ファイナルライブのチケット外れたぁぁぁぁぁぁ!!
せっかく最後のライブで感動しつつ聖地巡礼したりしようと思っていたのに…(泣)
仕方ない!ここは私の創作、そして想像で補ってやるー!
というわけでもう一つの物語十四話、少女たちはその夜…
説明文がまた多くなって申し訳ないです…
「それじゃあこれで。ちょっと狭いけれど、あいにくあなた達の人数が入れるほどの部屋はここしかないから。ごめんなさいね」
グレアム博士は申し訳なさそうな顔をμ’sに向けた。
「いえいえ、うちらにはもったいない位で」
希が両手を振って謙遜する。
「随分遅くなって申し訳ないわ。暖房はつけてあるし、毛布や布団も用意しておいたけど…何か必要なものがあったら言ってね」
もう既に時計の針は、午前1時を指していた。
「心遣い、ありがとうございます…さっきはつい責め立ててしまい、すみませんでした…」
絵里もペコリと頭を下げる。それにグレアム博士は首を横に振った。
「そんな…むしろ私達が謝る側よ…作戦は午前4時頃開始だから、しっかり今のうちに体を休めてね」
「「はい!」」
そう返事する彼女たちの中には、いくらか不安そうな表情をした者も混じっていた。
「じゃあ、おやすみなさい」
その声と同時にガチャリとドアの閉まる音がした。
しばらく、無言の時間が訪れる。
その後、にこは床に座り込んで一番にため息をついた。
「みんな、さっき聞いた話信じてる?私はまだ信じきれないんだけど」
何分か前に小美人から告げられた作戦内容。
それは、彼女たちの常識、予想を遥かに上回るものだった。
彼女達小美人の故郷インファント島には、彼女らとその島の原住民、そしてもう一匹、守護神として崇められる、美しい蛾の姿をした怪獣が暮らしていると言う。
その名はモスラ。
地球上の生命のバランスを保つ役割を担っていく、いわば「生態系の味方」。
そのためゴジラとは対立し、彼が出現してすぐに核をぶつけられて沈む度に封印をしていた。そのことで殺すとは行かなくともゴジラの出現ペースを遅らせ、従って人類による核攻撃の頻度を減らすことでなるべく生態系の乱れを抑えようとしていたのだ。
だがそれは一時的なものに過ぎない。モスラ達はゴジラを本格的に鎮める為にある条件を満たす者たちを何十年も探していた。
外からが駄目ならば、内から鎮めなければならない。
それに耐えられるのは、非常に強力かつ奇跡的な結束力を持つ者。
そして2014年、彼女らはついに強力な「絆」の反応を感じたのだ。
μ’sという、特別なつながりを持った少女たちを。
彼女らによれば、精神接続、ドリフトは、相手が怪獣のため接続者の精神にとてつもない負荷がかかるという。
そのため、接続者にはある程度の人数、そして「絆」が必要とされる。
そして作戦概要が説明された。
まず午前4時頃に付近に到着予定のモスラに九人が乗り込む。
出発してからは東京の街の上空を飛行し、ゴジラの元へ急ぐ。
ゴジラに攻撃されない内にモスラが彼女たちとゴジラの精神接続を行い、μ’sは彼の精神を乗っ取り彼の行動を支配する。
そして彼に海に移動するように操作し、それでラドン、キングギドラを引き付ける。
その後は彼らに潰しあいをさせ、残った者とモスラが戦う。
残った怪獣は決戦で体力を消耗していると考えられるため、モスラは強力な封印を使って永遠にそれを封じ込める。そういう寸法だ。
それを言う小美人の目はあくまでも真剣だった。
この街を、ここの人達を救いたいのならば、どうか自分たちを信じて協力してほしいと言った。
「あの時は断れなかったけど…正直に言うと私は怖いな」
花陽が毛布を膝にかけて俯きながら言う。
「やっぱりあんな怪物に立ち向かうなんて、普通に考えたら女子高生には無理って思っちゃうし…
それに私ってみんなと違って弱虫だから、どうしてもあの光景が頭に浮かんじゃって…
立ち直れないの」
花陽が瞳に涙を浮かべかけた時だった。
「怖いのは、みんな同じだよ?」
彼女は顔を上げる。
前で屈んでその言葉をかけていたのは穂乃果だった。
「そして、悲しいのだってみんな同じ。私だって今、泣きたいなら泣きたいんだよ?
