目指せポケモンマスター   作:てんぞー

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コミュニケーション???

『―――拝啓サカキ様へ、

 

 どうも、ボス。貴方の弟子のオニキスです。何時もは電話で連絡を取り合っている私ですが、このたびは少々趣向を凝らして、久しぶりにメール機能なんてものを使ってみました。メル友がいないのはちょっと泣きそうですが、こうやってメールをボスへと送ると少しだけ胸がほっこりします。早い所、立場を理解しても対等に接してくれる友人が欲しい所です。ボスはからかい半分に妖怪アイス狂いはどうだ? なんて言ってきますがアイツのキッスは滅ぼしたい気持ちがいっぱいなので、今度キッスメタを育成しようと思います。

 

 キッスメタで話は変わりますが、ドラゴンメタであるフライゴンさんの力を借りてフスベジムを見事に突破し、最後のバッジを入手する事に成功しました。バトルが終わった直後、半泣きのイブキジムリーダーが竜の穴へと逃亡して引き込もるという事件が発生しましたが、事件の元凶であるフライゴンさんに責任はあるというギャラリーとジムトレーナーとの一致した見解の下、フライゴンさんを竜の穴に放り込む事にしました。わずか数秒でドラゴンの悲鳴とイブキジムリーダーの悲鳴で溢れる竜の穴はまさにこの世の地獄の様にも思えました。良い年した女を泣かせるのは背徳感があって、非常に楽しかったです。

 

 その時の映像を添付しておいたので、ぜひ確認してください。少し楽しめると思います。

 

 この件に関してついに公式戦でフライゴンさんが露見されたため、公式戦における出場禁止を漸く喰らいました。今迄秘密兵器の様に潜ませておいたフライゴンさんですが、いい加減日の目に当たらせた方が全体としての利益があると思い、決行しました。覚えていますか? アイリスジムリーダーにフライゴンさんで草試合を申し込んだ時を。イブキジムリーダーも大体あの時の様な感じになりました。個人的にチャンピオンのワタルにもフライゴンさんで突撃したいのですが、公式試合ではなく、その内野生のワタルでも見つけて草試合を申し込もうと思っています。

 

 ドラゴン使いを滅ぼす勢いですが、きっと気にしてはいけないのでしょう。

 

 それではそろそろ近況報告でもしようかと思っています。

 

 とりあえずイブキジムリーダーを泣かせて背筋がゾクゾクしたので、この先、また蹂躙プレイで誰かを泣かそうかなぁ、と思いつつバッジを全て取得したので、さっそくセキエイ高原でポケモンリーグの出場登録を行ってきました。どうやら今年のエントリーナンバーワンとして登録されて、先着のシード枠を獲得する事ができました。今年のポケモンリーグはどうやら、かなりいい感じに行けそうな気がします。残りの三か月、手持ちの育成に集中できるのはかなりいいんじゃないかと思っています。そういえば今度、コガネシティ南部の育て屋さんで軽くプロの育成を学ぶ機会を頂きました。ハナダの育て屋さんを見た事がありますが、ああいうプロの育成環境は本当にうらやましいと思います。

 

 では他の団員に関しての近況です。

 

 まずはキョウですが、正式にセキチクシティのジムリーダーをアンズへと譲り、カントー・ジョウト地方の四天王として降臨したようです。キョウは非常に向上心の強い人です。赤帽子に敗北した事を引きずっている訳ではありませんが、それでも力不足を感じ、修行を続けた結果見事に四天王の座を勝ち取った猛者です。その執念はすさまじいものがあると言っても良いでしょう。個人的にライバル視しているトレーナーの一人です。今度ポケモンリーグ破ったら即行で倒して地面に埋める予定なので、それまでにジョウトに来ていると楽しい事になると思います。

 

 次にマチス少佐ですが、筋肉達磨(マチス)は煩い上にボスと一緒なので飛ばします。

 

