あぁ!神様、どうか当てて下さい!(--;)
どうかμ's最後のライブに私を行かせてください!
そして…ウルトラQ面白れ~~~!!さすが円谷!(上と全く関係ない)
高坂穂乃果は、暗闇の中に突っ立っていた。
「…ここは…」
見覚えのある光景。そう、つい昨日見た夢と全く同じだ。
「また何でここに…」
そして、またあの時に感じた威圧感と殺気が彼女の皮膚をピリピリつついている。
その相変わらずの圧力に、彼女は顔を歪ませた。
「…いるんでしょ? 其処に」
「……―――――――――――――――――――――」
地のそこから這いずって来るような唸り声と共に、白黒に光る眼光が二つ。
「もしかして、て思ってたけど、やっぱりあなただったんだね」
淡々と上目遣いで述べる穂乃果の目には、今まで誰にも向けたことのないであろう、敵意の眼差しが潜んでいる。
「あなたのせいで…たくさんの人が泣いてるよ。
どれだけの人の命や希望が奪われたと思ってるの?」
光を失ったくすんだ青い瞳が、じっと怪物の目を捉える。
「私たちは、心に決めてたの。九人であなたがさっき壊した学校を守って、この街の…いや、見てくれる人たち全員に笑顔を届けようって」
怪物の目は、ピクリとも動かない。言葉を理解しているのかすら分からない。
「そのみんなの夢が…後三日で叶うはずだった…なのに」
目元に涙が溜まる。
「あなたが…全てをめちゃくちゃにした」
相変わらずの、無表情。
「分からないんだろうね、あなたには。積み上げてきたものを根っこからひっくり返される人間の気持ちなんて」
いくら言葉を投げかけても、彼の眼光は一寸たりとも動かない。
最初から、聞く気なんかないんだ。
そう思った途端、彼女の中の何かが爆発した。
ぎりっと歯を噛む。
突然顔を上げ、涙を振り飛ばしながら絶叫する。
「でもね…これだけは言わせて!!
あなたがどれだけ人を殺して、たくさんの夢や希望を奪ったとしても…私たちの絆は、あなたになんか壊せない!! 絶望なんかに飲み込まれない!!
何度でも…何度でも立ち上がってやるから!!」
喧しいほどの宣戦布告に、怪物がやっと穂乃果の方を向いた。
何処を見ているか分からなかった目玉が、彼女を睨み付ける。
鬱陶しそうな視線に変化していくのが、言葉なしでも分かる。
怪物の口元に青い光が集まってゆく。
「最後に、これだけは言わせてくれる?」
あの時と変わらぬ、目を焼きそうなほどの閃光が溢れ始める。
「いつか、あなたに打ち勝って見せる。絶対に…絶対に!!!」
その言葉と共に、穂乃果は灼熱に包まれた。
それでもなお何かを叫び続ける彼女の耳にー
微かに響く、聞き覚えのある声。
「…ん……じょうぶ?…ちゃん…穂乃果ちゃん!」
不意に肩に揺すぶられている感覚を感じた。
「あ…」
すると再び景色はテレビの電源が落ちたようにプツン、と真っ暗になった。
同時に現実に引き戻された疲労感と脱力感が一気に彼女を駆け巡る。
「はぁ……はぁ……はぁ…」
気がつけば、全身は汗でびしょびしょだった。
そして自分の汗の匂いと共に、何か馴染みのある匂いがする。
『これは…μ’sのみんなの匂い…』
周りの状況を確認しようと、穂乃果は薄く目を開けた。
「……!! みんな、穂乃果ちゃんが目を開けたよ!」
「本当ですか!?」
「穂乃果、大丈夫?」
予想通り次々に聞こえる、仲間たちの声。
「私…一体何して……っ!」
立ち上がろうとしたが、体に力が入らず後ろに倒れこむと、彼女の背中は座席シートのようなもので受け止められた。
一斉に周りで起こるどよめき。
「あっ! 無理しちゃダメだよ、穂乃果ちゃん!」
「さっきまでうなされてたんやから、少しは安静にせなあかんよ」
「…本当に、穂乃果はいつ見てもヒヤヒヤするわ」
口々に飛び出る気遣いの言葉に申し訳なさを感じながら、穂乃果は落ち着いて周りを見渡す。
さっきとは違う、密閉された空間の中。前には座席が何個か並び、一番前でスーツを着た、見たことのない男性が運転席に座ってハンドルを握り、助手席ではこれまたスーツを着た外国人らしき女性がアンティーク調の箱を大事そうに横に置いていた。
『ここは…車の中? やけに広いな…』
そしてその後ろには一番後ろの座席の自分を心配そうに見ている、μ’sの八人のメンバー。
「凛ちゃん、花陽ちゃん…無事だったんだね」
凛が、どこか少し元気の無い笑顔で答える。
「うん…何とか、ね」
「詳しいことは後で説明するんだけど、私たちは前に座っているあの人達に命を救ってもらったんだ」
花陽がそう続けると、女性が振り向き口を開いた。
「お目覚めかしら、高坂穂乃果さん。 何か異常は無い?」
「はい。見たところ何もなさそうです…穂乃果、気分は大丈夫ですか?」
隣に座っていた海未に聞かれ、穂乃果は何も言わずコクンと頷いた。
