ラブライブ!×ゴジラ 破壊神と九人の女神   作:Misma

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またまた遅れてすみません!
この頃、学校の忙しさのあまり投稿が安定しなくなりましたorz
不定期更新になってしまうと思いますが、なるべく早く投稿するのを心がけるので暖かい目で見守って頂ければ嬉しいです…


希望

ゴジラと精神を繋いだ直後、μ’sは光のトンネルを抜けて深い闇へと突入した。

其処からは、ひたすら黒の中を突き進んでいく。

想像こそしてはいたが、予想よりも周りは全く何も見えず、先ほどの光が嘘のようだ。

穂乃果は慣れた様子であったが、後の八人は初めて見る景色に緊張している。

 

「これが、ゴジラの心の中…殺風景なものですね」

 

海未が周囲を見渡しながら虚しそうに呟く。

何処までも続く暗闇で、唯一自分たちだけが色を有している。

 

「ゴジラも、所詮は本能に忠実な動物の一種ってことね。まぁ、普通恐竜が複雑な精神構造を持ってるとは考えられないし」

 

真姫が至極もっともなことを言う。

 

「なんというか、アイツの印象そのまんまよね。

実際のところ、アイツはただ本能の赴くままに歩いてるだけじゃないの?」

 

にこがそう聞くと、穂乃果は首を横に振った。

 

「違う。ここはまだ、彼の心じゃない」

 

「じゃあ、穂乃果ちゃんがアイツを夢で見た時はもっと違ったの?」

 

凛が首を傾げて訪ねると、穂乃果はじっと見えない地面を見つめる。

 

「うん…全く違う。こんな感じじゃない。

何かゾワゾワッ! ビクビクッ!って感じ。…分かる?」

 

「全然分かんないにゃ」

 

あまりの言い表しにくさに言葉が詰まる。

殺意と威圧感、と言えばいいかも知れないが、自分がその時感じたソレを表現するのに、その言葉では不十分であった。

上手く言い表す表現はないかと穂乃果が考え込み始めたその時。

 

 

「――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

大地を分かつような咆哮が、九人の鼓膜をはち切れそうなほど揺さぶった。

同時にその黒い「何か」がどっと洪水のように押し寄せる。

彼女たちは穂乃果が言っていたモノを体で概ね理解した。

全方位から自分たちを押し潰そうとする、殺気にも近いプレッシャー。

彼女たちはすぐに立ち止まって辺りを見回し、その発生源を探す。

 

「これは…奴の中に近づいてるってことかしら」

 

絵里が耳を押さえながらそう言った。

そのまま、その音は際限なく大きくなっていく。

 

「いえ、これは…

相手の方から近づいているようです」

 

海未の言葉を受けるように、九人の少女の前に小さな青い炎がポッと出来る。

突然その炎は、爆発するように燃え広がる。

巨大な炎の塊は、あっという間に定まった形を作り始める。

それはまるで渦を巻くようにして口、鼻、牙という風に細部を形作っていき、

最後には青き光の中から、二つの真っ白い双眸が生み出される。

それは出来た時からずっと彼女らの方を見下していて、既に彼女らの侵入を知っていたようだった。

μ’sのメンバー達も、じっと彼を見つめ返す。

彼の目にはやはり感情は見受けられず、炎で出来た白目が余計に不気味さを醸し出していた。

しかし、今の彼女達は、あの時自分たちの無力さに泣き叫んだ少女達ではない。

 

「来たね…決着を着ける時が」

 

穂乃果がそう言いながら海未、絵里と一緒に集って目を瞑る。

仲間達の足音が、三人を中心として円を描くように取り囲んでいく。

 

「ユメノトビラ」の配置だ。

 

深呼吸する。隣の者の息遣いまでが静寂の中聞こえてくる。

 

「みんな、今この時、この瞬間、精一杯踊ろう。

そして、みんなで帰るべきところに帰ろう」

 

そして全員の息のタイミングが合った時。

 

穂乃果は、歌い始めた。

 

何処までも透き通り、染み渡ってゆくような声。

黒色が支配する空間に、女神の歌声が響き渡る。

次に三人で回るように、海未、絵里の順で歌っていく。

そして取り囲んで周りをゆっくり歩いていたメンバーは、歌に乗せて外に向かって一歩ずつ歩んでいく。

観客は、化け物一匹だけ。一見すれば異様な光景だ。

だがそれでも、あの時大勢の人が見てくれた時と同じ表情、同じ動きを彼女達はしている。

絵里が歌った後全員が片腕を空に向かって伸ばし、一瞬だけ音のない時間が訪れた。

 