 そして次にナツメちゃんの事ですが、最近増々エスパー少女っぷりに加速が入っているのか、読心能力等が上昇し、バトル中に相手の指示を読み取ったり、未来予知で攻撃を事前予測できたりするようになりました。カントーのみならず、ジョウトやホウエンを含めての最強の異能者トレーナーに成長したと思っています。対処法が面倒なのでなるべく相手をしたくはないのですが、何だかんだで此方は悪タイプがメインなので、完全にナツメをメタっているので、相性の結果一方的にボコれて人生が楽しいです。歪んだ性癖の自覚はありますが、やはり涙目の女性を見るのは気持ちが良いです。

 

 えー……それではおそらくボスが一番知りたがっている方に関しての報告に入ります。

 

 はい、シルバー様ですね、若様です。ボス的にはどう呼ばせたいんでしょうか? シルバー様で? 若様で? それとも不良少年で? どうでもいいですけどボスと若様って本当に似てないですよね。あ、目つきが鋭い辺りは良く似ているし、ボスの才能の片鱗の様なものを感じるから間違いなく息子だというのは解るんですけど、全体的に母親似で良かったなぁ、と思える美少年です。別にボスをディスってないです。いや、だってボスって渋い系のチョイワル親父というかゴクワル親父じゃないですか。十代の少年からそんなオーラ出てたら相当末期ですって。それはアカンって奴ですよ。というわけで母親に似て良かったなぁ、なんて事を思っています。

 

 最初に会った時の若様ですが、非常に好戦的でポケモンのケアもできていない三流トレーナーでしたが、不思議とバトルに関してはある程度の実力がありました。ボールハンドリングから見て、どこかで訓練されたかのような感じがしました。おそらく拉致された先で訓練されたのでしょうが、若様に怪しまれるために、まだ聞けずにいます。ただ強さに対しては貪欲な事もあり、此方が行う講義やトレーニングには真面目に参加してくれています。一緒に風呂に入った時に確認しましたが、体には傷痕が見えているので、虐待程ではないが少々痛めつけられたような痕跡が存在します。

 

 若様のトレーナーとしての適性ですが、どうやらボスよりも此方側、”育成”の力に秀でているタイプの様に思えます。特に交換進化のポケモンに関しては更に強いらしく、試しにゴーストを渡した結果、即座にゲンガーへと進化させ、更にはいい感じに鍛え始めています。最初にゴルバットを渡して経過観察を行いましたが、ゴルバットも見事クロバットへと進化させたところ、ポケモンに対するケアもある程度は行えるようになってきたようです。

 

 懐き進化をさせられる程度にポケモンとのケアやコミュニケーションが取れるなら、個人的には良いラインなのではないかと思い、そのままクロバットとゲンガーに関しては若様にさし上げました。今度、お時間があれば是非ともお手合わせしてあげてください、なかなかの成長力を発揮しており、強さの上り方は”赤帽子”を非常に思い出させるものとなっております。といっても、現状はまだまだひよっこです。ポケモントレーナーとしてはまだ二流の領域。自分だけの戦術等を組めてから一流です。そこに到達するまでは若様はまだ頑張らないといけない感じです。

 

 と、言うわけで、若様を育てていた訳ですが、

 

 えー、ぶっちゃけてしまいましょう。

 

 若様に逃げられちゃいました! テヘッ!

 

 あ、すいません、ちょっとだけふざけました。怒らないでください。本当に怒らないでください。真面目な話をすると、若様が夜逃げを計画していたので、それを見逃した形になります。どうやら若様も若様で仮面の男(マスク・オブ・アイス)とかいう超反逆者を追いかけている様でした。若様が力を求めているのもその男に理由があり、力がついたころを見計らって本来の目的を果たしに活動開始、という感じでしょうか。個人的に命を狙われたこともあり、殺したい人間トップに降臨しています。しばらく若様を泳がせればおそらく仮面の男に関する情報が入ってくると思われます。

 

 若様に預けたクロバットとゲンガーも、ゴルバットとゴーストの間にある程度調整と育成を施しておいた個体です、間違いなく若様の手伝いになってくれるでしょう。何より、キョウの部下の忍軍が交代で常に若様を追っていますので、見失う事は現状ないでしょう。

