転生して主人公の姉になりました。ダンまち編《凍結》 作:フリーメア
なんか五千字超えてるんだけど...ここまで長くするつもりもなかった...
あ、今回最初の方だけベルの一人称視点が入ります
初めての一人称視点なのでおかしいところもあるかと思いますがよろしくお願いします
ではどうぞ
ベルside
姉さんの笑みを見て二人が顔を青くしていたけど今はそれぞれの意見を言い合いながら契約書を書いている。確かに初めてあの笑みを見ると背筋がゾッとするよね。僕もそうだったし。え?今?もう慣れたよ
姉さんがあの嗤い方(笑い方、ではない)をするときは大体ヤバイことを考えてるときだ。まだ村に居たとき、僕は虐められていたことがあってそれを家族にばれないようにしてたんだけど、ばれないわけがなく、そのことを知った姉さんがあの嗤い方をしてたんだよねぇ。ちなみにその後、僕を虐めていた人をボコボコにしていた。どういう風にとかは聞かないで欲しい。見てただけの僕もあれはトラウマだから(遠い目)。もちろんボコボコにされた人もトラウマを負った
あ、契約書書き終わったみたいだ
まぁ僕がこんなに長々と姉さんの嗤い方について話したのは訳があるんだよ。察しがいい人は気づいたんじゃないかなぁ?結局僕が言いたいことは一つだけなんだ
アーデさん、お願いだからなにもしないでねっ!!?もう僕はトラウマ見たくないし、誰かがトラウマは負うのも見たくないんだよっ!!!
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三人称side
契約書を書き終わり三人がダンジョンに向かっている最中、リリルカが和葉に話しかけた。
「あのぉ...和葉様?」
「ん?なんですか?リリルカ・アーデさん」
「フルネームではなくリリと呼んでください、ってそう言いたいのではなく、本当にこれでいいのですか?」
「不満がありますか?」
「いえ、むしろありがたいのですが...
本当にリリなんかがこんなに貰っても良いのかと思いまして...」
そう言ってリリルカは契約書に書いてあった内容を思い出した。内容は『報酬は人数分の一にする』という簡潔なものだ。今回は三人なので三等分だ。リリルカ的には三割貰えればよかったし、初日は貰うつもりもなかった。それがいつものリリルカの
「ベル様はこれで良いのですか?」
「なんで?報酬を分け合うのは当然でしょ?」
ベルは笑いながら言い、二人はダンジョンに向かって再び歩き出した。
「変な人達...」
リリルカはそんなことを呟いた。
その呟きを、和葉は聞き逃さなかった。
道中、ベルが本当に会ったことないかとリリルカに聞いたり、リリルカの種族が獣人の
「和葉様、本日はどこの階層に行く予定ですか?一応エイナ様には十階層までなら行ってもいいと言われましたが」
「そうですね、今日はとりあえず七階層に行きましょうか。リリルカ・アーデさんの実力も知りたいですし」
「フルネームではなくリリと呼んでください」
リリルカは和葉に呼び方に対して抗議をあげるが仕方のないことであろう。なぜなら
「ごめんねリリ、姉さんは信頼した人じゃないとフルネームで呼ぶんだよ」
まぁそういうことである。逆に言えば信頼されたかどうかは和葉がフルネームで呼ばなくなった時だ。
ちなみにベルはリリルカに呼び方を訂正された。
「はぁ、そう言うことなら早く信頼されるようにならないといけませんね」
「まぁそういうことです」
ダンジョン七階層、ほんの二日前に勝手にここまで来てエイナに怒られたのは苦い思い出だ。
この二人が異常過ぎて忘れがちなのだが、ここ七階層からは『キラーアント』を初めとする
「ふっ!」
『ギシャァアっ!?』
先程も言ったがこの二人は異常なのだ。なにが異常かってまず成長速度がかなり速い。普通一ヶ月ぐらいでは七階層まで来れない。もう一つは二人が戦闘を楽しむ
現に
「しっ!」
『っ!!?』
二人は口に笑みを浮かべながら押し寄せるモンスターを殲滅していた。
本来キラーアントの甲殻はかなり硬く、倒すためには首の柔らかい所を斬り裂くのが普通なのだがこの二人は「甲殻?なにそれ美味しいの?」とでも言うような感じで甲殻の上から容赦なく斬り裂いていた。