でもね…この九人がいる限り、私たちはまだ物語を紡ぐことが出来る。立ち上がることが出来る。
大切なのは、怖さと悲しさを受け入れて、それでも仲間を信じる勇気だと思う。
…だからね、花陽ちゃん。弱いのは自分だけだなんて思わないで。
お互いの弱さを支えあい続けて、μ’sは夢を叶えてきたんだから」
「…そうだよね」
花陽は、涙を手で拭った。
「みんな…一緒に頑張ろうね…!」
彼女が小さな声ながらそう言って笑顔を見せると、他のメンバー達も頷く。
すると、にこが負けじと立ち上がる。
「…花陽までそう言うんじゃ、私も弱音なんか吐いてられないわね!
あんた達! 絶対あのデカブツを私たちの魅力でメロンメロンにしてやるわよー!
もちろん、この私がセンターでね!」
「…にこちゃん、自分が一回しかセンター取れてないからって主張し過ぎにゃ」
「凛!! あんたもここぞという時に言うんじゃないわよー!!」
「ちょっと! ここはよそ様なのよ! 静かにしなさい!」
相手は手強いだろう。
きっと恐い思いもするだろう。
だが、この九人なら信じることが出来る。「絶望」という壁は壊せるもの。倒せるものだと。
―――
「…どうやら、覚悟は出来ているようですね」
グレアム博士が安心した顔で、資料の束をパソコンに向かっている芹沢博士の隣に置いた。
「そのようで何よりだ。…我々には無いものを、彼女たちは持っている」
その言葉に頷くグレアム博士。
「そうです。あの一見バラバラな九人の少女があれほど一丸となって、個性を失わずに一つの方向に向かっていける。…並々ならぬ結束力です。小美人の言っていることも良く分かります」
「私はろくに青春を送っていないからな。今を生きる彼女たちが羨ましくもある」
そう言いながら、芹沢博士は手元のペンダントを見た。そこにはめ込まれているのはー
八時十五分で止まった腕時計の針。
「…博士…」
「あぁ、すまん。また話しそうになってしまった」
そう言うと、芹沢博士はそれを大事そうに服の下に仕舞い込んだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――
少女たちが寝静まる中、部屋の隅っこにある小型のテレビの画面がポツンと点いている。
そこに映っているのは、どのチャンネルも怪獣災害のことばかり。
今それを観ている絵里と希の目の前に映っているのは、避難所の公園の様子。
アナウンサーが取材に応じた人と話をしている。どうやらゴジラが通りすぎた後らしく、周りの建造物は崩れているものが多い。そこにいる者たち全てが陰鬱な顔をしており、インタビューをされている母親に抱きつく赤子の泣き声がやけに大きく聞こえてくる。
『…夫は私とこの子を家に逃がしてから…財布を取ってくると言って戻っていって…そのまま…あの恐竜に、家ごと踏まれて死にました…あの怪物を、絶対に、絶対に、許さないで下さい』
母親の所々が涙で途切れた言葉は実に痛々しい。
「…エリち…いくらスマホが充電切れてるからって、テレビに出るとは限らんよ?」
「そうだけど…姉として心配よ。少しでも目をこらさなくちゃ」
絵里は希の言葉にお構い無く、画面を凝視する。
すると、向こうから誰か二人の人影が見えた。
『…すみません、テレビの人…ですよね?』
その内の一人が、アナウンサーに声をかける。
聞き覚えのある声。
『!!…はい、どうされましたか?』
絵里は、驚きのあまりに両手を口に当てた。
希も、「そんな、まさか」と言葉をほとんど発せられずにいる。
『私たち…スマホも落としちゃって、家族と連絡する手段が無いんです。インタビューの邪魔になるし、自分勝手だとは分かってますけど…それを承知の上で、少しだけでも時間を取って映して頂けませんか』
その顔が、映される。
その正体は、雪穂と亜里沙であった。
ゴジラから逃げる際に転んだのか、服の至るところが破け、所々を擦りむいていた。
だが、二人は確かに絵里たちの前で生きていた。
「…二人とも……!! 穂乃果…あなたの妹たち、ちゃんと生きてたわよ…」
