された番号を確認する。

 

 番号は二十一番だ、つまり二番目のグループで戦闘する事になる。

 

「これは試合を観察する時間がもらえますね」

 

「そうだな、特にマークする相手がいない、解らない状態ではこれは貴重なもんだな」

 

 そう言いながら徐々に人が集まりだす観客席からフィールドの方へと視線を向ける。出番を待ち望むかのように、大会出場者たちがフィールドの上へと移動する。フィールドの上に立つ六対十二人の参加者たちを見る。どれも意気揚々、気合を入れているという様子が見える。やはり大会となると気が荒ぶる者が多いようだが―――一部、緊張している姿も見える。これはたぶん、大会初出場組だろう。

 

 自分や黒尾の様に大会に慣れてくると、態度でどれだけ大会に対して出場経験があるとか、そういうのが解ってくる。そうやって確認するが、やはり明確に強いと解るのは先程マークした三人だ。アカネに関しては、一回戦のみ、エキシビジョン出場という事だけは伝わって来た。つまりアカネとの戦闘は負けても先へと進む事ができる、そういう対戦カードになっているのだ。

 

 そう言われるとあの畜生(トゲキッス)と戦っても大丈夫そうだ。

 

 まぁ、トゲキッスメタは既に黒尾の中に組んであるので、当たっても平気といえば平気なのだが。

 

「あ、主。どうやら対戦カードが出るみたいですよ」

 

 スタジアムのスクリーンへと視線を向けると、第一回戦の対戦カードが出現する。そこにはあのカイリュー使いの姿もある。アカネと、もう一人、落ち着いた様子のトレーナーの姿はないようだ。あのカイリュー使いの戦い方は是非ともマークしておきたいと思っている。視線をカイリュー使いの方へと向け、フィールドへと移動するその姿を視線で追う。

 

 一瞬、相手も此方へと視線を向けた。それは此方を意識する様な、そういう視線だった。

 

「うーん、あっちにもしっかりマークされているなぁ……前半と後半では戦い方を変えるか、幸いお前は技幅が広いし、一番実験しているおかげで手札も多いし」

 

「あぁ、なんか段々ガチになって行きますね、これ」

 

 ポケモントレーナーだから仕方がない。基本的にトレーナーと言う生き物は負ける事が嫌なのだ。だからポケモンマスターという唯一無二、最強の称号を求めて戦い続けるのだ。シンオウ地方でのチャンピオン、妖怪アイス狂いとの戦いは非公式なもので、最終的には勝利する事ができた。だが非公式だったせいで、ポケモンマスターの称号を得る事は出来なかった。だがいいのだ、それは別に。一番欲しいのは最大の激戦区、セキエイポケモンリーグで行われる四天王、チャンピオン戦、その栄誉なのだから。

 

 ポケモンマスターになって、赤帽子を倒し、それで漸くボスと対等に戦える様になる、そんな気がする。

 

 師匠が偉大だと本当に苦労する。

 

『それではコガネトーナメント、第一試合を開始しようと思います! 駆け出し、プロも関係なく出場して来るこのトーナメント、果たして優勝の栄冠を手に入れるのは誰なんでしょうか?』

 

『んー、私的には大体三人ぐらいに絞れるかなぁ?』

 

 謎のジャッジマンの視線が此方と、カイリュー使いと、もう一人の方へと向く。やはり同じ見解かぁ、と思いつつも黒尾と腕を組みながら、視線をフィールドへと受ける。試合開始の合図はその後直ぐに落とされ、ポケモンバトルが一斉に開始される。

 

「行け! お前の力を見せろ!」

 

 そう言って男が場に出したのは紫色のツインテールに紫色のノースリーブのワンピース姿の亜人種の姿だった。その姿は自分が見た事のあるポケモンによく似ている為、即座に何であるかを理解する。そのポケモンは本来はジョウト地方に存在しないドラゴンタイプのポケモンだ。その奇抜な格好とポケモンのタイプから、相手がドラゴン使いであると理解する。

 

「いやぁ……ボックスの中のフライゴンが再び蘇る時が来たようですね」

 

「フスベジムの時はドラゴンスレイヤーさん(フライゴン)を解放してやるか……」

 

 ドラゴンへの殺意に目覚めたフライゴン。その結果、ドラゴンを殺す為だけの兵器へと進化したフライゴン。妖怪アイス狂い戦の時には大嫌いなガブリアスを殺す為だけに活躍してもらった。必中とかまもるとか、そんなものを無視してひたすらドラゴンを殺す為だけの兵器となったフライゴンの戦いは凄まじく、全てが終わった後は満足げな表情でだいばくはつを放つ。ドラゴンを殺す為だけの兵器であるため、ドラゴン以外との戦闘はほぼ出来ないという弱点があるが、

 

 きっと、ジョウトにガブリアスがいると知ったら殺意の波動を纏って滅殺に向かうだろう。

 

 フスベジムが楽しみだ。

 

 そんな事を考えている間に、ツインテールのガブリアスがカビゴンと相対する。立ち上がったカビゴンの背後へと一瞬で接近すると、凄まじい衝撃を叩き込み、カビゴンを吹き飛ばす。その姿に追撃する様に放たれた竜のブレス―――おそらくはりゅうのいかりがカビゴンに叩きつけられ、その姿が一瞬でノックアウトされる。良く見れば、ガブリアスの全ての攻撃は綺麗に相手の急所に叩き込まれているのが解る。カビゴンという恐ろしい耐久力のポケモン相手に、良くも二発で沈める事なんて出来るな、と相変わらずのドラゴンポケモンの高種族値っぷりに呆れる。

 

