ラブライブ!×ゴジラ 破壊神と九人の女神   作:Misma

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「君の名は。」見てきました!
自分の身近なところではその映画の話で持ちきりで(中高生なんだから当たり前ですが)、ゴジラ好き&周りにゴジラ見た奴がほとんどいない作者は内心「ゴジラの話しろよ…!!」と見るまではこの映画に複雑な感情を持っていたのですが(苦笑)見てみたら…

本当に素晴らしかった!

繊細で芸術的な背景と共に繰り広げられる、入れ替わりから始まる、不思議で、儚くて、でも詩的な恋の物語はー
ただひたすらに、美しい風景でした。(影響乙)

…ま、個人的に一番盛り上がったのは、主人公達が終盤に山でアレするシーンと、彗星がアレするシーンなんですけどねw
とにかく、この夏は神映画が量産でしたね~。是非皆さん、両方見に行ってみて下さい!

後、今回は史上初の1万字超えでございます。(※後日、改訂により文字数は四桁となりました)
以前に「あのゴジラ」は出ますか?と聞かれて「出す予定はない」と申し上げたのです
が…
ちょっと、変わった形で出てきます。(別個体とは言ってない(汗))


祈祷

東京の空に、黒い巨体が浮く。

それを捕らえる、三筋の雷。

光線が途切れると、ソレは地上に落ちて轟音と共に土煙を巻き上げる。

そこに隙を与える間もなく再び雷が襲い、持ち上げ、そして落とす。

その繰り返しだ。

 

ゴジラとカイザーギドラ。

 

その怪獣の頂点を決める戦いは、とても戦いとは呼べぬほど実に一方的なものであった。

ゴジラが煙の中からいきなり飛び出し、顎を目一杯開いてカイザーの首の一つに噛みつこうとする。

それを許さぬとばかりにカイザーが放った雷が再びゴジラを直撃し、彼を向こうへと押し出していく。

先ほどの落下攻撃は思ったほど効果が出なかったのか、再び光線を放ち、今度は高くは持ち上げずに中空に浮かし、そのまま彼を横に凪ぎ払う。

ゴジラがそのままカイザーの周囲を一周ほど回ると光線が途切れ、ゴジラは数秒宙を舞った後に地面に落ちる。

 

住宅街を巨体によって一気に押し潰しながら、ゴジラは横向きに地に倒れた。

それを見逃さなかったカイザーギドラは、次は雷を一斉にそれぞれ三つの80メートル級のビルに放ち、宙に浮かせる。

立ち上がろうとするゴジラ。

その顔面に一つ目のビルがぶつけられ、再びゴジラを後ろに転倒させる。

それに追随するように二つ目、三つ目のビルが彼に激突し、大量のガラスの破片を撒き散らす。

ゴジラは悲鳴すら上げられずにビルの下敷きになっていく。

 

カイザーギドラは少し遠くの一つの建造物に目を付ける。

それは200メートル級の高層ビル。彼らの直立した時の身長すら超える高さである。

カイザーはそのビルに三本一斉に光線を撃ち、いとも軽々とビルを柱ごと引っこ抜く。

彼はそれを未だに積み重なったビルの下にいるゴジラの真上に運ぶ。

 

そしてー

重力を下方へ急反転させ、ゴジラを落下速度を加速させたそれで殴り付ける。

それを、持ち上げてからもう一回。また持ち上げてからもう一回と繰り返す。

 

「―――――――!!!!!!!――――――――!!!!!!!!」

 

土手っ腹でビルが砕け散って短くなるごとに、ゴジラは悲鳴ともとれる咆哮を何度も上げる。

不意に、ビルが空中で半回転する。

狙われたのは、目。

 

「――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

剥き出しになった尖った地下の柱が、ゴジラの左の眼球を貫く。

ガラスの破片に鮮血を混じらせながら、自らを襲う激痛にゴジラは絶叫する。

カイザーはそれを横へと投げ捨てると、今度はゴジラに向けて光線を発射。

瓦礫の山の中から光線に引きずられて姿を現したゴジラは、そのままカイザーの足元へと運ばれていき、そのままー

 

「………!!!!!!!!!!!!!」

 

三本の首に、一斉に腕や首へと噛みつかれる。

 

持ち上げられるゴジラ。

 