涙を溜める絵里の見つめる先で、穂乃果は安らかな寝息を立てていた。
やがてアナウンサーが映して良いか聞き、少しの間が経ってからOKが出た。
『どうやら問題ないようですので、お二方共にお願いします』
『あっ…ありがとうございます!』
やがて画面の中央に映し出される二人。
絵里は思わず身を乗り出す。
最初に雪穂が口を開く。
『お姉ちゃん…お母さん…お父さん…。いろいろ心配かけたと思うけど、私、雪穂はちゃんと生きてます。この『○○公園』にいてるので、もし無事だったら…もし無事で私を探してたら、ここに来てください。…出来れば…早く、会いたいです』
「大丈夫よ、雪穂…あなたのお姉ちゃん、穂乃果はここでちゃんと寝てるわよ」
絵里は必死に不安の涙を堪えようとする雪穂に呼び掛けるように答える。
続いて、こちらも涙を溜めた亜里沙が前に出てくる。
『…お姉ちゃん…』
「…亜里沙…!」
『私…怖いです。さっきまであの火を吐く怪物に追いかけられて…今でも足が震えてます』
そう言う彼女の細く小さな体は、確かに小刻みにプルプルしているように見えた。
「あぁ…可哀想に…」
今目の前に二人が居れば、抱きしめて安心させられるのだろうが、今は出来ない。
『どうか、μ’sのみんなで生きてて下さい…そして、どうかお姉ちゃんの笑顔を再び私に、見せて下さい…』
「お姉ちゃん、約束するわ。絶対に全員生きて帰って来るから! アイツに…勝って見せるから!!」
いつの間にか絵里の頬からも、亜里沙の頬からも、涙が伝っていた。
『…私達は、もうこれで良いです。ワガママに付き合って下さい本当にありがとうございました』
『いえいえ。…家族の皆様に伝わっていることを、私も祈っております』
やがてその二人はアナウンサーに頭を下げながら暗闇へ溶けるように去っていった。
「二人とも…ちゃんと無事でいるのよ…」
絵里は涙を静かに拭きながら、妹たちのしばしの無事を祈った。
ふと、絵里は周りを見渡す。
『…あれ?希は?』
――――――――――――――――――――――――――――――――
「…家族の心配については一段落、てとこやね」
ため息をつきながら、希はお手洗いを出た。
少し歩くと、ドアが開けっ放しでずっと光が灯っている部屋が有った。その中で、丁度グレアム博士がなにやらうつらうつらとしながらパソコンを打っている。
『お疲れさんやなぁ…』
ふと興味を持った希は部屋の中に入る。
そこはまるで何かの管制室のようであり、あちこちに計器類が立ち並んでいて、巨大なモニターにはラドンの姿が映し出されている。その割には人は少なく、向こうの芹沢博士を含んでも人数は五人程しかいない。
「こんな遅くまでお疲れ様です、博士!」
彼女に近づきながら希が呼び掛けるとグレアム博士は突然目を開け、はっとした顔になった。
「あ、あら、東條さん!? ごめんなさい、私としたことが寝かけてたわ」
「仕事中に寝ちゃうなんて…博士も可愛い所あるんですね♪」
希の意地悪な言葉に、彼女は初めて屈託ない笑顔を浮かべた。
「フフッ…ありがとう。そんな言葉、貰ったのは何十年ぶりだわ」
「な、何十年ぶり!?そんなに此処って仕事一筋な人ばっかりなんですか!?」
「仕事が仕事だけにあまり自分のプライベートを喋りたがる人が少ないのよ」
「そんなぁ…みんなでワイワイ話し合って仕事した方が楽しいのに決まってるやろうに…」
「だから数十年前からそんな中に居ると、今のあなた達が凄く輝いて見えるわ。
私も出来れば二十年位前に若返りたいものよ…」
「あれっ? ということは、今の博士の年齢は…」
「あぁっ!言わないで!」
神妙な顔で指を折って年齢を数え始めた希に、グレアム博士が止めにかかる。
年の差を越えたガール&ウーマントークに、芹沢博士は呆れた笑いの表情を浮かべる。
「グレアム博士。私は何十年前から君を見てるが、そんな顔をするのは初めて見たぞ」
希は最初会った時は少し身構えていた二人の砕けた会話を、微笑ましい気分で見ていた。
「でもウチは…こう見えてμ’sに入る前の人生は、自分で言うのも何ですけど大分変わってたんですよ?