 カビゴンが潰れると、次に出てくるポケモンはシャワーズだった。シャワーズが場に出現するのと同時にとけるが発動し、シャワーズの姿が捉えにくくなる。だがそれを小賢しいと言わんばかりにガブリアスのトレーナーは腕を振るう。

 

「とける? かげぶんしん? ちいさくなる? 小! 賢! し! い! そんな小細工がドラゴンポケモンに通じるとでも思っているのか! ガブリアス! げきりんでフィールド全体を薙ぎ払え!」

 

 トレーナーの命令通りにガブリアスがフィールド全体を吹き上がる竜のオーラで薙ぎ払う。余すことなくフィールド全体を薙ぎ払う竜の逆鱗は相手がどれだけ回避能力を高めようとも、関係なく全ての空間を薙ぎ払う。健闘なんてさせる事もなく、容赦なく最速で試合を終了させる。湧き上がる歓声の中、それを一切気にする事無くトレーナーはフィールドから降りてくると、此方へと視線を向け、

 

「……障害たりえるのは貴様ぐらいか」

 

 そう言って去って行った。集団の端で次の出番を待つドラゴン使いから視線を外し、そして黒尾へと視線を向ける。

 

「いけそう?」

 

「どうですかね……二対二の状況であればまず間違いなく勝てると断言しますが、私一人ですと少々難しいかもしれませんね。まぁ、まず最初の試合で軽く感覚を取り戻しつつ、頑張ってみるとしましょう。一応攻撃技も磨いていますしね」

 

「まぁ、それもそうだな」

 

 黒尾と軽く確認を取りながらフィールドの試合へと視線を向けていると、そう時間がかからずに六つの試合が完了する。元々2:2というルールなので、この数だと速攻火力型が押しきると言う形で勝利するケースが一番多い、というか王道だ。2:2で搦め手だと準備している間に事故死するだけで終了、という場合があるからだ。幸い、黒尾はそこらへん、臨機応変に対応できるタイプだ。ゲームとは違い、

 

 努力値に振り分け上限はないので、鍛えれば鍛えるほど、種族としての限界を求め続ける事ができる。

 

 と、次の試合が組まれる。自分の番号を確認し、対応するフィールドへと移動する。トレーナーのポジションへと移動すれば、反対側に見えるトレーナーは―――アカネの姿だった。横に立っている黒尾が溜息を吐くのが聞こえる。

 

「嫌な考えばかり実現するこんな世の中」

 

 黒尾のその言葉と、此方の態度に反応してか、フィールドの反対側にいるアカネが此方へと声を投げてくる。

 

「なんやなんや、勝っても負けても先へ進めるんやから別にええやないか! 寧ろ得をしているもんやで? ってお、バッジ持ちやないか」

 

 その視線は胸につけてある三つのバッジへと向けられている。まぁ、見える所にバッジはつけているので、当たり前と言ってしまえば当たり前なのだが、アカネの表情が気楽な物から少々、闘争心の混じったものへと変わるのが見えた。あぁ、これ絶対手加減しないパターンだと思いつつも、実の所、少し興奮、というかいい勝負が出来るかもしれないという事実に、張り切っているのは事実だ。

 

 何だかんだで自分も、バトルジャンキーというか、そういう類の部類に入るのかもしれない。

 

「マツバさんにシジマさんにミカンちゃんところのバッジか。っちゅー事はこの大会もジム戦前の調整かなんかやろ!」

 

 いいえ、デートです。そう言っても絶対伝わらないだろうし、勘違いさせた方がきっと楽しくバトル出来るので、黙ったままにしておくと、何故か勝手にテンションを上げたあかねがええで、と言葉を置く。

 

「どうせなら遠慮なく思いっきりやらせてもらうで。万が一勝つことができたら……バッジ、渡してもええで」

 

「―――ほう」

 

 それを聞かされて、笑みを濃くしながら戦闘の準備に、思考を切り替え、頭のゴーグルを降ろし、装着する。こりゃあ負けられないよなぁ、元から負ける気なんてないが。そんな事を考えつつ思考から雑音を排除し、そして意識を試合開始のブザー、そして正面の光景へと集中する。アカネも同じように集中しているのか、言葉を発する事無く、ボールを握っているのが見える。

 

 そのまま数秒間、黙ったまま正面を睨みあい、

 

 そして試合開始の合図が放たれる。

 

「黒尾、お前に決めた!」

 

「頼むでキッス!」

 

 横から飛び出す様に黒尾がフィールドに出る。それと同時にアカネが放ったモンスターボールの中から悪魔、鬼畜、外道、圧倒的な悪意を此方の心の中に刻み込んだ原生種のトゲキッスの姿がある。姿を見ただけで数々の思い出が蘇り始めるが、既にこれは乗り越えた事のある相手だ。油断せずに、確実に倒す。

 

 天候が夜の闇に染まる。夜空が広がり、悪と幽霊達の時間がやってくる。半分闇に溶ける様な姿を見せる黒尾がトゲキッスを正面から睨み、その視線を受けてトゲキッスが睨み返す。

 

 なんだか少々妙な事になって来た気がしなくもないが―――良い。

 

 自分の実力を証明し、そして尚且つコミュニケーション―――否、デートを成功させなくてはならない。

 

 ポケモントレーナーって辛い。

 

「んじゃ、ぼちぼち蹂躙しますか」

 

 小さく、誰にも聞こえない様に呟き、

 

 戦闘を開始した。




 もしかして戦闘始まると思ってた? 俺もそう思ってた。だが畜生キッスとの戦いは次回である。

 辺り前だけど他全員が手持ち二体の中、一体でやってるからほんと遊び感覚で出場しているんだよなぁ、と。

 ジョウト終わったらホウエン予定ですが、パーティーコンセプトに悩む。
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