だからといって二人が技術を身に付けていないわけではない。ベルはかなりの切れ味をもつ《ヘスティアナイフ》と普通の切れ味しかない《短刀》の二刀で戦っている。《ヘスティアナイフ》はともかく《短刀》では甲殻の上からは斬り裂けない。だから《短刀》で斬る場合は首の付け根を狙っている。
とこんな感じで今日はいつもより暴走(常人からすれば)しながらモンスターの群れを殲滅していく。
「お二人ともお強い~!」
リリルカは二人が葬ったモンスターを二人の邪魔にならないように手慣れた動きで一カ所に集めていた。リリルカはかなり優秀なサポーターだ。笑いながらも周囲の警戒を怠らず的確に動き回る。なぜここまで優秀なのに稼ぎが悪いのだろうか、いや理由は分かっている。サポーターは役立たずと言う冒険者がなん癖をつけて報酬を払わないのだろう。正直に言えばバカなのかと言いたくなる。サポーターだって立派な冒険者だ。戦闘が苦手だから、戦闘では役に立てないから、そういう人がいるからサポーターがいる。サポーターがいるから冒険者は足元を気にせず戦えるし、荷物の心配もしなくてもいい。(こちらに関しては不本意だが。)
今回いつもより暴走しているのはそう言うことだ。サポーターに報酬を払わない奴らに対しての怒りをモンスターに向けているのだ。ただの八つ当たりである。
と
『グジュッ...シャアアアアアアアっ!!』
「わああっ!べ、ベル様ーっ、和葉様ーっ、また生まれましたぁー!?」
生まれたモンスターの数はおよそ十体のキラーアントとパープル・モス。前者は瀕死になると仲間を呼び、後者は毒の鱗粉を巻き散らかしてくるとかなり厄介なモンスターだが、二人からすればただの獲物でしかない。
地上にいるキラーアントはベルが二刀で縦横無尽に動き回りながら斬り裂く。空中にいるパープル・モスは和葉が壁けりを行いながら跳んで居合で斬り裂く。
ものの数十秒で生まれたモンスターもいなくなり、ルーム内に静寂が訪れ、三人はモンスターから魔石の回収作業を行う、と言ってもここからはサポーターであるリリルカの独壇場であり二人は周囲を警戒することぐらいしかやることがない。
「ほぉ~、上手いもんですねぇ」
「リリにはこれぐらいしか取り柄がありませんから、この数のモンスターを倒したベル様と和葉様のほうがよっぽど凄いですよ」
リリルカは話しながらも手を動かし魔石を回収している。ベルは先程から気になっていることを言った。
「...あのさリリ、流石にベル様って言うのはやめてくれないかなぁ?」
「そう言うわけにも行きません。契約をしたのですから上下関係はハッキリしないといけません」
「どうして...」
リリルカは一旦作業を止めてベルの方に顔を上げた。
「いいですか、ベル様?サポーターなんて簡単に言ってしまえばただの荷物係です。命がけでモンスターと戦っている冒険者様からすればリリ達は安全な場所から傍観するだけの臆病者です。何もしてないくせに甘い蜜を吸おうとする寄生虫なのです
リリ達が冒険者様と同格であろうとすることは傲慢です。そんなことをしてしまえば冒険者様は怒って報酬を恵んでくれなくなるでしょう」
「っ!?そんなことっ!?」
「ベル様達がお優しいことは会ったばかりのリリにも分かっていますが、ケジメをつけなければいけません。もしリリがベル様達を敬わず生意気なサポーターだという風評が広がったらリリは他の冒険者様に連れて行って貰えなくなるでしょう。よくてただ働きです」
「......」
ベルは下を向き拳を握り締めた。
そんなことはないと言いたかった。自分達のことなら言えただろう。だが他の冒険者のことを言われると口を挟めない。自分達にとっての間違いは他の冒険者からすれば当たり前なのだろう。
と今まで黙っていた和葉が喋りだした。
「...なら、これからも僕達と組めば問題ないですよね?」
「へっ?」
「だってそうでしょう?他のパーティーと組めなくなる可能性があるならずっと僕達と組めば良いんですよ。そうすれば貴方は阻害されることはないです。少なくとも僕達はするつもりもありません」
「...ありがとうございます。考えておきます
