転生して主人公の姉になりました。ダンまち編《凍結》   作:フリーメア

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こちらも何とか10月以内に投稿できた...


サポーターとの出会い

時間は流れ黄昏時、あの後エイナを家まで届けた二人は急いで帰路についていた。二人は西のメインストリートから路地裏に入ると他の足音が聞こえた。数は大小それぞれ一つずつ、足音が和葉達に近づいてくる。

ここはもう教会の近くなので面倒ごとが起きるとまずい、そんなことを考えていると目の前の角から影が出てきた。

 

「あうっ!」

 

「「(え/ん)?」」

 

角から出て来たのは小さい少女。ぱっと見は人間(ヒューマン)の子供だが体のパーツが物凄く小さい。ここで二人はある種族を思い浮かべた。小人族(パルゥム)亜人族(デミヒューマン)だ。、

 

「あのぉ、大丈夫ですか?」

 

「ぅ......」

 

小さい方の足音はこの小人族(パルゥム)で間違いないだろう。もう一つの方はというともうすぐそこまで来ていた。

 

「追いついたぞ、この糞小人族(パルゥム)が...!!」

 

角から出て来たのは人間(ヒューマン)の青年だ。

 

「もう逃がさねぇぞ...!!」

 

青年は悪魔のごとき表情をしていた。その表情は小人族(パルゥム)の少女に向けられていた。

 

─この人は小人族(パルゥム)の子になにをするつもりなのだろう─

 

そう思ったらベルの体は勝手に小人族(パルゥム)の前までに動いていた。それを見た和葉は軽くため息をついた。

 

「あぁ?邪魔だ糞ガキ、そこをどきやがれ」

 

青年は今の今までベル達が見えていなかったのだろう。今ベル達がいたことに気づいたようだ。

ベルははっきりとした口調で言った。

 

「この子に何をするつもりですか」

 

「うるせぇぞ糞ガキっ!!どかねぇと後ろのそいつごと叩っ切るぞっ!!」

 

ああ、これはどけないとベルと和葉は思った。

 

「どきませんっ」

 

「あぁ!?てめぇもそいつの仲間かぁ!?」

 

「困ってる人がいたら普通助けますよね?」

 

和葉もベルの横に並んだ。そこでやっと男は和葉のことも認識したようだ。

 

「糞ガキどもぉ...!もういい!!叩っ切ってやる!!」

 

そう言って男は腰の武器に手をかけた。ベルは自分の武器に手をかけ、和葉は格闘術の構えをとった瞬間

 

「やめなさい」

 

女の人の声が聞こえた。和葉もベルも聞き覚えがあった。声のした方を見るとそこには『豊穣の女主人』で働いているエルフのリュー・リオンがいた。手に食材を持っていることから買い物の帰りだったのだろう。

 

「そこにいる人は同僚のかけがえのない伴侶になる人です。危害を加えないでいただきたい」

 

「うるせぇ!!邪魔をするならてめぇも─」

 

「吼えるな」

 

リューのその一言だけでその場は静まりかえり、和葉を除き誰も動けなくなった。それほどの殺気をリューは出したのだ。

 

「争いはしたくない、私はいつも()()()()()()()()

 

事実なのだろう。そう思わせるだけの威圧があった。

男はリューに圧倒されていたが男としてのプライドが許せなかったのだろう、震えながらも剣を取ろうとした。それを見たリューは最後の警告を告げるかのように空いている手に剣を装備した。男はそれを見て顔を青くしながら撤退した。

 

「助けていただきありがとうございます、リュー・リオンさん」

 

唯一リューの出した殺気に硬直しなかった和葉はお礼を言った。

 

「礼には及びません。それと私のことはリューで構いません」

 

「それではリューと呼ばせていただきます。僕のことも和葉と呼んでください」

 

それをリューは了承した。とベルに向き直り

 

「ところでクラネルさん達はどうしてここに?」

 

「あっ、あの子はっ?」

 

ベルがあたりを見回すが先ほどの小人族(パルゥム)はいなくなっていた。

 

小人族(パルゥム)の人なら男性が逃げたときにいなくましたよ」

 

「姉さん、あの子がいなくなってたの気づいてたの?」

 

和葉は頷いた。

 

「魔法の影響か空気の流れが分かるようになったんですよ」

 

和葉はもともと気配察知は得意なのだがそれに加え空気の流れが意識しなくとも分かるようになった。つまり和葉に不意打ちは効かない。(それが和葉の反射速度で防げるなら、と付くが。)

和葉は空気の流れが分かると言ったがそれだけではない、水、土、風などの自然に存在する全ての物の流れが分かるが、水の場合は体の一部が浸かっていなければ分からない。

 

「誰かいたのですか?」

 

「そうなんですけど...」

 

「それより貴方達が無事でよかった。最近は物を盗まれている人もいるようなので」

 

リューは「ではこれで」とお辞儀をして帰って行った。ベルと和葉もお辞儀をして教会に戻った。

戻りながら和葉は先程リューの言った言葉を考えていた。

 

(盗っ人、ですか)

 

あの小人族(パルゥム)じゃないよな、と思いながらも結局は巻き込まれなければ問題ないと結論づけた。

 

 

 

 

次の日、ベルと和葉は昨日買った防具と貰ったプロテクターを装備した。

 

「「行ってきます、(神様/ヘスティア)」」

 

