目指せポケモンマスター   作:てんぞー

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ヒワダタウン

 ―――教育的指導から数日後、キキョウジムとチョウジジムの反省を反映しつつ、向かう場所は一つ、

 

 ヒワダジムだ。

 

 何時もの恰好に何時ものショルダーバッグ、それを装備した状態で旅館から出る。若干空が曇ってはいるが、ジム戦は室内で行われるため、自分にはほとんど関係のない話だ。つまり室外じゃない限り、今日も良いバトル日和だ。ポケモンの調整も進んでいるし、文句は一切ない。ヒワダタウンとはガンテツというぼんぐりをモンスターボールへと加工する職人が存在する事で有名だ。個人的にガンテツの作るヘビーボールは欲しいと思っている、何せ伝説級のポケモンとなると超重量級が多いからだ。まぁ、ギラ子以外の伝説を自分が捕まえられるとは一切思わないが。まぁ、それでもボールを持っておくのは悪くない。自分だって常に最低40個のハイパーボールを圧縮空間に保存してある。

 

 そんな訳で移動は何時もの様に唯一神を使ってさくっと移動する。ルートはウバメの森を越えて行くようにコガネを南下するルート。唯一神の権能で一切地形や風に囚われる事無く自由に走り回り、木の葉の上から上へと跳躍する様に、一週間はかかるであろう道のりを数分間で踏破する。途中で通り過ぎるウバメの森、その祠にチラっと緑色の影を目撃した様な気がしつつ、そのまま唯一神で疾走し、

 

 ヒワダタウン郊外へと着地する。唯一神から飛び降りて着地し、その頭を軽く撫で、用意しておいたポフィンを渡し、自由にさせる。亜人の姿をとった唯一神は受け取ったポフィンをおいしそうに食べ始める―――割とこれだけで幸せそうなのだから、唯一神も結構安い。いや、まぁ、最近はフレアドライブやせいなるほのおの習得にも成功しているし、こう見えて戦闘力は大幅に上昇しているのだ。使えるメインウェポンが生まれたおかげで。

 

 まぁ、唯一神は此方の存在を記憶し、常に認識している。呼べば勝手に来るらしいし、かなり便利なのは間違いがない。

 

「へぇ、限界集落程じゃないのね」

 

「お前チョウジタウンを自然に限界集落呼ばわりするの止めろよぉ! チョウジタウンだってなぁ! きっと人口減少に困りつつも観光業を頑張ろうと村を発展させようとしているんだから! マスク・オブ・アイス死ね! カスがぁ! 次は殺してくれるわぁ!」

 

「あ、まだ許してない」

 

 降りた事で影の中を通して此方側へと出現したギラ子は一瞬で背後へと回り込んでくると背中に掴まり、よじ登り、そして肩の上へと乗る。自然と肩車の状態へと移行するが、この見た目だけ幼女の服装はドレスにコートという恰好なので、割と重い。まぁ、これぐらいなら特に障害でも何でもないので、そのままヒワダタウンの中へと進んで行く。

 

 ヒワダタウンはウバメの森、そして繋がりの洞窟に挟まれている為、地理的に孤立している。炎ポケモンの持ち物として愛用される木炭がこのヒワダタウンでは生成されている為、一定以上に人が栄えているのだ―――限界集落とはやっぱり違う。

 

 まぁ、それ以上にぼんぐり職人のガンテツが存在する事が大きいとは個人的に思っている。

 

 ヒワダタウンにギラ子を肩車したまま入る。時折視線が此方へと向けられるが、その視線は普通の娘へと向ける様な、微笑ましい視線だ。当たり前の話だが、伝説種は伝説だからこそ、伝説種という名称が与えられている。彼らは異界や、現実に隠れている。姿を偽装し、隠し、そして消える事で認識されない様にしている。そういう基本的な事をやっているに過ぎない。何時見ても、偽装という能力が便利だと思う。

 

「んじゃ、まずはガンテツさん所行くか。ボングリはある程度集めてあるし」

 

「おー! 初めて見るし楽しみだな。後虫の断末魔」

 

「お前虫ポケ嫌いだろ!」

 

「見てると潰したくなってくる」

 

 典型的な暴君の言葉を聞きつつも、足をまっすぐガンテツの家へと向ける。ヒワダタウン自体はそう広くない為、迷う事もなくガンテツの家へと向かう事が出来る。やっぱりヘビーボールを依頼すべきか、でも一番使いやすいのはそれだよなぁ、なんて事を思いながら楽しみにしつつガンテツの家へと向かうと、何やらガンテツの家の前で慌てている少女の姿が見える。

 

 ―――なんか見覚えがあるぞ、この光景。

 

 そんな事を思いながら近づく。

 

「どうもー、ガンテツさんがいるって聞いたんだけど―――」

 