ゴジラはそれでも必死に抵抗し続けるがー

カイザーが噛みついた箇所から首の紋様に青い光が流れるように光ると、徐々に動きが鈍くなっていく。

両腕それぞれに噛みついた二本の首を掴む腕も力が弱まり、やがてダランと下がる。

 

「……………………!!!!!!!!!!………」

 

喉奥から絞り出すように発していた咆哮も

 

「……………………………………………………………」

 

途中から、全く鳴らなくなった。

響くのは、カイザーの喉を光が通っていく音のみ。

もはや王は、帝の餌となろうとしていた。

 

――――――――

 

「…ゴジラが…負ける…!?」

 

μ’sがゴジラとカイザーギドラの決闘を目の当たりにして絶句する中、誰かが信じられないような表情で言った。

あの無敵、不敗の王ゴジラが、目の前で倒されようとしているのだ。

 

「本当に…ゴジラは倒されちゃうのかな?」

 

凛が複雑な表情で彼女らに聞く。

 

「おそらく、今のままでは。

…しかし、二体とも封印する方法が、無い訳ではありません」

 

「…え?」

 

μ’sのメンバー達は小美人を見たまま、虚をつかれた顔になった。

 

「一体何なの? 詳しく聞かせて!」

 

穂乃果がその身を乗り出すと、小美人は念を押すように「落ち着いて聞いて下さい」と言い、少しの間の後静かに語り始めた。

 

「モスラはこの地球に生きる生命の声を聞くことが出来ます。

かつて私たちがゴジラの心を読もうとしたことは、覚えておられるでしょう?」

 

「そして今この瞬間、どんな状況にあっても生きようとし、平和を願う人々がいることは、ここからでも十分に確認できます。この作戦では、そういう人々の力を得る…つまり、協力していただくのです」

 

「日本中の人々に向けてあなた達の歌を発信してここへ意識を集中させ、収束させたその力をあなた達を媒介として精神干渉高周波に位相変換して発射し、あの二体を封印するのです。モスラ、μ’s単体では無理だったとしても、日本中の人間の協力を得れば、もしかすると…」

 

「…それは、日本中に向けて、ライブをしろ…ってこと?」

 

「その通りです。もしこれが成功したとしても、日本中に存在が知られたあなた達が、将来どんな状況に立たされるかは全く予測出来ません。それを認識した上でのこの作戦なのです」

 

「なるほど…もう、後先言ってられない状況ってことね」

 

「μ’sもいよいよ全国制覇…ってわけ? 

聞こえは良いけど、失敗した時のことを考えると喜んでばかりもいられないわね」

 

「つ…つまりは、日本中の人達に私たちの歌が届くってこと!?」

 

「でも、本当に応援が集まるか分からないのに、そんなのやって大丈夫なの…?」

 

希や絵里、にこは比較的冷静であったが、一部のメンバーは戸惑いの表情を見せていた。真姫が問い返す。

 

「…それなら、何で一回目のゴジラの時にそうしなかったのよ? 

あの時その方法を試していたら勝てたかもしれないのに…!」

 

小美人は、二人とも苦い顔をして彼女に答えた。

 

「この技も、ノーリスクで使えるものではありません。地球の守護神モスラは、あくまでも独立した生物…

このような大規模な攻撃は、地球の力を分けてもらわねば出来ません。地球の力を分けてもらうということは、どこかで必ずその「歪み」が現れるということ…

この先現れる災難を取るか、二体の怪獣の封印を取るか。

そもそもこの方法でも彼らを封印出来るのかも分からない状況下で、モスラがどちらを選ぶのかは明白です。

あなた達に何も言わなかったことは、本当に申し訳ありません。ですが、この地球の将来を考えるのも我々の役目なのです!」

 

「…いろいろ大変なのね、あんた達も」

 

にこが頭を下げた二人に同情するような眼差しで見下ろす。

 

「つまり…それをここで使うということは、彼がそんな災難を受け入れるに値するほど危険な存在、ということですね?」

 

海未が聞くと、二人はこくりと頷いた。そして、彼女らは全身に青い光が染み渡っていくカイザーを睨むように見た。

 

「あのまま放っておけば、カイザーギドラはゴジラの力をも手に入れ更に進化する可能性があります。

それこそ、この地球上の生命を根絶やしに出来る存在になってもおかしくないのです。

私たちは、それだけは絶対に避けたいのです」

 

初めて、彼女らの視線が鋭くなったように感じた。

 

「……そっか」

 

穂乃果がゴジラとカイザーを見ながら立ち上がった。

メンバー、小美人の視線が思わず緩み、彼女に向けられる。

 

「私、細かい話は苦手だけど…

…前回とは違って、たくさんの人達が私たちと一緒に居てくれるってことだよね?」

 

そう言って振り返った穂乃果に、小美人は無言で頷く。

彼女は、それを見ると決意を固めたのか、火の海に背中に照らされながらその語調を強める。

 

「それなら、私はやるべきだと思う!