「…大丈夫だそうです」
「そう。なら良かったわ。あなたたちμ’sのリーダーと聞いてるあなたが起きてから自己紹介をすると決めてたのよ。正直、今何が起こってるか分からないでしょ?」
そう流暢な日本語を話すその知性的な顔立ちをした女性は、確かに何かを知っていそうだった。
「あなたが起きるまでに軽い自己紹介はしたんだけど、あなたにはまだしていないからもう一度するわね。 まず、私はヴィヴィアン=グレアム。『2015年海上事件調査本部』において古生物学者として所属しているわ。現在は『巨大生物対策本部』に変わったけれどね」
それを聞き、穂乃果は怪物の背ビレのニュースを思い出した。
「そしてこっちの運転してるのが、私が助手を勤めている芹沢猪四郎博士。同じく同組織の生物学者よ」
そう言いながら指を差されているその男性は、顔こそ運転するために前を向いて見えなかったが、紹介されても「よろしく」と言った限り無言で、真面目そうな雰囲気を放っていた。
「それと私たちをあなたたちへ導いてくれたあなたたちの本当の恩人…小美人さんたちよ。そういえば、皆さんには名前だけしか紹介してなかったわね」
彼女がさっきまで隣に置いていた箱を開き、開いた面をメンバーたちに見せると、メンバーの間に、感嘆の声が上がった。
「「初にお目にかかります、μ’sの皆さん」」
可愛らしい声の主たちは、15センチ程の大きさしかない南方風の格好をした二人の女性。
彼女たちは首を傾げるような動作とともに、笑顔で会釈をした。
九人の少女たちは目の前のことがしばらく信じられず、あんぐり口を開けていた。
「よ、妖精…!?小美人って聞いた時は比喩か何かと思ったけど…本当にこんなに小さいなんて…」
メンバーたちの動揺を代表するような絵里の驚きを見透かしていたかのように、小美人の内の一人が澄んだ声で答えた。
「まあ、この国ではそう呼ばれるものと思って頂いて構わないでしょう」
右に立っている小美人が口を開く。
「私たちは此処から何十キロメートルと離れたインファント島という島より、あなた方を探しに来て参りました」
「私たちμ’sを…探して?」
「はい、そうです」
「じゃ、じゃあ、何で私たちを探しに来られたんですか?」
花陽の質問に左の小美人が不思議な顔をする。
「?…さっき芹沢博士達からお聞きにならなくって?」
「あ、…そう言うことじゃなくて…何で私たちなんだろう、って」
ああ、それはと答えようとした小美人の横で、芹沢博士が背を向けたまま話に割り込んだ。
「君たち。もうすぐ我々の本拠地に着く。詳しいことはそこで話す方が良い」
メンバーたちの視線は、自然と窓の外に向けられる。
視線に飛び込むのは街灯のみによって照らされる閑散とした真夜中の住宅街。
街の被害が見られないことからして、どうやら東京の郊外辺りのようだった。
「こんな所に本部があるなんて…」
政府が発足した組織がこれほど都市から離れていることに真姫が疑問を呈している内に、彼女たちを斜め前からまぶしい光が照らした。
何だろうと思い目を細めていると、そのライトは車の真横に移動していき、鳴っていたエンジン音を止める。
やがてその車輌のドアがバタンと閉まり、誰かが砂を踏む音が鳴る。
それが近づくにつれ、彼女たちの緊張が否応なしに高まっていく。
「…大丈夫だ。話はつけてある」
芹沢博士はそう言うと車窓を上げ、首元に掛けたカードを差し出しながらやって来た二人の自衛隊員らしき男に話しかけた。
「芹沢だ。グレアム博士も同伴、そして例の少女たちも連れている。通してくれ」
「分かりました」
男たちはコクンと頷き、チラリとμ’sのメンバーを見たかと思うと車輌の方に戻っていった。
再び芹沢博士たちを乗せた車は動き出し、「巨大生物対策本部」と書かれた看板を抜け、その奥の建物へと向かっていく。
「海未ちゃん…大丈夫なの?この人たちについていって」
穂乃果が疑わしげに一番前の二人を見つめ、声を潜めながら呟いた。
「…確かに、私も最初に『ついてきてくれ』と言われた時は驚きましたが…しかし、実際に凛と花陽の命を救って下さいましたし、怪しげには見えなかったので」
「そして、穂乃果ちゃんには本当に申し訳ないけれど、八人でこれからどうするかちょっと話し合ったの。それで、芹沢さんの…あの言葉で決めたの。この人達に案内してもらおうって」
「あの…言葉?」
ことりの言葉に怪訝な顔をする穂乃果。
そこににこが左前の席から顔を出して言った。
「えぇ…最初聞いた時は私も信じられなかったけど…あの人達、あんな真面目そうな顔で言ったのよ。
君たちなら、あの怪物の被害を食い止められるかも知れない…ってね」
穂乃果はまるで夢を見ている気分になった。いや、もしかしたらあの怪物も含めて悪夢だったのでは無いだろうかと考える。
「私たちが…アイツを止める…?」