だが、それも束の間。

彼女らの中心から、スポットライトが暗闇を照らす。

 

同時に、彼女達は解放されたかのように舞い始めた。

ステップを踏む度に弾ける笑顔。

悲しみなど吹き飛ばさんばかりの、元気に満ち溢れたダンス。

UTX学院の屋上で歌った時が、物語を叶えるための一歩を踏むためのライブだったなら、これはその物語を守るためのライブ。

その思いを胸に抱き、そして言葉に乗せていく。

本当の観客はゴジラではない。

それは自分たちを今まで応援し、支えてくれた人々。

光が、メンバー達を下から三人ずつ照らし出していく。

どんな辛いことも、この曲のように誰かの笑顔を見れば、たちまち乗り越えられる。

そんな気持ちを込めながら九人は優しく、力強く歌っていく。

ついには全員を光が照らし出し、曲のテンションは上がっていく。

そして、胸の前にハートのポーズを決めると―

 

クライマックスの始まりを、暗闇を一瞬にして支配してゆく青空と、九人を中心にして広がっていく色とりどりで可憐な花達が告げる。

 

 

「!!!!!!!!!!!!!!…!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

なだれ込む光に包まれ、ゴジラはもがき苦しみながら何かを叫んだ。

皮を削ぎ落とされるように、炎の勢いが一気に弱まる。

 

人間は強いんだ。

彼女らは手を振りながら、そう語るかのように高らかに歌い上げていく。

曲も終盤、穂乃果を一番奥とするようにメンバー達がトライアングルを作り、奥のメンバーから順に、お互いにステップしてすれ違いながらハイタッチを決めていく。

穂乃果は前に歩み寄って笑顔を見せながら両腕を広げー

彼女を前としたトライアングルの後方から前に向かって、決意を決めるように胸の前にガッツポーズをとった。

 

いよいよ最後だ。

穂乃果、海未、絵里が背中を向き合わせて空を見上げ。

それを後のメンバーが背中を向けて取り囲み、目を瞑りうつむきながら手を繋いだ。

九人は、再び目を開けながらー

遥か遠くの空を仰ぎ見た。

 

 

『ユメノトビラ』、終了。

 

 

僅かに残っていた弱々しい炎も、吹き飛ばされるように消えた。

後に頬を撫でるのは、希望を歌いきった彼女達を祝福するような、優しい風。

 

「…」

 

やがてポーズから体を解放する。

 

「…勝った」

 

穂乃果が透き通るような空を見上げ、大地を踏みしめながら呟いた。

余韻の間、メンバー達が次々に彼女を笑顔で見つめる。

思いっきり息を吸い込んで。

 

「私たち…勝ったんだ!!」

 

そう叫ぶ穂乃果の笑顔には、ちょっとだけ涙が浮かんでいる。

 

「穂乃果…!」

 

「穂乃果ちゃん!」

 

海未とことりが感極まった声で語りかけ、歩み寄る。

 

「勝ったの…?私たち…本当に勝ったの!?」

 

絵里が周りを見渡しながら言うと、希がにっこりした。

 

「μ’sは、本物の女神様になった。そういうことかもしれんね」

 

その横で、すすり泣く声がする。

 

「…ど、どうしたの、かよちん!!何で泣いてるの!?」

 

凛が話しかけているその相手は、花陽である。

思わずメンバー達も心配そうに見つめる。

 

「違う…違うの!」

 

首を振って涙を落としながら、彼女は言葉を何とか繋いでいく。

 

「私、今まで怖かったの…もしかしたら一瞬で全てを奪われちゃうんじゃないかって。

でも…今分かったの。みんなは強いんだって。

弱虫な私でも、みんなといれば強くなれるんだって。

だから…私、嬉しいの。今まで生きてきた中で、一番!」

 

言うと同時に凛がいつもより優しく抱きつく。

 

「かよちん…」

 

ややあってから、真姫がそっと両方の肩に手を置く。

 

「さぁ、余韻に浸ってる場合じゃないわよ。このあと小美人達にコイツの体を誘導してもらわなきゃ」

 

彼女らはゴジラの精神内から脱出し、モスラに操作してもらわねばならない。

 