だって、前回は九人だけだったのが、今回は日本中! 日本中の人が応援してくれるんだよ!?

絶対に負けるわけがないよ。

ライブだって9人と一人の観客より、応援してくれる人達がたくさんいた方が、絶対に盛り上がるんだもの!」

 

穂乃果はそこまで言うと、子どものように元気いっぱいだった表情を、少しだけ微笑みを残しながら引き締めた。

 

「私は例えどんなに希望が薄かったとしても、私たちの物語を捨てることなんか絶対したくない。

…みんなは?」

 

彼女がそう聞くと、ことりが前に出て口元で僅かに微笑む。

 

「穂乃果ちゃん…私も同じだよ。 きっと、みんなもそう感じてる。

どんなに一人一人が無力だったとしても、みんなの力を合わせれば無限の可能性が見えてくる。

…ね、みんな?」

 

彼女の言葉に、残りの戸惑っていたメンバー達も表情を変え、頷いた。

 

「…どうやら、満場一致で賛成のようですね。

小美人さん、私も喜んで賛成しましょう。

この街に、日本中に、希望を届けるために」

 

海未がそう言って小美人に向き直って告げると、彼女らの表情は一気にほころんだ。

 

「ありがとうございます…そう言って下さると信じていました。

私たちはいつでも大丈夫です。モスラと共に、あなた達を全力でサポートしましょう!」

 

「よし! そうと決まれば早速、全員配置に着こう!

絶対に今度こそは勝つつもりでやってやるにゃ!」

 

凛が真っ先にモスラの背に掴まる。

それを合図とするように、メンバー各々が各々頷き合う。

そして九人が一斉にゴジラとカイザーギドラに向け、モスラの背に並んだ時。

 

「…最後に聞きます。もしかしたら、本当にこれで親しい人に出会うことはないかもしれません。

…それでも、行く覚悟はありますか?」

 

小美人が確かめるように問うとー

 

彼女達は迷うことなく。

 

「「はい!!」」

 

天に届くほど大きく、高く返事をした。

 

―――――――――――――――

 

「…搭乗者9名を乗せたモスラ、ゴジラとキングギドラに接近中。

ゴジラ、カイザーギドラ、両者に反応する気配はありません」

 

芹沢博士、グレアム博士、そしてステンツ司令官は、上空から映された街並みの映像を、並んで静かに見守っていた。

 

「…いよいよ反撃ね…大丈夫かしら」

 

グレアム博士が不安そうに呟いたその一言に、ステンツは顔を一瞬しかめて口を開く。

 

「どうしたのです、グレアム博士。ここで彼女達を一番信用しているのはあなた達二人のはずでしょう」

 

彼の言葉に、彼女は少しその顔に苦笑を浮かべた。

 

「…えぇ、私たちだって彼女達のことは全力で信じたい。それは本当です。

しかし、どうしても先の失敗が頭に浮かんでしまって…」

 

「全く、私にはあれだけヒステリックに急き立てておいて今頃そんなことを言うとは、随分と都合が良いですな」

 

そう皮肉っぽく薄笑いしながら言ったステンツに、芹沢博士は怒ることもなく答えた。

 

「それも彼女らを心配するが故だ。我々も、あのような少女達をあのような場に行かせるのは、他の方法があれば止めている。

大の大人達がこうして遠く離れ、モニターの前にいるしかないというのは実に滑稽なものだ。

しかし、今はこの可能性に賭けるしかない。だから私達はこうやって祈っているんだ」

 

「…ま、好きにすれば良いでしょう」

 

ステンツは画面を見つめ直した。

 

「モスラ、ゴジラとキングギドラの頭上に停止!

モスラに発光現象が起きています!