「あ、あぁ!? と、トレーナーさんですか!? た、たたた、助けてください! お爺ちゃんが! ヤドンが! ロケット団が! 井戸が!」

 

「あ、うん、安心して。それで大体出来事を察せたから。うん」

 

 少女の頭を軽く撫で、背を向け、歪な笑みを浮かべている事を自覚しながら手を右の方へと伸ばす。それに応える様にどこからともなくライフルを取り出したギラ子がそれを渡してくる。ベルトに装着してある特殊スタン弾を装填しつつ、ライフルを軽く確認し、それを右手で握りながらガンテツの家の反対側へ、繋がりの洞窟の方面へと歩き始める。さっきは一切見える事がなかったが、確認してみれば黒い服装の方々がいるではないか。

 

『御愁傷様ですね……』

 

『あちゃーで御座るな……』

 

『えっ……えぅ?』

 

なーお(見てれば解る)

 

 そのまま一番近くの黒い服装の兄さんへと近づけば、相手も此方を認識し、

 

「あ、テメェトレ―――」

 

 迷う事無く顔面に銃口を当てて、トリガーを引き、近くの建築物の壁にまで吹き飛ばす。死ぬほど痛いが、スタン弾だ。死にはしない。流石に街中で人を殺すのは嫌だし。まぁ、それはそれとして、発砲音が響いたため、一瞬で此方へと視線が向けられる。街中には三人ほどの黒い服装が―――ロケット団の下っ端が存在している。こいつらに遠慮はいらない、命令が出ているのに無視している。

 

 つまりは裏切り者。

 

 反乱分子。

 

 うっし、容赦する必要はないな。

 

 素早くライフルを三連射し、三人をそのまま道路に沈め、ギラ子にライフルを渡し、やぶれたせかいにしまわせる。ゴーグルを降ろし、装備しながら腰のボールへと手を伸ばし、そして素早くポケモンを―――サザラを出現させる。ギルガルドを装備したサザラは無言のまま、真っ直ぐヒワダタウンの外にあるヤドンの井戸へと向かう此方の姿を見て、溜息を吐きながら無言でギルガルドを握り直し、ついてきてくれる。ポケモンを出した今、銃器なんてものは頼る必要がない。

 

 ルール無用の野戦状態で、ポケモンを使って負ける理由がない。

 

 ヒワダタウンを抜ければ、直ぐに古びた井戸が見えてくる。大きく、人が三人ほど横並びに入るスペースがあるその井戸こそがヒワダタウンの観光名所、”ヤドンの井戸”になる。野生のヤドンが大量に生息している場所であり、生え変わったヤドンの尻尾が入手できる事でも有名な場所だ。迷う事無くその中へと飛び入り、十数メートルの距離を加速する様に先回りし、着地したサザラに支えられるように自分も着地する。井戸の底は広く、洞窟と繋がっている。その広い洞窟こそがこのジョウトにおけるヤドンの生息地となっている。野生の状態でありながら、ほとんど敵意を見せないヤドンはトレーナーじゃない人間が近づいても、何もせずにゆっくりと時間を過ごしている。ある意味、ヤドンの楽園とも言える場所だ、ここは。

 

 そこで、腰が抜けているかのように井戸の底に座り込んでいる男の姿が見える。その男は此方がサザラを連れているのを見ると、おぉ、と声を零す。

 

「もしやお前さんポケモントレーナーかい!? ここのヤドンに酷い事をしている連中がいて、それを止める為に少年が独り突っ込んじまったんだ、助けてやってくれんか!?」

 

 視線を奥の方へと向ければ、倒れているポケモンとロケット団の姿に、曲がり角の先に怒号が聞こえてくる―――どうやら先に進んでいる少年は戦闘中らしい。良かった。これで獲物を先に全部取られていた、とかなってくると正直ショックだった。視線を男へ―――おそらくはガンテツであろう人物へと向け、軽く笑みを向け、頷く。

 

「おぉ、ありがとう!」

 

 ガンテツの言葉に対して無言で返答しつつ、そのままヤドンの井戸の奥へと進んで行く。

 

 自分が今、割とプッツンしているのは自覚している事だ。

 

 だからどーした。この程度で負ける様な雑魚じゃあない。

 

 井戸の奥へと進め、復帰しかけているロケット団員の姿が見える為、サザラが素早い峰打ちを放ち、その意識を気絶させて行く。そのまま一切止まることなくヤドンの井戸の奥へと、意識を取り戻しつつある相手の意識を奪いながら進んで行くと、広い岩場でバトルを繰り広げる二つの姿が見える。

 