そうおうむ返しする事しか、穂乃果には出来なかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ごめんなさいね…随分暗いでしょ?」
箱を持ったグレアム博士の声が響く中、地下四階を示すランプが薄暗いエレベーターの中にオレンジ色を灯らせる。
「詳しいことはこちらの投影室で話す。着いてきてくれ」
芹沢博士が先頭に立ち、次は点滅する白熱灯が照らす廊下を歩いていく。
白衣や自衛隊に似た制服を着た道行く人たちの好奇な視線が、μ’sのメンバーたちに集中する。
「私たち…浮いてるわね」
絵里が周りの視線を気にしながら呟くと、希が答えた。
「そりゃあな…こんな政府のお膝元の組織に女子高生が居る自体あり得んことやし…」
「でも…本当に私たちは何をすることになるのかしら…」
そのうちに芹沢一行は床から天井まであるウィンドウがある場所に来た。
それとなくその外の景色が気になった彼女たちはチラリとそちらを見る。
瞬間、メンバーたちは思わず息を呑んだ。
「う、嘘…こんな…」
ことりの独特な声が上ずった。
「大きな…鳥さんがいたなんて…」
それは、巨大な翼に身を包んだ約高さ70メートルの大怪鳥。
その精悍ながらも恐ろしげな顔は、嘴を閉じ、目を瞑っている。
「この地球は…こんなに怪物の蔓延る星だったのですか?」
驚きを隠しきれない様子でいる海未に芹沢が答える。
「その怪物についても説明しよう。君たちにも決して無関係ではないヤツだ」
変わりなく歩みを進める芹沢博士とグレアム博士の後ろ姿を、にこは歩きながらじっと睨んでいた。
「…日本政府が発足した『対策組織』の地下に、名前も知られてない巨大生物…一体、これはどういうことなの…!?」
やがて数分も経たない内に一行が『投影室』と書かれたネームプレートが据え付けられたドアの前に着くと、グレアム博士が鍵をスーツのポケットから取り出した。
「散らかってて足元が危ないから、気をつけて」
そして鍵がドアの鍵穴に差し込まれ回される音が響く。
彼女と芹沢が入った後にμ’sのメンバーたちが入った先にはー
暗闇の約八畳の部屋に立ち並ぶ埃を被った本棚。
それに隙間なく敷き詰められている無数のフィルム、VHSカセット、そして資料ファイル。
真ん中には部屋に合わせたような縦に細長い机、そして積み重なった資料と置かれたプロジェクター。
一番奥にはプロジェクターによって右下に『1954年○月○日』と映し出された、静止したモノクロで描かれた海が唯一部屋を薄暗く照らしている。
「さて…九人とも、かけてくれ」
プロジェクターの近くに来た芹沢博士がそう言い、九人はあちこちに目が引かれながらも椅子にそれぞれ腰かけた。
全員が座ったのを確認すると、グレアム博士は机に置いた箱を開けて小美人の声が聞こえるようにしてから静かに口を開いた。
「…では始めるわね。
あなたたちにとっては余所者が改めてこんなことを言うのは気に触るかも知れないけれど…今回の件で星空さんと小泉さんから事情を聞いて本当に私たちは胸が苦しい…
あなたたちは大切なもののために一年間頑張って来ていたのに、よりによってあんな形になるなんて…」
メンバーたちの目が伏せられ、部屋の空気が重くなる。
「でも、命がけだけど恐らくあなたたちにはまだ守れるものがある…
この東京という街、そして多くの人々の命よ」
メンバーたちの視線が上がる。
「ど…どういうことなんですか?」
花陽が質問すると、グレアム博士に目で合図された芹沢が発言する。
「それはこの後説明する。まずは『彼』を説明した方が分かりやすい」
「彼」という言葉に反応を示す彼女たち。
「知って…はるんですか?…アイツのこと…」
希の問いに、芹沢はゆっくりと頷いた。
「…あぁ。我々は六十年ほど前から『彼ら』を研究していた。一般的に『彼ら』のような人智を超えた生命力、戦闘能力、そして体長を有する生物を、我々は
『怪』しい『獣』と書いて『怪獣《KAIJU》』と呼んでいる」
怪獣。
全く聞いたことのない、だがしかし彼らを言葉で表すのに違和感のない響き。
芹沢は続ける。
「そして数時間前この東京に上陸した、怪獣王とも、破壊神とも、はたまた水爆大怪獣とも称される、その怪獣の名は…」
メンバーの間の空気がピンと張り詰め、心臓の鼓動が早まる。
彼女たちの物語を一瞬にしてぶち壊した、あの大きな存在の名前。
それはー
「…ゴジラ《GODZILLA》。我々は、そう呼んでいる」
はぁ、やっと次からμ'sも「怪物」じゃなくてしっかりと「ゴジラ」って言ってくれますね…(;´Д`)
此処までゴジラをどう呼ばせるかに無駄な労力を費やしてますわ…^^;
次はゴジラは何故東京を襲ったのか、そして怪獣達は何故この世界にいるのか…いよいよ明かされます。