緊急事態用の救急ヘリ、モスラより半径2.5km上空に滞空中!」

 

「上空3.85kmに高エネルギー反応!モスラの高度とほぼ一致します!」

 

「依然として、ゴジラ、キングギドラ双方に視認上での変化は認められません!」

 

三人が見る画面の中には、ゴジラとカイザーの上空で周回しながら光輝くモスラの姿があった。

相手の変化に気づいているはずのカイザーは、それでもゴジラからのエネルギー摂取を止めようとしない。

 

「…キングギドラの奴、やけに余裕の態度をかましていますなぁ。

明らかにモスラとμ’sを格下に見ているようにも見える」

 

「『ゴジラにすら倒される奴ら』程度に見ているのだろうな。

奴自身、別形態に移行する猶予も持ち合わせているのだから、ほとんど気にもかけていないだろう」

 

「…彼がこのために力を温存していたとは…」

 

グレアム博士は、うつむいて胸の前で拳を握った。

 

「どうか…打ち勝って」

 

芹沢博士とステンツはいつの間にか彼女に視線を向けていて、考察を中断していたがー

 

 

「モスラ、重層同心円型の可視エネルギー波を射出、急速に拡がってゆきます!

最大到達距離は、半径4.0km….9.0km…15.0km…45.0km…!?

音速すら超える速度です!

…日本領土全域に達しました!」

 

モニターから溢れる眩い光に、指令室内の人間達の目線が一気にモニターへと向く。

芹沢達三人は同時に眼を細め、光が止むのを待つ。

だが、一向にそれが収まる気配はない。

 

「これは…何をしているんだ!?」

 

ステンツが思わず画面から目を背けて叫ぶ。

 

「…全く、私にも想像がつかん」

 

科学者である芹沢博士すら、唖然としながらただそう言うしか手立てはない。

 

「…!!

ちょっと、良く見てみて下さい!」

 

グレアム博士がそう叫んだ時には、少しずつではあるが光は弱まってきていた。

後の二人も恐る恐る目を向ける。

 

 

「「……!」」

 

 

彼らは画面に映っているモノを見た瞬間口を開いたままになり、そのまま動かなかった。

それは室内にいる部下達も同様で、誰一人としてキーボードを打つ者はいない。

 

 

「あれは…!!」

 

 

光の中心にいる存在、それを一言で言い表すなら。

 

もうひとつの太陽に包まれた、女神達。

 

――――――――――

 

 

「何…あれ…」

 

 

自衛隊による避難を待っていた雪穂、亜里沙、そしてその家族、いや、そして周りの何万人もの避難民は、海岸の向こうの街の上空に浮かぶ「太陽」に目を奪われていた。

 

「綺麗…」

 

まるで神を見たかのような表情をする亜里沙。

 

「私、夢でも見ているのかも…」

 

目をごしごし擦りながらその光景に、雪穂もまた見いっていた。

 

「…………」

 

雪穂、穂乃果の父は相変わらず何も喋らず、だが口は気が抜けたように開ききっている。

 

「何なの…これは…」

 

母の方も、言葉がほとんど出てこない。

それほどまでにその光は、まばゆく神々しかった。

 

だが、次の瞬間レーザーのような耳につく音が耳をつんざいた。

 

「っ!?」

 

そこにいた全ての人々が耳を塞ぐ。

それはほんの数秒間続き、止んだ。

音が収まると、人々は少しずつざわめいていく。

そんな中ー

 

『皆さん、聴いて下さい!!』

 

雪穂の耳に、女性の声が響いた。

そしてそれは、彼女が何処かで聞いた声。

 

「………………………………お姉ちゃん?」

 

雪穂は、気のせいではないかと無意識に周りを見渡す。

だが、そこにいる誰もが何かを探すかのように周囲を見渡していて、異様な静けさが場を支配している。

そして我が姉達を知る亜里沙、そして両親は呆然として目を見開いていた。

 

『幻聴じゃ…ない!?』

 

雪穂がそう直感した後、まだ声は続く。

 

『これを幻覚だと思う方は、聞き流して頂いて結構です。

しかし、これを現実として受け取って下さる方が一人でもいらっしゃったら…

一つ、協力していただきたいことがあるのです』

 

続いて、他の女性の声に変わる。

 

『今、この東京では、本当にたくさんの人々が傷つき、そして悲しんでいます。

私たちは、それを止めるために、こうして日本中の人々に呼びかけているんです。

何のためにそんなことをしているかというと、この場で皆さんから頂きたいものがあるんです。

…それは「応援」です』

 