 まず一人目はロケット団の姿だ。特徴的な黒い服装に帽子、そして白いグローブ、団員の汎用制服を装着している。出しているポケモンはアーボックであり、威嚇する様にその体を揺らしている。その団員とアーボックを正面から相手しているのはニューラ、そして赤毛の少年だった。此方はカジュアルな黒い服装を着ており、十歳前後の少年に見える。ただ重要なのはこの少年の正体を、見た瞬間に自分が理解してしまったことであり、

 

 そのせいで割とプッツンしていた自分の理性が、それで戻って来てしまったことだ。

 

「わ、若……シルバー様……」

 

「えっ」

 

『こんな所でですか!?』

 

 俺だってこんなところでシルバーにエンカウントするとか思っていない。どちらかというとゴールドの方だと思っていた。どうしよう、なんて事を思いながらも冷静にポケギアの撮影機能でシルバーの姿をこっそりと激写し、映像ファイルとしてその姿を記録しておく。あとでボスへとこれは送らなければならない。きっとボスは物凄い喜ぶだろう、シルバーを探す為だけにミュウツーやデオキシスを作成しようとしたのだから。

 

 とりあえず、一気に冷静になってしまったので、肩の上からギラ子を降ろし、一気にサザラを横に連れ、踏み込む。即座に勝負に割って入る様に踏み込み、ハンドシグナルでサザラへと指示をとばし、キングシールドのバッシュから峰打ちで一気にアーボックを壁に叩きつけ戦闘不能、そしてロケット団員の意識を奪い、そのまま腰のボールの開閉スイッチも一瞬で破壊する。一瞬でそれをこなして此方へとシルバーの視線が向けられる。

 

「お前は……何者だ」

 

 警戒する様な視線を此方へと向けられる。ここで馬鹿正直にロケット団でお前のパパの弟子だよ! と言っても間違いなく逃げられるだけだ。だからここは適当に言葉を濁したほうが遥かにやりやすいだろう。

 

「決まってるだろ。未来のポケモンマスター様だよ―――サザラ」

 

「ういしょっと」

 

 奇襲してきたゴルバット、アーボック、ヘルガー、ヨルノズク、サイドンを同時にサザラが独りで、ギルガルドを巧みに使いながら受け流し、一体ずつ同時にカウンターを叩き込み、全ての姿を弾き飛ばす。その強さから大体相手のレベルを理解し、そして背後から接近してきた伏兵の一匹、ヘルガーの頭を掴み、背負い投げの要領で地面に叩きつけ、ベルトから抜いたハンドガンの弾丸を至近距離から頭に叩きつけ、スタンさせる。そのまま瀕死になるまで零距離で弾丸を六発程叩き込み、そしてヘルガーを解放する。

 

練度(レベル)は30ぐらいか、俺でも戦えるな……少年、お前は」

 

「ロケット団なんて卑怯な連中に俺が負けるわけないだろう」

 

「ならば良し、ついて来い。蹂躙の仕方を教えてやる」

 

 ヘルガーを蹴り転がしながら視線を前へと、ヤドンの井戸の奥へと向ける。幹部レベルがいない限りはサザラ一人で蹂躙できるな、と冷静に判断しつつ、内心、突然エンカウントしてしまったシルバーに対して、どうやって対処すべきかを悩んでいた。間違いなくその身柄を確保しておきたい。だけど自分がロケット団である事をバラせば、絶対にこいつ、逃げるだろうというのが解る。

 

 何せ、シルバーの態度にはロケット団への怒りが見えているからだ。

 

 ―――まぁ、十歳のガキだ、どうにでもなるだろ。

 

 気取られない様に小さく溜息を吐くと、直ぐ耳元でギラ子の吐息と笑い声を感じる。が、そこにはギラ子の姿はない。シルバーに見られる事を嫌って影の中にでも引きこもったのだろうか、あまり人の影の中を改造するのは止して欲しいのだろうが、まぁ良い。

 

「まずは正面から一人残らず圧殺する。くろいまなざしを覚えているなら積極的に使え。誰一人逃がさないぞ」

 

「ふん、俺に命令するな」

 

 ヤドンの井戸、対ロケット団殲滅戦―――ボスの実子と臨時の共同戦線が張られた。

 

 さて、これは一体どうすべきなのだろうか。




 というわけで原作開始よ。ポケスペとHGSSが混ざったようなシナリオ。あとアニポケ。非常にカオスになってるけど萌えもんもいるって時点で解ってたよね。うん。

 ところで最近ポケモンカードを確認したんだけど、面白い技があるね。ともだちのわ、ホロンヴェール、デザートバーンンとか。そっちの方も輸入しようかなぁ……まぁ、既にデルタ種輸入しているからホロンヴェール存在しているようなもんだけど。

 とりあえずシルバーくん登場。果たしてボスはマイサンと逢えるのだろうか。

 そしてホウエン地方に見えるORASとフーパの影……ホウエン地方はプロット練れば練るほど滅びが加速する気がする。キーワードはスーパー伝説大戦EX

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