 

 そして若様の出立に伴い、一つの凶報を報告しなければなりません。

 

 私がジョウト地方の準伝説種であるエンテイを捕獲した事は既に報告した事なのでもうお知りになっている事かもしれませんが、先日スイクンの襲撃を受けました。その時、エンテイを出して迎撃に入ったのですが、エンテイとスイクンの間でこんな会話が繰り広げられました。

 

「我捕まってたんかエンテェ!」

 

「捕まってんよスイクンッ!」

 

「マジかよお前糞だな」

 

「スイクンマジ殺す」

 

「お前とかハイドロポンプで十分だから」

 

「キレちまったぜ……ライコウの仇ィ!」

 

「ホウオウ様の仇じゃねーのか」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

 どうやらジョウトの三犬は結構お互いに仲の良い様で、漫才を繰り広げていましたが、そこでスイクンがポロっと零した情報なのですが、

 

 なんだかホウオウが既に捕獲済みだったらしいです。

 

 スイクンも仮面の男にホウオウをけしかけられて初めて知った情報だったらしいです。エンテイはこんなだから唯一神なんだ、なんて罵倒してあげないでください。ハイドロポンプもキチンと耐えましたがフレアドライブで自滅しました。唯一神はやっぱり唯一神でした。タイプ一致の弱点攻撃を耐えられるように育成したのに自滅する辺りが実に唯一神っぽくて、可愛らしかったので、映像として永久保存しました。腹筋崩壊して過呼吸に陥っているスイクンの姿も一緒に送ってあるので、此方の方も暇な時に見てください。実に癒されると思います。

 

 ではここから少々真面目な話に入ります。

 

 ホウオウが既に捕獲されている事を見るに、おそらく相手の目的は他の伝説を捕獲する事にある、と個人的には思っています。ジョウト地方に存在する伝説種は全部で三体存在します。まずは煤の塔に出現するホウオウ、うずまき島のルギア、そしてウバメの森のセレビィになります。蘇生能力を持ったホウオウ、天変地異を司るルギア、そして時を支配するセレビィ。ジョウト地方の伝説種に関してはどれも特殊なポケモンだと思っています。

 

 ホウオウはまず準伝説種であるエンテイ、ライコウ、スイクンを生み出したという不思議な蘇生能力を保有しています。エンテイ達から話を聞いた分にはどうやら蘇生した後にホウオウの弱体化があったなんて話はありませんし、おそらくは制限はあってもある程度自由な能力なのかもしれません。準伝説種を生み出す能力、放置すると非常に危険だと思われます。

 

 ルギアに関しましては、非常に謎の多いポケモンです。なぜなら情報がほとんど存在せず、過去であってもほぼ人前には出現しないポケモンだからです。ホウオウの様にサービス心溢れる伝説種とは違い、ルギアは真正の引きこもりであってニートです。極限まで働こうとはしない為、今一印象が薄いですが、ルギアはホウオウと対をなす伝説種です、ただの引きこもりではありません。ルギアは海の神であり、海の竜です。ドラゴンタイプがないけど。

 

 ルギアの凶悪性はその天変地異を司る所にあります。ホウエン地方の伝説種、カイオーガと同様にルギアには環境を破壊し、天候を操作する能力を保有しています。簡単に言ってしまえば特性でも何でもないのに常時”あまごい”と”おいかぜ”の効果を受け、尚且つ”ぼうふう”が常に発生している状況になっています。カイオーガが天候を固定させて侵略するのであれば、ルギアは常に自分の領域を絶対に保持し、最高の力を発揮し続ける事ができます。

 

 おそらく天候パとぶつかろうとも、ルギアの周辺だけは大雨と追い風、暴風の状況が変わる事がないでしょう。ルギアは海の神と明記されている様に、神に等しき力を発揮するようですから。しかし普段はそれを理解し、決して迷惑を掛けない様に深海に潜んで眠り続けていると言われております。ルギアの捕獲は”ダイビング”の存在しないジョウト地方ではほぼ無理と言える領域です。