「ま、そうね。早くみんなに元気な姿見せてあげましょう。

そしたら、たくさんの笑顔を見せて、みんなも笑顔にしていきましょう。

私たちスクールアイドルにとっては、それが一番の幸せなんだから」

 

にこの言葉にメンバー全員がうなずいた。

そして彼女達は歩き出す。

 

 

 

 

中央から黒く染まり始める、花園を後にして。

 

 

「…あれ?」

 

 

穂乃果が立ち止まった。

海未は怪訝に思って訪ねる。

 

「どうしたのですか、穂乃果?」

 

穂乃果は目線を下に向けたまま呟いた。

 

「足元が…」

 

つられてメンバー達も下を見るとー

 

色とりどりだった花達が、黒一色にペンキを塗っていくように染まってゆき、そしてしおれていく。

 

「何が起こって…」

 

海未が突然の事態に目を見開いていると、凛の声が響いた。

 

「みんな! 空の色が…!」

 

雲の色がくすんだ黄土色に、空の色が黒色へと変わっていく。

 

「…嘘でしょ…」

 

自分たちが歌った場所に、にこが後ろに振り向いた先ではー

さらに巨大になった青い焔の化け物の首が天高く雄叫びを上げていた。

 

「――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

希望が、真逆のモノにすりかわった。

あの二度と来るとは思っていなかったプレッシャーが、さらに大きくなって叩きつけられる。

いや、もはやプレッシャーでは無い。彼は膨大で明確な「憤怒」を彼女たちに向けていた。

すると、上空からポトリと一滴の水滴が穂乃果の額に落ちる。

拭って手の平を見るとー

黒色が彼女の視界に入った。

 

「黒い…雨?」

 

穂乃果が呟くと同時に水滴の落ちる間隔は狭まっていき、やがて彼女達の衣装をもたちまち黒く染めるようになる。

 

「何なのよこれ…歌が全く効いてない…?」

 

絵里が放心状態に近い表情で言うと、穂乃果は拳を握りしめる。

そして、黒い雨を全身に受け止めながら叫んだ。

 

「雨、止めぇぇぇぇ!!」

 

もう一度ラブライブに出るといった時は、確かに晴れた。

まるで彼女の決意を天が祝福するように。

 

「雨…止めぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」

 

晴れたはずだ。

 

「雨…止めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」

 

晴れた、はずだったのに。

 

「雨…止んでよ…何で…止んでくれないの…?」

 

黒い空と黒い花と黒い雨の風景は変わらない。

 

「あなたは…何者なの、ゴジラ…?」

 

膝を地面について、穂乃果は呟いて訪ねた。

当然返事はない。

 

「きゃああああああ!!」

 

誰かの悲鳴が聞こえた。

はっとして穂乃果が後ろに振り向くと、ことりがいつの間にか液状化した大地に引きずり込まれようとしていた。

 

「…止めて! 止めてぇっ!!」

 

高くひきつった声を押さえ込むように、地面はズブズブと彼女を飲み込もうとする。

 

「ことりちゃん!!」

 

穂乃果は急いで助けようとしたが、自分の足が動かないことに気づく。

足元を見るとー

両足に黒い霧のようなものが巻き付いて、彼女を既に足首まで引きずり込んでいた。

 

「イヤァァ!何をする気なのよ!!」

 

「誰か…助けてぇ…!」

 

「こんな…こんなところで…!」

 

複数の悲鳴が聞こえ、彼女が周りを見ると、メンバー全員も同様に足掻きながら暗闇に引きずり込まれようとしていた。

 

「『お前たちは無力だ』…そう言いたいの、ゴジラ?」

 

穂乃果は、突きつけられた現実に絶望の涙を浮かべながら。

 

 

 

暗闇の奥深くへと、ドロドロになって溶けていった。

 

 

 




ユメノトビラのライブシーン、pvを何度も見ながら書いたのですが、歌詞を乗せちゃマズいということで動きしか書いてないので、上手く表現出来ているかは疑問です…。
良く分からなかったら、動画でpvでも探して見ていただけると良いと思います。
特に非ラブライバーの方は…ねw
あれを暗闇の中ゴジラの目の前でやっていると思うと、なんかシュールですね(笑)
さて、次はいよいよゴジラ回と言ったところですかね。
彼女たちは一体何を見るのか…?
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