「その声…ことりさん?」

 

雪穂は無意識にその名を呼ぶ。

 

『今の私たちには、目的を達成するのには力が足りません。

そこで、皆さんに応援の力を頂きたいのです。かけ声。祈り。何でも構いません。とにかく、気持ちを込めて応援してくだされば良いのです』

 

「亜里沙、知ってるよ。これ、海未さんの声だよ!」

 

亜里沙にそう言われた雪穂は、もう一度地上の太陽に視線を向けた。

その太陽は既にいくらか膨張していて、ビルの上半部分を呑み込んでいた。

そこに、穂乃果と雪穂の母が二人の肩を叩く。

 

「…二人とも。これはどういうこと?

一体何を知ってるの?

何であの子達の声があそこから聞こえてくるわけ!?」

 

思わず雪穂が返事に困った時、遮るようにまた音声が耳に響く。

 

『もうひとつ、ご要望があるとすれば…

どんな絶望の状況でも希望を信じる心、みんなで協力すればどんな困難だって乗り越えられると信じる心、そして少しの喜びでもみんなで分かち合う心を応援に込めていただければ、非常に助かります』

 

『そう。この未曾有の大災害を乗り越える元になるのは、人間一人一人のほんのちょっぴりの努力でいいんです!

その小さな努力が大きな力になれるなら…これほど良いことはないと思うんです』

 

最初は唖然とする他なかった群衆の中にも、何かに気づいたような表情をする者が現れ始める。

というのも、その音声もあのμ’sの絢瀬絵里と東條希に似ているからだ。

 

『…これは、救われない哀しい命も全て照らして救ってくれる、明るい太陽のような歌です。

…そう、どんなに救いようもなさそうな、黒く染まってしまった命でさえも』

 

『応援出来なかったとしても、きっと、この曲を聴くだけでも、皆さんは元気になれると思います…

そう、聴くだけでもいいんです。どんなに落ち込んでいても、どんなに傷ついていても…』

 

『どんなものにだって負けない、どんなものにだってなれる…って、そんな気持ちになれると思います!

私たちにはそう言える自信がこの曲にはあるんです!』

 

西木野真姫、小泉花陽のような声がして、その後に続くように星空凛に似た明るい声が群衆の耳に届く。

そしてー

 

『さあ!! 前置きはこれぐらいにして…

みんな、聴きましょう!立ちましょう!歌いましょう!踊りましょう!

この絶望の闇をみんなの力で希望の光で照らす、私たちのぉぉぉ…………!!!』

 

矢澤にこらしき声が、盛大にタメを作った後ー

 

 

『『『SUNNY DAY SONG!!』』』

 

 

史上最大の『ライブ』が、今始まる。

 

 

―――――――――――

 

カイザーギドラのエネルギー吸収によって虫の息同然だったゴジラは、戸惑っていた。

 

彼らは今、目映い光の渦に飲み込まれている。

カイザーギドラも予想外の事態に、ゴジラを捕らえ続けながらも三対の瞳を一斉にせわしなく動かしている。

あの時モスラと九匹の人間達がやって来た時、これほど強大な力を感じたことはなかった。

そうこうしている内に、なにやら小さな音が聞こえてくる。

それは、本当に微かな、少し触れただけでも消えてしまいそうな前奏。

だが、その一時の静寂はー

溢れ出す、幾多の風景によって打ち破られる。

 

「………!!!!!」

 

ゴジラ達の周りに湧きだして彼らを囲んでいくそれらには、あの小さな生き物達の姿が映されていた。

鼻が高い者、低い者、体型が大きい者、小さい者、はたまた足が動かない者、手が無い者、全身に大火傷を負った者、そしてモノを食っている者、座っている者、寝ていた者ー

幾多の顔が、呆然とした様子でその音に耳を預けている。

 

そして、あの九人の声が流れ始める。

 

数十秒後、次第に彼らに変化が生じ始めた。

初めは戸惑いながらも、立ち上がり、一緒に叫びを上げる者。

ただただ、家族と身を寄せあいそれを聴く者。

表情を変えることなく、膝まずいて祈りを捧げる者。

最初こそまばらだったそんな活動が、彼らの小さな声援が、歌が続くうちに瞬く間に広がっていく。

やがてそんな風景が怪獣達の目の前一杯に広がり、たちまちのうちに彼らの視界をその景色が支配していく。

 