親の転勤で日本のあちこち巡ってたりしてて、友達なんていないも同然やったんです」
「そうなの…」
「でもこうやって素敵な仲間と出会えて…私があの学校、この街に居たことは奇跡なんやって生まれて初めて思えたんです」
希は二人に向かって微笑んだ。
「やから、今こうやってあの化け物に立ち向かうのも、あまり怖くないんです。
まだまだこの運命に結ばれた九人がいれば、何とかなるって思えるから」
二人の博士は無言で頷き、手を差しのべる。
「あなた達…本当に強い絆で結ばれているのね。きっと、作戦は上手く行くわ」
「心強い言葉、感謝する」
しっかりと確かめるように、笑顔で手を握り返した。
「こちらこそ」
希は、そうとは気づかずに笑顔を返す。
やがてそっと手を離しそれでは、と部屋を後にしようとした希は、ふと思う所があって振り返った。
「そういえば…お二人とも昔は何されてたんですか?」
芹沢博士の顔が少しだけ硬直し、グレアム博士が迷うような表情を浮かべる。
芹沢は表情をあまり変えないようにして口を開く。
「…特には。それほど聞いて面白みのある人生ではない」
「そ、そうですか」
あまりこれ以上聞くのは良くない、という空気を希は感じた。
「そんなことより、数時間後には作戦開始だ。少しでも多く睡眠を取った方がいい」
希は何だか釈然としない何かを感じながらも、芹沢博士の言葉に従うことにした。
「…分かりました。お二人も無理しないで下さいね?
…じゃあ、お休みなさい」
彼女が小さく手を振ってそう言うと、芹沢博士も答えた。
「ああ、我々も気をつける…お休み」
希は何かを考えながら廊下を歩いていった。
「芹沢博士…本当に良かったのですか?」
希の背中を見送りながらグレアム博士が聞く。
「…私のような者の昔話など、誰も聞く必要は無い」
「…でも、あなたは…!」
「今彼女たちがそれを聞く意味はあるか?彼女たちにいらぬ心配を掛けるだけだ…彼女たちμ’sには、彼女たち自身のためにこの作戦を実行してもらわなければならん。そうだろう?」
それっきり、グレアム博士はしばらく口を聞かなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
…動けぬ。
それが、意識を持った「彼」の最初の感想。
こんなにも、強者の気配が近くに「二つ」もあるのに。
体が「戦え」と命令しているのに。
動けぬ。
意識が冴えてくるにつれ、内臓の奥からふつふつと沸き上がる何か。
誰に縛られているのか、縛っているのは何かなど、見当も付かない。
ただ一つ、何者であろうと自分の自由を束縛し、戦うのを邪魔するならー
ーぶったぎるだけ。
「―――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!」
甲高くけたたましいながらも、まるで渦巻くような重低音が狭い空間内に伝わる。
いまここに空の大怪獣「ラドン」、完全復活。
というわけで予想外の事態、発生。
ラドンの鳴き声、私好きなんですよね~。
先人たちが作り出した独特な咆哮も、怪獣の醍醐味!!
後、モスラが2014年のGODZILLAっぽいオリジナル設定になってますが…お許しください(土下座)