「行ってらっしゃ~い、ベルく~ん、和葉く~ん」

 

いまだにベッドに沈んでいる自分達の主神に苦笑しながら二人は出入り口に向かった。出る前に鏡でもう一度装備を確認、一昨日までの間に合わせの支給品から一転、ようやく(と言ってもまだ一ヶ月なのだが)()()()なってきたとベルは少しだけ得意気になった。ベルは腰に《短刀》と《神の(ヘスティア)ナイフ》、和葉も左腰に《神楽》を装備し教会を出た。

今日の天気は良好、良いことがあるかなぁとベルは思い口元をゆるめた。

 

二人はバベルまでやって来た。今日も頑張ろうと口に出そうとしたのだが

 

「お兄さんお兄さん、白い髪のお兄さん」

 

「へっ?」

 

ベルを呼んでいると思われる声がした。だが周りを見渡すのだが見あたらない。

 

「ベル、下ですよ」

 

「下?」

 

下を見ると、そこには身長およそ100C(セルチ)、その体よりかなり大きいバックパックを背負っていた。ベルは昨日の記憶を掘り出した。

 

「き、君はっ...」

 

()()()()()。突然ですがお二人はサポーターなんかを探していませんか?」

 

少女はベルの声を遮り、その小さな指をベルと和葉の背に指した。二人の背中には小さなバックパック、二人が『サポーターの人がいてくれたらなぁ』と思っていたのを彼女は反ば確信して二人に声をかけた。

 

「え、ええっ?」

 

「混乱していますか?でも状況は簡単ですよ?冒険者様のおこぼれに与りたい貧乏なサポーターが自分を売り込みに来ているんです」

 

目を丸くするベル、無反応な和葉、そんな二人とは逆に少女はニコッと笑った。

 

「え、いやそうじゃなく...君は、昨日の...」

 

「?お兄さん、リリとお会いしたことありますか?リリは覚えていませんが...」

 

少女は首を傾げ、あれぇ?とベルも首を傾げそうになった。と少女はいきなりハッとして、一歩後ろに下がった。

 

「失敬、リリは自己紹介もしていませんでした

リリの名前はリリルカ・アーデと言います。それでお兄さん方、どうですか?雇ってくれますか?」

 

えっと...と若干混乱しているベルに変わり和葉が答えた。

 

「リリルカ・アーデさんですね?僕の名前は和葉・クラネルと言います。それでこちらが弟のベル・クラネルです

ちょうどサポーターの人がいてくれたらと思っていた所なのでもちろん雇いますよ」

 

いいですよね、といまだに混乱しているベルに向き直り、問われたベルは慌てて「うんっ」と頷いた。それを聞いた少女─リリルカ・アーデ─は喜んだ。

 

「本当ですかっ?ありがとうございます!!

ベル様に和葉様ですね?これからよろしくお願いします!」

 

とリリルカは頭を下げた。和葉は突然こんなことを言った。

 

「ということで契約書、書きに行きましょうか」

 

「「へっ?」」

 

その言葉にベルとリリルカは間抜けな声を出した。リリルカは慌てて

 

「い、いや、和葉様っ?契約書なんて作らなくてもリリは働きますよっ?」

 

「なに言ってるんですか。貴方が働いたとしても僕達が報酬を払わなければ意味ないでしょう?善は急げと言いますし、早速ギルドに向かいましょう」

 

「えっ?ちょ、ちょっとお待ちを~!?」

 

和葉はリリルカの手を取ってギルドに歩いていった。(引きずっていった?)珍しく今回はベルが苦笑し、軽くため息をついた。

 

 

 

「ということなのですが、よろしいですか?」

 

「和葉ちゃん、相談してくれるのは嬉しいけど、決定早すぎるよ...

別にいいけど...」

 

ギルドに入った和葉は早速エイナを呼んで貰い、事情を説明し、エイナは早速ため息をついた。

 

「それで?サポーターはこの子?」

 

エイナは気を取り直しリリルカの方を向いた。リリルカは姿勢を直し

 

「は、はいっ、リリルカ・アーデと言いますっ」

 

「そっ、リリルカちゃんね、それでどっか所属している【ファミリア】はある?」

 

「はいっ、リリは【ソーマ・ファミリア】に所属していますっ」

 

緊張しているのだろうか?リリルカの声が若干上づっている。

【ファミリア】の名前を聞いたエイナは顔をしかめ、それに気づいたベルは尋ねた。

 

「どうしたんですか?」

 

「【ソーマ・ファミリア】はちょっと良くない噂とか流れてるんだ...」

 

それを聞いてベルは少し身構えた。

 

「あぁ、その【ファミリア】確かに良くない噂流れてますね。まぁリリルカ・アーデさんとは関係ないのではないですか?」

 

その反対に和葉は少し陽気に言った。エイナはため息をつき

 

「あのね和葉ちゃん、そんなことを言って何かあってからじゃ遅いよ?」

 

和葉は「ふむ」と考えてから

 

「確かに何かあってからじゃ遅いですね。まぁ大丈夫でしょう」

 

「そんなお気楽な...」

 

和葉ちゃんってこんなキャラだっけ?とエイナは少し困惑した。和葉はそんなことはお構いなしに「もし」と続けた。

 

「もしリリルカ・アーデさんが当事者だった場合は

 

 

 

 

 

どうしてくれましょうか?」

 

フフと和葉は嗤い、エイナとリリルカはゾッとした。




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