彼女らは歌う。どんな者でも、私たちは受け止めると。

彼女らは歌う。そんな場所があると知って欲しいと。

 

そんな九人を応援する、何百万人もの人間達。

それらには何の隔てもなく、何の違いも無い。

すべては一つの生命体の如くうねりだす。

 

赤と黄の二色の風船が、雲一つない青空に舞っていきー

 

遂に曲は、クライマックスに達する。

 

飛び跳ね、舞い、少女達は歌う。

 

民衆の嵐のような興奮が、共感が、感動が、歓声が、喜びが、希望が、

日本中で巻き起こった感情が、彼らを飲み込む。

 

「…まないで…」

 

ゴジラは近くで音がしたのに気づき、空を見上げる。

そこには赤、あるいは黄を基調とした、太陽を体現したかのごとき衣装を身に纏ったあの人間達が、天から舞い降りて来ていた。

彼女らの背中にはその身体に見あわない、巨大な純白の翼が生えていた。

 

「もう、苦しまないで」

 

薄い茶色の髪の少女がゴジラ達の目の前で停止し、手を胸に当てて、そう告げる。

他の少女達は、ずっと黙って彼女の言葉に耳を傾けている。

 

「もう、憎しみに囚われないで。

今から、この国中の人達の祈りの力で、あなたには怒りを鎮めて眠ってもらう。

でも、どうか恨まないで欲しい。それと同時に、私たちはあなたを救いたいの。

だってあの時、私たちはあなたの苦しみを知ってしまったから。

あなたにはあんな終わらない悪夢から逃れてほしいから」

 

ゴジラは何も語らない。

カイザーギドラは抵抗しようと最大出力の光線を放つが、彼女らに当たる直前で霧のように消えてしまう。

 

「ごめんね。結局私たちは、これからの地球のために、私たち人間のためにこんな都合の良いことしか出来ない。

でも、私たちは心の中でずっと側に居るから。あなたがどんな過去を持っていて、どんな苦しみを経験したのか、そしてあなたは本当はどんな命だったのか、覚えてるから。…どうか、許して。

…せめて、あなたをみんなからもらった幸せな気持ちで満たして、眠らせてあげるから」

 

そう悲しそうに言うのを合図にするかのように、彼女を含む九人が祈るように手を胸の前で組むと、ゴジラ達の足元の空間が歪み始める。

そしてあらゆる方向の光の壁からいくつもの九色の光線が伸び、ゴジラとカイザーを包み込む。

まるで糸のように絡み付いたそれらに引っ張られるかのように、ゴジラ達はゆっくりと下へと沈められていく。

 

「…安らかに眠って下さい」

 

「「「――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」

 

「………………………………」

 

カイザーギドラが体をよじって必死に抵抗する側で、ゴジラは微動だにしなかった。

身体が光に呑み込まれていく度に、彼の瞼は眠気に襲われたかのように少しずつ落ちていく。

虹に包まれながら、光に沈んでいくゴジラ。

それは、今まで数え切れないほどの命を奪ってきた王にしては、あまりにも穏やかな姿だった。

 

「…さようなら」

 

女神達の抱擁の歌声に包まれて。

 

怪獣の王は瞼を閉じ、彼を縛ってきた闇から解放され、永遠の夢へと旅立っていったー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「発射」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否。

世界のどこかでした一つの発射音で、あの時の『光』が瞬く間に脳裏に蘇る。

それは、一時は彼を支配した『かりそめの』安らぎに、いとも簡単にひびを入れた。

ひび割れ崩れる、虹と光の空間。

彼の赤黒い瞼が、開かれー

炎が灯った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。

『過去』。『苦しみ』。『悲しみ』。

そんなモノがあるから、この蟻共はそこに漬け込むのだ。

それならば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな感情なんて消し去ってしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴジラ、以下をもち『シン』形態へ移行。




次は君の名は。やエヴァの影響受けまくりの話になりそう…
特にエヴァは、確実に私の人生に影響与えまくってると思いますので…
本当にあの作品は特撮成分、登場人物、世界観、ストーリー、メッセージ共(特にTV版)が私にドストライクだったので…
さすがにμ’sが最後に「おめでとう」言われたり、爆発と共に十字架立ったりはしませんが…(笑)
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