 

 そして最後、時渡り、時の支配者セレビィです。ぶっちゃけた話、時を歪める力を保有するディアルガよりも此方の方がヤバイと個人的には思っています。ディアルガの時間操作能力は戦う事に特化していますが、セレビィの時間操作能力は、時間を操作するという事に特化しています。過去から未来へ、未来から過去へ、自由に旅をする事ができるセレビィは、利用すればそれだけで人類とポケモンの歴史を簡単に覆す事の出来る存在です。ぶっちゃけると、一番ヤバイです。ヤバすぎて即座に確保して隔離しないといけないレベルで。

 

 ボスはそんな力で征服しても邪道であり、価値はないというでしょうから、その辺りホント尊敬してます。

 

 長々と話を続けてしまいましたが、簡単に話を纏めますと、セレビィはその能力故に捕獲ができません。が、ホウオウとルギアを揃える事で可能になるかもしれない、という結果がロケット研究部から送られてきました。詳しい事は解りませんが、ルギアとホウオウの相反するエネルギーによって干渉力を遮断する事ができる、などという事があるそうで、それを利用すればセレビィの捕獲も現実的になるそうです。

 

 ぶっちゃけた話、ホウオウを捕獲されている時点で嫌な予感しかしません。

 

 このままルギアを捕獲されてしまった場合、完全に詰む様な、そんな気がします。

 

 ちょうどバッジは8個揃い、リーグへの受付も終了し、時間ができた事ですので、

 

 ちょっくらルギアを捕まえに行ってきます。

 

 ハイパーボール99個、スーパーボール99個、モンスターボール99個、ヘビーボールをオークションを利用して99個揃えましたが、自分の運命力を考えるとちょっとルギアを捕まえられる光景が思い浮かびません。ソロでの挑戦なので、真面目な話、追いつめる事さえできるか不明です。

 

 ですがこのまま放置すると、ボスがジョウトに到着する前にデッドエンドを迎えてしまう様な、そんな気さえしてしまいます。

 

 ですので思い切ってルギアへと勝負を挑み、捕獲する事を決めました。

 

 最終兵器にホロンヴェールを覚えさせたデンリュウとフライゴンさんの組み合わせである程度ダメージを発生させられるとは思いますが、生物としての格が違うので、勝てるイメージが湧きません。ギラ子をできたら投入したい所ですが、あの娘は此方がポケモンマスターにならない限りはバトルでは一切言う事を聞かないでしょう。バッジ8個程度で従う様な雌じゃありませんので割と詰んでいます。

 

 マジで死んでしまった場合、先立つ不孝をお許しください。

 

 捕獲に成功した場合は褒めてくださいね。割と本気で。

 

 一回ぐらい死んでもエンテイの炎があるから蘇生は可能かもしれませんが、先程ナツメから死の未来を感じ取ったとか言われたので、たぶん駄目です。

 

 ……はい、十分に死亡フラグを重ねたので、そろそろここら辺にしようかなぁ、と思います。また生きていたら電話かメールを通して連絡を入れようと思いますので、吉報をお待ちしてください。

 

 貴方の一番弟子、オニキスより】

 

 ノートパソコンに映し出されていたメールを確認し終わり、メールボックスを閉じてからノートパソコンそれ自体を閉じる。軽く胸中で溜息を吐きながら視線を持ち上げ、

 

 デッキの向こう側に広がる大海原を見て、未だに見えぬ陸地の存在を想う。

 

「―――速度を上げろマチス」

 

「イエス・ボス!」

 

 馬鹿な弟子め、と軽く誰にも聞こえぬように苦笑を零しつつ、

 

 ―――ジョウトへ。




 ボス、ジョウトへ。

 そしてバッジが全部揃ったところで弟子の方はうずまき島へ。

 そろそろ読者の皆に伝説という言葉の意味を見せようかと思うの

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