ところで話は変わりますが、本当にお二人は駆け出しの冒険者様なのですか?こんな数のモンスターをお二人だけで倒すなんて...」
リリルカはいきなり話題を変えた。まるでそういう話はしたくないとでも言うように。
「そう?別に普通じゃない?」
「いえ、全然普通じゃないですよ...」
そう言ってリリルカは二人が倒したモンスターを数え始めた。キラーアントがおよそ三十、ニードルラビットがおよそ二五、パープル・モスがおよそ二十の合計およそ七十五匹、およそがつくのは実際の数が分からなかったのだ。なにせ二人が暴走してしまい魔石ごと砕いてしまったモンスターも多いのだ。もしかしたらこれより多いかもしれないし、少ないかもしれない。(ちなみに実際の数は三桁を超えているとだけ記しておこう。)
「絶対に普通じゃないですっ!!おかしいですよっ!!倒すだけならともかくなんでお二人だけで七十五もの数のモンスターをたった数分足らずで倒せるのですかっ!?」
リリルカはもう限界とでも言うように叫びだした。まぁ叫びたくなる気持ちも分かる。普通、駆け出し冒険者は、たとえ二人いたとしてもこの数のモンスターを数分では倒せない。つまり二人は、何度も言うようだが異常なのだ。
「そうは言っても僕達より強いLv.1の冒険者は一杯いるでしょ?」
「確かにそうですが...」
「じゃあ僕達はまだまだだよ」
「まぁそうですね」
苦笑するベルと和葉にリリルカは困ったような顔をした。そもそもの論点がずれているからだ。
リリルカが問題にしているのは二人だけでこなせることではない。本当に一ヶ月経っていないのかということだ。
「まぁ、ベル様達の強さは【ステイタス】以外にも
リリルカの声の調子が変わった。リリルカの視線の先には《ヘスティアナイフ》があった。それに気づかないベルは照れくさそうに笑った。
「この武器は、僕達の神様が友達に無理に頼んで作って貰ったものなんだ...、無茶するよね」
「...お優しいのですね」
「うん、大切な人だよ」
リリルカの声に隠れた動揺と、僅かな嫉妬にベルは気づかなかった。
「本日はありがとうございました」
ギルドで換金した三人は外にでて、ぺこりとリリルカは頭を下げた。
「いえいえ、こちらも楽になりましたしお互い様です」
それに対して和葉はお互い様と言った。
「それで報酬のお話なのですが...」
「あ、そうだよね、はいっ」
「え?」
ベルはリリルカの前に約束通り稼ぎの三分の一を渡した。
「い、いえ、リリは本日の報酬はいらないと言うつもりだったのですが...」
「だって全然稼げてないんでしょ?それに分け合うのは当然だよ」
ニコッとベルは笑った。それにあるのは純粋な優しさのみ。リリルカは呆然と立ち尽くしてしまう。
「......」
「リリルカ・アーデさん」
とそこに和葉が歩いてきた。和葉は顔をリリルカの耳の直そばまで寄せ、周囲に、特にベルに聞こえないように言った。
「もう一つ契約条件を追加します。それは
『自主的に盗みをしない』です」
「っ!?」
リリルカの体が強張った。何故?なんでばれた?、そんなことばかり考えた。
「貴方がベルの《ヘスティアナイフ》を見たとき、獲物を見るときの様な目をしてました。これでも僕は人間観察には自身があるんですよ。安心してください。これに関してはベルにもエイナさんにも、僕達の主神にも言うつもりはありません。あくまで先程の条件は口頭のみです
ベルはあの通り人を疑うことが苦手です。だから代わりに僕が人を疑います
僕は貴方を信頼はしていませんが信用はしています。だから出来れば貴方に危害を加えたくないんです
もし貴方が
その言葉を最後に和葉はリリルカから離れ「また明日」と言い、ベルも「また明日」と言って二人はまたギルドの中に戻っていった。
リリルカは先程とは違う事でその場に立ち尽くしてしまった。
どうでしたか?おかしいところがありましたらご指摘ください
うちの和葉は観察眼凄いんですよ~
和葉「これ、リリルカ・アーデさんはベルのナイフ取ってないんですか?」
取ってないよ~、てか取れるわけないじゃん、和葉が近くにいるのにさ
和葉「それもそうですが...」